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マジックフェスト・千葉2019
1stドラフト:藤田 剛史のピックを追う!~予想外のカードパワー~
「僕、2回しかドラフト練習してへんで! ホンマにいいん?」
殿堂プレイヤー、藤田剛史にドラフトピック取材のお願いをすると、藤田は苦笑いしながらも承諾してくれた。
藤田は初日を8勝1敗で終えており、上位テーブルである3番ポッドで1stドラフトを迎えている。練習量が少ないとは言うが、上位に残る長年の強豪プレイヤーのピックを見たくない人がいようか。
むしろ練習を重ねていないのであれば、その点を加味した上で藤田はドラフトピックの選択をどう行っていくのか。
特定の環境にとらわれないスキルを身に着けたい――これは松本友樹に限らず、皆が思っていることだろう。
そして、藤田であればその経験値は間違いなく抜群にあるはずだ。
果たして、藤田はどのようなピックを見せてくれるのだろうか。
1パック目
1――《シルバーバックの巫師》
他候補:《光り角の海賊》《新米紅蓮術師、チャンドラ》《血に飢えた曲芸師》
分岐点はいきなり1手目。事前に「引かへんかな〜」と言っていた「チャンドラ」シリーズの《新米紅蓮術師、チャンドラ》を引き当てるも、同時にゲームを決めるとまではいかないものの、十分に強力なレアである《光り角の海賊》を同時に開封する。
どちらかを取り、下家と競合を覚悟の上で赤に向かう選択肢もあったと思われるが、「今の自分のスキルで赤を制御する自信がなかった」と、緑の有力コモンである《シルバーバックの巫師》をピック。まさに現在の自分の状態を加味した上でのピックと言えるだろう。
2――《菅草の蠍》
他候補:《炎の一掃》《グレイブディガー》《大胆な盗人》《送還》
1手目で強力な赤のカードを流しているため、《炎の一掃》に手をかけることはなかった。《グレイブディガー》《大胆な盗人》という黒路線もあったかもしれないが、緑の主張を続ける。
3――《イーヴォ島の管理人》
他候補:《ケンタウルスの狩猟者》《ショック》《塩水生まれの殺し屋》《夜明けの天使》
ここでいったん、最強色の呼び声高い青に手をかける。《イーヴォ島の管理人》は飛行クリーチャーをデッキに多く採れれば、潤滑油として嬉しい1枚だ。
4――《庇護のグリフィン》
ここで白の飛行クリーチャーに手をかける。タフネス3が環境的に力強く、クロックとしても十分なグッドクリーチャーだ。
5――《グリフィンの歩哨》
ここも赤には手をかけず、白の飛行クリーチャーを。
6――《大隊の歩兵》
7――《成長周期》
他候補:《静寂の神殿》
他に取るものがなかったこともあるがとりあえず、緑の可能性も残すピック。
このカードが一周してきたことで「青が空いてそう」と実感したという。テンポを取れる、ありがたい1枚。
11――《夜明けの天使》
このパックは白が特段濃いようには見えなかったが、ダメージレースに強い中堅飛行クリーチャーをこの順目で! 白も空いている可能性が高い。
初手の選択で赤を諦め、緑白青のうちから今後の流れによって2色を選ぶ、といった形だろうか。とは言え、後半の流れを見れば白青が本線だろうか。
2パック目
1――《鼓舞する隊長》
他候補:《新米紅蓮術師、チャンドラ》《小走り犬》
2連続で《新米紅蓮術師、チャンドラ》を開封……! これには思わず藤田も頭を抱える。
1パック目からの流れで白のクリーチャーをピックするが、1パック目の初手と同様、カードパワーの寂しい初手となった。
2――《大気の精霊》
他候補:《金縛り》
求めていた青の強力クリーチャー! フィニッシャーとして十分な1枚。だが、藤田はこの後さらなるパワーカードを手にすることになる。
3――《暁の騎兵》
!!
1パック目で白が空いていそうなことは、筆者にも薄々感じ取れていたが、まさか3手目で最高ランクの神話レアが流れてこようとは……。他にこれに匹敵するカードがあるはずもなく、これをピック。
4――《空からの突撃》
他候補:《忠実なペガサス》
カードパワーは足りてきたが、低マナ域のクリーチャー数に不安が残っており、《忠実なペガサス》ではなく除去を選択。
ここでようやく嬉しい低マナクリーチャーをピック。《翼ある言葉》もあり、さらに枚数を重ねたいところだが……。
ブロッカーとしてはまずまず……だが、《忠実なペガサス》を考えると「それじゃない」感じはしてしまう。
序盤にパワーカードが相次いで流れてきたため、高マナ域に不安はなくなった。
低マナ圏クリーチャーの質も量も足りていない状況であり、3パック目でどこまで手に入れることができるか――
3パック目
1――《太陽の伝令》
他候補:《裏切りの工作員》
青の最高クラスのカードを開封! ノータイムでピックするかと思われたが、藤田は頭を抱える。《太陽の伝令》もまずまずのカードではあるが、さすがにカードパワーに差があるように見える……が、藤田の選択は《太陽の伝令》。
「ホントは、もっとデッキが軽くなる予定やってん」と藤田は後に語る。現状でもカードパワーは足りており、軽量の飛行クリーチャーを主体とするデッキであれば、7マナというマナ域は構想外になるのだろう。
とは言え、先述の通りカードパワーには差があるように見える。この判断が吉と出るか。
2――《暁の騎兵》
まさかの2枚目! しかも上下からのプレゼントだ。下2人と上1人は白をやっていないのだろう。1パック目に機微を感じ取った藤田が最高の恩恵を受ける。
3――《練達の接合者》
またしても白のグッドアンコモン。《大隊の歩兵》は1枚確保しているが、さすがにカードパワーに差があるか。
4――《北方の精霊》
他候補:《大都市のスプライト》
何もここで被らなくとも……。喉から手が出るほど欲しい青の低マナ飛行クリーチャー《大都市のスプライト》と、5マナ圏ながら最強コモン候補である強力な《北方の精霊》。
《大都市のスプライト》を取るかと思われたが、「青をやっている以上、《北方の精霊》は取らないと。出されたら負けうるカードでもあるから」と《北方の精霊》をピック。
5――《北方の精霊》
他候補:《ムーアランドの審問官》
2連続で、色の合っている低マナクリーチャーと《北方の精霊》が競合……。先ほどと同じ理由で《北方の精霊》をピック。
6――《霜のオオヤマネコ》
高いマナ域まで耐える構成になりそうなため、非常に嬉しい1枚。
7――《不動の哨兵》
8――《チャンドラの調圧器》
他に取るものもなく、《新米紅蓮術師、チャンドラ》も流しているためカット。
9――《空からの突撃》
除去自体は嬉しいのだが……欲しいのは低マナクリーチャーだ。
9 《平地》 8 《島》 -土地(17)- 2 《濠のピラニア》 1 《大都市のスプライト》 1 《霜のオオヤマネコ》 1 《グリフィンの歩哨》 1 《不動の哨兵》 1 《イーヴォ島の管理人》 1 《庇護のグリフィン》 1 《練達の接合者》 1 《予言ダコ》 2 《北方の精霊》 2 《暁の騎兵》 1 《大気の精霊》 1 《太陽の伝令》 -クリーチャー(16)- |
1 《送還》 1 《予期》 1 《勇壮の時》 1 《龍火の薬瓶》 2 《空からの突撃》 1 《翼ある言葉》 -呪文(7)- |
2 《忠実なペガサス》 1 《無謀な空襲》 1 《菅草の蠍》 1 《魂癒し人》 1 《チャンドラの調圧器》 1 《解呪》 1 《成長周期》 1 《物語の終わり》 1 《大隊の歩兵》 1 《混迷》 1 《巻き込み》 1 《楽園の贈り物》 1 《自然な最期》 1 《鼓舞する突撃》 1 《鼓舞する隊長》 1 《ケルドの略奪者》 1 《ヤロクの波壊し》 1 《夜明けの天使》 1 《シルバーバックの巫師》 1 《鱗剥ぎの捕食者》 1 《思考のひずみ》 -サイドボード(22)- |
藤田「いやー、予想外にカードパワーが高かったね。結果的に重くなってしまったわ。ホンマはもっと軽くなる予定やってんけど。こうなるんやったら2-1は《小走り犬》を取るべきやったし、3-1も《裏切りの工作員》やわ」
白青であれば、軽〜中量級の飛行クリーチャーによるビートダウンが理想だったはずだが、予想以上に高マナ域のパワーカードが流れてきたため、2マナ圏に《濠のピラニア》が2枚。結果的に《忠実なペガサス》をデッキから抜かざるを得ない形となってしまった。
藤田「色拘束が厳しいから、嫌いやけど《予期》入れたり、《翼ある言葉》とか《予言ダコ》で土地を探しに行く形やね」
と語るとおり、5マナには{W}{W}{W}と{U}{U}が同居しており、色の縛りも大きな影響を与えそうだ。
とは言え、2枚の《暁の騎兵》のカードパワーは抜群だ。序盤を耐え、後半になればそれらが間違いなく生きてくるはずだ。
「まあ……全敗はしないと思うけど、弱いね」と語るが、果たしてどのような結果になるのだろうか――
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