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週刊デッキ構築劇場
第39回:塚本樹詩のデッキ構築劇場・押し寄せる何か
読み物
週刊デッキ構築劇場
2011.11.21
第39回:塚本樹詩のデッキ構築劇場・押し寄せる何か
演者紹介:塚本 樹詩 関東の草の根を中心に独創的なデッキ構築で知られるデッキビルダー。2009年のプロツアー・ホノルルにて初のプロツアー出場を果たし、《破門》マスターとして恐れられる。 |
ろくそどおおおん うぉおおおおおはんまあぁあああああああ!!!!
リアルタイムでワールドを観戦していて、テンションマックス!の塚本です、お久しぶりです!
ワールドに関して語ると、「塚本樹詩のデッキ構築劇場」ではなく「まっきーとおれとワールド☆コンクエスト」みたいなカオスな連載が始まってしまいそうなので、ワールドの記事でまっきーの勇姿を確認してください。
さっそく本題に移りましょう!
今日はマジック:ザ・ギャザリングの新たな可能性について探求していきたいと思います。
テーマは一ヶ月前くらいに話題?になったこのフォーマット。
「大群マジック」のデッキ構築をしていこうと思います!
大群マジックとは何ぞや?
詳しくはこの翻訳記事「上上下下左右左右BAシャッフル!」に書いてあるのですが、大雑把な特徴をあげると・・・
プレイヤーたちが協力して敵を倒す。
敵は一つのデッキで、そのデッキにプレイヤーはなく、自動的にプレイされる。
敵のデッキにはトークン・カードも入っているよ!
この3点だけでみても、従来のフォーマットとは毛色が全然違いますね。
さらに詳しくルールを書くと・・・
- プレイヤーたちの勝利条件は大群デッキのライブラリーと手札、戦場にいるクリーチャーを無くすこと。
- プレイヤーたちの敗北条件は通常通りライフ0になること。
- プレイヤーたちのライフは1人につき20点。ただしライフは合計され常に共有されている。
- いずれかのプレイヤーが大群プレイヤーにダメージを与えた場合は、 その点数に等しい枚数のカードを大群デッキのライブラリーの上から墓地に置く。相手のデッキがそのままライフというイメージで。
- プレイヤーたちのターンは双頭巨人戦のように共有チーム・ターンで行う。そしてゲーム開始の先攻から3ターン連続して行う。
少し複雑になってきました、双頭巨人戦やアーチエネミーで遊んだことのある人はイメージしやすいかもしれません。
プレイヤー側に3ターンの準備期間があることがポイントですね。
- 大群デッキは100枚で構成され、4人を下回る一人につき25枚をランダムに取り除く。(3人なら75枚、2人なら50枚)
- 大群デッキにおいては、トークン・カードも通常のカードと同じように扱う。
- 大群のターンの開始時にライブラリの一番上を公開する。 それがクリーチャー・トークンならそれを脇によけて、その過程をトークンでないカードが公開されるまで繰り返す。 それから、全てのクリーチャー・トークンを唱える。(それらのコストは{0}である。)続いて公開された呪文を唱える。
- 大群が呪文を唱えられるのはターンごとに一つだけである。 《ブーメラン》などの呪文でクリーチャーが除去された場合、それらは次のターンに公開された呪文が唱えられた後で再び唱えられる。
- 大群デッキは必要なマナは保っているものとして扱い、いくらでも追加コストに必要なマナを払える。(たとえば《抵抗の宝球》や《プロパガンダ》など)
- 大群のコントロールするクリーチャーは速攻を持ち、可能なら攻撃しなければならない。
- 例えばプレイヤーが《嘘か真か》を唱えた場合や、プレインズウォーカーをコントロールしていて大群のクリーチャーが攻撃できる場合など、大群が「選択する」場合、 その選択は可能な限りランダムに選ぶ。
大群デッキの挙動は大きく二つに分かれていて、呪文がめくれるまでライブラリをめくることと、全軍突撃することですね。
リンク先の記事には他にも変わったルールで遊べるフォーマットがいくつか載っていますが、「これだけは別格!」と思い、今日はこのフォーマットを掘り下げていていくことに決めたのです!
上記の項目が基本ですが、遊んでるうちにいろいろな分からないことが出てくると思います、その時は皆さんの今までのMTGで遊んだ経験を元に話しあって解決していけば大丈夫です。
ふたつの要素
大群マジックを構成する要素は大きく2つに分かれていて、「大群側のデッキ」と「自分達のプレイするデッキ」の2つになります。
大群側から詳しく解説してきますね!
大群デッキ
各色ごとに大群マジックならではの面白カードをピックアップしていきます、デッキ構築の際の参考に。
白
大群マジックにおいてマナが重いという概念はないので、このようなファッティが早いターンに降臨すると戦場は大変なことに。
白といえばリセット呪文。
大群マジックでは大群側のターンの行動はトークン・カードのプレイ→めくれた呪文のプレイなので、ただのリセットは自分の首を絞めてしまいますが、トークン・カード以外のクリーチャーを破壊する《報いの時》なんかは、まさにこのフォーマットにぴったりのリセット呪文ですね。
青
相手がずっと俺のターン!してくるのは流石にうんざりですが、必殺技としてたまにプレイされるのなら許容できる・・・はず?
《集団変身》
大量のトークン・カードがいきなりめんどくさいファッティの群れになったり、めくれたトークンの数が少なくてあんまり効果を発揮しなかったりと、バクチ要素の強いカード。
デッキの中のトークン・カードがマイアだったり飛行機械だったりすると、わらわらと増えるかも!
黒
黒の醍醐味は手札破壊。
大群側はおおよその場合に手札が無いので、《狂乱病のもつれ》を打っても全然平気!
《痛ましい記憶》なんかも良いかもしれないです。
クリーチャーによる戦闘が重要そうなフォーマットならこいつらが輝くと思うよ!
ライブラリに戻る効果のカードは他のフォーマットよりも意味がありますね。
大量ダメージで一気にパーティーが全滅することも、どちらも入れすぎに注意ですな。
赤
派手で強いクリーチャーばかりの赤。
MOでモミール・ベーシックが大好きな人達にはお馴染みのカードも、大群マジックにおいてはボス・ポジションを立派に務めることがことができるのかもしれない!
相手がゴブリン・トークンだらけの場で油断していたらドン。みたいなこともあるトリッキーなカードも面白そうですよ。
赤もリセット呪文が豊富ですね、白と違ってクリーチャー以外も壊すことが多いので、こちらも多様は禁物?
緑
《新緑の魔力》《マローの魔術師ムルタニ》《生きている蟻塚》
でっかいだけじゃなくて厄介なファッティが魅力的な緑。トークン・カードばかりに構っていられなくなるのは意外と辛い?
トークン・カードをばら撒く大群マジックにおいて、全体強化はナチュラルにコンボってこと?
こういった変り種戦法も楽しそう。
多色
《厳然たるスフィンクス》《新星破のワーム》《大祖始》
反則的な強さを持つクリーチャーばかり、1枚でゲームを動かすカードを何枚デッキに入れるかが大群デッキの面白さの度合いにかわるのでしょうね。
昔は見向きもされなかった根本原理も大群マジックでは悪魔の一枚に。
アーティーファクト
壊せないと酷いことになるアーティーファクト。やはり茶破壊は必須なのか?
《荒廃鋼の巨像》
毒はやばいよ毒は。
《白金の天使》
もし回答策がなくても大群側のクリーチャーは可能な限り攻撃してくるので、頑張ってブロックしよう!
上記のようなカードは沢山いれるとゲームバランスが崩壊してしまう可能性もあるので、デッキに何枚まで入れるのか自分達で制約を作るのもいいですね。
強さのバランスも重要ですが、不確定要素がまだまだ多いフォーマットなのでゲームを複雑にするカードの投入にも気をつけてください。
具体的にいえば、対象の選択はランダムなので《破滅の刃》《石の雨》といったカードは、よほど効果が派手で面白いものでない限りはあんまり入れないほうが、ゲームがスムーズに進みやすくなります。
それともうひとつはライフを参照するカード。
大群側のライフはライブラリの枚数なので、ライフを参照する際に毎回ライブラリの枚数を数えることを許容できるかどうかなのですが、やはりこちらも時間が掛かってしまうので考え物ですね。
そもそもライフという概念がデッキに置き換わっているので、《等価返し》のようなカードがどう機能するのか?
などといった問題も発生してしまうので、カードの一文にライフと書かれていたら注意を!
次にプレイヤーたちについて。
プレイヤーの人数、デッキ
プレイヤー側は最大4人まで大群デッキと対戦することができます。
プレイヤー側の用意するデッキは何に順ずればいいのか、いまいち想像しにくいとは思いますが、大群デッキを作る側の人が、遊びたい人たちが普段どのフォーマットで遊んでいるのかを考えて、それに合わせて構築するのもいいでしょう。
「大群デッキ作ってくるから、討伐側のデッキをみんなで作ってきてよ! フォーマットはモダンね!」
みたいな提案でもいいかもしれません。回数を重ねればハウス・ルールのようなものも形成されていくかもしれませんしね。
筆者が思うお手軽に遊ぶ手段は、週末に開催される大会の空き時間にプレイヤー4人を集めて対戦。
その大会のフォーマットに合わせたカード・プールで大群デッキを作っておけばバランスも良いと思います。
統率者戦のデッキを持ち歩いている友達が多い人は、それに合わせた大群デッキを作って持っていけば、いつもと違う楽しさを味わえるかも!
ただ、プレイヤー側みんなが大群デッキと戦うことを想定してデッキを構築する場合は、役割分担をしてデッキを組むとより面白いかもしれません。
例としてあげると、
勇者
パーティーのリーダー。他のプレイヤーをサポートしたりコンバットを牽引できるようなクリーチャーを展開するパーティーの核。
戦士
相手にダメージを与える担当。クリーチャーを出すことだけを繰り返し、同じように繰り返し殴る。
魔法使い
大群デッキ側のクリーチャーを殲滅したり、パーマネントを壊したり、呪文を打ち消したり、サポート要因。
遊び人
みんなが大群デッキと攻防を繰り広げる中ドロースペルを連打、コンボパーツをひたすら揃えて、最後に美味しいところをもっていく。
このように役割を決めていくと、自分の好きなデッキタイプで挑めたり、普段のプレイスタイルとは違う役割で仲間との戦いを楽しめるでしょう。
このフォーマットは何と、1人でも遊ぶことができるので、遊び人で大群デッキとタイマンをして腕試し、というのも面白いかもしれません。
プレイヤー側のカード選択
やはりプレイヤー側でも重要なのはゲームの進行を複雑にするカードの採用/不採用です。
プレインズウォーカーは強いからデッキに入れたい! というのもわかりますが、13体のゾンビ・トークンが《精神を刻む者、ジェイス》と《ヴェールのリリアナ》とプレイヤーの内の誰かを殴るかランダムで決める作業はめんどくさい!と思うなら、採用はちょっと考えてみましょう!
鉄の意志をもって《精神を刻む者、ジェイス》の最終奥義で勝つ! 俺は《黄金のたてがみのアジャニ》にさよなライオンできない!
というプレイヤーもいると思うので、そういったプレイヤーたちは頑張りましょう!
対大群デッキ用構築において強そうなカードも、ここで何枚か紹介します。
《根気強いハンター》
トークンにすごく強い! 《棘噛みの杖》をつけると無双モードに突入!
《霊気の断絶》
トークンだけ全追放! パーマネントからカウンターを取り除く効果も有効に使えるなら、最高の一枚になるかも?
土地が増えるのはプレイヤー側だけなので安心してみんなで加速できます!
サンプル大群デッキ!
最後にサンプルとして、スタンダードとレガシーの大群デッキを紹介して、締めくくりたいと思います! 手始めとしてどうぞ!
-土地(0)- 3 《信号の邪魔者》 3 《胆液爪のマイア》 2 《ファイレクシアの十字軍》 3 《胆液の鼠》 2 《法務官の手》 1 《化膿獣》 2 《吠える絡みワーム》 2 《ファイレクシアの群れの王》 2 《ファイレクシアのハイドラ》 1 《太陽破の天使》 1 《荒れ野の本質》 1 《シェオルドレッドの刈り取るもの》 1 《ファイレクシアの巨大戦車》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 -クリーチャー(25)- 55 1/1 感染 昆虫 トークン -トークン・カード(55)- |
3 《小悪疫》 2 《石のような静寂》 2 《無形の美徳》 1 《邪悪の排除》 1 《忍び寄る腐食》 2 《似通った生命》 2 《踏み荒らし》 2 《墓への呼び声》 2 《ファイレクシアの愛撫》 1 《ノーンの別館》 1 《前兆の機械》 1 《真実の確信》 -呪文(20)- |
|
このデッキのテーマはずばり「感染」。
地味~にプレイヤーが多ければその分強くなるカードが入っているので、4人でこの大群デッキに勝利できたのなら「大群マイスター」かもしれません!
逆に大群側は最終兵器として《荒廃鋼の巨像》を入れてもいいですね!
お次はレガシーのカードプールを使ったデッキ。
3 《乾燥台地》 1 《踏み鳴らされる地》 1 《血の墓所》 -土地(5)- 2 《白金の天使》 1 《白金の帝像》 -クリーチャー(3)- 55 1/1 接死 狼 トークン -トークン・カード(55)- |
1 《限りある資源》 1 《根の迷路》 1 《エレファント・グラス》 1 《停滞》 1 《魔力の奔流》 1 《抵抗の精神》 1 《独占市場》 1 《硫黄の渦》 1 《抑圧》 1 《Reality Twist》 1 《痛ましい苦境》 1 《プロパガンダ》 1 《亡霊の牢獄》 1 《偉大なるオーラ術》 1 《霧消の場》 1 《獣使いの昇天》 1 《原初の秩序》 1 《無慈悲》 3 《調和ある収斂》 4 《補充》 1 《Nether Void》 1 《Invoke Prejudice》 1 《闇の疑惑》 1 《魔力のとげ》 1 《墓穴までの契約》 1 《ラースの灼熱洞》 1 《黄金化》 1 《オパール色の輝き》 1 《勇壮な戦闘》 1 《熱砂》 1 《特権階級》 1 《混沌の掌握》 1 《Ritual of Subdual》 4 《蔵の開放》 -呪文(42)- |
|
大群マジック版の「補充」!
ダメージを受けるかわりにライブラリーを削る、という大群マジックならではのルールが補充と相性抜群! 後半になればなるほど強力になっていくこのデッキに、プレイヤー側は太刀打ちできるのか!
あ、いや、その《平穏》系だけはマジ勘弁してあげてください・・・。
ということで、今回は大群マジックについてでした。
統率者戦やキューブ・ドラフトといった面白フォーマットは根強い人気を誇るのものもある中で、こういった新しいルールのフォーマットは凄くドキドキしますね!
それではまた別の次元でお会いしましょう!
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