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プレイヤーズコンベンション愛知2024
スタンダードデッキピックアップ ~『サンダー・ジャンクションの無法者』~
『サンダー・ジャンクションの無法者』発売から時が経ち、環境末期といわれる終盤戦での開催となったスタンダードの大型イベント、ジャパンスタンダードカップ:『サンダー・ジャンクションの無法者』Supported by 楽天ブックス。こちらは赤単ミッドレンジの優勝で幕を閉じたわけだが、トップ8に5種類ものアーキタイプが入賞しており、環境の多様性を目の当たりにした大会でもあった。
今大会の参加者は256名にのぼり、アゾリウス・コントロールをはじめ、エスパー・ミッドレンジやボロス召集、版図ランプに人気が集まっていた。既存のアーキタイプはデッキパワーが担保されており、中でも戦略のすべてを防御にふったアゾリウス・コントロールは安定性と対応力の高さから一番人気となったのも頷ける。現代へと蘇った《謎めいた命令》こと《三歩先》はいまや青いデッキの代名詞となっている。
対照的に独自の調整を施したデッキを持ち込み、戦果をあげたプレイヤーがいたのもまた事実だ。限られた調整時間で膨大なカードプール、スタンダード史上空前のカード数の中から新たな原石を発掘し、研磨してきたわけである。これらのデッキは今後のスタンダード環境を大きく揺るがす存在となり得るかもしれない。
本稿ではジャパンスタンダードカップで5勝以上をあげたデッキの内、『サンダー・ジャンクションの無法者』の影響を受けたデッキを紹介していく。本稿が今後のデッキ構築の参考となれば幸いである。
グルール・アグロ
8 《山》 2 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《森》 4 《銅線の地溝》 4 《カープルーザンの森》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(20)- 4 《僧院の速槍》 4 《精鋭射手団の目立ちたがり》 2 《双頭の狩人》 4 《探索するドルイド》 4 《逃走する暗号破り》 -クリーチャー(18)- |
1 《魔女跡追いの激情》 2 《蛇皮のヴェール》 4 《熊野と渇苛斬の対峙》 4 《巨怪の怒り》 4 《火遊び》 4 《悪魔の大騒動》 1 《レンの決意》 2 《抹消する稲妻》 -呪文(22)- |
3 《祭典壊し》 2 《墓地の門番》 3 《毒を選べ》 2 《真紅の鼓動の事件》 1 《焦熱の射撃》 2 《乗り回し》 2 《絞殺》 -サイドボード(15)- |
グルール・アグロは果敢を持つ軽量クリーチャーを展開し、クリーチャー強化呪文を絡めて効率良くダメージを稼いでいくデッキである。
《僧院の速槍》や《逃走する暗号破り》からスタートし、ダメージレースを先行。ブロッカーが並べば《悪魔の大騒動》や火力、除去呪文に対しては《蛇皮のヴェール》と対応しながらダメージを伸ばしていく。
中盤以降は果敢用の燃料不足が懸念されるが、ご心配なく。《探索するドルイド》が追加のリソースを補充しつつ、クロックとカード3枚分の働きをしてくれる。
新カードである《精鋭射手団の目立ちたがり》は果敢こそないものの、非クリーチャー呪文との相性が良く、戦略にマッチした1枚。地上クリーチャーが大半を占めるなか、回避能力があるため中盤以降も打点が伸びやすく、押し込むにピッタリのクリーチャーである。
ここに《巨怪の怒り》と《倍増する憤怒》が合わされば、一気果敢のコンボとなり、二桁のライフもゆうに削りきれる。基本的にはショートレンジのゲーム展開を目指していくが、中~長期戦では《双頭の狩人》は頼もしいクロックとなるだろう。
アゾリウス・コントロール
4 《さびれた浜》 2 《平地》 2 《島》 4 《アダーカー荒原》 2 《不穏な投錨地》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 3 《廃墟の地》 2 《ミレックス》 4 《行き届いた書庫》 2 《金属海の沿岸》 -土地(27)- 4 《砂塵の憎悪》 2 《ティシャーナの潮縛り》 -クリーチャー(6)- |
2 《失せろ》 3 《喝破》 2 《幻影の干渉》 3 《婚礼の発表》 3 《放浪皇》 3 《記憶の氾濫》 4 《三歩先》 2 《同化の神盾》 2 《最後の決戦》 2 《冥途灯りの行進》 1 《集団失踪》 -呪文(27)- |
3 《否認》 2 《邪悪を打ち砕く》 2 《安らかなる眠り》 2 《大群退治》 1 《告別》 2 《エルズペスの強打》 2 《ティシャーナの潮縛り》 1 《同化の神盾》 -サイドボード(15)- |
アゾリウス・コントロールは打ち消しや全体除去を中心に戦場をコントロールしていく守りに特化した戦略。クリティカルなカードのみを弾き、隙をみてカードを引き増してアドバンテージを稼いでいく。冒頭でも述べた通り、今大会で一番人気だったアーキタイプである。
《喝破》と《幻影の干渉》は序盤の守りの要であり、特に後手番ではテンポ面でのリターンも期待できる打ち消し呪文。ここに確定カウンターである《三歩先》が加わったことが、現在の青いコントロールの強さを支える要因となっている。
厄介なクリーチャーは《冥途灯りの行進》や《同化の神盾》で捌き、ゲームスピードをスローダウンさせていく。ボロス召集のように数を並べてくる相手には《集団失踪》と《最後の決戦》といった一手で盤上をひっくり返せるカードが選択されている。
アゾリウス・コントロールはノンクリーチャーで構築されることが多いが、今回はフィニッシャーとして《砂塵の憎悪》が採用されている。計画し中盤以降にプレイすればスタッツの優れたクリーチャーであり、単体でダメージレースを一方的なものとしてくれる。アグロ系をメタっての選択といえるだろう。
サイドボードの《安らかなる眠り》はティムール・アナリストや多色スライム・ロームといった墓地をリソース源としたデッキに効果的である。レガシー級のサイドカードが採用できるのは現在の白の利点といえる。
ゴルガリ・ミッドレンジ
4 《眠らずの小屋》 4 《花盛りの湿地》 3 《ラノワールの荒原》 4 《死天狗茸の林間地》 2 《魂の洞窟》 4 《沼》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《森》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 2 《廃墟の地》 -土地(26)- 4 《苔森の戦慄騎士》 3 《腐食の荒馬》 3 《グリッサ・サンスレイヤー》 4 《敵意ある調査員》 1 《最深の裏切り、アクロゾズ》 -クリーチャー(15)- |
4 《切り崩し》 2 《強迫》 4 《喉首狙い》 2 《保安官を撃て》 2 《羅利骨灰》 3 《ヴェールのリリアナ》 2 《ギックスの命令》 -呪文(19)- |
2 《強迫》 3 《束縛の交渉術》 2 《墓地の侵入者》 2 《苦難の収穫者》 2 《不笑のソリン》 2 《温厚な襞背》 2 《未認可霊柩車》 -サイドボード(15)- |
ゴルガリ・ミッドレンジは高スタッツのクリーチャーを除去でサポートしていく攻め手の厚い中速デッキ。《ギックスの命令》、プレインズウォーカー、クリーチャー化する土地など攻め手も多彩であり、軽量のインスタント除去が多いことからクリーチャー戦を得意とする。因みに上記は今大会の準優勝者であるCho Jeongwoo/チョウ ジョンウが使用したリストである。
《腐食の荒馬》や《苔森の戦慄騎士》からゲームをはじめ、《切り崩し》や《喉首狙い》で相手のクリーチャーを対処しながらライフを詰めていく。新しい《闇の腹心》こと《腐食の荒馬》は攻撃するたびにアドバンテージを生み出すドローエンジンであり、軽量化されたこのデッキではライフ面でのリスクをほとんど負うことなく運用可能である。
除去呪文では《保安官を撃て》が目をひく1枚。追加の《喉首狙い》であり、互いに対象外をカバーし合うかたちとなっている。
以前までフィニッシャーを務めていた《黙示録、シェオルドレッド》に代わり、4マナ域にはカードアドバンテージの体現者こと《敵意ある調査員》が採用されている。戦場に出るだけで差し引き2枚分のカード差を生み、特に対コントロールに関しては《ヴェールのリリアナ》と良質なシナジーを形成する。
サイドボードに目を移すと《束縛の交渉術》がある。役割的には《強迫》の追加であるが、計画や出来事面を使用済みのカードまで対処してくれる対応範囲の広い手札破壊である。
今回紹介した構築はクリーチャーを召喚し、立ちふさがるブロッカーには単体除去を、その対象がないコントロールには《ヴェールのリリアナ》のコストに当てる無駄のない立ち回りが可能となっている。
ナヤ・トークン
1 《山》 2 《不穏な大草原》 2 《ジェトミアの庭》 3 《戦場の鍛冶場》 1 《眠らずの露営》 3 《日没の道》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《平地》 1 《ミレックス》 2 《銅線の地溝》 1 《剃刀境の茂み》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 4 《感動的な眺望所》 -土地(24)- 3 《復興の領事、ピア・ナラー》 4 《探索するドルイド》 1 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 3 《千番目の月、アニム・パカル》 4 《血滾りの福音者》 1 《勇敢な旅人、ケラン》 1 《マラメトの模範、クチル》 1 《怪しげな統治者、スクイー》 -クリーチャー(18)- |
4 《婚礼の発表》 3 《トーテンタンズの歌》 1 《戦導者の号令》 2 《放浪皇》 1 《焦熱の交渉人、ヤヤ》 2 《稲妻のらせん》 1 《毒を選べ》 2 《ゴバカーンへの侵攻》 1 《アニーの加入》 1 《邪悪を打ち砕く》 -呪文(18)- |
1 《邪悪を打ち砕く》 2 《兄弟仲の終焉》 1 《石術の連射》 1 《一時的封鎖》 2 《黄昏の享楽》 1 《宴の結節点、ジェトミア》 1 《怒りの大天使》 1 《大天使エルズペス》 1 《安らかなる眠り》 1 《焦熱の交渉人、ヤヤ》 1 《戦導者の号令》 1 《骨集めのドラコサウルス》 1 《太陽降下》 -サイドボード(15)- |
ナヤ・トークンは1枚で複数のクリーチャー・トークンを生成できるカードで横へ戦線を構築し、全体強化でバフをかけてビートダウンしていく中速デッキ。構造的に単体除去に強く、除去やプレインズウォーカーもあり、ねばり強く戦えるアーキタイプである。
《婚礼の発表》や《血滾りの福音者》、《千番目の月、アニム・パカル》を軸に頭数を増やし、攻防の拠点とする。《放浪皇》はボード構築、除去、戦線強化を一手でこなすパワーカードである。
《復興の領事、ピア・ナラー》とリソースを伸ばせる《探索するドルイド》、《焦熱の交渉人、ヤヤ》とのシナジーについても言及せねばなるまい。衝動的ドローなどの追放領域からプレイされたカードにクリーチャートークンがおまけで付いてくるわけだが、ガス欠に陥らずに戦力追加が見込める。しかも速攻が付くため、最後の数点のライフを詰める際にも役立つ点を忘れてはならない。
新しいカードでは《感動的な眺望所》以外に《アニーの加入》があげられる。除去効果に加えて、伝説のクリーチャーの誘発型能力を倍化させるエンチャントであり、具体的には《千番目の月、アニム・パカル》や《輝かしい聖戦士、エーデリン》、《怪しげな統治者、スクイー》と強烈なシナジーを形成する。攻撃してくるトークンの数が2倍となればライフもあっという間に0点を割ってしまうに違いない。
ゴルガリ・コントロール
3 《森》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 4 《死天狗茸の林間地》 3 《廃墟の地》 2 《地底の遺体安置所》 3 《眠らずの小屋》 7 《沼》 2 《ラノワールの荒原》 -土地(25)- 1 《懲罰者、ケアヴェク》 -クリーチャー(1)- |
3 《喉首狙い》 2 《長い別れ》 4 《切り崩し》 4 《豆の木をのぼれ》 4 《死人に口無し》 3 《極悪非道の盗人》 4 《不憫な悲哀の行進》 4 《強迫》 4 《略奪者の荷物》 2 《羅利骨灰》 -呪文(34)- |
2 《束縛の交渉術》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《不笑のソリン》 1 《中止 // 停止》 1 《掘り返し》 3 《温厚な襞背》 3 《危難の道》 2 《最深の裏切り、アクロゾズ》 -サイドボード(15)- |
ゴルガリ・コントロールは除去と手札破壊をベースにした、コントロール色の強いザ・黒というべきアーキタイプ。ゴルガリ・ミッドレンジを精鋭化させ、クリーチャーを減らしてコントロール寄りの構築としている。マナ加速はおまけ程度であり、色マナの安定化、高マナ域の運用のために採用されている。
《強迫》にはじまり、《長い別れ》や《喉首狙い》で戦場をクリアにしていき、《豆の木をのぼれ》でデッキを循環させていく。《不憫な悲哀の行進》は先のエンチャントとシナジーを形成するのみならず、貴重なライフ回復手段である。
《略奪者の荷物》は悪事を働くこととシナジーを形成するため、黒を基調としたこのデッキにマッチしたマナアーティファクト。色マナを安定させつつ悪事を働き、戦利品カウンターを蓄積させていく。手札破壊や除去として使った分のカードを補充してくれる利便性の高いアーティファクトなのだ。
ゲームがスローダウンし、マナが伸びてくればこちらの時間が始まる。ランダム要素の高いものの《極悪非道の盗人》はリソースを刈り取り、ときにはフィニッシャーともなり得るカードだ。相手のライブラリーの一部をわが物としてプレイできる。
純粋なフィニッシャーは《懲罰者、ケアヴェク》のみであり、これまた悪事と相性の良いクリーチャーである。デッキの構成上ひとたび悪事を働けば、マナとライフの続く限り連鎖的に墓地のカードを使用でき、さながら現代版《ヨーグモスの意志》といったところ。相手のリソースを根こそぎ刈り取ってしまえるカードパワーを秘めている。
グルール・ランプ
1 《乾燥地帯のアーチ道》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《逆棘の辺境林》 4 《魂の洞窟》 1 《商業地区》 4 《森》 4 《カープルーザンの森》 2 《山》 1 《不穏な尾根》 4 《落石の谷間》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(24)- 4 《早駆ける業火、カラミティ》 2 《宝物庫生まれの暴君》 3 《荒野無頼団の先駆者》 4 《棘林のアルマジロ》 4 《峰の恐怖》 4 《装飾庭園を踏み歩くもの》 4 《嘶くカルノサウルス》 -クリーチャー(25)- |
3 《兄弟仲の終焉》 4 《中心核の瞥見》 4 《密輸人の驚き》 -呪文(11)- |
1 《兄弟仲の終焉》 1 《強情なベイロス》 3 《毒を選べ》 1 《掘り返し》 2 《火山の悪意》 2 《地盤の危険》 1 《ティラナックス・レックス》 1 《向上した精霊信者、ニッサ》 3 《ウラブラスクの溶鉱炉》 -サイドボード(15)- |
グルール・ランプは土地を増やしてマナを伸ばしていき、早期に高マナ域のカードをプレイする戦略である。理想的な動きとしては2→4→6と4ターン目にして6マナ到達を目指すべく構築されている。4ターン目にプレイされる《早駆ける業火、カラミティ》や《嘶くカルノサウルス》はゲームを支配するだけのパワーを秘めている。
《中心核の瞥見》にはじまり定番の《装飾庭園を踏み歩くもの》、計画することで疑似的マナ加速としてしようできる《荒野無頼団の先駆者》が足場を支えるカードである。これらを駆使して6マナ=スタートラインに、いかに早くたどり着けるかが勝負の分かれ目となる。
最大の特徴としてはランプ戦略でありながら、一撃必殺のコンボを内蔵している点にある。6マナから《密輸人の驚き》をプレイしてクリーチャーを2体出すモードを選択し、《峰の恐怖》と《早駆ける業火、カラミティ》を登場させる。《峰の恐怖》の誘発型能力、騎乗しての戦闘により最大33点ものダメージが入るのだ。
また、土地が伸びるランプ戦略であるため放題も選び放題!となっている点も見逃せない。9マナあれば《密輸人の驚き》をトップデッキするだけで、切削次第とはいえ上記のコンボは決まる得る。急角度から決まるコンボほど恐ろしいものはなく、《密輸人の驚き》はこのデッキをただのランプ戦略とは一線を画したデッキへと発展させた立役者である。
上記のデッキはデッキテクでも詳細に語られているため、そちらも合わせてご覧いただきたい。
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