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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第12回:『イニストラードを覆う影』ドラフト 答え合わせ編

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第12回:『イニストラードを覆う影』ドラフト 答え合わせ編

 皆さんこんにちは! 今回は前回から続いての後編ということで、いつも同様に「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」をしていきましょう。

 今回は僕はプロツアーに参加していないので、僕が参加したグランプリ・北京2016の経験と、プロツアー『イニストラードを覆う闇』で全勝したプロたちの意見を参考に、実際にどのような環境だったかを改めて解説させていただきます。

1.プロツアーを終えて環境のまとめ

 前回の記事でも書いた通り、僕が感じた最初の印象がこれです。

  • 緑のクリーチャーは両面カードの性能が良く、他の色に比べて飛びぬけて強力。
  • 調査により手札の引き増しが他の環境より簡単なので、長期戦になりやすそう。
  • 除去が弱いので、レアクリーチャーやシステムクリーチャーが強力。

 そして、その後の実際の練習過程やグランプリ・北京2016で感じた環境の印象とファーストインプレッションの差、つまり「的中度」を点数にすると、以下のようになりました。

100点:緑のクリーチャーは両面カードの性能が良く、他の色に比べて飛びぬけて強力。

 緑のクリーチャーは両面の《孤独な狩人》/《群れの一員》のような汎用性の高い優秀な狼男から、昂揚のようなアーキタイプ専用カードである《黴墓のゴミあさり》のようなカードまで、ひたすらにクリーチャーの質が良く、プレイアブル(使用できる)カードが多いです。

 あまりにもクリーチャーの質が良く、どこからでも参入しやすいので、緑が卓内に多くなりやすくもあります。

60点:調査により手札の引き増しが他の環境より簡単なので、長期戦になりやすそう。

 調査の引き増しのおかげで長期戦になるというよりは、緑以外のクリーチャーの質、特に2マナ域が弱いので長期戦になりやすいです。

 序盤の攻防で大きくライフが変動しないので、デッキ全体の質で勝負することになるので、デッキをアーキタイプでまとめているデッキや、レアパワーが高いデッキが勝てる環境ですね。

80点:除去が弱いので、レアクリーチャーやシステムクリーチャーが強力。

 除去はインスタントで軽いものが少なく、ソーサリーの確定除去もタップ状態のクリーチャーしか破壊できない《殺人衝動》と、自分のパーマネントを生け贄にしないとプレイできない《天使の粛清》など、使いにくいものが多いです。

 この環境はアーキタイプ環境なので、除去したい!と思える優秀なシステムクリーチャーも多く、除去の対象は無限に出てくるので、除去ばっかり集めるドラフトよりも、アーキタイプカードをピックして自分のデッキのアーキタイプとしての完成度の高さ、爆発力を意識してピックしていきましょう。

 

 というわけで、今回は全体的に予想はある程度的中させられたのではないでしょうか。

 予想以上にアーキタイプ環境で、さらに除去が弱く、コントロールカードが少ないのでテンポが取れるビートダウンが強い環境です。

 なので、テンポを取りやすくアーキタイプとしても組みやすい「赤緑狼男」や、「白緑人間」、「赤黒マッドネス」等のアーキタイプは、プロツアーのドラフト全勝者の多くも選択した分かりやすく強いアーキタイプとなります。

新・環境のまとめ

 以上の点を加え、前回のファーストインプレッションと統合した環境のまとめは以下のとおりです。

  • 緑はクリーチャーの質が優秀なので、基本的にはドラフトしたい色ですが、人気すぎて卓内に多くなりがちなのは注意しましょう。
  • 2マナ域が全体的に弱めなので、最序盤から怒濤の攻めを継続させるのは難しいので、長期戦になりがちです。ただクリーチャーの質が良い緑絡みのビートダウンや、アーキタイプとしてテンポの良いビートダウンである「赤黒マッドネス」は長期戦にせず戦えるアーキタイプなので、ビートダウンも戦える環境です。
  • 除去が全体的に弱めで、システムクリーチャーやレアクリーチャーが除去されにくいので、アーキタイプやレアカードに寄せたデッキを組む方が強くなりやすいです。

 皆さんもぜひ、これらの要素を意識しながらピックしてみてください。

 さて、次はこの環境で実際にどのようなアーキタイプが活躍しているか、代表カードとともに解説していきます。前回紹介しなかったアーキタイプを中心に紹介していきますね。

2.各種注目アーキタイプ

「白緑人間」

 白と緑に多い人間・クリーチャーをフィーチャーしたアーキタイプです。

 このアーキタイプに必要なのは《信条の香炉》と《戦闘的な審問官》です。

 《信条の香炉》は人間に装備すると+2/+1警戒と、設置、装備コストに見合わない強力な修整を与えます。

 さらに、装備品が戦場にあると強化される《戦闘的な審問官》を加えて面で押す戦闘をすれば、環境に見合わない速度で相手を追い込むことができます。

「赤白マッドネス」

 マッドネスは本来赤黒青3色にあるシステムですが、白には優秀なディスカード手段である《厳格な巡邏官》がコモンにいます。

 なので、《癇しゃく》や《血狂いの吸血鬼》など、赤のマッドネスカードからピックし、もう1色を決めかねている時は白を選択すると、《厳格な巡邏官》を安くピックできるため、マッドネス補助の手段には困らなくなります。

 マッドネスはインスタントタイミングでクリーチャーやソーサリーのカードをプレイできるので、それを可能にする《厳格な巡邏官》はマッドネスとの相性は抜群なのです。

「青緑調査」

 プロツアーでジョン・フィンケル/Jon Finkelが3-0を達成したアーキタイプで、《墓モグラ》や《エルドワルの照光》のような、調査カードとシナジーがあるカードを中心に、手掛かり・トークンによるアドバンテージで相手に差を付け物量差で勝つアーキタイプです。

 青緑である最大の理由は《継続する調査》で、攻撃を通す度に調査、墓地のクリーチャーを追放して調査と、とにかくアドバンテージを生み出します。何気にライフも回復できるので、押されてる場面をまくりやすくもあります。

 この《継続する調査》と《墓モグラ》が揃った瞬間にライフが爆発的に増えだし、相手はダメージで勝つのが難しくなるほどの強力な組み合わせなので、この2枚は優先的ピックするようにしましょう。

 

 以上、3つの注目のアーキタイプでした。

 他にも「青+α飛行ビートダウン」や、「青黒パズル」などまだまだたくさんのアーキタイプがありますので、ぜひ皆さんで新たなるアーキタイプを見つけてみてください。

3.『イニストラードを覆う影』のトップコモン&アンコモン

 前回も『イニストラードを覆う影』の各色トップ3を挙げましたが、今回はその改訂版です。

 前回から評価が変わってトップ3から抜けたカードと入ったカードを解説していきますので、前回の記事を読んでいない方はぜひそちらも確認していただけたらと思います。

白・アンコモン
今回のトップ3 前回のトップ3
近野の司祭 近野の司祭
町のゴシップ屋 アヴァシン教の宣教師
月銀の拘束 執念

in

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町のゴシップ屋》/《扇動された民衆》:早いターンに変身すると手が付けられなくなり、ゲームに与える影響が大きいので評価を上げました。

月銀の拘束》:手軽に付けられる優秀な確定除去で、使ってみて感触が良かったので評価を上げました。

out

アヴァシン教の宣教師》:装備品に依存する性能で、パフォーマンスのムラが激しいので評価を下げました。

執念》:非常に強力なコンバットトリックですが、複数は欲しくないので、評価を下げました。

白・コモン
今回のトップ3 前回のトップ3
スレイベンの検査官 スレイベンの検査官
不屈の聖戦士 不屈の聖戦士
戦闘的な審問官 天使の粛清

in

戦闘的な審問官》:《信条の香炉》が優秀な装備品で、予想以上に使われるので評価を上げました。

out

天使の粛清》:優秀な除去ですが、複数ピックするとコストが厳しいので、評価を下げました。

青・アンコモン
今回のトップ3 前回のトップ3
無謀な識者 無謀な識者
縫い翼のスカーブ 縫い翼のスカーブ
エルドワルの照光 逸脱した研究者

in

エルドワルの照光》:調査アーキタイプに必須の頼れるシステムクリーチャーなので評価を上げました。

out

逸脱した研究者》:優秀な飛行クリーチャーですが、《エルドワルの照光》と比較して評価を下げました。

青・コモン
今回のトップ3 前回のトップ3
薄暮のニブリス ただの風
縫合の刻み獣 縫合の刻み獣
嵐乗りの精霊 金縛り

in

薄暮のニブリス》:優秀な打点の高い飛行クリーチャーなので、評価を上げました。

嵐乗りの精霊》:同上です。

out

ただの風》:マッドネスでもプレイできる優秀なバウンスですが、飛行クリーチャーの方が優先度が高いです。

金縛り》:ほぼ完全除去なので優秀ですが、最初の数枚は飛行クリーチャーを優先した方が良いです。

黒・アンコモン
今回のトップ3 前回のトップ3
ファルケンラスの後継者 ファルケンラスの後継者
親切な余所者 親切な余所者
呪われた魔女 トロスタッドの死騎手

in

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呪われた魔女》/《感染性の呪い》:何かと相討ちをした後に残るおまけとしてはあまりにも強すぎるので評価を上げました。

out

トロスタッドの死騎手》:クリーチャースペック、マッドネス補助どちらとも優秀で文句無いのですが、相対的に評価を下げました。

黒・コモン
今回のトップ3 前回のトップ3
殺人衝動 殺人衝動
闇告げカラス マウアー地所の双子
死の重み 死の重み

in

闇告げカラス》:黒の貴重な飛行クリーチャーであり、昂揚達成をサポートする優秀なクリーチャーなので評価を上げました。

out

マウアー地所の双子》:マッドネスアーキタイプ専用カードなので、評価を下げました。

赤・アンコモン
今回のトップ3 前回のトップ3
稲妻の斧 稲妻の斧
狂気の預言者 狂気の預言者
首折れ路の乗り手 手に負えない若輩

in

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首折れ路の乗り手》/《首折り》:第1面が3マナ3/3と優秀で、第2面は全員に強力な支援効果を与える、アタッカー兼強力なシステムクリーチャーとして評価を上げました。

out

手に負えない若輩》:マッドネス専用カードなので評価を下げました。

赤・コモン
トップ3(変更なし)
癇しゃく
ガツタフの放火魔
火の猟犬
緑・アンコモン
トップ3(変更なし)
ラムホルトの平和主義者
群れの守護獣
薄暮見の徴募兵
緑・コモン
今回のトップ3 前回のトップ3
孤独な狩人 孤独な狩人
狂気の一咬み 狂気の一咬み
未知との対決 裏道の急使

in

未知との対決》:アドバンテージを失わないコンバットトリックとして使えるため、何枚あっても困らない優秀なコンバットトリックです。

out

裏道の急使》:相討ち要員としては優秀ですが、いまいち立ち位置がはっきりしないカードなので評価を下げました。

 以上各色トップ3でした。皆さんと評価が違う部分ももちろんあると思いますので、ぜひ比較してみてください。

4.両面環境のドラフトについて

 両面カードがある環境のドラフトは、まず最初に皆で引いた両面カードを見せ合うルールの都合上、色の主張がしやすい環境です。

 例えば、強力な緑のクリーチャーである《薄暮見の徴募兵》を引き、そのままピックしたならば、その人は緑をやると周りのプレイヤーは思います。そうすると、その人の上家や下家は自然と緑を回避し、自然と周りのプレイヤーと協調ドラフトをすることができます。

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 この両面カードをピックして色強調する方法は自身と周りのプレイヤーのデッキを強力なものにしやすくなるので、多少評価は落ちる裏面カードをピックして意図的に色強調する方法もあります。

 逆に上家や下家の色強調に引きずられて、実は自分がやれていた色を見過ごしてしまうパターンもあるので、周りの両面色強調は意識しつつも、それを前提にしないように気を付けましょう。

 ただし、今回のプロツアーでは、カードがスリーブに入っており両面カードが見えない状態でのドラフトを行いました。今後どのイベントをこの方式で実施するかは現時点では不明ですが、この場合は両面カードが見えない状態なので、両面カードによる色協調は関係なくドラフトすることになります。

 その場合は優秀な緑の両面カードをピックするプレイヤーが増えるため、卓内に緑の人数が増えることになる可能性が高く、両面カードが見えない環境では緑はより人気色になるでしょう。

5.最後に

 今回の記事はこれで終わりです。『ゲートウォッチの誓い』に引き続き前編・後編とやらせていただきましたが、いかがでしたか? 感想いただけましたら今後の参考とさせていただきますので、ぜひTwitterなどでお送りください。

 今回もプロツアーに出場できず、なんとも悔しい結果となってしまいました。

 来週末のグランプリ・東京2016で頑張ってプロツアーの権利を獲得し、次回の記事ではプロツアーに出場できる状態で皆さんとお会いできるよう頑張りますので、ぜひこれからも応援いただけるとありがたいです。

 では次回も新セット発売直前にお会いしましょう。それでは!

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