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グランプリ・シンガポール2018

インタビュー

インタビュー:瀧村 和幸 ―世界で戦う男の、大きな目標―

Kazuki Watanabe

 半年ぶりにシンガポールで開催された今回のグランプリには、多くの日本人プレイヤーも参戦している。

 初めて海外のグランプリに参加したものも居れば、渡辺 雄也、八十岡 翔太をはじめとする殿堂プレイヤーもいる。どうやら、久しぶりにトーナメントシーンに戻ってきたプレイヤーもいるようだ。

 そして、つい先日、世界の舞台で華々しい戦績を残した彼も、日本から遠く離れたこの地に姿を見せている。

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 BIG MAGIC所属、瀧村 和幸

 先日開催されたプロツアー『ドミナリア』でトップ8入賞を果たし、同時にゴールドレベルを確定させた。しかし、そこで足を止めることなく、瀧村は日本を離れ、このシンガポールの地で新たな戦いに挑んでいる。

 祝福の言葉を届けるとともに、プロツアーに向けた練習の日々と、これからの目標について伺ってみよう。

プロプレイヤー、瀧村 和幸

――改めまして、プロツアートップ8入賞おめでとうございます。

瀧村「ありがとうございます!」

――同時に、ゴールドレベルも達成されたんですよね?

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瀧村「そうですね。ひとつ目標を達成できました。この目標に向けて、プロツアーではとにかく集中できていたんですよ。自分でも『思考がクリアだな』と思えたくらいに」

――何か理由はあるのでしょうか?

瀧村「特にないんですよ、残念ながら。ただ、本当に時々なのですが、そういうタイミングがあるんです。『集中できているな』『今日はしっかりと考えられるな』と。もちろん、練習の成果もありますけどね」

 

プロツアーに向けた日々を振り返る

――では、プロツアーに向けた練習を振り返っていただきたいのですが、今回はどのように準備をされたのですか?

瀧村「練習時間のほとんどは、ドラフトに費やしました。この期間は、ひたすらドラフトをしていましたね。」

――スタンダードよりも、ドラフトを優先したわけですね。

瀧村「そうですね。これは、プロツアーの開催時期が少し遅かったから、というのも大きいですね。『ドミナリア』が発売されて、世界中のプレイヤーがスタンダードに打ち込みますよね? そうなると、環境が固まってくるんですよ。」

――たしかに、プロツアーでも目新しいデッキはほとんどなかったような印象がありますね。

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瀧村「そうですよね。それが分かっていたので、新しいデッキを生み出して持ち込むことよりも、強いデッキを強く使うことに練習時間を割いた方が良いかな、と。なので、大会の結果を確認して強いデッキを探しつつ、ドラフトに時間を注ぎ込んだ形ですね」

――練習は、やはりMagic Onlineが中心ですか?

瀧村「そうですね。もちろん、Magic Onlineの経験をリアルのドラフトに落とし込む必要もあるので、チーム『曲者』のメンバーと情報交換をしながら、実際のドラフトもプレイして、練習を積み重ねていきました。ドラフトに関しては中村 修平さんもいるので、安心して練習に打ち込めましたね」

 
チーム『曲者』

――なるほど。スタンダードに関してはそれぞれデッキの好みがあると思うのですが、どのように進めていたのですか?

瀧村「みんなが王道というか、明確に強いデッキを探して研究してくれるので、僕はトップメタではないデッキを試すことが多いですね。少し珍しいデッキを中心に触ってみました。例えば、青緑《王神の贈り物》のようなデッキです。取りこぼしがないようにいろいろなものを試すのですが、これはドラフトでも同じなんですよ」

――トップメタではないアーキタイプをやってみる、ということですか?

瀧村「そうですね。そういったあまり研究されてない部分をやってみることで、得られるものもあるんです。『あ、この動きは気をつけなきゃならないな』『あのカードは、違うアーキタイプでも活かせるかもしれないな』といった風に。チームで情報を共有しながら練習すると、自分だけでは得られない視点を得ることができるんですよね。これからも仲間と助けあいながら、活かしていきたいと思っています」

 

瀧村の、大きな目標 ー世界の舞台で、精一杯楽しむためにー

――では、瀧村さんのこれからの目標についてお聞かせ願えますか?

瀧村「小さい目標で言うと、『11勝5敗で終えて、次のプロツアーの権利を取る』というのがプロツアー『ドミナリア』の目標だったんです。それからグランプリに何度か出て、プロポイントを上乗せして、ゴールドレベルを達成できれば良いな、と。ですが、大きく上回ることができたので、当面の目標は達成できたんですよね。これでまた、プロツアーに出場することができます」

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瀧村「とにかく、プロツアーという場で戦いたいんです。『マジックという媒体で、精一杯楽しみたい』というのが僕の大きな意味での目標なんですよね。プロツアーのような高いレベルの戦いに身を置いて、楽しみたい。楽しむためには、勝たなければならないし、そもそも出場できなければなりません。ゴールドレベルを目標としたのも、プロツアーに参加できるから、ですからね」

――なるほど。「世界の舞台で戦い、勝利する」というのは、これからも変わらない目標なのですね。

瀧村「変わらないと思います。戦い続ける、というのは本当に大変です。それでも、プロツアーは本当に楽しい場所なので、これからも出場し続けたいですね」

――では、読者に……特に、プロツアーを目指すプレイヤーに向けて、メッセージをお願いいたします。

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瀧村継続は力なり。使い古された言葉かもしれませんが、最近、僕が実感している言葉です。大会に参加し続けて、メタゲームを追いかける、というのはかなり大変ですよね。僕自身も、長距離を移動してグランプリやプロツアーに参加する、という生活を『辛いな』と思ったことが何度もあります。ですが、続けていれば実力も付きますし、僕が今回のプロツアーで味わったような『今日は集中できているな』という日に巡り合うこともあるはずです。なので、諦めずに。僕も頑張るので、一緒に頑張っていきましょう」

――ありがとうございました。この後も頑張ってください!

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