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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

Underworld Dreams(オールドスクール)

岩SHOW

 普段自分が遊んでいる・一番好きなフォーマットがマイナーなものだったとしよう。それが大きなイベントで取り上げられ、ひのき舞台でプレイできる日が来たら……まさしく夢が叶ったってとこだろう。ずっと使いたかったけどどのフォーマットでもあまり活躍の場がない……そんなカードたちの本領を発揮させてやることができればってな夢もあるだろう。

 そんな夢を叶える場所が、エターナル・ウィークエンド。記念すべき初のアジア開催では、サイドイベントで「オールドスクール」というフォーマットのトーナメントが開催された。1993年および1994年に発売されたセットのカードのみ使用可能、ヴィンテージと異なり《Chaos Orb》などのクレイジーなカードが使用可能というこのフォーマット。アメリカでは一部のベテランプレイヤーを中心に大人気でグランプリのサイドイベントも盛況。これがアジアで開催されてどうなるのかという不安はあったのだが……日本以外の国からも参加者が集い、40名ほどがここでしか味わえないマジックを堪能してくれたようだ。いや~良かった良かった。

 優勝したのは以前にこのコラムでも取り上げた《Sedge Troll》を用いた「Troll Disco」などと呼ばれるタイプの青赤黒のデッキ(大事なのは、グリクシスと呼ばないこと。94年にそんな用語はなかった! 同様に赤白のデッキもボロスではなくピンクと表記したりする)。準優勝は《サバンナ・ライオン》《ツンドラ狼》を《十字軍》で強化する白ウィニーと、なんとも古き良きマジック感があふれている。

 黎明期のカードのみ使用可能ということで、コンボデッキの類はあまり存在しないのだが……ないわけではない。今日は上記のデッキらと同じくトップ8入賞を果たした、このフォーマットにおけるコンボデッキを紹介しよう!

北野 孝俊
エターナル・ウィークエンド・アジア2018 オールドスクール選手権 トップ8 (2018年8月18日)[MO] [ARENA]
2 《
4 《Underground Sea
4 《Badlands
2 《Volcanic Island
3 《真鍮の都
1 《Library of Alexandria
-土地(16)-
 
-クリーチャー(0)-
1 《Black Lotus
1 《Mox Pearl
1 《Mox Sapphire
1 《Mox Jet
1 《Mox Ruby
1 《Mox Emerald
1 《太陽の指輪
4 《暗黒の儀式
4 《変化の風
3 《黒の万力
1 《Ancestral Recall
1 《稲妻
4 《吠えたける鉱山
2 《緊急阻止
1 《天秤
1 《ブーメラン
1 《Chaos Orb
1 《悪魔の教示者
1 《マナ吸収
1 《新たな芽吹き
1 《Time Walk
4 《地獄界の夢
1 《Timetwister
1 《Wheel of Fortune
2 《The Abyss
1 《精神錯乱
1 《Braingeyser
1 《回想
-呪文(44)-
4 《Juzam Djinn
1 《センギアの吸血鬼
2 《青霊破
2 《赤霊破
2 《象牙の塔
1 《ブーメラン
2 《憂鬱
1 《地震
-サイドボード(15)-
 

 《地獄界の夢》……いやまだ94年時点では《Underworld Dreams》だ。地の獄で見る夢は、痛々しく苦しみに満ちたもの。対戦相手がカードをドローするたびに1点のダメージを与えるこのエンチャントを設置して、その後あの手この手でカードを引かせてダメージを与えてやろう!というのがこのデッキの狙い。

 最も真っ先に思いつくのは《吠えたける鉱山》で、このデッキでもしっかりと4枚採用されている。この2枚を並べて毎ターン着実に2点ずつ与えながら、引き増したカードでさらなるドローカードを引き込んで苦しめてやろうという動きをするデッキだ。

 あまりの強さから「パワー9」と称される《Timetwister》とそれに並ぶ強さの《Wheel of Fortune》。どちらも全プレイヤーの手札をリセットし、カードを7枚引かせるとんでもないカードで、これと地獄界が組み合わさるとそれに加えて7点ダメージまで入ってくる。

 本来なら対戦相手に7枚引かせるなんて大損しかねないのだが、このデッキではこうして大ダメージを一発与えるだけでなく、相手の手札が7枚あることで活きてくるカードも併用することでその効果を何倍にも高めてある。その1つが《黒の万力》!

 マジック黎明期のスタンダードで暴れ回り、制限カードにもなったアーティファクトだ。相手のアップキープに「相手の手札の枚数-4」点のダメージを与えるこのアーティファクトは、先手1ターン目に出せば3点与えてくれる無色の《稲妻》として使えるが、以降のターンでは相手に手札を調整されてダメージが期待しにくい。この弱点を相手の手札を強制補充することで補ってやろうというわけ。地味ながら、特にコントロールデッキにはこれが効いてくる。

 もう1つ、7枚ドローと組み合わせて化けるのが《変化の風》。

 すべてのプレイヤーの手札をライブラリーに戻して同じ枚数分引かせる、赤にはよくあるタイプのデザイン。地獄界×7枚ドローで7点! その後《変化の風》でさらに7点! 1マナ7点火力としてぜひ用いたい。これらのおかげで、見た目よりも早く20点のライフを削り切ってしまうことだろう。

 《Braingeyser》のように他のフォーマットでは見かけないが、とても魅力的なカードを用いることもできるのが楽しいね。

 地獄界でX火力、万力でも大ダメージが狙えて、いざという時は自分に唱えて大量ドロー。自分がカードを引きたくて、相手がカードを引くのは許せない。そんなエゴの強いマジックが遊びたくなったら、これほどオススメなデッキもないね!

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