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プロツアー『タルキール龍紀伝』

観戦記事

第4回戦:糸谷 哲郎(日本) vs. Thiago Saporito(ブラジル)

By Naoaki Umesaki

2015年4月10日

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 ブリュッセル(ベルギー)で開催されているプロツアー『タルキール龍紀伝』1日目も、後半のスタンダード・ラウンドに突入した。

 特別招待で参戦している糸谷竜王がスタンダードで選択したのは、オリジナル制作の『マルドゥ・コントロール』。
 序盤・中盤を上手くコントロールした上で、最終的にはプレインズウォーカーや《前哨地の包囲》のアドバンテージ、《魂火の大導師》の呪文バイバックモードなどで圧倒的な場を作り出して勝つイメージだという。

 新エキスパンション『タルキール龍紀伝』の《コラガンの命令》をキーカードに挙げており、序盤は除去カードとして。中盤・終盤は手札破壊やクリーチャー回収、そして《魂火の大導師》が持つ呪文バイバック能力との相性も抜群と、多彩な役割を1枚でこなす点を際立たせるデッキ構築となっている。新エキスパンションのカードを積極的に取り入れている糸谷竜王のデッキは非常に興味深いところだ。

 対するティアゴ・サポリート/Thiago Saporitoは、昨年10月にホノルルで開催されたプロツアー『タルキール覇王譚』でトップ8入賞を果たしているブラジルの強豪で、本大会のスタンダードでは『ジェスカイ・アグロ』を使用している。

 糸谷竜王がホノルルで行われた第27期竜王戦七番勝負の第1局目を勝利したその1週間後、サポリートは同じくホノルルでトップ8入賞を決めている。
 不思議な縁も感じるこの対戦、どうなるだろうか。

ゲーム1

 ダイスロールの結果、先攻はサポリート。
 後攻の糸谷竜王は1、2ターン目と占術土地をセットしてドローを整えた後、3ターン目に《はじける破滅》でサポリートが展開した《道の探求者》を除去する立ち上がり。

 手札に恵まれないのか思うような動きができないサポリートに対して、糸谷竜王は4ターン目に《前哨地の包囲》を「カン」で置いて早くも有利な戦場を作り上げる。
 サポリートも何とか後続のクリーチャーを引いて展開するのだが、糸谷竜王の《前哨地の包囲》が《究極の価格》をもたらし、反撃に転じることは許されない。

 一方の糸谷竜王は、《前哨地の包囲》の支援を受けて《コラガンの命令》《道の探求者》《魂火の大導師》《僧院の導師》と順調に呪文をプレイしていく。

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 中盤戦を抜け、状況はハッキリと糸谷竜王の有利。
 サポリートは《時を越えた探索》でカードを補充して《乱撃斬》《雷破の執政》と最後の抵抗を見せるが、糸谷竜王の《前哨地の包囲》で《はじける破滅》が公開されると、すみやかに投了を宣言した。

Itodani 1-0 Saporito

ゲーム2

 糸谷竜王の初動は、サイドインした《強迫》。

サポリートの手札

 糸谷竜王はこの中から《龍詞の咆哮》を捨てさせるが、サポリートの手札から繰り出される《カマキリの乗り手》の連打が速攻でダメージを刻んでいく。

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 1枚目の《カマキリの乗り手》は《異端の輝き》で除去。《僧院の導師》を出してからの《思考囲い》でトークンを出しつつ《稲妻の一撃》を手札破壊と糸谷竜王も抵抗しているのだが、サポリートの勢いを完全に止めきることはできない。
 《思考囲い》の返しのターンには3枚目となる《カマキリの乗り手》をトップデッキされ、このアタックで糸谷竜王のライフは6まで追い詰められる。

 何もなければ次のターンに2体の《カマキリの乗り手》アタックで負けという状況に追い込まれた糸谷竜王、《乱撃斬》と《コラガンの命令》の合わせ技で《カマキリの乗り手》1体を除去して耐えると、サポリートもたまらず《神々の憤怒》で戦場を1回リセットする。

 流れが変わるかもしれないとも思われた状況、糸谷竜王は《見えざるものの熟達》から《前哨地の包囲》と展開して反撃に転じるのだが、サポリートはドローを確認すると残るライフが3の糸谷竜王に対して《稲妻の一撃》を公開。

 サポリートが素早い攻勢を活かしての勝利となった。

Itodani 1-1 Saporito

ゲーム3

 再び先攻となった糸谷竜王の初動は、2ターン目の《思考囲い》。

サポリートの手札

 この中から《軽蔑的な一撃》を抜くと、土地セットからの《強迫》で2枚目の《軽蔑的な一撃》も抜き去る。

 3ターン目にサポリートの手札から先ほど確認していない《カマキリの乗り手》が登場して嫌な空気が漂うも、糸谷竜王は冷静に《神々の憤怒》でこれを除去。相手に流れは渡さない。

 《消去》2枚が手札で腐っているサポリートが何もアクションを起こせないままターンを返す中、糸谷竜王は《魂火の大導師》を出してダメージクロックを刻み始める。

 ようやく5マナを揃えたサポリートが《龍王オジュタイ》を展開するころには糸谷竜王も用意が整っており、2枚目の《魂火の大導師》を追加した上で《はじける破滅》で《龍王オジュタイ》を除去。
 さらには《太陽の勇者、エルズペス》を出して、盤面を決定的なものとする。

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 1回は《神々の憤怒》で場をリセットするサポリートだったが、これは延命しているだけ。トークン製造を続ける《太陽の勇者、エルズペス》に対処することが出来ず、間もなく糸谷竜王に手を差し伸べた。

Itodani 2-1 Saporito
糸谷竜王 Win!

 ドラフト・ラウンドでは思うような結果が残せなかった糸谷竜王だが、スタンダード・ラウンドでの巻き返しに向けて幸先の良い初戦勝利となった。

 インターネット上ですぐに有力デッキレシピが出回ってしまう昨今、自身で考えたオリジナルデッキでのプロツアー参戦。そして世界的強豪プレイヤーを相手に勝利したということは非常に大きな価値があるだろう。

 この先のラウンドも、糸谷竜王の快進撃に期待したい。

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RESULTS

対戦結果 順位
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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