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マジック25周年記念プロツアー

戦略記事

メタゲームブレイクダウン:スタンダード

Corbin Hosler
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2018年8月3日

 

 『基本セット2019』がスタンダードに導入された。残り2か月間このフォーマットのカード・プールは最大になり、《破滅の龍、ニコル・ボーラス》が私たちにその威容を見せつけることだろう。

 と、言いたいところだが、《熱烈の神ハゾレト》と《反逆の先導者、チャンドラ》とともにスタンダードを支配する《ゴブリンの鎖回し》を前にしては、この巨龍をもってしても後塵を拝する他にないようだ。さらに言うなら、ボーラスは同じ「エルダー」にも先を越されている……《原初の飢え、ガルタ》とその仲間たちは、マジック25周年記念プロツアーに恐竜サイズの足跡を残したのだ。

アーキタイプ 使用者数 使用率
赤黒アグロ 66 40.00%
鉄葉ストンピィ 31 18.79%
グリクシス・ミッドレンジ 13 7.88%
「霊気貯蔵器」コンボ 9 5.45%
エスパー・コントロール 7 4.24%
赤単アグロ 7 4.24%
ターボ・フォグ 6 3.64%
白青「副陽の接近」 4 2.42%
ボーラス・レッド 3 1.82%
グリクシス・コントロール 3 1.82%
黒緑「巻きつき蛇」 2 1.21%
緑白ミッドレンジ 2 1.21%
青単アーティファクト 2 1.21%
白青コントロール 2 1.21%
白青「王神の贈り物」 2 1.21%
アブザン・コントロール 1 0.61%
緑黒「巻きつき蛇」 1 0.61%
緑白キャッツ 1 0.61%
スゥルタイ「王神の贈り物」 1 0.61%
青黒ミッドレンジ 1 0.61%
白青スーパーフレンズ 1 0.61%

 粘り強い脅威の数々を前に《ドミナリアの英雄、テフェリー》のリスクは以前より高まり、スタンダードのメタゲームにおいてコントロールが占める割合は縮小した。使用者数上位2デッキの多くに《屑鉄場のたかり屋》のような繰り返し戦場に戻る脅威が採用されていることや、《光袖会の収集者》や《アルゲールの断血》といった軽いカード・アドバンテージ・エンジンが存在するだけでなく、《破滅の龍、ニコル・ボーラス》もまたコントロール・デッキが体勢を整える前に追い詰めてしまうのだ。戦場に出るのを許しただけで手札を捨てさせられるのはコントロール・デッキにとって代償が重く、とりわけゲームが後半に差し掛かろうかというタイミングで現れる《破滅の龍、ニコル・ボーラス》は決定打になることが多い。さらに「変身」すると文字通りゲームを終わらせるという事実も、コントロール側にとって悩みの種だ。

 その一方で、「鉄葉ストンピィ」は大きく勢力を伸ばした。『基本セット2019』で《茨の副官》や《蔦草牝馬》、《ビビアン・リード》などの傑物を手に入れたこのデッキは、ついにあと一歩足りなかったトップ・メタの座へ登りつめたのだ。今大会の選手たちも、早ければ3ターン目に着地する12/12トランプルの恐竜とともにこのデッキを組まねばと考えたのだろう。

 そして環境の流れは、おそらく最も意外なデッキの躍進につながった――「霊気貯蔵器」コンボだ。このデッキについての解説はすでに多くあるものの、改めてここミネアポリスでの状況もお届けするしかあるまい。

 会場を見て回ると、ふたつのバージョンが存在することがわかった。最も一般的なのは《霊気貯蔵器》を用いるコンボ重視のもので、「戦場に出たとき」の能力を持つ軽量アーティファクトを連打して《霊気貯蔵器》の能力を放つことを目指す。数ターンをコンボの準備に費やし、その後《逆説的な結果》や《バラルの巧技》を用いて展開したアーティファクトを手札に戻し、《バラルの巧技》によるコストの踏み倒しや《モックス・アンバー》から生み出したマナでそれらを再利用してカードを集めていく。(《発明の領事、パディーム》や《練達飛行機械職人、サイ》によるドロー効果も絡める。)そこからはデッキをどんどん掘り進めていき、《鼓舞する彫像》も置けばわずかなマナで(あるいはマナを使わずして)手札を一気に展開できる真のコンボ・デッキへと変貌する。

 そして《霊気貯蔵器》を設置したら、「ストーム」デッキのごとき勢いで大量のライフを回復していく。恐ろしいほどの速度でライフは50点を突破し、対戦相手を撃ち抜くだろう。

 もうひとつのバージョンは形としてはよく似ているものの、そのままでは弱い「コンボ用パーツ」を排して《ウルザの後継、カーン》と《練達飛行機械職人、サイ》の力を最大限に引き出し、トークンの大軍勢を作り出した上で《カーンの経時隔離》で追加ターンを獲得し、大群による一撃でゲームを終わらせるというものだ。

 この週末では他にも、「ターボ・フォグ」がデビューを果たした。ラファエル・レヴィ/Raphaël Lévyやリー・シー・ティエン/Lee, Shi Tianといった実績あるプレイヤーがこのデッキを選択し、《運命のきずな》や《テフェリーの誓い》でプレインズウォーカーの能力を2回起動することの強さを見せつけている。《根の罠》や《花粉のもや》が《ウルザの後継、カーン》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》、《自然に仕える者、ニッサ》というプレインズウォーカー陣を守り、莫大なアドバンテージを生み出すのだ。数ターンも経てば対戦相手に圧倒的なアドバンテージ差をつけることができ、それから鍵となるカードも《水没遺跡、アズカンタ》で探し出せる。この週末の要注目デッキだ。

 以上の分析から得られることは? 赤いデッキの力は依然として環境を定義している(そしてそれは、ローテーションで多くのパーツを失うまで続くと思われる)が、スタンダードで成功をつかみ取るための方法は他にもたくさんあるということだ。『基本セット2019』が加わり、このフォーマットはまた進化を続けているのだ。

(Tr. Tetsuya Yabuki)

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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