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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ジン・ブルー(スタンダード)

岩SHOW

 マジックの俗語のひとつに「痩せている」というものがある。主にデッキに対して用いられ、「このデッキは痩せデッキ」といった具合に用いる。どういうことかというと、ゴリゴリのパワーカードが採用されておらず、線の細いクリーチャーなどを用いて細い勝ち筋をたどるタイプのデッキをこう表現する。

 マジックはゲームである以上、プレイヤーは自分の好みのデッキを使いたいものである。パワーカードをバンバン叩きつけてねじ伏せる王道戦法が好みのプレイヤーもいれば、それをなんとかいなして掻い潜って、ヒイヒイ言いながら勝利を掴むのが大好きなプレイヤーだっているのだ。今日はそんなスリムなデッキが好みの方にピッタリなスタンダードのデッキを紹介しよう!

 近年のスタンダードは、初心者でもゲームを楽しめるようにシンプルかつ強力にデザインされたカードのぶつけ合いという印象があるが……このデッキはその風潮に抗う、ある種のレジスタンス的なデッキだ。見た目がとにかくクールな「ジン・ブルー」を見てもらおう!

ashgrabbr - 「ジン・ブルー」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2018年8月8日)[MO] [ARENA]
22 《
-土地(22)-

4 《セイレーンの嵐鎮め
4 《這い寄る刃
4 《マーフォークのペテン師
2 《神秘の考古学者
4 《排斥する魔道士
4 《大嵐のジン
-クリーチャー(22)-
4 《執着的探訪
4 《送還
2 《潜水
4 《魔術師の反駁
2 《暗記 // 記憶
-呪文(16)-
3 《敏捷な妨害術師
3 《ジェイスの敗北
3 《否認
2 《バラルの巧技
4 《中略
-サイドボード(15)-
 

 青単でクリーチャーで殴り勝つことを目指す、実に珍しいデッキだ。デッキの顔とも言える存在は《大嵐のジン》!

 《》の数だけのパワーを持つこの飛行クリーチャーを活かすために青単で、かつ特殊な土地カードは一切なし! 気合いが入っていて大変によろしい。3ターン目に出せば3マナ3/4飛行、これだけでも十分に優れたスペックだが、そこから《》を置いていけばパワーはどんどんと上昇する。

 このジンで対戦相手を殴り倒したいわけだが……さすがに攻め手がこれだけでは真の痩せデッキとなってしまうので、他にも軽量クリーチャーを採用している。

 ジンが出てくるまでの間、最も頼りになるアタッカーが《這い寄る刃》だ。

 1マナ1/2とサイズは小さく、カードパワーという観点で見れば戦局をひっくり返す力を持たないため非力ではあるのだが……1ターン目から展開し、そこから毎ターン相手がどんな防壁を築こうともブロックされずにすり抜けていける点をこのデッキでは高く買われている。

 このナーガに《執着的探訪》をつけて打点を上げつつ、ドローも得る!

 これがこのデッキの生命線で、まず第一に何よりもこれを狙っていきたい。他にも軽いカードを多数採用しつつ土地を22枚に切り詰められるのは、この2枚のおかげなのである。この動きを2ターン目から決められるのであれば、その手札はキープ。ベストハンドと言っても過言じゃぁない。

 他にも採用されているクリーチャーは複数いるが、それらに共通するのはウィザードであり、そしてトリッキーな能力持ちであるという点。ウィザードで固めたことにより《魔術師の反駁》が《対抗呪文》になる!これもこのデッキの裏テーマ。

 とにかく軽く、手数で相手を制する。《セイレーンの嵐鎮め》は1マナと軽く、自身の能力でクリーチャーかプレイヤーに飛んできた呪文を打ち消せる。これでナーガを死守するのだ。飛行持ちなので最低限の打点にもなり、ナーガの代わりに《執着的探訪》をつけて殴ることもある。

 《マーフォークのペテン師》で相手のクリーチャーをタップして攻撃やブロックを防ぎ、《排斥する魔道士》《送還》などのバウンスで展開を遅れさせることで、パワーの低いクリーチャーでもダメージレースを制する……というテンポ戦略がこのデッキの狙い。最後はジンで押し込みたいところだ。

 ここまで読んで「こんなデッキを待ってた!」と胸を躍らせた方もいるだろう。レアカードへの依存が少ないので、デッキも組みやすいのも魅力的。

 でも……初心者には、ちょっと扱うのは難しいだろう。というか、マジック経験が豊富でも「愛」がなければこのデッキを使いこなすのは困難だ。僕もこのデッキをコピーして回してみたが、これがもうやっぱり普段使っているパワーカードで圧殺するタイプのデッキに比べて線が大変に細く(笑)、ちょっとした損失が命取りになってしまいとにかく負けまくった。バウンスする対象などを間違えると、それでもう取り返しがつかなくなったり……やり込まなくては、安定して勝てないなと分からされた。

 愛着を持てる人は、このシーズンはコイツと頑張るぞ!くらいの意気込みで回してみてやってほしい。勝てるようになったのであれば、あなたのマジックスキルは確実に成長しているぞ!

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