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プロツアー『タルキール龍紀伝』

観戦記事

第4回戦:三原 槙仁(日本) vs. Shaun McLaren(カナダ)

矢吹 哲也
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Craig Jones / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年4月10日


ショーン・マクラーレン/Shaun McLaren(世界ランキング6位/アブザン・コントロール) vs. 三原 槙仁(緑信心)

※デッキリストの掲載はスイス・ラウンド終了後の予定です。

 現在世界ランキング6位のショーン・マクラーレンは、昨年のプロツアー『神々の軍勢』優勝から最近のプロツアー『タルキール覇王譚』準優勝と、およそ1年にわたって快進撃を続けている。今回、彼はいつも携えていたジェスカイ・カラーを選ばず、「アブザン・コントロール」デッキの手綱を握っている。

 対するは、殿堂顕彰者・三原 槙仁。彼は世界選手権2006で《ドラゴンの嵐》デッキを駆使して優勝し、一躍マジック・シーンの中心に躍り出た人物だ。だが驚くことに、今回彼が使うデッキにドラゴンはいない。彼は再び《ニクスの祭殿、ニクソス》を用い、より強力になった緑の呪文の数々を繰り出すことにしたのだ。

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世界ランキング6位のショーン・マクラーレンが、フェア・デッキを手に「殿堂顕彰者」三原 槙仁と正面からぶつかる。三原のデッキは《ニクスの祭殿、ニクソス》から「アンフェア」なことを引き起こすものだ。

ゲーム展開

 ダイス・ロールに勝った三原が先手を選ぶ。両者とも初手をキープしてゲームが始まった。

 動き出しは三原。《森の女人像》でマナを加速し、《世界を喰らう者、ポルクラノス》へ繋げる。そこへマクラーレンの《英雄の破滅》が差し向けられると、続く三原のターンに動きはなかった。これでマクラーレンは、《骨読み》で手札を整えるチャンスを得る。

 しかし、このゲームの彼のチャンスはそれっきりだった。三原のデッキは、純粋なまでに凶暴な力でマクラーレンを圧倒したのだ。

 5マナあっても動きを見せなかった三原だが、6マナに達したそのとき、彼は《書かれざるものの視認》を放つ。ライブラリーの一番上には《女王スズメバチ》があり、それは4体の好戦的な仲間を引き連れ戦場に降り立った。続くターンには再び土地を置き、今度は手札から2枚目の《女王スズメバチ》を繰り出したのだった。

 三原の攻勢はこれで終わらない。彼の戦場には《ニクスの祭殿、ニクソス》があり、緑の「信心」も十分にある。彼は《破滅喚起の巨人》をプレイし、続けて「獰猛」を達成した《書かれざるものの視認》から《世界を喰らう者、ポルクラノス》と《旅するサテュロス》を戦場に繰り出した。

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三原のデッキが引き起こす事態は、「かわいい」では済まされない。

 それでマクラーレンが負けを認めるには十分だった。両者はサイドボーディングに入る。

 先ほどのゲームは、「フェア」なデッキを使う側が「アンフェア」な動きに圧倒されるという典型例であった。

 では、接死と飛行を持つ恐怖の軍勢を一気に繰り出せる「アンフェア」なデッキがあるにも関わらず、「フェア」なデッキを使うのはなぜだろうか?

 その答えは、「一貫性」と「安定性」だ。たしかに、力を一点に集中したデッキは対戦相手を叩き潰すような強力な動きを持っている。しかし同時に、笑うしかないほど酷い引きになる可能性もあるのだ。「フェア」なデッキを使う側のプレイヤーがすべきなのは、できる限り「アンフェア」なデッキが自滅する方向に進めてやることだ。

 2ゲーム目では、マクラーレンが三原のマナを執拗に攻めることで、これを成し遂げたのだった。

 マクラーレンは、それで除去できるのが《エルフの神秘家》1体だけにも関わらず、3ターン目に《悲哀まみれ》を唱えた。だがこれで三原のデッキはスピードを落とすことになり、マクラーレンは《アブザンの魔除け》と《骨読み》で手札を強化する時間を稼ぐことができた。

 マクラーレンの放つ《強迫》が、三原が動けない理由を暴いた。土地が3枚で止まっている彼の手札は、4マナ以上のカードばかりだったのだ。

 その後《クルフィックスの狩猟者》を引き込んだ三原だが、デッキの一番上は《エルフの神秘家》であり、その「土地でないマナ源」はこの場ですぐには役に立たなかった。次のカードも《世界を喰らう者、ポルクラノス》で、土地をめくることができない。マクラーレンは《対立の終結》を放ち、《クルフィックスの狩猟者》とプレイされたばかりの《エルフの神秘家》を流した。三原の生み出せるマナを3マナに留める。

 2枚目の《クルフィックスの狩猟者》がまたしても「土地でないマナ源」を公開すると、三原は笑うしかなかった。今度は《森の女人像》だ。この時点でマクラーレンのもとには《太陽の勇者、エルズペス》があり、兵士の軍勢を築いていた。戦況は大差で三原が不利だった。

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ここ2年間で2度のプロツアー・トップ8入賞を果たしているマクラーレン。この大舞台でも抜け目なく対戦相手を縛り付ける。

 2枚目の《対立の終結》が再び三原を押し留め、やがて《太陽の勇者、エルズペス》の最終奥義がゲームを終わらせたのだった。

 ライブラリーの一番上から土地が一切めくれなければ、《クルフィックスの狩猟者》も大したことがないというわけだ。

 だが3ゲーム目は、三原がゲームの主導権を握った。先手は大きなアドバンテージになったのだ。

 もちろん、不安になる瞬間はあった。マクラーレンが2ターン目に《強迫》をプレイすると、三原の手札には土地がなく、4マナ以上の呪文で溢れていたのだ。

 だが今度は幸運に恵まれ、三原のライブラリーの一番上は土地だった。2ターン目に《旅するサテュロス》をプレイしていたため、3ターン目に《世界を喰らう者、ポルクラノス》を戦場に投下することに成功した。三原は続けて《開花の幻霊》をプレイし、さらなる土地を引き込む。

 ドローに関して1ターン分の遅れをとったマクラーレンだが、アドバンテージを取り返すことができない。《悲哀まみれ》で《旅するサテュロス》と《開花の幻霊》に対処するものの、その直後に《世界を目覚めさせる者、ニッサ》が現れ、戦線に4/4の土地を投入していった。

 マクラーレンはしばらく考えたのちに、《クルフィックスの狩猟者》を展開した。恐らく、《対立の終結》に必要な5つ目の土地を狙ってのことだろう。だが、三原の盤面には十分過ぎるほどの脅威があった。《世界を喰らう者、ポルクラノス》と4/4の土地2体で攻撃を加えるとマクラーレンの残りライフは3点まで落ち込み、続く《エレボスの鞭》が彼に追い討ちをかけた。マクラーレンは全体除去で盤面を流す必要があるのだが、そうすると今度は、《エレボスの鞭》の能力で《世界を喰らう者、ポルクラノス》を戦場に戻されれば守る手立てがない。彼に残された選択肢は、右手を差し出すだけだった。

三原 2-1 マクラーレン
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