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グランプリ・京都2016

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原根/松本/平見チームにインタビュー!

By Hiroshi Okubo

 プレイヤーの数だけ人生があり、チームの数だけドラマがある。

 何をもって人は人とチームを組むのか。楽しむため、勝つため、自らの腕を磨くため......その理由ひとつ取っても、そこには物語が詰まっている。

 さて、ここではある1つのチームの物語をご紹介したい。


 原根 健太(東京)。Hareruya Prosに所属する彼は、マジック歴わずか半年という驚異的な成長速度でグランプリ・静岡2015で11位に入賞し、続くレガシーのグランプリ・京都2015でトップ4入賞を果たしたシンデレラボーイである。

 松本 郁弥(石川)はグランプリ初日全勝という快挙を2度も成し遂げている強豪だ。地元石川県で腕を磨きながら精力的に遠征も行っており、国内に限らずアジアのグランプリ会場でも彼を見かけることは珍しくない。

 そして平見 友徳(大阪)もまた、グランプリ・名古屋2016にて「グランプリトップ8初入賞」と「グランプリ初優勝」を同時に達成している若手プレイヤーだ。

 マジックの次代を担うといっても過言ではない、若き彼らはどのような経緯を経てチーム結成に至り、どのような戦いを見せてくれるのだろうか? そのドラマに迫るべく、インタビューを行った。


原根 健太(左)/松本 郁弥(中央)/平見 友徳(右)

松本グランプリ・北京2016のときに、僕から声をかけたのがチーム結成のきっかけですね」

 4月。悲願であるグランプリ決勝ラウンド進出とプロツアー出場権利獲得を果たすべく、松本が声をかけたのは平見と原根だった。石川県在住の松本は大会参加のために名古屋や大阪へ遠征することも多く、平見や原根(原根は今年の4月まで名古屋在住だった)ともトーナメント会場で知り合ったそうだ。

 まだプロ・レベルを持たない彼らがプロツアー出場権利を獲得するためには、プロツアー地域予選での勝利かグランプリでの好成績(今回の場合はチーム戦なのでマッチポイント36点以上)を収める必要がある。

 チーム戦で勝つためには強いプレイヤーと組むべきだし、プロツアーを意識するならば志を同じくする仲間と組むのがいい。松本が声をかけたという2人は、その条件を十分に満たしていると言えるだろう。

平見「と言っても、プロツアーを意識しているのはどこのチームも同じでしょうしね」

松本「簡単じゃないですよね。2人はプロツアー参加経験がありますが、僕はまだ一度も出場したことがありませんし」

 松本の確かな実力は原根も平見も知るところである。その松本の中で年々募っていくプロツアーへの憧憬。ここで勝って、松本とともにプロツアーへ参加したい。原根と平見の想いは同じで、チーム結成の話もすぐにまとまったという。

 松本を中心に集められたこのチーム。であれば、そのリーダーは......

平見「リーダーはいません。フラットなチームです」

原根「それぞれのやりたいことや得意分野が絶妙に被らないので、意見の衝突はあまりないんですよ」

松本「各自でやりたいようにやって、分からないことは得意な人に聞く感じですね。コンバット迷ったら原根くんに聞く、とか」

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 どの色ともシナジーが形成しにくい白は必然的にプレイアブルな軽量クリーチャーとオーラ呪文、装備品を詰め込んだアグロウィニーのような形になりやすい。そして、手数で押し切るのは原根の得意とする戦術でもある。

 盤面が複雑になりやすくサイドボーディングの幅が広い青緑系のデッキは経験値の高い松本が担当する。グランプリ優勝経験もあり、勝負強い平見は強力なカードを固めたデッキでしっかりと勝ち切る。

 こうした役割分担が噛み合っていたことは、彼らにとっては僥倖だったという。

平見「ただ、実はこの3人が一堂に会したのも昨日の朝が初めてなんですよ」

原根「3人でシールドしたのも昨日が初めてだったよね」

 彼らが住んでいるのは、それぞれ東京都・石川県・大阪府と離れており、物理的な距離はそのまま制約に繋がる。実際、彼らはこれまでLINE以外で意見交換をする場がなかったのだそうだ。

 限りなくぶっつけ本番に近い状態。だが、彼らにしてみると――

松本「(住んでいるところが離れていたことは)逆に強みに繋がっているのかも」

原根「ああ、それは僕も思う。それぞれがまったく違う環境で練習してきたから、総合的な経験値が多いんです」

平見「これで1人だけ練習してこない奴がいたら話は違ってたと思うけど(笑) みんな同じくらい練習してきたから、それぞれ自分の見地を持つことができました。集まって練習していると、意見が擦り合わされちゃって頭打ちになるのも早い」

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 プロツアーに行きたい。その想いは彼らに向かうべき道をしっかりと見定めさせ、離れていても到達地点に向かい続けることができた。

 だからつい、彼らを見ていると夢想してしまう。静寂に包まれるフィーチャーマッチエリアで、ギャラリーが固唾を呑んで見守る中、トロフィーの下に戦うその姿を。

松本「いやいや、やるからには勝ちたいけど、決勝は望外ですよ。プロツアー出場権利獲得が最大の目標です。ベスト4に入れたら、もうゴールみたいなものです」

平見「チームドラフトの練習なんて全然してないからなぁ......」

原根「でも、もし決勝まで行けるんだったら思いっきり強い人たちと当たりたいよね。『The Sun』(市川 ユウキ/瀧村 和幸/松本 友樹)とか、ナベさんのチーム(井川 良彦/中村 肇/渡辺 雄也)とかおもしろそうじゃない?」

松本「ああ、ナベとはやりたいな。一度トスったことがあるんですけど、あのときの貸しをタイトルで返してくれ(笑)」

 高すぎる目標設定は、人が『目標』という概念から享受できる恩恵――モチベーションを低下させ、その到達プロセスから脱落させてしまうことがある。

 然るべき努力を積み、最高の仲間と戦う彼らの目標設定は適切だろうか? 彼らが行く先に横たわっているであろうその答えが、輝かしいものであることを心から祈る。

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RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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