READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

プロツアー地域予選を突破したのは…(スタンダード)

岩SHOW

 プロツアー『ラヴニカのギルド』地域予選が開催され、日本では東京と京都でプレイヤーたちが熱い火花を散らし、ある者は悔し涙を流し、またある者は念願のプロツアー参加権利を手に入れた。かかっているものの大きい競技マジックは夏の思い出となったに違いない。

 今日はこの予選を勝ち抜いたデッキを紹介したい。その上で、テーマを絞って…赤黒だ!まずは『基本セット2019』スタンダード環境のど真ん中、「赤黒アグロ」!

耳道 隆詞 - 「赤黒アグロ」
プロツアー『ラヴニカのギルド』地域予選・京都 権利獲得 / スタンダード (2018年8月26日)[MO] [ARENA]
10 《
2 《
4 《泥濘の峡谷
4 《竜髑髏の山頂
3 《燃え殻の痩せ地
2 《霊気拠点
-土地(25)-

4 《屑鉄場のたかり屋
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 《ゴブリンの鎖回し
3 《ピア・ナラー
2 《再燃するフェニックス
1 《栄光をもたらすもの
-クリーチャー(16)-
3 《マグマのしぶき
4 《削剥
2 《無許可の分解
2 《ヴラスカの侮辱
2 《木端 // 微塵
2 《キランの真意号
3 《反逆の先導者、チャンドラ
1 《ウルザの後継、カーン
-呪文(19)-
4 《強迫
3 《チャンドラの敗北
1 《アルゲールの断血
2 《大災厄
1 《最古再誕
2 《苦悩火
1 《ウルザの後継、カーン
1 《炎鎖のアングラス
-サイドボード(15)-
 

 『破滅の刻』以降、赤いアグロデッキは強くあり続けている。《竜髑髏の山頂》を手に入れてマナ基盤が安定してからは、赤いデッキに黒を足して《屑鉄場のたかり屋》や《木端 // 微塵》の恩恵にあずかる、ほぼ赤単に近い赤黒が大流行。特に『ドミナリア』で《ゴブリンの鎖回し》を手に入れてからは、不動の地位を築いている。

 とにかく、手堅い強さのデッキである。序盤からしっかり殴りに行くクリーチャーがおり、それを豊富な除去でバックアップし、対戦相手の小型クリーチャー面展開は鎖回しで許さない。4マナからは《熱烈の神ハゾレト》で追い詰めて良し、《反逆の先導者、チャンドラ》でアドバンテージ差をつけてやるも良し。

 殴ってライフを詰めるデッキは総じて単体で見たカードパワーが低くなりがちだが、分厚い4マナ圏に加えて《再燃するフェニックス》だったり《栄光をもたらすもの》だったりと環境でもトップクラスのパワーカードがズラリ。速くて重い、スタミナ満点の剛速球ピッチャーみたいなもんだ。盤面に触れることができ、相手が出遅れたら立て直す前に決めきることができ、たかり屋や機体で粘り強い……文句のつけようがないよまったく。

 このリストでは、いわゆるアグロの代名詞である《ボーマットの急使》や鎖回しと併せて強い《損魂魔道士》などは採用せず、同じ赤黒を相手にある程度受けながら戦えるように除去をしっかりと揃えている。《ピア・ナラー》で壁を作ってのプレインズウォーカーのアドバンテージで勝負でき、対同型では高い勝率が期待できる。


棚橋 雅康 - 「赤黒フェニックス」
プロツアー『ラヴニカのギルド』地域予選・東京 権利獲得 / スタンダード (2018年8月26日)[MO] [ARENA]
7 《
5 《
4 《泥濘の峡谷
4 《竜髑髏の山頂
3 《燃え殻の痩せ地
2 《廃墟の地
-土地(25)-

4 《再燃するフェニックス
3 《栄光をもたらすもの
-クリーチャー(7)-
4 《マグマのしぶき
4 《削剥
4 《宝物の地図
3 《大災厄
3 《焼けつく双陽
4 《ヴラスカの侮辱
2 《最古再誕
2 《木端 // 微塵
2 《死の権威、リリアナ
-呪文(28)-
2 《金線の使い魔
3 《豪華の王、ゴンティ
4 《強迫
2 《チャンドラの敗北
2 《没収の曲杖
1 《アルゲールの断血
1 《炎鎖のアングラス
-サイドボード(15)-
 

 対して東京予選を突破したこちらのリストは……同じ赤黒でも構成が大きく異なる。何せ、メインクリーチャーは2種7体のみ! カードパワーの権化、フェニックスとドラゴンのコンビのみで、デッキの大部分は除去呪文で占められている。これは赤黒の盤面に触れる能力の高さを特化させ、赤黒含む環境のクリーチャーデッキをまとめて薙ぎ払ってやろうという、ボード(盤面)コントロールデッキだ。

 最大の特徴は除去のバリエーションの豊富さで、全体除去《焼けつく双陽》まで採用されている点。

 鎖回しの1点と比べてこちらは全体3点、あの厄介な《茨の副官》《蔦草牝馬》も他の小さいのとまとめて処理できるのが素晴らしい。おそらく、赤黒の土地が並んでいる状況下で3ターン目にこのカードが飛んでくると思ったプレイヤーは少なかったはず。デッキバレしていないからこその奇襲を決めたことだろう。

 除去の連打で捌きながら、《宝物の地図》で占術し、手札が尽きた頃には変身してドロータイム。盤面が綺麗になり、手札の格差がついたらクリーチャーを展開するか、《死の権威、リリアナ》や《最古再誕》で勝ちに行こう。大体はビートダウン側がここらで勝ちの芽が潰えて投了となる。リリアナからフェニックス復活!とかされたら対処しなければいけないパーマネントが2つ同時に出てくるので、大抵のデッキは頭を悩ませるはず。

 除去コントロールゆえにクリーチャーデッキに対しては高い勝率が期待できるのは当然のこと。ただ環境には、そうでないデッキも少なくはない。ただこのデッキでは、それらの除去はアーティファクトを割ったり手札破壊したりプレインズウォーカーを追放したり最悪サイクリング……と、完全に腐ることがなるべくないような顔ぶれを揃えてある。

 こちらがアグロと思って除去を持っていてくれるのならばおあいこである。サイド後はこれらを対コントロールカードと総入れ替えしてやれば問題なし。

 

 同じ赤黒でも環境の王者であるアグロと、それを食うために組まれたコントロールが勝ち上がるという面白い結果となった。アグロのデッキパワーはさすがだなとも思うし、ここぞというところで同色食いを果たした変化球の登場にも天晴れという気持ちだ。ビバ赤黒、このまま赤黒が夏のトリを飾る日本選手権もいただいちゃうのか? 明日からはニッセンに向けてスタンダード特集だ!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索