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チャンピオンズカップファイナル サイクル1

戦略記事

チャンピオンズカップファイナル サイクル1 初日 メタゲームブレイクダウン

富澤 洋平

 プロツアーが復活する! 過去に熱い対戦や劇的な逆転劇、いくつものドラマが生まれてきたテーブルトップの最高峰に位置する競技イベントの復活を聞いて、多くのプレイヤーが歓喜したことだろう。

 プロツアーの権利を獲得するには本年の7月からさまざまな形態で実施されてきたチャンピオンズカップ予選を勝ち抜き、本日より始まる「チャンピオンズカップファイナル サイクル1」で18位以内に入らなければならない。

 プロツアーの一歩手前に位置するチャンピオンズカップファイナルへ集まったプレイヤーの数は総勢196名。この大舞台に、参加者たちはどのようなデッキを選択したのか。ここでは、本大会のメタゲーム・ブレイクダウンをお届けしよう。

チャンピオンズカップファイナル サイクル1 初日 メタゲームブレイクダウン

デッキタイプ 使用者数 割合
ラクドス・ミッドレンジ 41 20.9%
緑単信心 28 14.3%
アゾリウス・コントロール 15 7.7%
イゼット・フェニックス 13 6.6%
イゼット独創力 8 4.1%
セレズニア天使 8 4.1%
ケルーガ・ファイアーズ 7 3.6%
エニグマ・ファイアーズ 6 3.1%
グルール機体 6 3.1%
アブザン脂牙 6 3.1%
ロータス・コンボ 5 2.6%
青単スピリット 5 2.6%
バント・スピリット 4 2.0%
白単人間 4 2.0%
セレズニア・オーラ 4 2.0%
エスパー・コントロール 3 1.5%
その他 33 16.8%
合計 196 -

※使用者数2名以下のデッキは「その他」に計上。

※デッキ登録段階の集計のため、数字にズレがある可能性があります。ご了承ください。

※ラストチャンストライアル突破者2名の結果は含まれません。

 パイオニア。開拓者を意味するこのフォーマットは多種多様なアーキタイプにあふれているが、その中でも突出しているデッキが2つある。「ラクドス・ミッドレンジ」と「緑単信心」こそがチャンピオンズカップ予選開催初期から環境を牽引してきたデッキであり、多くのプレイヤーが意識しているデッキに違いない。

ラクドス・ミッドレンジ

Sato, Keisuke - 「ラクドス・ミッドレンジ」
チャンピオンズカップファイナル サイクル1 / パイオニア (2022年11月26~27日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
4 《血の墓所
4 《憑依された峰
4 《荒廃踏みの小道
2 《硫黄泉
2 《目玉の暴君の住処
2 《バグベアの居住地
1 《ロークスワイン城
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ

-土地(25)-

4 《税血の収穫者
2 《苦難の影
1 《死の飢えのタイタン、クロクサ
4 《砕骨の巨人
3 《墓地の侵入者
3 《黙示録、シェオルドレッド

-クリーチャー(17)-
4 《致命的な一押し
4 《思考囲い
2 《戦慄掘り
1 《削剥
1 《無情な行動
4 《鏡割りの寓話
1 《コラガンの命令
1 《ヴェールのリリアナ

-呪文(18)-
1 《強迫
1 《引き裂く流弾
1 《害悪な掌握
3 《真っ白
3 《絶滅の契機
2 《勢団の銀行破り
2 《未認可霊柩車
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
1 《反逆の先導者、チャンドラ

-サイドボード(15)-

 「ラクドス・ミッドレンジ」は除去や戦闘以外でのダメージソースなど1枚で何役もこなすクリーチャーと手札破壊、クリーチャー除去にプレインズウォーカーとミッドレンジの王道を行くデッキだ。

 軽量除去が多いことから速度で押すアグロデッキに強く、クリアになった盤面を骨太なクリーチャーで制圧する。ミッドレンジの弱点であった引きムラも《鏡割りの寓話》の加入により改善されている。

回転

 《税血の収穫者》などの軽量クロックを《思考囲い》や《砕骨の巨人》でサポートするだけで攻撃的な側面と、《思考囲い》に《致命的な一押し》と序盤から脅威に対処し続け、相手の手が尽きたところで《黙示録、シェオルドレッド》でフィニッシュする防御的な二面を持ち合わせている。

 『兄弟戦争』からはシェイプアップした《ゲトの裏切り者、カリタス》こと《苦難の影》が採用されている。

 軽さは明確なメリットであり、数多の除去と組み合わせて死亡時の誘発型能力や戦場と墓地を行き来する《弧光のフェニックス》を牽制してくれる。苦手としていたコントロールやコンボに対しても序盤のクリーチャーが増えたことで積極的にライフを攻めていけるようになった。

 総じてどんなマッチアップに対しても安定が約束されており、本トーナメントでも決して無視できないデッキのひとつといえる。

緑単信心

Inoue, Toru - 「緑単信心」
チャンピオンズカップファイナル サイクル1 / パイオニア (2022年11月26~27日)[MO] [ARENA]
15 《
2 《ハイドラの巣
1 《耐え抜くもの、母聖樹
4 《ニクスの祭殿、ニクソス

-土地(22)-

4 《エルフの神秘家
4 《ラノワールのエルフ
4 《老樹林のトロール
4 《茨の騎兵

-クリーチャー(16)-
4 《ニッサの誓い
4 《狼柳の安息所
4 《収穫祭の襲撃
4 《ビヒモスを招く者、キオーラ
4 《大いなる創造者、カーン
1 《日没を遅らせる者、テフェリー
1 《龍神、ニコル・ボーラス

-呪文(22)-
1 《ダークスティールの城塞
1 《機能不全ダニ
1 《街並みの地ならし屋
1 《トーモッドの墓所
1 《真髄の針
1 《減衰球
1 《石の脳
1 《死に至る大釜
1 《異形化するワンド
1 《鎖のヴェール
1 《王神の立像
1 《未認可霊柩車
1 《キランの真意号
2 《領事の旗艦、スカイソブリン

-サイドボード(15)-

 先ほどの「ラクドス・ミッドレンジ」と同じく、環境を代表するデッキである「緑単信心」。

 由緒正しくマナクリーチャーからゲームをはじめ、シンボルの濃いパーマネントを展開していき、「信心」を稼ぐ。集まった「信心」を《ニクスの祭殿、ニクソス》で膨大なマナへと変換し、《茨の騎兵》やプレインズウォーカーへと繋げてより強固な盤面を築き上げる。

 ドローの乏しい緑単色のデッキでありながら、《収穫祭の襲撃》のおかげでパイオニアでもっとも展開力、そして再現性に長けたデッキとなっている。

 マナさえある程度伸びてしまえば《収穫祭の襲撃》を通常とフラッシュバックを使って一気にパーマネントを増やす。ここで《茨の騎兵》や《ビヒモスを招く者、キオーラ》、《ニクスの祭殿、ニクソス》が出せれば、さらに行動回数が確保できる。一度動きだしたら止まらない、アンストッパブルなデッキである。

 注目すべきはプレインズウォーカー2種を使った無限マナパッケージの存在。《ビヒモスを招く者、キオーラ》と《大いなる創造者、カーン》を2枚ずつと、十分なマナを出せる《ニクスの祭殿、ニクソス》を揃えればスタートだ。

 《ニクスの祭殿、ニクソス》を《ビヒモスを招く者、キオーラ》でアンタップしてマナを増やし、《大いなる創造者、カーン》で《死に至る大釜》をサーチする。《大いなる創造者、カーン》の2枚目を出した後、墓地へ落ちたプレインズウォーカーを(《死に至る大釜》の第2面である)《修復の噴出》で回収。

回転

 あとは追放領域へ置かれた《死に至る大釜》を再度《大いなる創造者、カーン》で持ってくるだけだ。

 『兄弟戦争』からはサイドボードに新顔がある。《街並みの地ならし屋》を重い《隕石ゴーレム》と侮るなかれ。

 一度パーマネントを破壊するだけだった《隕石ゴーレム》と違い、《街並みの地ならし屋》は複数枚との交換が狙えるカードであり、そのサイズ感も相まって単体でダメージレースを完結させるフィニッシャーとなっている。

 これまで祈るしかなかったコンボに対しても、《石の脳》を手に入れており隙はない。


 ここまでは追われる側のデッキの紹介であったため、ここからは追う側のデッキを見ていこう。

アゾリウス・コントロール

Kobayashi, Akira - 「アゾリウス・コントロール」
チャンピオンズカップファイナル サイクル1 / パイオニア (2022年11月26~27日)[MO] [ARENA]
3 《平地
1 《
3 《ラウグリンのトライオーム
1 《ケトリアのトライオーム
1 《インダサのトライオーム
4 《ラフィーンの塔
2 《スパーラの本部
1 《ジェトミアの庭
4 《神聖なる泉
4 《氷河の城砦
2 《さびれた浜
2 《アーデンベイル城
1 《ヴァントレス城
2 《ストーム・ジャイアントの聖堂
1 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
2 《廃墟の地

-土地(35)-


-クリーチャー(0)-
4 《ドビンの拒否権
4 《海の神のお告げ
4 《魂の仕切り
2 《かき消し
1 《検閲
1 《ジュワー島の撹乱
2 《吸収
2 《一時的封鎖
1 《襲来の予測
3 《至高の評決
1 《多元宇宙の警告
1 《記憶の氾濫
1 《残骸の漂着
4 《力線の束縛
3 《サメ台風
1 《告別
2 《冥途灯りの行進
1 《覆いを割く者、ナーセット
4 《放浪皇
1 《時間の旅人、テフェリー
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー

-呪文(46)-
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン

-相棒(1)-

1 《黎明をもたらす者ライラ
1 《船砕きの怪物
3 《安らかなる眠り
2 《霊気の疾風
3 《神秘の論争
1 《粗暴な聖戦士
1 《シュタルンハイムの解放
1 《サメ台風
1 《太陽の勇者、エルズペス

-サイドボード(14)-

 「アゾリウス・コントロール」は、白のパーマネント対処手段と青の打ち消し呪文、歴代のプレインズウォーカーによって構築された伝統的なコントロールデッキだ。

 先ほどの2種類のデッキと比べてかなり防御に振ったデッキであり、ボードコントロール確立後にプレインズウォーカーが着地を目指す。干渉領域が広く万能感があり、パイオニアで《ドミナリアの英雄、テフェリー》をもっとも上手く使えるアーキタイプだが、メタゲームへの依存度が強く、構築の成否が勝敗へと直結してしまうデリケートなデッキでもある。

 新カードである《魂の仕切り》は一時的とはいえ土地以外のあらゆるパーマネントを対処し、コントロールが確立するまでの時間を稼いでくれる万能除去。

 軽いインスタントと構える戦略にも合致しており、アグロ~コンボまで幅広く対応でき、まさに「アゾリウス・コントロール」が求めていた干渉手段である。

 しかも自分のパーマネントを対象にとればプレイする際に追加のマナは必要ない。対処されそうになった《一時的封鎖》や《力線の束縛》を守ったり、プレインズウォーカーの忠誠度をリフレッシュできる器用なカードなのだ。

 必然的にロングゲームとなるため、デッキ構築の練度に加えて2日間対戦に集中する体力と精神力がプレイヤーに求められる。

イゼット・フェニックス

Kuroda, Masashiro - 「イゼット・フェニックス」
チャンピオンズカップファイナル サイクル1 / パイオニア (2022年11月26~27日)[MO] [ARENA]
2 《
4 《蒸気孔
4 《尖塔断の運河
2 《嵐削りの海岸
4 《河川滑りの小道
2 《ストーム・ジャイアントの聖堂
1 《天上都市、大田原

-土地(19)-

4 《帳簿裂き
1 《氷の中の存在
4 《弧光のフェニックス

-クリーチャー(9)-
4 《考慮
4 《焦熱の衝動
4 《選択
3 《稲妻の斧
2 《呪文貫き
2 《棘平原の危険
2 《航路の作成
2 《感電の反復
4 《パズルの欠片
3 《宝船の巡航
2 《時間への侵入

-呪文(32)-
3 《若き紅蓮術士
2 《弾けるドレイク
2 《削剥
2 《軽蔑的な一撃
1 《霊気の疾風
1 《否認
2 《兄弟仲の終焉
2 《神秘の論争

-サイドボード(15)-

 先週末に開催された海外の地域チャンピオンシップで結果を残したのが「イゼット・フェニックス」だ。

 軽量火力で盤面をコントロールしていき、その過程やドロー呪文などで肥えた墓地を活用し、《宝船の巡航》などの「探査」呪文のコストを踏み倒してアドバンテージを稼いでいく。

 墓地に《弧光のフェニックス》があるならば、インスタントとソーサリーを3枚プレイするだけで「タダで」3/2飛行のクリーチャーが手に入るなど、かなり墓地と手数に依存した戦略をとっている。

 メインの戦略が墓地に依存しているため、一時期は《未認可霊柩車》や《真っ白》といった過剰な墓地対策を敷かれてしまい、環境から消え去っていた。しかし、墓地活用デッキ特有の対策されなければ勝ちうるだけのポテンシャルは持ち合わせており、再浮上してきている。

 「イゼット・フェニックス」の課題は墓地対策を投入されるサイドボード後の勝ち手段である。デッキの半数近くを占めるインスタント/ソーサリーと相性の良い《若き紅蓮術士》、角度の違う《焦熱の交渉人、ヤヤ》、高い打点を持つ《弾けるドレイク》などが挙げられる。

 特に《弾けるドレイク》は追放領域のカードもパワーに換算されるため、相手の墓地対策に便乗した友情コンボもある。

 本大会ではどこまで墓地対策が用意されているか、それが「イゼット・フェニックス」にとって焦点となる。プレイヤーの意識が極端に「ラクドス・ミッドレンジ」や「緑単信心」へと傾き、墓地対策が薄くなれば、不死鳥のごとく舞い戻るに違いない。

イゼット・独創力

Tanahashi, Masayasu - 「イゼット・独創力」
チャンピオンズカップファイナル サイクル1 / パイオニア (2022年11月26~27日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《
4 《蒸気孔
1 《踏み鳴らされる地
4 《シヴの浅瀬
4 《嵐削りの海岸
2 《尖塔断の運河
4 《河川滑りの小道
1 《天上都市、大田原
1 《反逆のるつぼ、霜剣山

-土地(23)-

1 《歓楽の神、ゼナゴス
1 《世界棘のワーム

-クリーチャー(2)-
4 《焦熱の衝動
2 《棘平原の危険
4 《火の予言
2 《ジュワー島の撹乱
2 《かき消し
2 《否認
2 《回路切り替え
2 《厳しい授業
2 《ヴァラクートの覚醒
4 《大勝ち
3 《サメ台風
2 《時を越えた探索
4 《不屈の独創力

-呪文(35)-
2 《船砕きの怪物
3 《引き裂く流弾
2 《霊気の疾風
1 《軽蔑的な一撃
1 《否認
3 《神秘の論争
1 《記憶の氾濫
1 《サメ台風
1 《ファイレクシアへの門

-サイドボード(15)-

 「イゼット・独創力」は戦場に宝物・トークンを複数個用意し、デッキ名にもなっている《不屈の独創力》をX=2以上で唱えて《世界棘のワーム》と《歓楽の神、ゼナゴス》を戦場へ出し、瞬間的に30/30の速攻付きクリーチャーを出すコンボデッキ。

 公式の動画コンテンツで「ラクドス・ミッドレンジ」に強いデッキとして紹介した際、話題を呼んだ。マナベースなどは「イゼット・フェニックス」と変わらないため擬態でき、コンボ自体は手札破壊か打ち消し呪文以外では対処が難しいことも相まって、1ゲーム目は特にコンボが決まりやすくなっている。

 サイドボードには『兄弟戦争』の《ファイレクシアへの門》が用意されている。

 《不屈の独創力》から導かれる対ミッドレンジ用のこのカードは、1枚で相手のクリーチャーを対処すると同時に、フィニッシャーも兼ねている。9マナとやや非現実的なマナ・コストも、《大勝ち》などの宝物・トークンによるブーストからプレイが可能である。

 とはいえ、軽量の手札破壊や打ち消し呪文は天敵であり、対象にとったアーティファクトを《削剥》されようものなら不発に終わってしまう隙の多いデッキでもある。戦略が明らかになった今、サイドボードに取られた手札破壊とアーティファクト対策の枚数が活躍の鍵を握っているだろう。


 「ラクドス・ミッドレンジ」と「緑単信心」の2強に各デッキが続くわけだが、本稿で紹介した以外にも2種類の「ファイアーズ(《創案の火》)」や「セレズニア・オーラ」など気になるデッキはいくつもある。

 果たして、初日勝ち組となるのはどのアーキタイプとなるのか。戦いの模様は、各対戦カバレージでご覧いただきたい。

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