EVENT COVERAGE

グランプリ・静岡2018(スタンダード)

戦略記事

デッキテク:原根 健太の「地図ミゼット・コントロール」

伊藤 敦

 グランプリとはそれ自体一回性のイベントであり、多くのプレイヤーにとっての目標はトップ8やプロツアーの参加権利、賞金などだが、サイクル単位でプロポイントを継続的に獲得し続ける必要があるために通常のプレイヤーよりもグランプリへの参加頻度が圧倒的に高いプロプレイヤーたちにとっては、「次のグランプリに参加する自分に対して何らかの戦略的成長・成果を持ち帰ること」もまた目標となりうる。

 ゴールドレベルプロ・原根 健太の場合は特にそれが顕著だ。プロプレイヤーとして長期的に成長するために、「イベントに参加する際には常に何らかの仮説についての検証材料を得るべき」ということを、己に対して課している。

 そして、そんな原根が今回のグランプリ・静岡2018に参加するにあたって選択したデッキは、宝物の地図》と《パルン、ニヴ=ミゼット》を主軸に据えた青赤白の3色コントロールだった。

 はたして原根はいかなる仮説でもってこのデッキ選択に至ったのか。これについて、インタビューをお願いしてみることにした。

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−−「今回、この『《宝物の地図》+《パルン、ニヴ=ミゼット》』の動きを主軸にしたコントロールというデッキ選択にたどり着いたのは、どういった経緯からでしょうか?」

原根「ベースは、グランプリ・ミルウォーキー2018でエイドリアン・サリバン/Adrian Sullivanが優勝したデッキになります。まずこのデッキは、一週間前の時点ではベストデッキだったんですよ。Magic Onlineでもすごく勝率が良くて。というのも、そのあたりまではオーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwaldが使用していたような青赤フェニックスが大流行していて、このデッキはそれに対してとても相性が良いんです。青赤フェニックスは先出しされた《パルン、ニヴ=ミゼット》に対してほとんど解答がないんですが、このデッキは《パルン、ニヴ=ミゼット》を一番強く使えるデッキですからね」

−−「ところが、ここ一週間で状況が変わってしまったと」

原根「一週間前にMOCSのマンスリーイベントがあって、そこで勝っていたデッキ、主に白単と黒緑ですが、それらのデッキタイプがこのデッキにとって厳しい方向に変化していたんです。白単だと《追われる証人》が採用されていたり、黒緑だと《真夜中の死神》がメイン採用された上で《ビビアン・リード》も3枚固定で、《殺戮の暴君》が2枚に減ってより多角的な攻め方になってきていて、コントロールが対応できないようになっていたり。時には《疫病造り師》とかまで入っていたりするので、2日くらい前から急に全然勝てなくなってしまいました」

−−「それでも、そのままこのデッキを使用することに決めたわけですよね。それはどうしてでしょうか?」

原根「一つは、過去の経験からグランプリの参加者たちはそこまで敏感にデッキの構成を変えないだろう、と思ったこと。やっぱりみんな練習したデッキを使いたいので、慣性が働いてデッキを急に乗り換えたりはしないんですよね。以前グランプリ・シアトル2018のときに、メタの裏をかいた《王神の贈り物》を持ち込んで痛い目を見たので、今回は同じ轍を踏まないようにしたんです」

原根「そしてもう一つの理由は、実は僕、大きなイベントでコントロールデッキを使ったことがなかったんですよね。ただそれだといつまで経っても選択肢に入れられないままなので、このあたりで一皮剥けようと思い立って、このデッキの使用を決めました」

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−−「そういうことなんですね。では次に、グランプリ優勝レシピからどのような調整を行ったのかについてお聞かせください」

原根「まずグランプリ優勝のレシピは《奇怪なドレイク》と《再燃するフェニックス》が合わせて3枚入っていて《潜水》が腐らないようになっているんですが、回してみると『別にこいつらに《潜水》を打ちたいシチュエーションがないな』と思って。それでいっそのこと全抜きして、クリーチャーは《パルン、ニヴ=ミゼット》4枚に対して《潜水》が2枚入っているという一見バグみたいなバランスになりました(笑) 《否認》とかの方が良い可能性もありますが、今のスタンダードは自分も相手もマナ的にギリギリの攻防が求められることが多く、《潜水》の1マナという軽さがやはり求められているなという印象だったので、その点は今のところ悪い感触ではないです。まあ、たまに《呪文貫き》《潜水》《発展+発破》と土地4枚みたいな『マジ?』っていう手札が来ますけど(笑)」

原根「それから、サイドボードは結構がっつり変えて、《再燃するフェニックス》を4枚採用しているところが特徴です。一般的なジェスカイはゴルガリに対してサイド後に《絶滅の星》を撃つことが多いですが、最近は《真夜中の死神》がメインサイド合わせて4枚入っていて、そこにプレインズウォーカーなども合わせてプレッシャーをかけてくるので、《絶滅の星》のプランはすでに対策されてしまっているんですよね。あと《疫病造り師》や《最古再誕》で《パルン、ニヴ=ミゼット》が狙い撃たれることなどもありますし。なので、サイド後は思いきって《パルン、ニヴ=ミゼット》と《潜水》を全抜きして《再燃するフェニックス》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》で勝つプランにしました」

原根「そして最後に、コントロールデッキはふんわり使っても勝たないと思っているので、今のスタンダードの主要なデッキタイプ9つ……ゴルガリ、イゼット、白単、白赤、ビッグレッド、赤単アグロ、セレズニア、青黒、青単……に対して、サイドインアウトをすべてきっちりと作ってきました

−−「かなり練りこまれたんですね」

原根「そうですね、めちゃくちゃ時間かけました。あまりに時間をかけすぎた結果、保険として乗り換える先のデッキがなくなってしまったほどです(笑) 本当はこのデッキがダメだったらプロツアーでチーム武蔵として調整したセレズニアにしようかと思っていたんですが、どの道ゴルガリのポジションが上がってくるときついということに気づいて、それなら時間をかけたこっちでいいだろう、という感じです」

−−「ありがとうございました」


 初日は7勝1敗と好成績で折り返した原根。このまま2日目も、《パルン、ニヴ=ミゼット》とともに駆け抜けることができるか。

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原根 健太
グランプリ・静岡2018(スタンダード) (2018年12月1日〜12月2日)[MO]
5 《
4 《断崖の避難所
4 《氷河の城砦
4 《聖なる鋳造所
4 《蒸気孔
4 《硫黄の滝
-土地(25)-

4 《パルン、ニヴ=ミゼット
-クリーチャー(4)-
2 《発展+発破
4 《選択
2 《潜水
1 《呪文貫き
4 《宝物の地図
2 《溶岩コイル
2 《封じ込め
2 《中略
1 《裁きの一撃
4 《轟音のクラリオン
2 《イオン化
1 《薬術師の眼識
1 《残骸の漂着
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー
-呪文(31)-
2 《苦悩火
2 《否認
1 《神聖の発動
4 《再燃するフェニックス
2 《イクサランの束縛
1 《残骸の漂着
2 《黎明をもたらす者ライラ
1 《浄化の輝き
-サイドボード(15)-
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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