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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スクイーの大冒険~ファラオの復讐編~(モダン)

岩SHOW

 スクイー。最も有名なゴブリンだろう。実名はドミナリアのゴブリンの間ではメジャーなものだという設定があるのだが、背景世界でしっかりと役割を与えられているスクイーと言えば皆さんのよく知る、ウェザーライト号の初代クルーの一員であったあのスクイーに他ならない。

 スクイーに関するエピソードは多く、虫を食べるのが大好き・船室係としてクルーに料理を振舞ったらとんでもないことになった・メルカディアでは太守の地位となった(その際、一人称がおいらから私に)・艦長シッセイをして役立たずだと思われていた・そんなシッセイも認める、見事な射撃の腕を持っている……などなど、挙げていけばキリがない。コミカルなキャラクターで、暗くなりがちなウェザーライト号の戦いの旅を盛り上げてくれた。

 そんな彼の最も有名な点は、不死身であることだろう。ファイレクシアのドミナリア侵攻の際、いろいろあって捕らわれの身となったスクイーは死んでも蘇生する身体に改造された。毎日100回殺されるという、地獄のような日々を送ったが、ヨーグモスの死により戦争は終結。数少ないウェザーライト号クルーの生き残りとして、新たな冒険に旅立っていった……そして、『ドミナリア』で再登場。

 今回のカード化ではその名も《不死身、スクイー》となり、墓地からでも追放領域からでもしぶとく蘇り続けるクリーチャーとなった。

 このカード、変なデッキを作るのが好きな人にはたまらないデザインである。これを使ってアドバンテージを得たい! そんなプレイヤーが作ったのかどうかはわからないが、スクイーが奇妙な連中とともにチームを結成したデッキがコチラだ。

Warren138 - 「スクイーの大冒険」
Magic Online Competitive Modern Constructed League 5勝0敗 / モダン (2018年6月4日)[MO] [ARENA]
4 《
2 《踏み鳴らされる地
4 《樹木茂る山麓
4 《血染めのぬかるみ
3 《銅線の地溝
-土地(17)-

4 《ボーマットの急使
4 《傲慢な新生子
4 《スカークの探鉱者
1 《ゴブリンの奇襲隊
1 《不死身、スクイー
4 《復讐蔦
4 《虚ろな者
4 《通りの悪霊
1 《わめき騒ぐマンドリル
4 《歩行バリスタ
-クリーチャー(31)-
4 《信仰無き物あさり
2 《稲妻
2 《安堵の再会
4 《黄泉からの橋
-呪文(12)-
1 《渋面の溶岩使い
1 《稲妻
1 《稲妻の斧
2 《破壊的な享楽
1 《削剥
1 《古えの遺恨
1 《倦怠の宝珠
2 《血染めの月
4 《虚空の力線
1 《仕組まれた爆薬
-サイドボード(15)-
 

 ファラオが眠る棺のような見た目の《虚ろな者》、意志を持ち復讐する植物《復讐蔦》……そこにスクイーが合わされば、これはもう大冒険の予感! ビジュアルにストーリー性があって、見ているだけでワクワクしてくるデッキだ。

 このデッキの元の骨格になっているのは、現在モダンで大活躍中の「赤黒虚ろな者」の原型となった「Hollow Vine」。2色にまとめて安定感を、《ゴブリンの知識》を得て爆発力を得た「赤黒虚ろな者」の方がデッキとしての完成度が高く使用者が多いが、《復讐蔦》を捨てて《虚ろな者》で戦場に戻す「Hollow Vine」のデッキとしての面白さにハマり使い続けているプレイヤーだって少数派ではあるが存在している。そのデッキに、『ドミナリア』からの新戦力がこの度ドッキング。

 《信仰無き物あさり》などでスクイーを捨てて墓地から唱え、そのターンの2回目のクリーチャー呪文プレイという《復讐蔦》の復活条件を満たそうというのが狙いだが、しかし真の新戦力はスクイーよりも《スカークの探鉱者》だったりする。

 このゴブリン、生け贄に捧げれば1マナが得られる。自身も1マナと軽く、そのため蔦のためのクリーチャー連打をサポートしやすい。ゴブリンを生け贄にしてマナを得る、という動きは《わめき騒ぐマンドリル》や《歩行バリスタ》といったカードとの相性も良い。相手の絆魂持ちの攻撃をスクイーでブロックし、コイツで生け贄に捧げて戦闘ダメージを発生させずに回復を防ぐ……なんて小技も、どこかで炸裂するかもしれない。

 土地は削った構築にしたいが、いざというターンではある程度のマナが欲しい、そんな我儘な「Hollow Vine」というデッキを支える、マスターピースかもしれないカードだ。

 《スカークの探鉱者》と《不死身、スクイー》は今後ゴールデンコンビとして、さまざまなデッキに顔を見せることになりそうだ。モダンのみならず、スタンダードでも活躍してくれるとゴブリン好きとしては嬉しい限り。死の拷問を受け続けたスクイーにはゆっくりと長い長い余生を過ごしてほしいとも思うのだが……うん、やっぱり何度も死と生を往復して楽しませておくれ!

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