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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
唸り茶単(モダン)
最近SNS上で、なんだか怖~いつぶやきをいくつか見た。
いわく、「メインから《減衰球》出てきてコンボ決められず負け」。
いわく、「20年ぶりくらいに《道化の帽子》をプレイされた」。
なんだなんだ、その真夏の恐怖体験は。あまりの連日の暑さにより、皆が観た幻覚? サーバーが生み出した亡霊? どうやらその真相は、現実のデッキらしい。
《減衰球》も《道化の帽子》も、繰り出してくるのは同じデッキで、しかもそれら以外にも特定のデッキにとって「恐怖の置物」となるアーティファクトをいくつも繰り出してくるらしい。それらの呪われし道具は、奇妙な唸り声とともに現れる……。
5 《冠雪の島》 1 《蒸気孔》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 1 《沸騰する小湖》 2 《霧深い雨林》 4 《トレイリア西部》 1 《イプヌの細流》 2 《空僻地》 1 《アカデミーの廃墟》 1 《発明博覧会》 1 《幽霊街》 1 《地盤の際》 -土地(22)- -クリーチャー(0)- |
4 《ミシュラのガラクタ》 4 《オパールのモックス》 3 《溶接の壺》 1 《トーモッドの墓所》 3 《探検の地図》 1 《黄鉄の呪文爆弾》 3 《虚空の杯》 3 《魔術遠眼鏡》 1 《減衰球》 4 《罠の橋》 1 《世界のるつぼ》 1 《瓶詰めの回廊》 1 《道化の帽子》 1 《護法の宝珠》 3 《仕組まれた爆薬》 4 《発明品の唸り》 -呪文(38)- |
4 《呪文滑り》 2 《練達飛行機械職人、サイ》 1 《発明の領事、パディーム》 1 《溶接の壺》 1 《墓掘りの檻》 1 《虚空の杯》 1 《魔術遠眼鏡》 1 《倦怠の宝珠》 2 《ギラプールの霊気格子》 1 《不滅の太陽》 -サイドボード(15)- |
アーティファクトであればマナを注ぎ込める限りなんでもサーチして戦場に直接出せる《発明品の唸り》。即席能力により不特定マナを支払う代わりにアーティファクトをタップしてもよく、アーティファクトでガチガチに固めたデッキではあの《修繕》のような活躍をやってのけるインスタントだ。
これを用いて、特定の相手に突き刺さるアーティファクトを1枚挿ししたものの中から持ってきてゲームを制する、いわゆるシルバーバレット戦略を用いるのがこのデッキ……呼び方は各自で好きにしてくれたら良いが、個人的には語感が好きなので「唸り茶単」と呼んでいる。
「茶」というのは昔のカードではアーティファクトの枠が茶色だったため。《発明品の唸り》以外は土地とアーティファクトで、まさしく茶単と呼ぶにふさわしい構築だ。直近のモダン・プロツアーを優勝した「ランタン・コントロール」に近いものがあるので、「ランタンレス」とか呼んでも良いかもしれない。
デッキの目的はロックだ。ロックンロールじゃなく、鍵をかけるという意味の方ね。《虚空の杯》《罠の橋》でカードを唱えることとクリーチャーでの攻撃を防ぎ、《仕組まれた爆薬》《魔術遠眼鏡》でパーマネントを処理して相手の勝利手段を奪う。
それらに加えて前述の各種恐怖の置物を相手に合わせて展開し、対戦相手の勝ちの芽を徹底的に摘んでいく。これらの動きを支えるのが《オパールのモックス》のマナ加速であり、便利な《発明品の唸り》。
それではこのデッキの1枚挿しがどのような相手に用いられるのか見てみよう。
《減衰球》:「青赤ストーム」や「KCI」といった1ターンに複数回呪文を唱えることでコンボを決め、勝利するデッキ相手に。あるいは「トロン」対策にも。
《道化の帽子》:コンボパーツや勝利手段を少数のカードに頼るデッキを1枚で機能不全に陥らせる。これまた「KCI」や《集合した中隊》などを用いたコンボデッキ相手に刺さる可能性高し。
《トーモッドの墓所》:言うまでもなく墓地利用デッキ相手に。それらのデッキは《罠の橋》で機能不全に陥ることが多いが、殴らずに勝利するデッキもあるので念には念をの姿勢で。
《世界のるつぼ》:《幽霊街》《地盤の際》を毎ターン使いまわすことで土地コンボを狙う「トロン」「タイタン・シフト」などのデッキを完封する。《イプヌの細流》を使いまわしてライブラリーアウト勝ちも。
《瓶詰めの回廊》:相手のターンに手札が空になり、自分のターンでは追加ドローがもらえる。《罠の橋》で攻撃を防ぎたいけど手札がまだあるし持っておきたい、という時に。
《護法の宝珠》:プレイヤー自身が呪禁持ちになるので「バーン」相手には絶大な効果あり。クリーチャーから受けるダメージを1点減らす能力と併せて「青赤ストーム」の勝ち手段を完全に封じることも可能。
《黄鉄の呪文爆弾》:序盤に出てきたクリーチャーを除去、特にサイド後の《戦争の報い、禍汰奇》に先出しで対策になる点が優秀。《アカデミーの廃墟》により使いまわすことでフィニッシャーも務める。
《発明品の唸り》のおかげで、メインのロックシステムに必要なものやこれらの尖ったパーツをその都度調達でき、60枚のデッキとは思えないほどの幅広い戦術を持つのがこのデッキの魅力だ。「ランタン・コントロール」よりもさらにテクニカルなロックを楽しみたいプレイヤーにお勧めしたい。
一応は青赤のデッキなのでサイドボードに《ギラプールの霊気格子》という定番の除去兼勝ち手段を採用出来るのも嬉しい。そこに加えて新カード《練達飛行機械職人、サイ》が加われば、長期戦からスピーディーな決着まで狙えるように。
このサイ、スタンダードでも活躍中だがモダンなど0マナアーティファクトの選択肢が多い他のフォーマットでも大活躍の予感。今後最も目が離せない『基本セット2019』のカードの1つだ。
次にこのデッキに遭遇し、その奇妙な戦略に肝を冷やされるのは……あなたかもしれません(夏っぽくね)。
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