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戦略記事

Beyond the Basics -上級者への道-

ブロールでの統率者を生かしたデッキ構築

Gavin Verhey
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2018年8月23日

 

 マジックのゲームは基本的に、1対1で対戦する。自分自身のリソース(訳注1)として自分のライブラリーからカードを引くことができるが、何が引けるかはわからない。つまり、欲しいものが引けることは保証されていない。多くのデッキは、それを念頭に置いて構築されている。その制約のもとデッキを構築しプレイする、と学んだことだろう。

(訳注1:リソース/資源。ゲームの中で他の要素のために消費・交換できるもの)

 しかし、いくつかのフォーマットはそこに新しい趣向を加えている。

 もしかしたら、ブロールや統率者戦のことを聞いたことがあるかもしれない。これらのフォーマットは、「統率領域」と呼ばれる特別なところに統率者である伝説のカードを置いて開始するゲームで、そこから何度でもそのカードを唱えることが可能だ。

 これは大きな変化だろう。デッキは少し違って見えてくる――それを考慮に入れておくことが重要になるんだ。

 ああ、単に使いたい色の統率者を選ぶだけでも問題ない。デッキの内容を先に考えて、使う色を選んでから、それに合う統率者を見つけるボトムアップ方式でもいい。いいものができるだろう。しかし、先に統率者を選んでからそれを中心にデッキを組むトップダウン構築は、そのフォーマットにおいていい動きをする傾向にある――そうすることで、ブロールでも統率者戦でも最高の瞬間を体験できるだろう。

 これらのフォーマットを遊ぶつもりなら、これまで経験してきたものとは少し違う、ということを伝えておこう。今日は、統率者がデッキ構築にどう影響してくるのか、そして統率者を最大限に活用する方法について話すつもりだ。今回は例としてブロールに焦点を当てていくが、もちろん、統率者戦においても適用できる。

 簡単に説明しておこう。ブロールは、基本土地以外のカードは同じものを1枚ずつしか使用できない60枚のデッキを使う、普段より多いライフで始まるフォーマットだ。そして、伝説のクリーチャーかプレインズウォーカーを自分の統率者とする! ブロールで使用可能なカードは、スタンダードで使用可能なセットの範囲と同じだ。詳しくはこのページを見てくれ。

 準備はいいかな? 始めよう!

コンボを探す

 よし。というわけで、あなたは統率者を選ぶところから始めた。ブロールでは、スタンダードで使用可能な伝説のクリーチャーかプレインズウォーカーが統率者になれる。

 次は?

 そうだな、次にまずすべきことは、その統率者と特に相性のいいカードを探すことだ。完成させるのが難しいコンボやシナジーがあるとしよう。このフォーマットでは、それが特定のカードを1枚引くだけでいいくらい簡単になりうる。すでにその部品のうち1枚は統率者領域にあるのだから!

 時にこれはかなり分かりやすく、《燃えがらの風、エイデリズ》や《練達飛行機械職人、サイ》のようなものからデッキを構築し始める理由となるだろう。

 これらのカードはそれぞれ、ウィザードかアーティファクトを大量に採用するようはっきりと主張している。それに驚くことはないし、おそらく説明も必要ないだろう。

 しかし一部の統率者はもう少し分かりにくい。

 《永遠の造り手、ラシュミ》を例として考えてみよう。

 この強力な――そして私のお気に入りのブロール・デッキのリーダーである――統率者は、出しておくことでそこから大量に利益を得られる。とても強力なカードだ。しかし、カードの選び方に気を使うことで、ラシュミからさらにもう少し価値を引き出すことができる。

 自分のターンにタダでカードがついてくることよりも良いこととは何だろう? 対戦相手のターンにタダでカードがついてくることだ! よく見ると、ラシュミは自分のターンだけでなく、各プレイヤーのターンに1度能力が誘発することがわかるだろう。つまり、インスタントや瞬速持ちのカードと一緒に使うことで、もっとうまくいくということだ。カードを読むだけでわかる明快なボーナスではないが、この要素はそんな感じで私のデッキの成功を助ける。

 というわけで、私はデッキに《送還》、《霊気溶融》、そして《顕在的防御》といったインスタント速度の軽量カードをたくさん採用しているんだ。そうすることで、1マナか2マナ残すだけで対戦相手のターン中に呪文を唱えてカードを引くことができるし、デッキには自分のターンにラシュミで引くための軽量呪文の選択肢が大量にあることにもなる。この2点を繋ぐデッキ構築というわけだ。

 相乗効果のために採用するカードが、相乗効果を持たないカードよりも優れているかどうかを確認しておくことは重要だ――しかしともかく、自身の統率者と合わせてどんな働きができるかを考慮して、通常は用いられないと思われるカードについても調べる価値は十分にある。用いる統率者と相乗効果を発揮する類のカードを理解することは、デッキの水準を高める方法であり、このフォーマットでデッキを構築するときに私が最初に調べることの1つだ。

マナ・カーブの補填

 いつでも統率者を出せるという点について、あまり議論されていないが注目すべきことがある。それは、統率者がデッキのマナ・カーブ(訳注2)を一貫して補填するということだ。

(訳注2:マナ・カーブ/マナ域ごとの枚数をグラフにすることで見える曲線)

 通常のマジックのデッキであれば、ほとんどの場合、2ターン目には呪文を唱えられるようにしておきたいと思うだろう。2マナのクリーチャーを16枚デッキに入れて、それでも2ターン目に何もプレイできないこともある。それがマジックだ。

 ……一部のフォーマットを除いて。

 ブロールでは、統率者が《反復の学部長、ナバン》であれば、毎ゲーム2ターン目にそれを唱えられる。以上だ。

 これはどういうことだろうか?

 ああ、取り組めることの1つは、そのターンにプレイしたいと思うマナ・コストを持つカードを減らすことだ。例えばナバンのデッキであれば、ほとんどの2マナのカードは2ターン目にナバンよりも優先して唱えることはないと思う。しかも2マナ域のカードを採用している分、3マナ域のカードを入れる枠は減ることになる。

 さて、これをあまり極端に受け取らないようにしてほしい。おそらくデッキにはほかにも2マナのクリーチャーが必要になるとは思う。どこかのターンでマナを使い切るために2マナのクリーチャーが欲しい場面もあるだろうし、《マーフォークのペテン師》のようにデッキにとって多くの意味を持つカードが2マナの場合もあるだろう。ただ、統率者と同じマナ域の数を少し調整しよう、という話だ。

 統率者のマナ・コストが高いほど、より多く同じマナ域のカードをそぎ落とすことになるかもしれない。例えば《王神、ニコル・ボーラス》をブロールの統率者にしている場合、おそらく、7マナのカードが欲しい場面はほとんどないだろう。

 なぜかって? 7マナあるならほとんどの場合ボーラスをプレイしたいと思うだろう。戦場に残ればかなりの優位に立てるし、仮に倒されても後でまた出せばいい。

 ゲーム序盤のための軽い呪文が必要な時に、手札に7マナのカードがいくつも来るような危険を避けることができるのも重要な点だ。重い統率者を選ぶことは、それを後で唱えるために脇によけて「保管」しておくのと同じようなもので、そういうものをライブラリーから引いて唱えられないもので手札が詰まる、という問題を回避できるという意味も持つ。

 そして、マナ・コストについて話す上で、さらに重要なことがもう1つある。

全体的なマナの欠乏

 一般的に、ブロールや統率者戦は、マナに貧するフォーマットだ。デッキには派手なカードがいくつか入っていて、多人数戦であればゲームは多少長引くことが多い。そして、パーマネントの起動型能力に多くのマナを費やすためにもマナは欲しいものだろう。

 しかしデッキに追加の土地を入れておきたい理由は、ほかにもある。こういった統率者を何度も出すためだ!

 統率者が死亡したとき、それを統率領域に戻すことができる。そしてそのたびに唱えるためのコストが{2}追加される。これは、ゲームが進行するにつれて、統率者を唱えるためにはさらなるマナが必要になってくるということだ。そして、余っているマナが大量にあれば統率者を戦場へと出すことはいつでもできる。統率者が戦場で盤石の体制を整えていれば、優位は揺るがないだろう。

 というわけで、私は土地やマナを出せるカードをこれまでよりも多くブロール・デッキに入れることが多くなった。多人数フォーマットにおける1回かぎりのフリーマリガンは確かに序盤の土地を確保する助けになるが、私は倒された統率者を再度唱えられることを確実にして、その無限のリソースを繰り返し利用できるようにしておきたいんだ。その増やした土地ばかり引いたとしても、ゲーム後半戦になれば統率者を再び唱えるために用いることができる。私からできる助言は、必要と感じた枚数から、少なくとも1枚以上は多く土地を入れておく、というものだ。私は遅めのブロール・デッキを使うときは、26枚から27枚の土地を入れるようにしている。

リーダーに付き従う

 これらが、統率者を決めることでデッキ構築に変化を加える3つの主要な方法だ。(もちろん、統率者を決めることで色が決まることは除くよ!)これらだけというわけではないが、私はブロールや統率者戦のデッキを構築するときはこういうことを考えている。

 統率者を前提とした構築への挑戦を楽しんでもらえれば幸いだ! 未経験者はブロールや統率者戦のデッキを組むことに興味を持っただろうか? そうであればあなたは、体験する前から、伝説のカードを選んだ後に何を探せばよいのかという知識をすでに身につけていることになる。

 何か考えや感想はあるかな? 気軽に伝えてくれ! いつでもTwitterTumblrでメッセージを送ってくれてもいいし、BeyondBasicsMagic@Gmail.comにメールしてくれてもいいよ。

 ブロールや統率者戦を楽しもうじゃないか。また会おう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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