EVENT COVERAGE

プロツアー『ドミナリア』

トピック

プロツアー『ドミナリア』注目の出来事

authorpic_EventCoverageStaff.jpg

2018年6月3日

 

 リッチモンドの熱気の中で迎えた燃え盛るほど熱い週末は、高速のトップ8とさらに超高速の決勝戦を経て多くの驚きをもたらしてくれました。旋風のように駆け抜けた記録に残る週末を、アダム・スタイボロスキー/Adam Styborski、トビー・ヘンケ/Tobi Henke、メーガン・ウォルフ/Meghan Wolff、ブレイク・ラスムッセン/Blake Rasmussenとともに振り返り、バージニア州で行われた3日間の戦いで紡がれた驚くべき物語を見ていきましょう。

さまざまな形の《ゴブリンの鎖回し

 今大会では準々決勝を戦う8人のうち7人が《ゴブリンの鎖回し》を使いましたが、どれも同じデッキではなく、さまざまな形が見受けられました。とりわけ、瀧村 和幸選手が持ち込んだものは他と一線を画します。かつての「ビッグ・レッド」を彷彿とさせる彼のデッキには黒が濃くタッチされており、メインから《ヴラスカの侮辱》も採用されています。

 一方、その対極に位置するのが、ワイアット・ダービー/Wyatt Darby選手の「赤単アグロ」です。こちらは7枚もの1マナ域と6枚の2マナ域を採用した、極めてアグレッシブな構成となっており、瀧村選手のデッキと同じものと見なすことはできないでしょう。他にも、赤のデッキに少しだけ黒をタッチして《屑鉄場のたかり屋》とサイドボードにいくつか黒のカードを採用し「赤黒アグロ」寄りにしたものもあります。殿堂顕彰者マーティン・ジュザ/Martin Jůza選手は、金曜日に「《ボーマットの急使》が復権することを見られる」と予言しましたが、この素早い構築物がトップ8に23枚もの採用数を誇ったのを見るに、彼の予言は当たっているようです。

2017-2018年シーズン「ドラフト・マスター」はエリアス・ワッツフェルト/Elias Watsfeldt選手に

 次回の「マジック25周年記念プロツアー」がチーム戦で行われるため、2017-2018年シーズンの「ドラフト・マスター」および「構築マスター」を目指すプレイヤーたちにとって、今大会がポイントを稼ぐ最後のチャンスでした。

 「ドラフト・マスター」の座を獲得したのは、スウェーデンのエリアス・ワッツフェルト選手です。彼はプロツアー『ドミナリア』を含む3回のプロツアーにおけるドラフト部門で通算16勝1敗1分けという目覚ましい結果を残し、2位を大きく離してタイトルを獲得しました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

watsfeldt.jpg
2017-2018年シーズン「ドラフト・マスター」:エリアス・ワッツフェルト選手

2017-2018年シーズン「構築マスター」はマシュー・セヴェラ/Matthew Severa選手に

 一方、2017-2018年シーズンの構築マスター・レースは接戦でした。今大会2日目の構築ラウンド中に首位が3回も入れ替わり、レースは最終ラウンドまでもつれこみました! チーム「MetaGame Gurus Sun」のマシュー・セヴェラ選手がチーム「MetaGame Gurus Moon」のジョン・ロルフ/John Rolf選手の戴冠を食い止める熾烈なレースの模様を、ぜひ記事でお楽しみください。

severa2.jpg
2017-2018年シーズン「構築マスター」:マシュー・セヴェラ選手

チームシリーズにおける大活躍(そして迫る決戦のとき)

 プロツアー『ドミナリア』では、チーム「Ultimate Guard Pro Team」のメンバーが今シーズン最多のプロ・ポイントを稼ぎ出しました。チームの上位5名が獲得したポイントがチーム・ポイントとして加算される中で、その5人全員が75位以内の成績を収めたのです。リード・デューク/Reid Duke選手とジョン・フィンケル/Jon Finkel選手はともに25位以内に入り、オーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwald選手は準決勝まで駒を進めました。

 ターテンワルド選手には特筆すべきエピソードがあります。彼は今大会、スタンダードの試合を一度も落とさず歩みを進めました――のちの王者であるワイアット・ダービー/Wyatt Darby選手と当たるまでは。それから、リード・デューク選手の15位という成績も注目すべきものでしょう。なんと彼は、第5ラウンドの時点でもうトップ8入賞のチャンスを失っていたのです。

 

#PTDOMは1-4と厳しいスタートになったデューク(@ReidDuke)選手ですが、その後8連勝を成し遂げ、第13回戦を終えた現時点で9-4です。厳しい状況に追い込まれたときでも冷静さを保つ秘訣を教えてもらいました。(動画は英語)

 

 開幕から1勝4敗。デューク選手がチーム・ポイントに貢献できるとは思えませんでした。しかしどんな状況でも落ち着き、戦いを諦めないことこそデューク選手の真骨頂です。彼はそこから怒濤の11連勝を成し遂げ、結果的にチーム「Ultimate Guard Pro Team」で2番目に良い成績を収めたのでした。

 この週末に目覚ましい活躍を見せたチームは「Ultimate Guard Pro Team」だけではありません。チーム「Hareruya Latin」のメンバーもほとんどが見事な成績を収め、チーム・ポイントに42点を加えました。「Ultimate Guard Pro Team」に続く今大会第2位の結果です。

 今大会におけるチーム「Hareruya Latin」の活躍は、マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalho選手が最後の最後でトップ8入賞を決めたことで、3日目まで続きました。最終的には準決勝で同じポルトガルのゴンサロ・ピント/Goncalo Pinto選手に敗れたカルヴァリョ選手ですが、瀧村選手を破った準々決勝では、結束力の強いこのチームに感動的な瞬間をもたらしました。

 

チームメイトであり友人でもあるサポリート(@bolov0)選手が、#PTDOMの準々決勝で勝利を収めたカルヴァリョ(@KbolMagic)選手を祝います

 

 現在首位の「Ultimate Guard Pro Team」がさらにリードを広げる結果になりましたが、「Hareruya Latin」の安定した成績もまた、彼らがプロツアーに懸ける想いを物語っていると言えるでしょう。彼らは世界選手権2018で行われるチームシリーズ決勝の舞台を目指します。

 しかしすぐ背後には、いくつものチームが迫っています。すべては「マジック25周年記念プロツアー」で決まります。果たして「Hareruya Latin」を――そして今大会で大きく差をつけた「Ultimate Guard Pro Team」をも飛び越えるチームが現れるでしょうか。

ダービーのドラマティックなドラゴン

 「赤黒アグロ」対「赤単アグロ」のような爆発的な競い合いでは、「何が起きてもおかしくない」と感じることでしょう。ときに、その何かは本当に起こります。ワイアット・ダービー選手が素早く2連勝したのちに、ゴンサロ・ピント選手が2勝を取り返したのです。

 迎えたドラマティックな第5ゲーム。両者とも消耗戦を繰り広げ、慎重に攻撃を繰り出します。やがて《霊気圏の収集艇》と、《ピア・ナラー》が生成した飛行機械・トークンが、ピント選手に攻め手を与えました。一方のダービー選手が引き込んだのは、《熱烈の神ハゾレト》。彼はそれをプレイしますが、見通しは好転せず。のちの王者は残りライフ1点まで追い詰められます。

 ダービー選手が勝つには、地上のブロッカーを乗り越えて11点ものダメージを一気に与えなくてはいけません。ここからの逆転は無理だと思われました。

 ですが「ときに、その何かは本当に起こります」。

 ダービー選手のライブラリー・トップから《栄光をもたらすもの》が現れると、ぴったり11点の攻撃が実現し、さらにピント選手はこれに対抗する手立てを持っていませんでした――マジックの歴史に残るトップ・デッキの瞬間でした。

darbywinner.jpg
プロツアー『ドミナリア』王者、ワイアット・ダービー選手

 この1枚が、ワイアット・ダービー選手にすべてをもたらしました。プロツアー『ドミナリア』の優勝トロフィー、50,000ドルの賞金、そして9月に開催される世界選手権2018への参加権利……

 これぞマジック。何が起こるかわからないからこそ面白いのです。

  • この記事をシェアする

RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

RANKING

NEWEST

サイト内検索