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マジックフェスト・千葉2019
2ndドラフト:瀧村 和幸の「完成度120%!白黒トークン」
瀧村 和幸は誰もが認める日本屈指のリミテッド・プレイヤーだ。グランプリ本戦前日となる金曜日に会場で開催された「シールド講座」では瀧村や石村信太郎、佐藤レイら「シールド・マスター」たちが講師となって有志にシールドの極意を伝え、多くのプレイヤーがシールド・ラウンドを好成績で突破している。そして教え子のみならず、自身もまた熾烈な争いの渦中にいた。
10勝1敗1分。9回戦のシールドと1stドラフトを終えて、瀧村はトップ8入賞を目指せる「ボーダーライン」の際に立っていた。いよいよスイス・ラウンド最後となる2ndドラフトの3回戦で、3-0(全勝)縛りだ。
勝ち切ることが求められるドラフトが、いまはじまる。
1パック目
- 1-1:《血に染まった祭壇》(候補《金縛り》)
- 1-2:《殺害》(候補《大胆な盗人》)
- 1-3:《捕獲する渦》(候補《貪爪》《網投げ蜘蛛》)
- 1-4:《苦しめる吸引》(候補《金縛り》)
- 1-5:《血の強盗》(候補《血の美食家》)
- 1-6:《深海艦隊の殺し屋》
- 1-7:《塩水生まれの殺し屋》(候補《不動の哨兵》)
- 1-8:《急報》(候補《牙の魔術師》)
- 1-9:《焼印刃》
- 1-10:《大隊の歩兵》
- 1-11:《天使の贈り物》
- 1-12:《天使の贈り物》
- 1-13:《予期》
- 1-14:《天使の贈り物》
- 1-15:《森》
1-1《血に染まった祭壇》からの1-2《殺害》と、速やかに「黒」への参入を決めた瀧村。1-8の《急報》や1-10の《大隊の歩兵》など、のちに「白黒トークン」というデッキを完成させるための布石をここで打っておく。
特に1-8は《牙の魔術師》などピックに値するカードもあった中での選択であり、「明確なキーポイント」の1つだろう。
2パック目
- 2-1:《血に染まった祭壇》(候補《大隊の歩兵》)
- 2-2:《庇護のグリフィン》(候補《雲族の予見者》《秘本綴じのリッチ》)
- 2-3:《苦悶の権化》(候補《空からの突撃》)
- 2-4:《骨まといの屍術師》(候補《大隊の歩兵》)
- 2-5:《夜明けの司祭》
- 2-6:《ロクソドンの生命詠み》(候補《大隊の歩兵》)
- 2-7:《療養所の骸骨》
- 2-8:《勇壮の時》
- 2-9:《大隊の歩兵》
- 2-10:《勇壮の時》
- 2-11:《空からの突撃》
- 2-12:《大隊の歩兵》(候補《鼓舞する突撃》)
- 2-13:《男爵領の吸血鬼》
- 2-14:《大隊の歩兵》
- 2-15:《狂った怒り》
再び《血に染まった祭壇》からスタートしたピックは、《苦悶の権化》《ロクソドンの生命詠み》というレアを受け入れつつ、基本は「白黒トークン」をベースにしたピックになっていく。
「2-9」以降、つまり敢えて一度自らの手で放流した《大隊の歩兵》3枚もすべて瀧村のもとへと里帰りしてきた。《大隊の歩兵》、怒涛の4枚体制だ。
3パック目
- 3-1:《急報》(候補《鼓舞する隊長》《浄光の使徒》《骨まといの屍術師》)
- 3-2:《死体騎士》(候補《療養所の骸骨》)
- 3-3:《急報》
- 3-4:《大胆な盗人》
- 3-5:《大胆な盗人》(候補《空からの突撃》)
- 3-6:《空からの突撃》(候補《骨まといの屍術師》《敬虔な命令》)
- 3-7:《鼓舞する突撃》
- 3-8:《鼓舞する隊長》
- 3-9:《浄光の使徒》
- 3-10:《療養所の骸骨》
- 3-11:《群れる猛犬》
- 3-12:《夜明けの司祭》
- 3-13:《まばゆい神盾》
- 3-14:《焦がし吐き》
- 3-15:《発火の力線》
すでに4枚もの《大隊の歩兵》を確保している瀧村は、その前後の2・4マナのカードを中心にピックしていく。中盤、《鼓舞する突撃》と《鼓舞する隊長》の2種類の「全体強化」カードを得たところで、メインデッキは完成の域に達した。
むしろ枚数的には明らかに「超過」しており、何を入れるかよりも何を減らすかに苦心して、最終的なリストの構築に挑んでいる様子もあった。
最終的に提出したリストには《大隊の歩兵》4枚、《急報》3枚、《大胆な盗人》2枚がメインデッキで採用された。
ひとたび瀧村の展開が始まれば、そのあふれる展開力・カードアドバンテージ力から「ガス欠」に至ることはほぼないだろう。むしろあふれすぎていて、デッキ内のシナジーも多い《療養所の骸骨》が減らされているほどだ。
瀧村「これ、相手はコンバットむずかしいよね」
加えて、一度戦闘が始まれば《急報》がコンバット・トリックと化し、その兵士・トークンをブロックすれば《深海艦隊の殺し屋》が「追撃」に現れ、ダメージは少ないからとトークンを生かしておけば《血に染まった祭壇》がそれを怪物のサイズに引き上げる。中終盤の軽量クリーチャーにも使い道が多いことは、明確に「強いリミテッドデッキ」の指標の1つだろう。
ドラフトとは思えないほど、デッキ内シナジーを豊富に持つ今回の「白黒トークン」。さらに昨日のシールド戦でも見せた「マッチ全体を捉えた構築」は健在だ。「赤白」や「赤青」のように軽量かつ飛行のクリーチャーで攻めてくる相手には《急報》や《大隊の歩兵》のようなアドバンテージが機能しにくいため、《天使の贈り物》で受けられる形も想定している。
もともと、この《天使の贈り物》はメインデッキ用のカードとして確保していたが、「他のカードがたくさん取れすぎて、入る枠なくなっちゃった」と、ユーティリティ・カードとしての役割としてサイドカードへと変更された。
サイドにはメインデッキにすでに入っている「2枚目」のカードも多く、特徴的なデッキを相手にするときにはよりクリティカルに刺さる構成に調整を「寄せる」ことができる。ケース・バイ・ケースを体現するデッキリストが決まったところで、構築終了のアナウンスが入った。
デッキリスト
9 《沼》 8 《平地》 -土地(17)- 1 《療養所の骸骨》 1 《死体騎士》 4 《大隊の歩兵》 2 《大胆な盗人》 1 《苦悶の権化》 1 《深海艦隊の殺し屋》 1 《庇護のグリフィン》 1 《鼓舞する隊長》 1 《骨まといの屍術師》 1 《ロクソドンの生命詠み》 -クリーチャー(14)- |
3 《急報》 1 《勇壮の時》 1 《空からの突撃》 1 《殺害》 1 《苦しめる吸引》 1 《鼓舞する突撃》 1 《血に染まった祭壇》 -呪文(9)- |
1 《森》 1 《まばゆい神盾》 1 《療養所の骸骨》 1 《焦がし吐き》 3 《天使の贈り物》 2 《夜明けの司祭》 1 《予期》 1 《浄光の使徒》 1 《血の強盗》 1 《塩水生まれの殺し屋》 1 《狂った怒り》 1 《勇壮の時》 1 《群れる猛犬》 1 《空からの突撃》 1 《男爵領の吸血鬼》 1 《発火の力線》 1 《血に染まった祭壇》 1 《捕獲する渦》 -サイドボード(21)- |
構築を終え、対戦テーブルに向かう瀧村は最後に、筆者に「応援しててよ」と笑って告げて去った。ともにピックの流れを見届けたものとして、瀧村と瀧村の「白黒トークン」の活躍を願っている。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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