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マジックフェスト・千葉2019

観戦記事

第11回戦:Han, Bing(中国) vs. コジマ ヨシフミ(東京)~土地6枚キープで戦い抜け!~

今泉 陸

 マジックフェスト・千葉2019、グランプリ本戦は2日目を迎えた。

 リミテッド環境のグランプリでは、日を跨ぐとデッキが変わる。シールドからドラフトへ。

 開封したカードのみでプレイするシールドと、自分でカードを選択できるドラフトでは異なる力が必要になる。

 しかし、第11回戦までを「全勝」の快挙で進む彼らの実力は疑いようもない。

 「コジマワークス」としてマジックの配信活動を続けるコジマと、はるばる中国からやってきたハン。ここまで10勝0敗でトップ8入りを目指す、実力者同士の激突だ。


ハン・ビン/Han, Bing vs. コジマ ヨシフミ

 この試合、コジマは土地6枚の手札をキープする。

 その真意はどこにあるのか、ゲームを追っていこう。

ゲーム1

 注目のゲーム1はシーソーゲームと相成った。ターンごとに一変する彼らの試合に目が離せない。

 スタート地点はお互いに《》を置くところから。ハンが《平地》から《ムーアランドの審問官》《網投げ蜘蛛》と口火を切ると、コジマは《》から3ターン目に《楽園の贈り物》をプレイした。

 対戦カードは緑白 vs 緑黒。後手かつクリーチャーを出せないコジマは、展開で後れを取っている。

 その隙を見逃すまいと攻めに行くハンだが、次なる土地は《進化する未開地》。些細にも思える「タップ・イン」のデメリットだが、序盤には大きく響く。仕方なく《浄光の使徒》を追加した。

 一方、順調に5マナを揃えたコジマは《枝葉族のドルイド》+《はびこる精霊》。いきなり3/2と1/4のクリーチャーを作りあげ、盤面の固定をもくろんだ。

 ここから、本格的なシーソーゲームに突入する。

 ハンが《輝き森の追跡者》《茂み壊し》を送り出しても、コジマは《復讐に燃えた戦長》《苦しめる吸引》で盤面の均衡を崩さない。

 しかし、コジマが《ヤロクの沼潜み》でハンの《マンモスグモ》を奪い去ると、ようやく5枚目の土地を引いたハンから《シルバーバックの巫師》が現れた。

 土地を置き続けているコジマの手札はすでに1枚。ハンの《シルバーバックの巫師》の攻撃を《ヤロクの沼潜み》が捕らえ、有り余ったマナで打ち取った。ハンにシーソーが傾くことをかたくなにコジマが阻止している。

 なお、トランプルでコジマにダメージが入ったことにより、《復讐に燃えた戦長》が成長を始めるものの、《浄光の使徒》の監視の中では動けないままだ。

 またも盤面は固まったように思えたが、ハンの手札から現われたのは《貪爪》。

 だが、コジマも大きく局面を変えるカードを繰りだした。《腐れ蔦の再生》だ。緑黒デッキのキーカードともいえる強力なエンチャント。ハンの顔に緊張の色がさす。

 さらにコジマは《狼乗りの鞍》を2枚展開。手に入れた狼・トークンは《貪爪》との戦闘を経て、《腐れ蔦の再生》で新たなカードに生まれ変わる。このままカードを回転させ、勝利に一歩近づいていけるだろうか。

 戦況はコジマ側に傾き始めたかに思えたが、まだまだハンは主導権を手放さない。《隕石ゴーレム》で《腐れ蔦の再生》を排除すると、《茂み壊し》《浄光の使徒》を追加。

 コジマは虎の子の《覚醒根の精霊》で応戦するが、《輝き森の追跡者》からの《絞首された処刑人》で、すぐさま退場を迫られる。最後の抵抗で《》を5/5に変え、これを《貪爪》との相打ちに使用する。

 ここでゲームの模様が一変。最後の引き金を引いたのはコジマだった。

 《血に染まった祭壇》でデーモンを生成すると、続けてコジマのもとに《大食のハイドラ》が18/19の巨体で降臨する!

 勝敗は決したか。コジマが繰り出したカードは環境でも屈指の強力な2枚だった。

 しかし、彼が勝利すると思われた瞬間、ハンは自分のクリーチャーをすべて戦闘に送り込んだ。

 コジマはブロック・クリーチャーを指定する。しかし、どう考えても足りなかった。コジマの残りライフは8。これを防げるだけのブロッカーは彼のもとにいない。

 勝ったかのように思えた瞬間、ハンの牙がコジマの喉笛を切り裂いた。

ハン 1-0 コジマ

 ミスではない。コジマは試合後に教えてくれた。

「《大食のハイドラ》で相手のクリーチャーを除去する選択肢もありました。それでも相手の飛行クリーチャー(《絞首された処刑人》のスピリット・トークンと《庇護のグリフィン》)をすべて止めるのは不可能ですし、除去をしてもライフを削り切るまでに時間がかかります。(いずれ負けてしまう状況だったので)カウンターを倍加させて、相手の『見逃し』を期待したんですけど、やっぱり上位卓だとそんなことはないですね」


コジマ ヨシフミ

 《大食のハイドラ》で除去を選択しても間に合わない。ハンの首元にコジマの牙が届くのには、あまりに時間がかかりすぎたのだ。


ゲーム2

 ゲーム1の拮抗した試合に比べると、ゲーム2の攻防は印象的だ。

 後手のハンが3ターン目に《網投げ蜘蛛》を最初のクリーチャーとして展開する傍ら、先手をとったコジマが《枝葉族のドルイド》から《茂み壊し》とパワフルな展開を見せつける!

 ハンは顔を曇らせ、飛びかかる《茂み壊し》をその体で受け止める。挽回のチャンスを狙うハンに、コジマは《狼乗りの鞍》で追撃!

 圧倒的優位に立ったかに見えるコジマだが、よく見れば土地が3枚しか並んでいない。《枝葉族のドルイド》のおかげで展開できてはいるが、いつカードをプレイできなくるかわからない、薄氷の上の優位だ。

 挽回の芽を探すハン、《輝き森の追跡者》と《網投げ蜘蛛》のダブル・ブロックで《茂み壊し》を撃ち落とし、《茂み壊し》《マンモスグモ》で戦線強化を図った。

 しかし、抑えつけたかに見えたハンの戦線を、コジマが《苦しめる吸引》《大食のハイドラ》で崩壊させると、ハンは潔く3ゲーム目に進んだ。

ハン 1-1 コジマ


ゲーム3

 マッチの勝敗がかかったこの試合、ここでコジマは土地6枚の手札をキープする。手札に唯一残された呪文は《大食のハイドラ》だ。

 序盤にプレイできるカードは事実上ない。一見するとすぐにゲームを終わらされてしまいそうな手札だが、試合後にコジマは語った。

「対戦相手のデッキに強いカードが入っていなさそうで、ゲームが長引くと思ったことが、キープの理由のひとつです」

 ゲーム1で繰り返し起動された《輝き森の追跡者》の能力で、デッキの全容はおおむね把握されている。ハンが繰り出すクリーチャーのパワーは2点程度のものが多く、確かにスローゲームを期待できそうだ。

 しかし、ハンが2ターン目に呼び出した《樹皮革のトロール》でコジマの目論見は打ち砕かれた。

 事実上「呪禁」能力持ちの2マナ3/3クリーチャー。3ターン目には《網投げ蜘蛛》まで追加されてしまう。

 スローゲームなど望めない5点のダメージソース。未来の《大食のハイドラ》の出番に、コジマは間に合うだろうか? あるいはこのまま殴り切られてしまうのだろうか?

 そんなことはない。3ターン目に追加された《土覆いのシャーマン》が《樹皮革のトロール》を打ち取った。

 一転、土地が止まったことにより攻め手を失ったハン。力弱く《浄光の使徒》を追加。

 コジマは淀みなく土地をプレイし続ける。試合後、そのキープについて「土地が詰まる可能性を避けたかった」とも語っていた。

 5マナを揃え、満を持して《大食のハイドラ》を呼び出すと、《浄光の使徒》を撃墜する!

 ハンはいまだ土地を引けないものの、《枝葉族のドルイド》を追加。すでに攻め手と受け手は交代している。ハンは間に合うだろうか。

 コジマはさらに《狼乗りの鞍》で盤面を固めに行く。潤沢なマナを持つ彼にとって、装備品は利用価値の高い1枚だ。

 一方のハン、ようやく土地を引いて5マナ整えた。《マンモスグモ》の登場だ。派手な打点はないが、ゲームの長期化に一役買う強力なブロッカー。突破は不可能と、コジマは《狼乗りの鞍》を《大食のハイドラ》に装備して終了。

 ハンは間に合った。


ハン・ビン

 手札から《ムーアランドの審問官》に《庇護のグリフィン》。堰を切ったように飛び出していく。

 一方のコジマは、初手の目論見通り(《大食のハイドラ》に)間に合ったのは良いものの、想定外に土地を引き続ける。毎ターン土地を置きながらも、3枚もの土地を手札に抱えてしまっていた。

 再び主導権はハンのもとへ。《隕石ゴーレム》で《大食のハイドラ》を撃ち落とすと、すべてのクリーチャーを攻撃へ送る。《庇護のグリフィン》が《殺害》されるものの、ハンの攻め手を止めるにはあまりに小さな堰でしかない。

 なんとか《苦しめる吸引》で《隕石ゴーレム》を止めたコジマ。しかし、立ちはだかるのはハンの《貪爪》だ!

 《吠える巨人》+《狼乗りの鞍》+狼・トークンで《貪爪》撃破の起死回生を狙うも、《解呪》によって相打ちに終わる。もはや覆らない盤面。ラストアタックを突き付けたハンに、コジマは右手を差し出した。

ハン 2-1 コジマ


 惜しくも敗れたコジマだが、土地6枚+《大食のハイドラ》のキープについてコメントを残してくれた。

「まずはゲームが遅くなると思ったこと。それから、土地を詰まらせたくなかったことがキープの理由です。このデッキ、実は重いカードばかり入っているんですよ」

 コジマのデッキには、2マナのカードは《枝葉族のドルイド》と《ヤロクの沼潜み》の2枚しか入っていなかった。基本的には3マナのカードが初動になるデッキだったのだ。

 土地が詰まるリスクをはらんだマリガンよりも、6枚の土地が約束された初手のほうが価値が高い。コジマの真意はそこにあった。

「実は、もともと青をドラフトしようと思っていました。それでも結局デッキにならず、緑黒のデッキになったんです

 コジマは自身のドラフト・デッキを不本意そうに説明する。狙い通りのピックができなかったようだ。しかし、その指針からはやりこみを感じさせる。

「青はあえて、はじめのうちからピックしていきます。レアを除くと、初手から5手目までに取りたいカードは青には少ないんです。だからあえて序盤からピックしていくことで、他の人の参入を防ぐんです。今回、ファーストピックは《幽体の船乗り》でした」

 あえて序盤から。人気色として名高い青だが、それを積極的に取ることでポジションを持つ。初日全勝の実力は伊達ではないのだ。

 「まだ1敗ですから」とコジマは席を立った。

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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