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プロツアー『ドミナリア』

戦略記事

注目のカード:鉄葉のチャンピオン

Tobi Henke
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2018年6月2日

 

 《鉄葉のチャンピオン》を見た人々のデッキリストに効率的なエルフ・騎士が登場するまでそう時間はかからなかった。早くもドミナリアでも傑出したカードの一つとして認められたのだ。《ゴブリンの鎖回し》がタフネス1の友人たちの脅威になっても、依然としてスタンダードにおける《鉄葉のチャンピオン》デッキは人気のままである。

 プロツアー『ドミナリア』では40人のプレイヤーがさまざまな「鉄葉ストンピィ」デッキを使用している。そのうち完全に緑単色だったのはその5分の1であった。《屑鉄場のたかり屋》のサポートと少量のサイドボードのために黒を散らしている形が人気である。一般的な黒いカードは《栄光の刻》と《秘宝探究者、ヴラスカ》で、《強迫》や《野望のカルトーシュ》を選択している少数派もいる。

 2度、プロツアー・セミファイナリストになったパトリック・ディックマン/Patrick Dickmannに、《鉄葉のチャンピオン》と「鉄葉ストンピィ」デッキ、フォーマットにおけるその立ち位置について金曜日に話を聞いた。

「《鉄葉のチャンピオン》は《ラノワールのエルフ》の最高の相棒だ。2ターン目に5/4が出せるのはイカれてる。このレベルのマナ加速がスタンダードに戻ってきたのは、みんなと同じように驚きだった」

 ディックマンは《鉄葉のチャンピオン》だけではデッキが成り立っていないと主張した。致死量のダメージを素早く繰り出すのにいくつかのケースがある。「《不屈の神ロナス》は、ここしばらくの間お気に入りの神だ。プロツアーでこのカードを使うのはこれで3度目で、《ラノワールのエルフ》と《鉄葉のチャンピオン》のおかげで今まで一番使いやすくなっている」

 このトリオはよりアグレッシブなデッキとのレースにも欠かせないとディックマンは語る。「伝統的に緑のデッキは赤いデッキ相手に有利とは言えなかったけれど、2ターン目のパワープレイができれば、対戦相手が追いつくのはとても難しくなる」

 彼はまた、《顕在的防御》がパズルの重要なピースであると指摘する。「クリーチャーがとても強いので、それらを守る価値がある。同様に、《残骸の漂着》に対抗するのも楽しいんだ。大きめのクリーチャー単体で攻撃するか、《不屈の神ロナス》のバックアップ付きで小型クリーチャーで攻撃するんだ。どちらにせよ相手は《残骸の漂着》を使わざるを得ない」

 《鉄葉のチャンピオン》に話を戻すと、使われている火力呪文はほとんどが3点しか与えられないうえに、《才気ある霊基体》や《豪華の王、ゴンティ》にはブロックされないことをディックマンは教えてくれた。

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パトリック・ディックマンは赤いデッキの隆盛を認めているが、《鉄葉のチャンピオン》のようなパワーカードのおかげで状況は好転している。

「《損魂魔道士》と《ゴブリンの鎖回し》のコンボはかなり厳しい」 苦悩の表情でディックマンは語る。「環境にそのコンボが当然存在することを受け入れなければいけない。そのために《新緑の機械巨人》をデッキに追加したし、単純に赤いデッキ相手に強い。彼らは大きめのクリーチャーとして《再燃するフェニックス》や《栄光をもたらすもの》を使うので、《新緑の機械巨人》なら複数のアタッカーをそれらのサイズ以上にすることができるんだ」

 ディックマンは《マーフォークの枝渡り》や《翡翠光のレインジャー》といった探検クリーチャーを採用していない点が以前のバージョンと異なる点であると述べた。「おかしいと思うかもしれない! ところがもう彼らはアドバンテージをほとんど生み出さないんだ。もし呪文がめくれたら彼らは何もしないし、土地がめくれたら《ゴブリンの鎖回し》がついでに墓地に送ってしまうんだ。」

 代わりにディックマンは《打ち壊すブロントドン》の信奉者となった。「フォーマットを包括してみると、これはほとんどのデッキへの対抗策になっている。白青コントロールの除去はほとんどが《封じ込め》や《排斥》といったエンチャントで、誘発型能力に対応して破壊すればアタッカーを止めることができない。3/4というサイズは《ゴブリンの鎖回し》や《屑鉄場のたかり屋》も止められるし、その能力は機体にも強いんだ。」

Patrick Dickmann - 「鉄葉ストンピィ」
プロツアー『ドミナリア』 / スタンダード (2018年6月1~3日)[MO] [ARENA]
12 《
4 《森林の墓地
4 《花盛りの湿地
3 《ハシェプのオアシス
1 《霊気拠点
-土地(24)-

4 《ラノワールのエルフ
2 《緑地帯の暴れ者
4 《立て直しのケンラ
4 《屑鉄場のたかり屋
3 《原初の飢え、ガルタ
4 《鉄葉のチャンピオン
3 《不屈の神ロナス
3 《打ち壊すブロントドン
2 《新緑の機械巨人
-クリーチャー(29)-
4 《顕在的防御
3 《キランの真意号
-呪文(7)-
3 《押し潰す梢
3 《造命師の動物記
3 《栄光の刻
2 《霊気圏の収集艇
2 《生命の力、ニッサ
2 《秘宝探究者、ヴラスカ
-サイドボード(15)-

 タッチ黒のバージョンはその人気のために、あらゆるところに存在する。しかし別のアーキタイプを見ると、これも著しい成果を上げていた。

 偶然にも今週末、プロツアー『霊気紛争』トップ8のヤーン・クサンドル/Jan Ksandrとチーム「Catharsis」とチーム「EUreka」のメンバーに、ホテルで一番最初に聞いたデッキテクが、青をタッチして2枚の《暗記 // 記憶》を入れたものだった。

「《暗記》は文字通り、すべてに対抗できるんだ」 クサンドルは説明する。「《スカラベの神》、《黎明をもたらす者ライラ》、プレインズウォーカー、そして《残骸の漂着》までもを、ね。特に《残骸の漂着》だ。もし総攻撃に《残骸の漂着》を合わせられたら《暗記》すれば勝ててしまう。ライブラリーの2番目に置かれても大した問題じゃない。引き直される前にゲームが終わるからね」

 さらなるイノベーション、《縄張り持ちのアロサウルス》も解説してくれた。

「5/5というサイズは《切り裂き顎の猛竜》がもたらし得るものよりも優れている。コントロールデッキの除去は《無許可の分解》といったダメージによるものではないし、赤いデッキはほとんどが《損魂魔道士》を使っている。《縄張り持ちのアロサウルス》の追加のパワーはブロッカーの有無に関わらず意味があるし、キッカーもたまに役に立ってくれる」

 ほかにもディックマンが述べてくれているのと同じ結論に至っており、探検クリーチャーの代わりに《打ち壊すブロントドン》と《新緑の機械巨人》がメインデッキに採用されている。

 初日終了時点で、クサンドルは自身と同じデッキを使ったプレイヤーの勝率が70%に達していると計算した。これには5-0プレイヤーが2人含まれている。そのうちの1人、2度プロツアートップ8に入っているピエール・ダジャン/Pierre Dagenと土曜日に話をした。おそらく彼が私の探しうる《鉄葉のチャンピオン》デッキの最大のチャンピオンだろう。

「初めて《鉄葉のチャンピオン》が公開されたとき、『ドミナリア』のトリプルシンボルカードの中でもベストであると自分の記事で書いたんだ。反論もあるだろうけれど、今でもそれが正しいと思っているよ」 さらに強調する。「言葉に責任を持たないとね」

 ダジャンは《鉄葉のチャンピオン》に干渉できないリストを述べていった。「《致命的な一押し》と赤の火力呪文に耐性があって、パワーが2の接死持ちクリーチャーや、その他多くのクリーチャーにブロックされず、効果的にブロックされることは少ないだろう」

「その他のフォーマットでは《鉄葉のチャンピオン》はそれほどいいと思えないが、現時点でのスタンダードにおいては基本的にすべてに対抗できると思う。これは《ゴブリンの鎖回し》と《スカラベの神》にも言われることだが、《鉄葉のチャンピオン》はスタンダードでベストのクリーチャーだ」

Pierre Dagen - 「鉄葉ストンピィ」
プロツアー『ドミナリア』 / スタンダード (2018年6月1~3日)[MO] [ARENA]
9 《
4 《内陸の湾港
4 《植物の聖域
3 《ハシェプのオアシス
2 《霊気拠点
-土地(22)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《立て直しのケンラ
4 《導路の召使い
4 《鉄葉のチャンピオン
3 《打ち壊すブロントドン
2 《不屈の神ロナス
3 《縄張り持ちのアロサウルス
1 《新緑の機械巨人
2 《原初の飢え、ガルタ
-クリーチャー(27)-
3 《顕在的防御
2 《冒険の衝動
2 《暗記 // 記憶
3 《キランの真意号
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
-呪文(11)-
1 《原初の飢え、ガルタ
1 《顕在的防御
2 《自然の流儀
2 《否認
2 《造命師の動物記
1 《押し潰す梢
2 《霊気圏の収集艇
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
1 《川の叱責
2 《生命の力、ニッサ
-サイドボード(15)-

(Tr. AOKI Chikara)

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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