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戦略記事

Beyond the Basics -上級者への道-

実践土地管理・基礎編

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実践土地管理・基礎編

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2017年9月28日

 

 マジック・プレイヤーであるあなたは、今までにプレイした土地の数を覚えているだろうか?

 何百枚? 何千枚? 数千枚を数百回ほど?

 おそらく数え切れないほどの土地をプレイしてきたはずだ。

 では別の質問をしてみよう。土地のプレイを失敗したせいでコストが払えなかった回数は、何回くらいあるだろう?

 おそらく土地をプレイした総数に比べれば、はるかに少ないはずだ......それでも私はその失敗を覚えていると思う。ゲームに勝つために必要だったマナが1つ足りなかったり、クリーチャーをよい流れで展開するための色マナが少なかったりしたときのことをね。どうにも忘れがたいものだ。

 マジックをしばらくプレイしていると、土地を置くことは無意識的に行うようになる。アンタップ、アップキープ、ドロー、そして戦場に土地を置く、という行為が終われば、メイン・フェイズなんだと認識する。

 ところが、土地のプレイは極めて重要なことで、反射的に行っていいものではないんだ。

 これらの無意識な動きを、最大限意識的、かつ注意深い動きへと変更することで大きな違いを生むことができる。可能な限り適切に土地を――マジックが提供してくれる貴重な不動産を――用いたいところだ。

 今日はこれについて調べていこう!

マナの最大化

 どの土地をプレイするべきか考えるためには、こう自問すればよい。「このターンにプレイしたいものをあきらめることなく、先のターンで最大限にマナを利用するためには、どうすればいいだろうか?」

 タップ状態で戦場に出る土地や特殊な能力を持った土地がある環境では、これはとても重要なことだ。この質問だけが土地の置き方を決めるわけではないが、たいていの場合は正しい方向性を導き出してくれるだろう。

 例えば、最初に置く土地の選択肢がこの2枚だとする。

 1ターン目にプレイする呪文が無いのであれば、絶対に《水没した骨塚》を置くべきだ。このターンに《》を使う予定が無いならば、意味もなく次のターンに使えるマナを減らしたくはないだろう。(はったりをかませるという可能性を除けば、それに価値があるとは思えない。)

 これはとても単純ではあるが、ここで何を言いたいのかを示すにはよい例だ。

 もう少し込みいった例も見てみよう。モダンで黒赤緑のデッキをプレイしているところを想像してくれ。1ターン目にプレイする呪文は無い。手札の土地は以下の通りだ。

 どの土地を最初にプレイすればいいだろうか?

 少し時間を使って考えてみよう。

 《ファイレクシアの抹消者》のような、尋常でないマナ・コストが要求されるカードはデッキに入っていないと仮定しよう。そうならば、私は1ターン目に《血の墓所》をタップ状態でプレイするだろう。

 なぜだろうか?

 そうだな、《血の墓所》は状況によってタップ状態で出すか、2点のライフを支払うかを選ぶことになる――そして2点のライフを失うことがないよう、今のうちに出してしまおう、というわけだ。他の土地であれば、次ターンにもっと少ない負担で、かつアンタップ状態で戦場に出すことができる。

 2ターン目にプレイする土地は多少デッキの内容や状況に左右される。ともあれ、2ターン目にもプレイする呪文が存在せず、タップ状態で出てくる特定の2色土地を持ってきたい、という状況にあれば《樹木茂る山麓》をプレイしてそれを探す。それ以外の状況では、《銅線の地溝》のほうをプレイする。

 なぜ《銅線の地溝》を優先したいのだろうか? 序盤にしかアンタップ状態で出せないこの土地を、さらに引いたときのことを考えてみよう。土地を3枚並べるまでに、どちらもアンタップ状態で出したいだろう?

 先のターンでマナを最大限に利用できるように土地をプレイする、ということを考えるとき、そこには驚くほど考慮すべき点がある――沸き起こる乱闘の中へと呪文を唱えるためにカードを使い始める、その前ですらだ!

 呪文を唱えることについて言えば......

唱える時の問題

 ここで扱うのは、幾度となく体験する、よくある状況についてだ。

 初手をマリガンして、土地が2枚ある6枚の手札でキープした。占術の結果は土地ではなかったのでライブラリーの一番下に送る。手札のうち今関係があるのは、《》、《栄光の砂漠》、《ただれたミイラ》、《ケンラの永遠衆》の4枚だ。

 これはジレンマを引き起こす。1ターン目に1マナ域をプレイして、次のターンにアンタップで置ける土地を引くことを期待しつつ、引けなければ3ターン目に2マナ域をプレイするかもしれないことを許容するか? それとも1ターン目にタップ状態で出る土地を置いて、1マナ域のプレイをあきらめるか? どちらかを選ばなければならない。

 まあ、他の多くがそうであるように、答えは状況に依存する。

 ここで2マナ域と比較する1マナ域は、どれほどの強さを持っているものだろうか? 例えば1マナ域が《戦慄の放浪者》であったならば、私は基本的にはそれを1ターン目に唱えるだろう。この条件になれば1マナ域も2マナ域もパワーは2だ。次のターンにアンタップで出せる土地を引ければ最高だし、引けなくとも戦場にはパワー2のクリーチャーがすでにいて、攻撃させることができる。

 同じく、2マナ域はどれほど強いだろうか? 本当に強力な2ターン目の動きができるのであれば、それを確実に行えるようにしたいだろう。

 デッキには何枚の土地があるだろうか? 土地が多めであれば、次のターンに土地を引く可能性は高いかもしれない。

 どのような結果が見込めるだろうか? 1マナ域も2マナ域もパワーが1で、最初の2ターンでどちらかが出せておそらく攻撃もできるなら、1ターン目に1マナ域を出すことでより多くのダメージを与えられるだろう。

 この例の場合、私はタップ状態で出る土地のほうをプレイするだろう。しかし状況によっては別の行動を取るかもしれない――いずれにせよ、何も考えずにそうするのではなく、考えたうえで選択することが重要だ。

色の問題

 《》と《平地》のどちらを最初にプレイするべきだろうか?

 ああ、それはデッキに《白騎士》や《黒騎士》が入っているかどうかに依存する!

 《平地》をプレイしてコストが{B}{B}のカードを引いてしまうのは絶対に嫌だし、その逆もしかりだろう。序盤に必要とする色が何かを認識しておくことは、初期の土地のプレイをどうするか決めるためには重要なことだ。

 私がドラフトやデッキ構築を行うときは常に、(その場で把握できた分は)要求されるマナについて気を配るようにしている。序盤の土地の置き方から対戦相手に手札破壊呪文を撃たれたときに至るまで、その気配りがゲーム全体で役に立つからだ。

 これは同様に、起動型能力に必要なマナが十分確保できるかどうかにも影響してくる。仮に、デッキに《墓所の切り裂き魔》のようなカードが入っているのであれば、置けるときには《》を優先したいと思うだろう。

出し惜しむ

 もちろん、これらの考えにはいくつかの例外が存在する。机上の計算では正しいとされることを押しのける、他の要因が存在することもままあるんだ。

 大きな要因の1つが、情報の隠蔽だ。こちらが青赤のコントロールを使っていると対戦相手が知らない場合、もしかしたらこちらをアグレッシブな赤のデッキだと誤認させるために《》を優先することがあるかもしれない。

 特別な能力を持つ土地は、温存する価値があるかもしれない。例えば《不毛の大地》を手札に残して、相手が基本でない土地を出してくるのを待つ、というのは素晴らしい結果につながるだろう。《渦まく知識》を利用するために、ライブラリーをシャッフルできるフェッチランドを手札に残したり、出して使わずに取っておく、ということもできる。

 『アモンケット』や『破滅の刻』では、手札に土地が何枚もある場合、タップ状態で出る土地だからといってサイクリング土地を先には出さないほうがよい、ということもある。何ターンか先になってから、サイクリングしたいという状況になるかもしれないからだ。

 それからもちろん、対戦相手のカードからの影響も考えられる。相手のデッキに《血染めの月》が入っているなら、一生懸命出した土地がすべて《》になってしまうのを避けるため、基本土地を優先するだろう!

 あらゆる角度から検討することが重要となる。

着地点

 土地は無害な存在のように思える――しかし実際は私たちのゲームを構築する重要なパーツなんだ! これ無しでは呪文を唱えられないし、慎重かつ適切に扱うことが勝利の鍵となることもあるだろう。

 うまくいけば今、あなたはそのためのより良い知識を身に着けたはずだ。

 疑問やさらなる見解などはお持ちかな? ぜひとも聞かせてほしい! TwitterTumblrで気軽に話しかけてくれてもいいし、BeyondBasicsMagic@Gmail.comに(済まないが英語で)メールしてくれても大丈夫だ。読者からの感想が聞けるならいつだって大歓迎さ!

 また来週の「Beyond the Basics -上級者への道-」で会おう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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