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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ボーグルズ(Pauper)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ボーグルズ(Pauper)

by 岩SHOW

 先日プロツアー『イクサラン』でついに優勝、これで持っていない個人タイトルはいよいよプレイヤー・オブ・ザ・イヤーくらいなものとなってしまったセス・マンフィールド/Seth Manfiled。

 彼は勝つ時には圧倒的な強さを見せつけるその剛腕ぶりが特徴とも言え、中でも世界選手権2015優勝時のその剛腕っぷりときたら語り草になっている。予選ラウンド13勝1敗というスコアであり、それを支えたデッキの1つが《ぬめるボーグル》などの軽量呪禁能力持ちにオーラをべたべた貼り付けて一点突破、ダメージレースの完全破壊を目論むコンボ的ビートダウン「ボーグルズ」だ!

 なんでこのデッキの話を今するのかというと、セスの優勝に呼応するかのようにこのデッキも最近モダンで再び勝ち始めたからだ。まあ、もちろんそれは、たまたまこのタイミングでモダンの環境が「ボーグルズ」にとって勝ちやすいものに流動したってだけではあるんだけどね。

Seth Manfield - 「ボーグルズ」
世界選手権2015 優勝 / モダン (2015年8月27日、28日、30日)[MO] [ARENA]
1 《
2 《平地
4 《寺院の庭
4 《吹きさらしの荒野
1 《霧深い雨林
4 《剃刀境の茂み
4 《地平線の梢
1 《ドライアドの東屋

-土地(21)-

4 《林間隠れの斥候
4 《ぬめるボーグル
4 《コーの精霊の踊り手

-クリーチャー(12)-
4 《天上の鎧
4 《怨恨
4 《蜘蛛の陰影
3 《ハイエナの陰影
3 《流刑への道
1 《まばゆい神盾
4 《夜明けの宝冠
1 《霊魂のマントル
3 《ひるまぬ勇気

-呪文(27)-
3 《ガドック・ティーグ
3 《抑制の場
2 《原基の印章
2 《石のような静寂
1 《安らかなる眠り
4 《神聖の力線

-サイドボード(15)-

 ここまでデッキ内のオーラの比率が高いデッキも稀有なもの。1マナ呪禁持ちとオーラと相性の良いクリーチャーを本当に最小限採用して、あとはそこにオーラをベタ貼りからのパンチパンチパンチ! 相手の除去は(呪禁で)気にしない、相手のクリーチャーも(サイズと絆魂で)気にしないというパワーにオールインなデッキは愛すべきものだと思う。個人的にも、プレイングの方向性が一本道なので扱いやすく好きなデッキだ。誰でもセスのように勝てるかは別問題なんだけどね......。

 さて、上記のリストを見て何か気づくことはないかな? そう、このデッキはコモンカードが多い! 戦闘に役立つタイプのオーラはリミテッドで使ってもらうためにレアリティがコモンに設定されていることが多い。これはデッキを作る側にとってカードが集めやすいという利点のみならず、デッキを可変させて他のフォーマットでも遊べるという美味しい副産物(?)ももたらしてくれるのだ!

 ちょちょいといじれば、コモン限定構築「Pauper」バージョンに早変わり!

doves - 「ボーグルズ」
Magic Online Pauper Challenge #11012805 8位 / Pauper (2017年11月26日)[MO] [ARENA]
12 《
1 《平地
4 《花咲く砂地
1 《カルニの庭

-土地(18)-

4 《林間隠れの斥候
4 《ぬめるボーグル
4 《シラナの岩礁渡り
2 《オーラのナーリッド

-クリーチャー(14)-
4 《豊かな成長
4 《楽園の拡散
4 《天上の鎧
4 《怨恨
3 《結束のカルトーシュ
4 《祖先の仮面
4 《アルマジロの外套
1 《活力のカルトーシュ

-呪文(28)-
3 《若き狼
2 《はらわた撃ち
2 《絆魂
2 《自然のままに
3 《一瞬の平和
2 《腐れ蔦の外套
1 《活力のカルトーシュ

-サイドボード(15)-

 コモン限定になっても見劣りしない、強力なオーラがズラリ。個人的には青春の1枚《アルマジロの外套》が入っているだけでもうご飯が3杯は食える。いやすまん言い過ぎた、塩昆布くらいはください。

 このオーラはサイズアップと、絆魂......にとても良く似た能力をクリーチャーに与えて攻防一体にしてくれるちょっとしたゴッドオーラなのだ。能力は誘発型なので、油断していると能力解決前にライフが0になるということもあるのでそこだけは気を付けよう。まあ、これを貼ったクリーチャーは基本殴りに行っているので、ダメージが交錯するタイミングってのはそんなにないとは思うが......。

 《ぬめるボーグル》《林間隠れの斥候》のモダンでも暴れまくりな2枚に加えて、コモン界から《シラナの岩礁渡り》《オーラのナーリッド》も参戦。

 どちらもブロックされにくい能力が武器で、シラナは呪禁による硬さが・ナーリッドはオーラの枚数に合わせて成長する打撃力がセールスポイントだ。これらに《怨恨》などのオーラを張り付けまくって成長させよう。《天上の鎧》と《祖先の仮面》は自身がコントロールするエンチャントの枚数分だけ(仮面はその2倍!)クリーチャーのサイズを大きくする。

 これらと相性の良い、土地を多色化するオーラも《豊かな成長》《楽園の拡散》と2種8枚採用されているのもポイントだ。

 そしてオーラと言えば、最近登場した新タイプ持ちオーラ「カルトーシュ」! 『アモンケット』が生み出した、2つの能力を持ったオーラ群から白と緑のものがこのデッキには採用されている。

 上述のようにコモンオーラはリミテッドの基本だ。ということはありとあらゆるセットに収録されている。新セットが発売されれば、多少なりともそのセットの特色が反映されたものが誕生し、このように新カードとしてPauperのデッキに迎え入れられる可能性は大いにある。

 カルトーシュはそれまでのオーラができなかった類のことをやる誘発型能力が良いね。《結束のカルトーシュ》は1/1トークンを生み出し、《活力のカルトーシュ》はクリーチャーを格闘させる。それぞれ強化の面では地味であるが、オーラの枚数を増やしつつ盤面に変化をもたらすという点では革新的。「ボーグルズ」も行動の引き出しがちょっと増えて、より面白いデッキに仕上がったことだろう。

 わかりやすく、そして強い。僕らのようなカジュアルにマジックを楽しんでいるプレイヤーにとっては、実にありがたい存在だ。君のボーグルも、エルドラージを踏み潰すくらいにパンパンに育ててあげてほしいね!

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