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グランプリ・静岡2018(スタンダード)

戦略記事

グランプリ・静岡2018(スタンダード)2日目開始時点での7勝1敗以上のメタゲームブレイクダウン

Moriyasu Genki

 グランプリ・静岡2018(スタンダード)は2日目を迎えた。

 1日目8回戦を終えての全勝者は13人。

 彼らを含めた8戦7勝1敗(21点)以上のプレイヤーのうち、デッキタイプが判明した「102」個のデッキたち。彼らの使用デッキを使用者数の多い順に並べ、2日目の上位卓ではどのようなメタゲームが形成されたのかを確認してみよう。

 各デッキの簡単な説明とともに、内訳を見比べてほしい。

使用人数一覧

アーキタイプ 使用者数
緑黒系 30人
赤青系 18人
赤青白系 15人
白単系 12人
赤単系 10人
緑白系 10人
青黒系 7人

各デッキ紹介

緑黒系 30人
  • 「ゴルガリ・ミッドレンジ」

殺戮の暴君》をマナカーブの頂点にしている緑黒のミッドレンジ。

 《ラノワールのエルフ》《僧帽地帯のドルイド》を採用するマナ・クリーチャー型と《マーフォークの枝渡り》《翡翠光のレインジャー》を採用する探検型に分かれている。

 使用者30人をかぞえ、前情報通りの最大勢力となった。

 《野茂み歩き》によって赤単系や白単系の高速ビートダウン相手にライフを守り、《ビビアン・リード》によって《弾けるドレイク》にも対応できるオールレンジな戦い方が評価されたようだ。

赤青系 18人
  • 「イゼット・ドレイク」

 《弾けるドレイク》の能力を最大限活用する赤青の墓地参照系のコントロール・コンボ。

 《奇怪なドレイク》や《弧光のフェニックス》の採用・不採用など幅広い。(その他の呼称:イゼット・スペル、イゼット・フェニックスなど)

  • 「イゼット・ドラゴン」

 《火の血脈、サルカン》や《ドラゴンの財宝》といったドラゴン・シナジーのカードを中心に、《厄介なドラゴン》などの優秀なドラゴンを採用したミッドレンジ。

 使用者数自体はごく少数であったようだが、高い勝率を記録している。

 ほとんどがドレイク型だがドラゴン型も登場してきており、こちらも最近の状況から変わらず二番手の人気を示した。軽量・中量級の除去で一番手の緑黒系にも強い立ち回りが可能だが、《ビビアン・リード》や《殺戮の暴君》などから攻め返されることも多い。

赤青白系 14人
  • 「ジェスカイ・コントロール」

 《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《パルン、ニヴ=ミゼット》を勝ち筋にするパーミッション(打ち消し)系のコントロール。

 《轟音のクラリオン》+《弾けるドレイク》のパッケージを採用している形も多い。(その他の呼称:クラリオン・ドレイクなど)

  上記赤青系の派生である場合と青白系の派生である場合で採用カードが変わるが、ゲーム序盤では判別が難しいことが多い。《轟音のクラリオン》の採用によって高速ビートダウンへの耐性は非常に高い。(※青白純正2色のコントロールもここに含めている。)

白単系 12人
  • 「白単ビートダウン」「白タッチ赤」

 《軍団の上陸》などからアタッカーを展開しつづけるウィニー・ビートダウン。

 《英雄的援軍》《実験の狂乱》のために赤をタッチしている場合がある。

  • 「ボロス」「ボロス・エンジェル」

 《軍勢の切先、タージク》、《正義の模範、オレリア》など強力な赤白のカードを採用した、均等赤白2色のミッドレンジ。

 特に「エンジェル」とつく場合は《正義の模範、オレリア》の他、数種の天使・クリーチャーが採用されている。

 赤単系と等速に近いゲームスピードと継戦力を持ち、火力よりクリーチャー展開を優先している。赤単系、緑白系より使用者が多いこともさることながら、全勝ラインにも数人を送りこんでおり明確な「勝ちデッキ」の1つのようだ。

赤単系 10人
  • 「赤単/モノレッド」

 《遁走する蒸気族》+《実験の狂乱》でカードを補填しつつ高速ビートダウンを仕掛ける環境最速デッキ。

  • 「ビッグレッド」

 《厄介なドラゴン》《再燃するフェニックス》など中盤に強いクリーチャーを厚くし、中期・長期戦を戦うことを前提にした赤単色のミッドレンジ。上記「イゼット・ドラゴン」の類型。

 《実験の狂乱》によってアクションの総数が増え、《ショック》や《稲妻の一撃》など豊富な火力をプレイヤーに打ち続ける「バーン」戦略で盤面に関わらず最後の数点を削りきることが可能になっている。

 高速かつロングゲームにも局地的に対応できる点で今回も多くのプレイヤーが選択した様子だが、一時の人気より大分落ち着いている。

緑白系 10人
  • 「セレズニア・トークン」

 《協約の魂、イマーラ》や《不和のトロスターニ》、《大集団の行進》といったトークン生成に長じるカードを多く採用したミッドレンジ。

 生成されるクリーチャーの多くが絆魂や警戒を持つため序盤のライフレースも得意であり、白単系・赤単系に対して強みを持つ。

 また《ビビアン・リード》や《殺戮の暴君》といった緑黒系でも採用されるカードも多い。

 白単系、赤単系ほど早いゲームスピードを持たないが1枚で複数体を展開するカードが非常に多く、いわゆるトップ勝負になった際に強いことが多い。

青黒系 7人
  • 「青黒(ディミーア)・コントロール」
  • 「青黒赤(グリクシス)・コントロール」
  • 「青黒白(エスパー)・コントロール」

 いずれの場合も《ヴラスカの侮辱》といった優秀な黒の除去を中心に、打ち消し呪文やドローを進めてパーミッション要素やボードコントロール要素を持つ。除去やフィニッシャーの選択から赤や白がタッチされていることも多い。

 このアーキタイプでは、赤青白系で軸となる《轟音のクラリオン》ではなく《黄金の死》が採用されている。影響する範囲は狭くなっているものの、《アダントの先兵》を確実に対処できる点や終盤では一方的に影響を与えられる点などの違いは大きい様子だ。

総評

 これまで通り「ゴルガリ・ミッドレンジ」と「イゼット・ドレイク」を中心にしていることは間違いないようだ。そこへ《轟音のクラリオン》を用いるコントロール、そして単体除去に強い側面をもつビートダウンデッキ群が続いている。

 『ラヴニカのギルド』発売から2か月が経ち、スタンダード環境としては成熟をみせてきている。「見知らぬデッキ」が勝ち進む姿はあまり見受けられない様子だが、環境が煮詰まってきたからこそ各デッキも細部が調整されてゆく。

 特に《轟音のクラリオン》はその柔軟性のある効果から能動的にクリーチャーを展開する「ボロス・エンジェル」などにも採用されており、《弾けるドレイク》《殺戮の暴君》ともども今グランプリを代表する1枚と言えるだろう。

 また今回集計できなかったデッキタイプとして、「青単アグロ」の存在も補足しておきたい。

 ブロックされない《霧まといの川守り》や飛行クリーチャーに《執着的探訪》をエンチャントすることで打点とカードアドバンテージを同時に稼いでいくビートダウンデッキだ。

 最近の大会でもメタゲームの一角をなしているデッキであるが、今回は6勝2敗ラインに固まっていて集計の対象外になった。

 これらの分布を参照していただき、今後のグランプリの模様と今期のスタンダードをあらためて楽しんでほしい。

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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