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プロツアー『指輪物語』
プロツアー・指輪物語 2日目の注目の出来事
2023年7月29日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
プロツアー・指輪物語への参加権利を手にした250名以上のプレイヤーをもって、私たちは今シーズン最大級の戦場を楽しみにスペインへと足を運んだ。リミテッドとモダンにおける『指輪物語:中つ国の伝承』のプレミアとして完璧な舞台であり、2日間の大会中にその期待が裏切られることはなかった。
プロツアー2日目の戦いは前評判に違わぬものになった。ドラフト3回戦、モダン5回戦の計8回戦が行われ、サイモン・ニールセン/Simon Nielsonは残る全プレイヤーを振り返る立場で金曜日を後にした。コペンハーゲン出身の彼は土曜日も勢いを落とさず好調なスタートを切り、12勝0敗という完璧な成績を残した。
ニールセンはスイスラウンドを無敗で駆け抜けることはできなかったが、チーム「Handshake」のチームメイトであるハビエル・ドミンゲス/ Javier Dominguezのすぐ後で悠々とトップ8へと進出した。彼らも巻き込まれたタイブレーカーによる順位の問題も絡み混沌とした最終ラウンドが展開された。そして、この大騒ぎが収まった時、バルセロナのトップ8が決定した。
- サイモン・ニールセン(緑単トロン)
- ジェイク・ビアズリー/Jake Beardsley(ラクドス想起)
- クリスティアン・カルカノ/Christian Calcano(緑単トロン)
- ハビエル・ドミンゲス(緑単トロン)
- マルコ・デル・ピーヴォ/Marco Del Pivo(カスケード・クラッシュ)
- ステファノ・ヴィンチ/Stefano Vinci(カスケード・クラッシュ)
- カイ・ブッディ/Kai Budde(カスケード・クラッシュ)
- ドミニク・ハーヴィー/Dominic Harvey(アミュレット・タイタン)
これら上位進出者のデッキリストを見ながら、ここまでの道のりを見ていこう。
ニールセンの先導
誰もが注目していたのは、歴史的な快進撃をもって本トーナメントに突入した現世界王者のネイサン・ストイア/Nathan Steuerだった。ストイアは土曜日の開始時は堅調な6勝2敗という成績だったが、話題をさらったのはニールセンだった。神河チャンピオンシップのジム・デイヴィス/Jim Davis以来スイスラウンドを無敗で通過した選手はいなかった(デイヴィスは12勝0敗でトップ8を確定させた。そして、殿堂顕彰者ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasは2013年のプロツアー・サンディエゴでの16勝0敗の記録は有名である)。
しかし、再度『指輪物語:中つ国の伝承』のドラフトで完璧な記録をたたき出し、モダンでも連勝を収め成績を12勝0敗とし、他のプレイヤーが全員2敗以上を喫した時に、ニールセンはその快挙を視界に収めた。全勝の継続はそこで途切れたが(トップ8確定には13勝が必要だった)ニールセンが連続でのトップフィニッシュ(プロツアー相当イベントでの決勝ラウンド進出)を手にするのには十分な働きだった。このトップ8は、このデンマーク人が見せた新たな驚くべきパフォーマンスとなった。今年前半のプロツアー・機械兵団の進軍では日曜日に進出という成績を残しており、今回、過去14ヵ月間でキャリア3回目のトップフィニッシュとなった。
昨年のニューカペナ・チャンピオンシップ準優勝の成績から、彼は次のステップに進もうとしている。そのためには、マジックのレジェンドであるハビエル・ドミンゲスとカイ・ブッディが控えるトップ8を戦い抜かなければならない。
Congratulations to @JavierDmagic, the first player to lock up a Top 8 spot at #PTLOTR! pic.twitter.com/rsU5NFWOuy
— PlayMTG (@PlayMTG) July 29, 2023
おめでとう、@JavierDmagic。#PTLOTRのトップ8を最初に確定させたプレイヤーだ!
ブッディの帰還
「30年経っても、まだこんなに緊張するなんで信じられないよ」
上記が、30年目のプロツアートップ8が現実味を帯びてきた際にカイ・ブッディが発した言葉だ。「ジャーマン・ジャガーノート」の名前はここ数ヵ月の間、定期的に引き合いに出されてきた。というのも、マジック界はこのゲームが持つ30年の歴史の中で、最高レベルの快進撃を展開するのを見てきたからだ。
まるで自分の記録への挑戦に奮い起こされるかのように、ブッディは2001年のプロツアーで優勝を果たしたバルセロナへと戻ってきた。2001年のバルセロナでの勝利から22年以上が経過し、彼は上位卓へと舞い戻り、プロツアーで底力を見せつけファンを喜ばせた。
「カスケード・クラッシュ」をプレイし、《断片無き工作員》と 《暴力的な突発》の続唱の力に頼りながら、ブッディはかつてほどイベントに参加しているわけではないが、「カイは日曜日に負けない」というキャッチフレーズを持つ男であることを示した。
What a stacked Top8!!! #MCBarcelona pic.twitter.com/gsgsdknu6w
— Andrea Mengucci (@Mengu09) July 29, 2023
なんて濃いトップ8なんだ!!#MCBarcelona
『指輪物語』ドラフト全勝者たち
プロツアーのトップ8は第16回戦まで確定しないが、両日の開幕を飾るドラフトラウンドこそが日曜日に到達する慣例の秘訣となっている。プレイヤーたちとチームは慣例的にドラフトで強みを手にしており、通常はリミテッドラウンドでの高パフォーマンスが日曜日への軌跡に繋がる。
金曜日と土曜日のドラフトでは、7名の各プレイヤーが7勝0敗の全勝を記録し、そのうちふたりが日曜日のトーナメントラウンドに滑り込んだ。
- ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassif
- サイモン・ニールセン
- ショーン・ゴダード/Sean Goddard
- 岡村 眞怜
- 井上 徹
- ティン・ミハエル・ケイパー/Tin Mihael Capar
- ステファノ・ヴィンチ/Stefano Vinci
An astounding 7 players went 6-0 in draft at #PTLOTR! Congratulations to:
— PlayMTG (@PlayMTG) July 29, 2023
Simon Nielsen - WB, BG
Marei Okamura - WB x2
Gabriel Nassif - UR, UB
Toru Inoue - 4-Color, BR
Stephano Vinci - Grixis, Esper
Tin Mihael Capar - 4-Color, Grixis
Sean Goddard - UR x2
驚異的な7名のプレイヤーが #PTLOTRで7勝0敗を達成!以下のプレイヤーたちに祝福を!
サイモン・ニールセン-白黒、黒緑
岡村 眞怜-白黒×2
ガブリエル・ナシフ-青赤、青黒
井上 徹-4色、黒赤
ステファノ・ヴィンチ-グリクシス、エスパー
ティン・ミハエル・ケイパー-4色、グリクシス
ショーン・ゴダード-青赤×2
プレイヤーたちによる前評判が大きく反映された結果となった。指輪物語:中つ国の伝承』においては黒と赤が最高の色だ『、というものだ。両色の主要な除去はナシフの《湯浴み歌》によってデッキ内最高のカードたちを再利用するロック・コントロールデッキを含む会場の3勝デッキの大多数を支えた。
カーンがモダンにて解放される
「トロン」が帰ってきた。いや、いなくなった訳ではないのだが、前回のプロツアー・バルセロナでトラルフ・セヴラン/Thoralf Severinの手によって優勝を果たしてから4年。このデッキは《一つの指輪》のおかげで再燃した人気を満喫している。この強力なアーティファクトがアーティファクト満載のデッキに加わったのだ。つまり、1+1は依然として7なのだ。
BLAST FROM THE PAST! 12-1 @MrChecklistcard's Mono-Green Tron main deck today is 39/60 (65%) of commentator @CedricAPhillips RG Tron main deck from 2013!
— PlayMTG (@PlayMTG) July 29, 2023
Thanks to @karsten_frank for the data! pic.twitter.com/zEguLV3Yd7
懐かしい!12勝1敗の@MrChecklistcardによる緑単トロンの本日のメインデッキは、60枚中39枚(65%)が解説者の @CedricAPhillipsが2013年に使用した赤緑トロンのものだ!
2 《ウルザの物語》 3 《森》 4 《ウルザの鉱山》 4 《ウルザの魔力炉》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 4 《ウルザの塔》 -土地(18)- 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 2 《ワームとぐろエンジン》 1 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(5)- |
1 《解放された者、カーン》 4 《大いなる創造者、カーン》 3 《森の占術》 4 《古きものの活性》 3 《四肢切断》 1 《歪める嘆き》 4 《一つの指輪》 4 《忘却石》 1 《反発のタリスマン》 3 《大祖始の遺産》 4 《探検の地図》 1 《彩色の星》 4 《彩色の宝球》 -呪文(37)- |
1 《隔離するタイタン》 1 《街並みの地ならし屋》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《ファイレクシアの変形者》 2 《機能不全ダニ》 1 《歩行バリスタ》 1 《罠の橋》 1 《石の脳》 1 《液鋼の塗膜》 1 《真髄の針》 1 《墓掘りの檻》 1 《虚空の杯》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《トーモッドの墓所》 -サイドボード(15)- |
古いものは新たに生まれ変わる。例を挙げれば、悪名高き「3ターン目、カーン」は10年以上にわたってトロンが展開してきた脅威だ。だが、プロツアー・指輪物語において問題になっているのは《大いなる創造者、カーン》であり、従来の《解放された者、カーン》ではない。このカードはデッキ構成がカーンの「ウィッシュ・ボード」を中心に設定されているため、選外に降格している。
2023年において、トロンはランプデッキというよりはある種コントロールデッキのような振る舞いを見せる。カーンによりもたらされた柔軟性と《一つの指輪》の圧倒的なカードパワーが、トロンを実にユニークな、しかしどこか懐かしいものにしている。
今週末の他の勝ち組は、《オークの弓使い》擁する「ラクドス想起」だ。《悲嘆》《激情》、そして《フェイン・デス》という骨格はモダンの定番の戦略であり、《一つの指輪》を積極的に対処することができるため、週末においてアンチ指輪の選択肢となった。
もうひとつ、この週末強さを見せつけたもうひとつの優勝候補が「アミュレット・タイタン」だ。そのマナの爆発がドミニク・ハーヴェイ/ Dominic Harveyをトップ8へと送り出した。
展望
さあ、続くはトップ8だ。ブッディが優勝候補に挙げられることは間違いない。つまるところカイは日曜日に負けないのだ(負けたことはあるが、それをあてにすることはできないだろう)。彼は残るトップ8のタフな面々と相対することになるのだ。3回目のトップ8で初のタイトルを狙うニールセン。そしてチームメイトのニールセン同様、連続で快進撃を見せている2018年世界王者のハビエル・ドミンゲスがいるのだ。
3つの「緑単トロン」が3つの「カスケード・クラッシュ」とにらみ合い、それに「アミュレット・タイタン」に乗るドミニク・ハーヴィーと、「ラクドス想起」を駆るジェイク・ビアズリーが加わり、トップ8はモダンの古典的なアーキタイプと最新のアーキタイプの両方に彩られることは間違いない。
幸運にも一部始終を観戦することができる。放送は中央ヨーロッパ時間午前10時/米国東部標準時間午前4時/日本時間午後5時から開始予定だ。一挙手一投足をtwitch.tv/magic(日本では公式YouTubeチャンネル)で目撃しよう!
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