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プレイヤーズコンベンション愛知2024
準々決勝:江原 洸太(東京) vs. 原根 健太(東京) ~土地1枚から81マナ~
チャンピオンズカップファイナル シーズン2 サイクル3のトップ8が決まった。本大会では上位16名にプロツアー権利が付与されるため、トップ8に並び立ったプレイヤーたちは現時点で競技マジックプレイヤーの本懐であろうプロツアー進出は実現できていると言えよう。
だが、さらに上位2位に入賞した場合にはプロツアー権利に加えて世界選手権の権利も付与される。全てのマジックプレイヤーにとっての夢の舞台に立つための切符、これこそチャンピオンズカップファイナルの最も重要な賞品の一つであると言っても過言ではない。
つまり、トップ8以降入賞後もまだまだ気は抜けないということだ。フィーチャーマッチテーブルへとやってきた2名のプレイヤー、江原 洸太(東京)と原根 健太(東京)は、世界最高峰の戦いへと臨むべく、持てる実力の全てを懸けてこの準々決勝を戦う。
江原のデッキは「ティムール・アナリスト」。『カルロフ邸殺人事件』以降に成立した比較的新しいアーキタイプで、墓地に《土建組一家の監督所》などのフェッチランドを溜めながら《復活した精霊信者、ニッサ》がいる状況で《事件現場の分析者》の起動型能力か《見事な再生》を使い、上陸能力を大量に誘発させてビッグマナを得るコンボデッキだ。
対する原根のデッキは「エスパー・ミッドレンジ」。環境の大本命であるアグロミッドレンジで、《大洞窟のコウモリ》や《ティシャーナの潮縛り》などの妨害能力を内蔵したクリーチャーで対戦相手の展開を阻害しつつ、《策謀の予見者、ラフィーン》による打点向上とドローでゲームを優位に進めていくデッキだ。
『サンダー・ジャンクションの無法者』が新たに加わり、この過去最大のカードプールを擁するスタンダードフォーマットで見事準決勝へと駒を進めるのはどちらのプレイヤーになるのか──!?
江原 洸太(東京) vs. 原根 健太(東京)
ゲーム1
先攻の江原がプレイした《事件現場の分析者》を原根が《喉首狙い》で除去し、対する原根の《漆月魁渡》が-2能力を使い、フェイズアウトが誘発したタイミングで《勝利の炎》で除去する。
互いに脅威となるパーマネントを排除する滑り出しとなったが、しかし原根は着々と攻撃の準備を進める。《大洞窟のコウモリ》で江原の手札から《記憶の氾濫》を追放することで江原の手札を土地だけにした後、《忠義の徳目》を出来事としてプレイして騎士・トークンを出す。
さらに忍者・トークンと《大洞窟のコウモリ》でライフを詰めて《忠義の徳目》をプレイする。
江原のコンボ成立前にライフを詰め切りたい原根。しかし、江原もまた《間の悪い爆発》を引き込んでおり、原根のクリーチャーを騎士・トークン1体のみを残して全て除去する。ならばと原根は《最深の裏切り、アクロゾズ》でさらに江原を責め立てる構えだ。
次から次へと脅威をプレイされて江原は苦しい展開を強いられるが、まだまだライフには余裕がある。今のうちにとばかりに《強靭の徳目》をプレイし、次ターンから攻勢に転じる構えを見せる。
《強靭の徳目》が戦場に出てしまった今、原根にも余裕はない。次ターンには江原は少なくとも21マナを自由に使える状況になり、墓地には《記憶の氾濫》もあるため手札もすぐに回復されてしまうだろう。まずは2枚目の《大洞窟のコウモリ》で再び江原の手札の《記憶の氾濫》を抜き、《記憶の氾濫》連打という展開だけは止める。
返す江原は大量のマナから必然の《記憶の氾濫》フラッシュバック。これによって手札に加えた《復活した精霊信者、ニッサ》をプレイすると、《貴顕廊一家の劇場》を戦場に出して2度の上陸を誘発させる。さらにこの《復活した精霊信者、ニッサ》の能力が《事件現場の分析者》を見つけ出すと、江原はこれをプレイしてさらに能力を起動。
ただでさえ《強靭の徳目》でマナが有り余っている上に、墓地の土地が戦場に舞い戻ったことで《復活した精霊信者、ニッサ》の能力がさらに誘発。この大量のマナから、さらに2回目の《記憶の氾濫》フラッシュバック!手札に加えた《ドッペルギャング》がX=3で唱えられ、《森》と《島》と《強靭の徳目》をコピー。これで《強靭の徳目》は4枚──1枚の土地から3の4乗分……って何マナ出るんだっけ?
3✕3✕3✕3=81だが、普段マジックで扱うことのない規模の計算なので念のためジャッジにも確認。やはこの状況で1枚の土地から出るマナは81マナであるという確証を得る。
この爆発力こそティムール・アナリストの本領だ。《強靭の徳目》が出てからわずか1ターンで、(正確に数えてはいないが)少なくとも500マナ以上はゆうに生み出せそうな盤面を作り出した。さらに江原が《樹海の幻想家、しげ樹》で墓地の《ドッペルギャング》を回収して見えているパーマネントを全て対象に取るジェスチャーを取ると、原根は「もう終わりですね」と苦笑を浮かべながらデッキに手をかけた。
江原 1‐0 原根
ゲーム2
第1ゲームと同様、江原が第2ターンにプレイしたクリーチャーを原根が《喉首狙い》で除去する開幕となった。ただし、ここでプレイされていたクリーチャーは《心悪しき隠遁者》。コンボを確実に通すための原根のエスパー・ミッドレンジに対するサイドボードカードだ。
続いて原根が《婚礼の発表》をプレイすると江原は《事件現場の分析者》。早く攻めたい原根だが、ブロッカーが出てきたことで攻撃ができない。ならばと江原は4枚目のアンタップイン土地を置き、少考しながらターンを終える。《事件現場の分析者》の能力を起動したいところだが、原根の手札に《ティシャーナの潮縛り》が潜んでいる可能性を考えて様子を見ることにしたのだろう。
そんな江原に対し、原根は強力な墓地対策カードである《未認可霊柩車》をプレイする。どうせ墓地が追放されてしまうのであれば、と江原はダメ元で《事件現場の分析者》を起動するが、これには原根の《ティシャーナの潮縛り》。やはり持っていたか、と江原は《事件現場の分析者》を墓地に置き、無人になった戦場を原根の人間・トークンが駆ける。
ならばと江原は《復活した精霊信者、ニッサ》をプレイ。さらに《貴顕廊一家の劇場》を出して2度の上陸を行い、2枚目の《復活した精霊信者、ニッサ》を手札に加えた上で《樹海の幻想家、しげ樹》をプレイする。《未認可霊柩車》が戦場にある以上《見事な再生》や《事件現場の分析者》によって一気にマナを伸ばすコンボは狙えないが、《樹海の幻想家、しげ樹》で着実にマナを伸ばすことはできるだろう。
江原の目論見はもちろん原根も理解している。マナを伸ばす余裕を与えるわけにはいかないと、《策謀の予見者、ラフィーン》をプレイすると《保安官を撃て》で江原の《復活した精霊信者、ニッサ》を除去し、人間・トークン2体と《ティシャーナの潮縛り》で攻撃。すでに《婚礼の発表》は《婚礼の祭典》へと変身しており、打点は8点となかなかのダメージだ。
返す江原はさきほど手札に加えた2枚目の《復活した精霊信者、ニッサ》をプレイして《樹海の幻想家、しげ樹》の能力を起動。これによって《貴顕廊一家の劇場》を戦場に出して再び2度の上陸を達成し、追加の《復活した精霊信者、ニッサ》を手札へと加える。さらにまた《樹海の幻想家、しげ樹》をプレイして毎ターン確実に土地を伸ばせる体制を築く。
原根は《未認可霊柩車》で墓地を追放しながら全てのクリーチャーで攻撃。謀議4で《策謀の予見者、ラフィーン》に2つの+1/+1カウンターを載せて確実に江原のライフを削るが、江原はフェッチランドの誘発型能力によってライフを得ているため、ライフはまだ9点も残っている。すぐに削り切ることはできない水準だ。
江原は原根のターン終了時に《勝利の炎》で《ティシャーナの潮縛り》を除去。続くターン再び《樹海の幻想家、しげ樹》の能力を起動して《舞台座一家の中庭》を戦場に出す。
2度の上陸でめくれたのは《事件現場の分析者》。江原はこれをプレイし、原根はスタックで《未認可霊柩車》で2枚の《貴顕廊一家の劇場》を追放しにかかる。
《未認可霊柩車》で地道に墓地を追放されていた江原だったが、これまでに2回《樹海の幻想家、しげ樹》を起動できている江原は墓地の土地枚数も十分。《事件現場の分析者》の能力が起動されると《舞台座一家の中庭》を含む4枚の土地が戦場に出る。これによって《復活した精霊信者、ニッサ》の上陸能力で5マナを得、このマナを使って墓地から《心悪しき隠遁者》と《樹海の幻想家、しげ樹》をプレイする。マナ加速できている分手数では江原がリードしている形だ。
だが、江原も楽な展開というわけではない。原根の《策謀の予見者、ラフィーン》と《不穏な投錨地》が攻撃を行い、再びの謀議で《策謀の予見者、ラフィーン》のサイズが6/9まで膨らむ。江原は先ほどプレイした《心優しき霊》をチャンプブロックに回さざるを得ず、残りライフは6まで削られてしまう。
再びめぐってきた江原のターン。残りライフや原根の《策謀の予見者、ラフィーン》のサイズ的にも最後のターンとなるであろうこのターンに、まずは手札から土地を置き、続いて《樹海の幻想家、しげ樹》の能力を起動して《貴顕廊一家の劇場》を戦場に出す。《復活した精霊信者、ニッサ》の上陸能力が誘発し、マナと追加の《復活した精霊信者、ニッサ》を得ながら江原の土地は15枚に到達する。
さらに江原は《ドッペルギャング》をX=3でプレイ。これにより《島》と《山》と《森》を3枚ずつコピーし、《復活した精霊信者、ニッサ》の能力が9回誘発。この大量のマナを使い、《樹海の幻想家、しげ樹》の魂力で《強靭の徳目》、《ドッペルギャング》、《世界魂の憤怒》の3枚を手札に加えようとする。
もちろん原根はこれに《未認可霊柩車》を起動。《ドッペルギャング》と《強靭の徳目》を追放し、江原の手札に加わったのは《世界魂の憤怒》だけとなった。
ならばと江原は《記憶の氾濫》をフラッシュバックし、《世界魂の憤怒》をX=3でプレイし原根の人間・トークン1体を除去。さらに3枚のフェッチランドによってライフを3点回復して、《復活した精霊信者、ニッサ》のマナを使って《毒を選べ》。原根はこれに《不穏な投錨地》を起動して生け贄にして《策謀の予見者、ラフィーン》を守る。
長いターンを終えた江原。次のターンを迎えることができればマナこそ大量に使えるが、原根の《策謀の予見者、ラフィーン》は健在な上、手札に勝ち手段はない。また、墓地の《記憶の氾濫》ももうなく、かなりの苦境に立たされている状況だ。ここに原根がプレイした《大洞窟のコウモリ》が降り立つと、逆転の芽はなしと江原がカードを片付けた。
江原 1‐1 原根
ゲーム3
先攻の江原は3ターン目に《世界魂の憤怒》をX=1でプレイ。原根はこれを《喝破》し、安易に土地を伸ばさせはしない。返す原根が《婚礼の発表》をプレイすると江原は《毒を選べ》。まずは互いに様子見といった序盤の攻防を終える。
続いて原根が放ったのは《大洞窟のコウモリ》。江原の《産業のタイタン》、《間の悪い爆発》、《記憶の氾濫》2枚という手札から1枚の《記憶の氾濫》を抜き、江原の《間の悪い爆発》は《喝破》。さらに《強迫》で江原の《記憶の氾濫》を捨てさせ、手札を攻め続ける。
さらに原根は《策謀の予見者、ラフィーン》を出して《大洞窟のコウモリ》と人間・トークンで攻撃をしかける。謀議2で《大洞窟のコウモリ》に+1/+1カウンターを乗せ、江原のライフを着実に奪っていく。
江原は《心優しき霊》で飛行クリーチャーに対するブロッカーを用意するが、原根は構わず続くターンも《策謀の予見者、ラフィーン》と《大洞窟のコウモリ》で攻撃。さらに原根は《見捨てられたぬかるみ、竹沼》で《ティシャーナの潮縛り》を手札に加え、まだ見ぬ《事件現場の分析者》を牽制する。
手札が乏しい江原は他にすることもなく《復活した精霊信者、ニッサ》をプレイするが、これに原根の《喉首狙い》。ここまでに謀議によって手札を整えてきた原根に付け入る隙はなかった。
盤面を押し止めることもできず、除去もない江原。せめて《策謀の予見者、ラフィーン》をなんとかせねばならないが、その答えがライブラリートップになかったことを確認すると投了を宣言することとなった。
江原 1‐2 原根
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