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プロツアー『ドミナリア』
注目のカード:ドミナリアの英雄、テフェリー
2018年6月2日
「スタンダード最強のデッキだ。その証拠として、俺自身1ゲームも落とさず6-0してるよ!」
《ドミナリアの英雄、テフェリー》の強さについてブラッド・ネルソン/Brad Nelsonに尋ねると、そんな答えが返ってきた。そして彼は、コントロール・デッキにぴったりなこのカードについて、次のように続ける。
「ここ4年ほど、スタンダードではコントロール・デッキを倒すことに熱中していた。でも《ドミナリアの英雄、テフェリー》の登場で、スタンダードでもモダンでも、すっかりコントロール・プレイヤーになっちゃったよ。これ1枚でプレイ・スタイルを変えさせられた。《副陽の接近》でも《残骸の漂着》でも動かなかったのに、《ドミナリアの英雄、テフェリー》には動かされた」
長年にわたる活躍で18回のグランプリ・トップ8入賞と3回のプロツアー・トップ8入賞を記録するネルソンは、スタンダードの達人として広く知られている。そんなネルソンの話となれば、必聴ものだ。
「《ドミナリアの英雄、テフェリー》のカードパワーはスタンダードのレベルを逸脱してる。間違いなく最強だよ」と言うネルソンだが、彼が今大会へ持ち込んだ白青コントロールには、ひとつ大きな変更が加えられていた。2週間前に行われたグランプリ・トロント2018にて、彼は勝ち手段を《ドミナリアの英雄、テフェリー》に頼ったバージョンで決勝まで進んだ。しかし今大会には、勝ち手段を増やして挑んでいる――《副陽の接近》だ。
「《副陽の接近》が弱かったのは、ミッドレンジ・デッキがこぞって《否認》を採用していたからだ。今はそれが《強迫》になった」とネルソンは語る。「それから、カード・アドバンテージを稼いでゆっくりと盤面を築いていくデッキが多くなった。黒緑のデッキは大型の脅威でプレッシャーをかけながら《強迫》で睨みを利かせれば、だいたい何にでも対応できる――《副陽の接近》を除いてね。あと、こちらのゲーム・プランに対してみんな適切にプレイしてくるようになった」
先ほどの発言はもちろん、今や一大勢力を築いている赤黒系のデッキにも同じことが言えるだろう。そして興味深いことに、ネルソンは白青の同系戦も意識して《副陽の接近》を採用したという。
「同系戦の第1ゲームは、どちらが早く青の軽量呪文を多く引き込めるかで決まる。白のカードを引きすぎると、《アズカンタの探索》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》をプレイするチャンスが得られず、そのままゲームを逃すだろう。だがそういう展開にならない場合、《副陽の接近》が鍵を握るようになる。打ち消し必須の呪文が増えるのは大きいよ。打ち消し呪文は有限だからね」
「主にこのふたつのマッチアップを意識した」と《副陽の接近》採用のメリットについての話を締めくくるネルソン。だが実際は他にも効果的なマッチアップがいくつかあり、現在のスタンダード環境を広くカバーできているようだ。「今後は《失われた遺産》とかが増えて厳しくなるかもね。でも今回使うには良い選択だと思う」
8 《平地》 5 《島》 4 《灌漑農地》 4 《氷河の城砦》 2 《イプヌの細流》 2 《天才の記念像》 2 《廃墟の地》 -土地(27)- -クリーチャー(0)- |
4 《封じ込め》 2 《一瞬》 2 《本質の散乱》 2 《アズカンタの探索》 1 《否認》 4 《不許可》 3 《排斥》 3 《残骸の漂着》 2 《天才の片鱗》 2 《燻蒸》 2 《副陽の接近》 2 《中略》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(33)- |
1 《黎明をもたらす者ライラ》 2 《歩行バリスタ》 3 《奔流の機械巨人》 2 《否認》 1 《魔術遠眼鏡》 3 《ベナリア史》 1 《神聖の発動》 1 《天才の片鱗》 1 《残骸の漂着》 -サイドボード(15)- |
ブラッド・ネルソンが《副陽の接近》入りの「白青テフェリー」で注目すべき活躍を見せたが、勝ち手段を《ドミナリアの英雄、テフェリー》だけに頼った形が失敗したわけではない。例えばワールド・マジック・カップ2014優勝メンバーのトーマス・エネヴォルセン/Thomas Enevoldsenは、今大会初日のスタンダード・ラウンド5回戦を全勝で切り抜けた。
「『実質3マナ』なのに忠誠度6くらいまですぐに伸びるのはおかしいですよ。どういう経緯で印刷に至ったのやら」とエネヴォルセン。「カード・アドバンテージを生み出せて自身を守れるプレインズウォーカーは、打たれ弱かったり奥義がなかったりするものです。でも《ドミナリアの英雄、テフェリー》はすべてを持ちあわせていて、しかもこれ1枚で勝てます」
特に現環境の白青コントロールにおける《ドミナリアの英雄、テフェリー》が好きだと、エネヴォルセンは言う。「このデッキには《封じ込め》や《残骸の漂着》、《不許可》など、5ターン目を迎える前に干渉手段が多くあります。だから《ドミナリアの英雄、テフェリー》は盤面がほぼ空の状態で着地するんです。これが通ると、対戦相手は動かざるを得なくなり、今度は《明日からの引き寄せ》が通ります。これで《残骸の漂着》も手に入り、《ドミナリアの英雄、テフェリー》は存分に力を振るうのです」
土地をアンタップするおかげで、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を戦場に出したターンに《本質の散乱》や《否認》、《一瞬》、《封じ込め》といったカードを構えることもできるため、[+1]能力も自分の身を守る効果だとエネヴォルセンは指摘する。「このアンタップ効果、5マナから8マナくらいまでマナ加速するようなものですからね」
ただし勝ち手段が《ドミナリアの英雄、テフェリー》のみの形ではゲームを終わらせるのが遅いため、第1ゲームで負けてしまうことには少々の懸念があるようだ。
「とはいえ、繰り返しになりますが、第1ゲームは多くのデッキに対してかなり有利です」と、エネヴォルセンはひと息ついて続ける。「第1ゲームがなかなか終わらないということについても、あまり心配していません。盤面を制圧して《ドミナリアの英雄、テフェリー》自身を戻して相手のライブラリー切れを狙うのも、50分あれば十分です。残り時間が問題になる前に皆さん投了してくれますし」
時間ぎりぎりまで粘る対戦相手もいるとエネヴォルセンは言うが、今のところそれは問題になっていないようだ。ネルソンと同様に、エネヴォルセンも危なげなく勝利を重ねている。しかも彼の場合、2勝1敗の試合も多い。どうやらエネヴォルセンもテフェリーと同じ、真の「時間の大魔道士」のようだ。
7 《平地》 6 《島》 4 《灌漑農地》 4 《氷河の城砦》 2 《イプヌの細流》 1 《天才の記念像》 1 《廃墟の地》 1 《オラーズカの拱門》 -土地(26)- -クリーチャー(0)- |
4 《封じ込め》 3 《本質の散乱》 2 《一瞬》 2 《アズカンタの探索》 1 《検閲》 1 《否認》 4 《不許可》 1 《俗物の放棄》 1 《至高の意志》 4 《残骸の漂着》 3 《排斥》 1 《燻蒸》 1 《暗記 // 記憶》 2 《明日からの引き寄せ》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(34)- |
2 《黎明をもたらす者ライラ》 3 《歩行バリスタ》 2 《否認》 1 《霊気溶融》 1 《魔術遠眼鏡》 4 《ベナリア史》 1 《神聖の発動》 1 《試練に臨むギデオン》 -サイドボード(15)- |
(Tr. Tetsuya Yabuki)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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