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2019ミシックチャンピオンシップⅢ(MTGアリーナ)

トピック

2019ミシックチャンピオンシップⅢ(MTGアリーナ)最終日の注目の出来事

Corbin Hosler

2019年6月23日

 

 「2019ミシックチャンピオンシップⅢ(MTGアリーナ)」は、長き時を経て形作られたイベントだ。すべての始まりはMTGアリーナの登場――このゲームがすべてを実現させた。それからマジック・プロリーグが始まり、各グループの首位4名が今大会2日目へのシード権を得た。そして迎えた大会初日、64人の精鋭たちによる残りの12席を懸けた戦いが始まった。

 3日間にわたる激戦を経てグランドファイナルに進出した2名は、記憶に残る最高の決勝戦を見せてくれた。こうして、素晴らしいとしか言いようのない王者が生まれたのだ。

レヴェラットがミシックチャンピオンシップ王者に

 これを上回る注目の出来事はないだろう。マジックの歴史上でも類を見ないほど世界最高の才能と技術を持ったプレイヤーたちが一堂に会した「2019ミシックチャンピオンシップⅢ(MTGアリーナ)」において、MTGアリーナが登場するまで競技シーンから一線を退いていた無名のアルゼンチン・プレイヤーが、優勝を懸けた大一番でブラッド・ネルソン/Brad Nelsonを破り、世界を揺るがしたのだ。完璧なまでのシンデレラ・ストーリーは、やはりハッピーエンドを迎えたのだった。

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 マティアス・レヴェラット/Mattias Leverattoの優勝が決した瞬間、同国出身のルイス・サルヴァット/Luis Salvattoが駆け寄り、手荒い祝福を送った。彼もまた、大きな勝利の喜びをよく知る人物だった。いまやプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得するほどの偉大なプレイヤーに成長したサルヴァットだが、かつて地元の大会ではレヴェラットに負けていた。古くからの友人が人生最大の試合に勝利する姿を見守ることができたのだ。

 レヴェラットの旅路は信じられないほど劇的なものだった。始まりは昨年、友人のサルヴァットがプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを手にした姿を画面越しに見たときだ。そのとき彼は、自身に問いかけた――「なぜ俺はあの場にいないんだ?」と。すると今年、彼は2週連続でミシックチャンピオンシップの参加権利を獲得した。「2019ミシックチャンピオンシップⅢ(MTGアリーナ)」と「2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ)」、テーブルトップとデジタルの両方で。

素晴らしい物語が次々と紡がれる #MythicChampionshipIII ですが、中でも特別なものをお伝えしましょう――トップ16入りを決めたアルゼンチンのマティアス・レヴェラット選手の物語です。1/

(以下のスレッドは英語)
 

 そしてレヴェラットは、ミシックチャンピオンシップをも制したのだった。

「まさかこんなことになるとは、かけらも想像していませんでしたよ」と、優勝賞金100,000ドルと今シーズンすべてのミシックチャンピオンシップへの参加権利を勝ち取ったレヴェラットは目を丸くする。「この週末は、毎日嬉しいことが重なっていきました」

 これからさらに嬉しいことが続くだろう。タイトルを手にした今、レヴェラットにとって新たな可能性が大きく開けた。彼は現在心理学を学ぶために学校へ通っているが、マジックの大会予定が一気に増えたため、マジックに全力で打ち込みながら卒業する道を真剣に考えることになったという。

 最後にもう1つ、エピソードをご紹介しよう。殿堂顕彰者にプレイヤー・オブ・ザ・イヤー、そして生ける伝説たるカイ・ブッディ/Kai Buddeを撃破しながらも表情を変えないレヴェラットの姿を、皆さんも見ただろうか?

「あまりに緊張しすぎて喜べなかったんです」と、彼は笑顔を見せる。「落ち着いているように見えるかもしれませんが、全然そんなことないですよ」

私:(マティアスに文字通り頭突きをしながら)今の心境は???

マティアス:決勝のあとで話します。 #MythicChampionshipIII

 

 改めて王者を称えよう。マティアス・レヴェラット、2019ミシックチャンピオンシップⅢ(MTGアリーナ)優勝おめでとう!

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グランドファイナル

 史上初開催となるMTGアリーナを用いたミシックチャンピオンシップは、この上ないほどドラマティックな結末を迎えた。新星マティアス・レヴェラットがグランドファイナルで対峙したのは、プロフェッショナルの体現者にしてスタンダードの達人として知られ、MPL『灯争大戦』シーズンのグループ「Emerald」にて全勝を果たし、2010年にはプレイヤー・オブ・ザ・イヤーも獲得しているブラッド・ネルソン/Brad Nelsonだった。しかもネルソンは、「2度にわたり」ブッディを下してグランドファイナルに進出してきたのだ。

 デッキ相性もネルソン有利である(プレインズウォーカーや打ち消し呪文がレヴェラットの《運命のきずな》デッキに対して劇的に効く)ものの、ネルソンは敗者側ブラケットから進出しているため、ダブルエリミネーション形式で行われている今大会では2マッチを連取しなければならない。

#MythicChampionshipIII グランドファイナル開始!

マティアス・レヴェラット(シミック・ランプ)VS @fffreakmtg(エスパー・ヒーロー)

キャラクターを選択してください。

 

 MPL選手にしてポッドキャスト「Bash Bros」(英語)の配信者であるネルソンが、稲妻のごとき速さで2ゲームを連取し、両者はすべてを懸けた最終マッチを迎えた。そしてネルソンは最終戦第1ゲームも奪い、そのまま第2ゲームもレヴェラットを寄せ付けず勝負を決するか、と思われたそのとき、歴史が動いた。

 

 長いミシックチャンピオンシップ(プロツアー)の歴史の中でも、最高の瞬間の1つだろう。あのクレイグ・ジョーンズ/Craig Jonesの有名な「《稲妻のらせん》トップデッキ」を思い起こさせ、殿堂顕彰者ランディ・ビューラー/Randy Buehlerの実況(英語動画)が聞こえてくるようだ。

 実況ブースのマーシャル・サトクリフ/Marshall Sutcliffeとポール・チェオン/Paul Cheonにより、またひとつ「最高のトップデッキ」が生まれたのだ。(筆者によるツイート:英語)

最後の最後に《運命のきずな》をトップデッキした瞬間 #MythicChampionshipIII

 

ブッディの帰還

 「ジャーマン・ジャガーノート」は、マジック界の生ける伝説だ。カイ・ブッディ/Kai Buddeが最後に日曜日の舞台に立ってから10年。彼はこの週末に驚くべき活躍を見せ、新時代のマジック・プレイヤーたちに「歴代最強」の存在を知らしめた。

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 金曜日、2日目進出を懸けた最終戦で、ブッディはマジックの歴史の教科書に載るであろう偉大なプレイヤー同士の激闘を制した。

 

 ブッディはともにプレイテストを行ったブラッド・ネルソンとブライアン・ブラウン=デュイン/Brian Braun-Duinが待つ2日目へ進出した。BBDが1か月をかけて完璧に仕上げた「エスパー・ヒーロー」は、ネルソンとブッディをトップ4へ導き、両者は最終日に同系戦を行うことになった。

 ネルソンは、7度ものプロツアー(ミシックチャンピオンシップ)優勝を誇るブッディを日曜日の舞台で打ち破った経験がある(プロツアー・アムステルダム2010でのことだ)。しかし今回、私たちはここラスベガスで、1度ならず2度も彼らの戦いを目にすることができた。

 トップ4の舞台で生ける伝説との激戦を制し、グランドファイナルへ進出したネルソンは、「カイ殺し」の異名を持てるだろう。それでもブッディが見せた今週末の大活躍は、歴史的な出来事であった。彼の存在は、マジックというゲームをさらに魅力的なものにするだろう。

さらなる戦いへ

 次回は、来月にスペインで開催される「2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ)」でモダンの戦いをお届けする。さらにその先には、「2019ミシックチャンピオンシップⅤ(MTGアリーナ)」が待っている。今大会の「挑戦者」のうち上位4名――レヴェラット、ブッディ、ラファエル・レヴィ/Raphael Levy、グレッグ・オレンジ/Greg Orangeも参戦予定なので、お楽しみに。

 それではまた次回!

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(Tr. Tetsuya Yabuki)

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