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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ビックリ魂剥ぎ(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ビックリ魂剥ぎ(モダン)

by 岩SHOW

 マジックとは自由だ。カードプールやルールという制限はあるが、その中で何をするかはその人の自由。どんなデッキを組んだって、誰に文句を言われることもない......デッキ構築とは自己表現、一種のアートだ。

 時折、芸術作品としか言いようのないビューティフルなデッキが世にその姿を現す。目の当たりにした時にテンションを否応なしに上げられるリストとの出会い、それが僕がマジックを20年近くプレイし続けている理由の1つである。顔も知らない人でも、リストを見ればどんな人物かが垣間見えるというものだ。

 今日も人を楽しませるショーマンシップに溢れたデッキ/プレイヤーを見つけたので紹介させていただこう。《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》が解禁される直前に開催されたグランプリ・リヨン2018、そのフィーチャーマッチで世界をアッと驚かせたアンドレアス・シュルテ/Andreas Schulteの「Soulflayer Surprise」......邦題をつけるなら「ビックリ魂剥ぎ」ってところか? リストはほんとにビックリするものになってるぞ!

Andreas Schulte - 「ビックリ魂剥ぎ」
グランプリ・リヨン2018 9勝6敗 / モダン (2018年2月17~18日)[MO]
1 《
1 《
2 《草むした墓
1 《踏み鳴らされる地
1 《血の墓所
1 《神無き祭殿
4 《新緑の地下墓地
4 《血染めのぬかるみ
1 《樹木茂る山麓
1 《花盛りの湿地
2 《黒割れの崖

-土地(19)-

3 《火花の精霊
4 《恐血鬼
4 《ロッテスのトロール
4 《森の女人像
1 《ファルケンラスの貴種
4 《魂剥ぎ
4 《ドラグスコルの肉裂き
4 《原初の夜明け、ゼタルパ

-クリーチャー(28)-
4 《信仰無き物あさり
4 《忌まわしい回収
2 《神々との融和
3 《未練ある魂

-呪文(13)-
3 《凶暴な召喚
2 《稲妻の斧
3 《突然の衰微
3 《集団的蛮行
2 《古えの遺恨
1 《未練ある魂
1 《摩耗+損耗

-サイドボード(15)-

 《ドラグスコルの肉裂き》《原初の夜明け、ゼタルパ》と、とんでもない重量級クリーチャーがMAX4枚ずつ投入されている! これだけでも、重すぎるカードは使えないというモダンの固定観念を打ち砕く十分なサプライズだが、これをどうしようかというと《魂剥ぎ》の探査能力に充てて、今週のビックリどっきり超生命体を作り上げようというのだからその発想に恐れ入る。このリストは夢の具現化と言っても決して大げさではあるまい。

 モダンの定番カードである《信仰無き物あさり》に加えて《忌まわしい回収》《神々との融和》、さらに《ロッテスのトロール》まで揃えて、クリーチャーを墓地に送り込む手段は完備。

 上記の呪文で《魂剥ぎ》を探しながら、ドラグスコルやゼタルパを墓地に送り込み、これらを餌にキーワード能力の塊となったデーモンを生み出して圧倒する、というのがゲームプランだ。このデッキでの《魂剥ぎ》は最大で以下のようなスペックとなる。

{B}{B} 4/4 飛行 二段攻撃 速攻 呪禁 破壊不能 絆魂 トランプル 警戒

 まさしく僕の考えたスーパークリーチャー! この妄想の実現も、このデッキなら可能なのだ。1回攻撃すればお互いのライフに16点もの差がつく、除去耐性と回避性能を持ち合わせた怪物......君も戦場に出したくないかい? だったらこのデッキを使うしかないって!

 《森の女人像》の採用はこのデッキの選択肢を広げている。

 《魂剥ぎ》に呪禁という最高の除去耐性を与える餌になる上に、特にサイドボード後のゲームで墓地対策となる《虚空の力線》や《安らかなる眠り》を設置された際にはドラグスコルやゼタルパを唱えて戦うための助けとなる。これらのカードがただのコンボパーツではなく、しっかりと1枚のカードとして運用できるように設計する。ビックリの中にも冷静さを忘れない構築は素晴らしい。

 シュルテはこのデッキを用いて第7回戦まで無敗で勝ち上がっている。モダンという荒々しい環境で、オリジナルデッキでここまで突き進むのは「カッコイイ」としか言いようがない。最終的な成績は9勝6敗。本人いわく、《火花の精霊》も悪いカードではなかったが、同じ1マナ圏で速攻持ちであれば《狂信的扇動者》を採用した方が良い結果に繋がったかもしれないと振り返っている。

 また、まだまだこのデッキには改良の余地がある、選択肢は無数にあると語っていた。このデッキに感銘を受けたプレイヤーも多いことだろう、これからますますブラッシュアップされた《魂剥ぎ》デッキが登場してくるのかもしれない。

 最後にシュルテ本人の体験談でまとめたいと思う。彼は《忌まわしい回収》《神々との融和》などの墓地にカードを置く呪文を解決した後、そのまま優先権を対戦相手に渡すことなく《魂剥ぎ》を唱え、墓地を探査コストに充てることで《虚無の呪文爆弾》や《外科的摘出》による墓地への干渉をさせない動きをしてきたとのこと。その際に対戦相手から「それ(探査)をする前に呪文爆弾起動」など何度も言われ、その度にジャッジを呼んで妨害可能なタイミングが存在しないことを説明してもらったという。

 墓地対策をこれらのカードに任せているプレイヤーは、相手がタイムラグなしの《魂剥ぎ》というベストな動きをしてきた場合は干渉できないということに気を付けて! 逆に使う側も《信仰無き物あさり》解決後に《ロッテスのトロール》の能力起動とかやっちゃうとプラン崩壊する恐れがあることを覚えておこう!

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