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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

2016.04.07

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第11回:『イニストラードを覆う影』発売直前!新環境ドラフト攻略

 皆さんこんにちは!スタンダードも遂にローテーション!『イニストラードを覆う影』の発売が間近ですね!

 もちろんリミテッドもローテーションということで、『戦乱のゼンディカー』ブロックから『イニストラードを覆う影』ブロックへと移行します。完全新環境のドラフトということで、この時期はいつも以上にテンションが上がりますね。

 今回もプロツアー『イニストラードを覆う影』には参加権利がありませんが、プロツアー前週に開催されるグランプリ・北京2016がリミテッドなので、暫定ではありますが、答え合わせ編ではグランプリ・北京2016の僕の参加体験と、プロツアー『イニストラードを覆う影』でのプロプレイヤーのピックを参考に、答え合わせしていこうと思います。

 今回も引き続き「新環境リミテッド:発売前ファーストインプレッション」と、「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」の2本立てで、今回は前編です。基本的にはブースタードラフトに関する内容の記事とはなりますが、カードの評価などはシールドでも応用できる点もあるかと思いますので、リミテッドが好きな方のお役に立てたらと思います。

 それでは、まずは新環境のファーストインプレッションから見ていきましょう!

1.新環境~『イニストラードを覆う影』のドラフト

 新たなブロックのセット『イニストラードを覆う影』が発売後、ドラフトの使用パックは『イニストラードを覆う影』3パックです。ドラフトの際はパックを開封する度に両面カードを卓全員に見せることになります。

ファーストインプレッション

 今回の『イニストラードを覆う影』のカードリストを見たファーストインプレッションは、以下の3点です。

  • 緑のクリーチャーは両面カードの性能が良く、他の色に比べて飛びぬけて強力。
  • 調査により手札の引き増しが他の環境より簡単なので、長期戦になりやすそう。
  • 除去が弱いので、レアクリーチャーやシステムクリーチャーが強力。

 順番に解説していきます。

緑のクリーチャーは両面カードの性能が良く、他の色に比べて飛びぬけて強力。
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 緑は《孤独な狩人/Solitary Hunter(SOI)》を始めとした、両面カードの優秀なクリーチャーが揃っていますが、他の色は調査や他のキーワード能力、それらとシナジーを持たせるカードが多いです。そのため、緑以外の色は全体的にパワーが低く調整されているので、打点が不足がちになりそうです。

 リミテッドの基本はクリーチャーなので、クリーチャーが優秀な緑は人気色になりそうです。

調査により手札の引き増しが他の環境より簡単なので、長期戦になりやすそう。

 「調査を行う」として、赤、黒以外の色はどれも手掛かり・トークンを出すカードがあります。手掛かり・トークンは生け贄に捧げることで1枚引くことができるので、新たなリソースを引き込みやすくなります。そうなると、お互いリソースが尽きないため、なかなかゲームが終わらず、長期戦になりやすくなります。

 基本的には長期戦になると思って、長期戦をさせない、長期戦で勝つのどちらかを意識してデッキを作っていくことになりそうです。

除去が弱いので、レアクリーチャーやシステムクリーチャーが強力。

 コモンに確定除去が2種類、《殺人衝動/Murderous Compulsion(SOI)》、《天使の粛清/Angelic Purge(SOI)》しか存在しません。

 他の除去はタフネス依存の除去ばかり、しかも《絞首/Throttle(SOI)》のような重い除去が多いです。

 緑、白、青には戦場に出たときや死亡したときに手掛かり・トークンを出すクリーチャーが存在します、さらに白や黒には、墓地からクリーチャーを追放してトークンを出す《不屈の聖戦士/Dauntless Cathar(SOI)》などのクリーチャーが多数存在し、除去耐性があるクリーチャーが多いです。

 ただでさえ緑の《ケッシグの不吉な豚/Kessig Dire Swine(SOI)》や《巣網から見張るもの/Watcher in the Web(SOI)》など優秀なクリーチャーを除去できるか怪しい、タフネス依存の重い除去は決して信頼できるものでは無いでしょう。この環境では重い除去より、クリーチャーを優先してピックする環境になりそうです。


 ここまでがカードリストを見た最初の感想です。

 除去が弱く、緑の優秀なクリーチャーが強力なため、いつも以上に膠着しそうな環境となりそうなので、基本的には長期戦を意識した膠着を崩すカードを意識してデッキに採用する環境になりそうです。

 さて、次は『イニストラードを覆う影』の新キーワード能力について見ていきましょう。

2.収録キーワード能力について

昂揚

昂揚 ― あなたの墓地にあるカードにカード・タイプが合計4種類以上含まれるかぎり、~

 昂揚は墓地にカード・タイプが4種類以上含まれる場合なにかしらのボーナスを得ることを示すキーワードです。

 カード・タイプとは土地やクリーチャー、エンチャントなどのことを指しており、クリーチャーの種族や、エンチャントのオーラなどは参照しないのでご注意ください。

 昂揚は普通にプレイしているとなかなか達成するのが難しい能力なので、山札や手札から墓地に直接カードを送り込むなど工夫をして達成を目指しましょう。

調査

調査を行うとは、「{2}, このアーティファクトを生け贄に捧げる:カードを1枚引く。」を持つ無色の手掛かり・アーティファクト・トークンを1つ戦場に出すことである。

 調査は手掛かり・アーティファクト・トークンを生み出すことを示すキーワードです。このトークンはクリーチャーではないのでパワー/タフネスは存在しません。

 基本的には「{2}支払って1枚引く」という置物を生成する能力でしかありませんが、手掛かり・トークンを参照する《未知との対決/Confront the Unknown(SOI)》のようなシナジーカードも存在します。

両面カード

~を変身させる。

クリックで変身

 大きく分けて、直前のターンに誰も呪文を唱えていない時に変身する「狼男」と、別の条件によって変身するカードの2種類があります。「狼男」を相手に出されて、その返しに自分が行動できないとあっという間にピンチになるので、デッキのマナ・カーブをいつも以上に意識しましょう。

 また、ドラフト中に他のプレイヤーがピックしたカードがわかるのも特徴です。自分の周りの色の把握をしやすく、自分が空いている色を選択しやすくなるため、最低でも自分の2つ隣くらいまでは、どんな両面カードをピックしたか気にかけておくと良いと思います。

マッドネス

あなたがこのカードを捨てるなら、これを追放領域に捨てる。あなたがそうしたとき、マッドネス・コストでこれを唱えるか、これをあなたの墓地に置く。

 カードを捨てるときに、そのまま墓地に行く代わりにマッドネス・コストで呪文を唱えることができます。そのカードのタイプにかかわらずそのタイミングで唱えることができるので、クリーチャーやソーサリーも手札を捨てられさえすれば、インスタントのタイミングで唱えることができます。相手の攻撃に対して突然ブロッカーを出して打ち取る、なんてこともできます。

 相手の手札を捨てさせる呪文で唱えることももちろんできますが、基本的には能動的に手札を捨てられてこそ意味のある能力です。自分から手札が捨てられるカード、いわゆる「共鳴者」がなくてマッドネスできない、なんてことがないように、ドラフトのピック時にはバランスを意識しましょう。《貪欲な求血者/Ravenous Bloodseeker(SOI)》や《狂気の預言者/Mad Prophet(SOI)》のような、能動的に手札を捨てさせられるうえにメリットのあるようなカードと組み合わせたいですね。

3.『イニストラードを覆う影』の注目のカード

 さて、それではここからは色別、レアリティ別(コモン・アンコモン)で、僕が強力だと思うカード・トップ3を挙げていきたいと思います(3枚の中での順位はつけません)。皆さんも最初はカードの強さがいまいちよく分からないと思うので、ぜひ参考にしてみてください。

白・アンコモン

《近野の司祭/Nearheath Chaplain(SOI)》:3/1絆魂と、本体の性能はいまいちですが、墓地から追放すると2体の飛行トークンに生まれ変わるのは非常に強力です。

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《アヴァシン教の宣教師/Avacynian Missionaries(SOI)》:装備品を付けなければただの4マナ3/3と平凡なスペックですが、いざ変身すれば強力な除去持ちクリーチャーへと変貌するため、プレッシャーが凄まじいクリーチャーです。

《執念/Tenacity(SOI)》:全てのクリーチャーがインスタントタイミングで強化されるだけではなく、アンタップと絆魂まで付与されたらコンバットになりません!

白・コモン

《スレイベンの検査官/Thraben Inspector(SOI)》:1マナ1/2と、装備品を装備すれば普通に戦力になる上、そのうち手札へと変換される調査がついてくるなら非常にコストパフォーマンスが良いですね。

《不屈の聖戦士/Dauntless Cathar(SOI)》:3マナ3/2と標準スペックかつ、墓地から飛行のスピリットとして復活するのは、これまた非常にコスパが良いです。

《天使の粛清/Angelic Purge(SOI)》:パーマネント生け贄のコストこそそれなりに重いものの、環境に数少ない完全除去。クリーチャーだけじゃなくエンチャントやアーティファクトにも触れるのは非常に良いですね。

青・アンコモン

《無謀な識者/Reckless Scholar(SOI)》:マッドネスや墓地から効果を発揮するカードが環境に多く存在するので、ルーターは他の環境より更に強力な能力です。

《縫い翼のスカーブ/Stitchwing Skaab(SOI)》:4マナ3/1飛行と、マナレシオはいまいちなものの、墓地から何度でも戻ってくるのはかなり脅威です。

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 《逸脱した研究者/Aberrant Researcher(SOI)》:4マナ3/2飛行と飛行クリーチャーとしては及第点。更に毎ターン山札のカードを墓地に落としてくれるので、昂揚達成の助けとしても優秀です。もし変身したら......? 言うまでもありませんね。

青・コモン

《ただの風/Just the Wind(SOI)》:リミテッドのバウンス呪文は案外便利なものです。マッドネスでプレイしたらそれが実質手札を使わずに《送還/Unsummon(10E)》となるのでそれはもう便利すぎます。

《縫合の刻み獣/Stitched Mangler(SOI)》:相手のクリーチャーを1~2ターン実質無力化できるのは強力な能力ですね。複数枚取れたらアグレッシブなビートダウンデッキを目指しましょう。

《金縛り/Sleep Paralysis(SOI)》:戦場には残してしまうので、完全除去とまではいえませんが、優秀な除去です。

黒・アンコモン
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《ファルケンラスの後継者/Heir of Falkenrath(SOI)》:マッドネス補助能力で2マナ3/2飛行に変身と、強いことしか書いていないトップアンコモンの一角です。

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《親切な余所者/Kindly Stranger(SOI)》:昂揚こそ達成が難しい能力ですが、一度達成してしまえば完全除去が付いてくる、お化けスペックのクリーチャーに変貌します。

《トロスタッドの死騎手/Pale Rider of Trostad(SOI)》:2マナ3/3潜伏はなかなか止まりません。ディスカードのデメリットも捨てるカード次第ではメリットになり得る驚愕のスペックを持ったクリーチャーですね。

黒・コモン

《殺人衝動/Murderous Compulsion(SOI)》:数少ない完全除去であり、マッドネスでプレイすればインスタントタイミングでもプレイできるため、応用力が高い優秀な除去です。

《マウアー地所の双子/Twins of Maurer Estate(SOI)》:普通にプレイすると3/5バニラなのでデッキにも採用するか怪しいレベルですが、マッドネスでプレイできると途端にパフォーマンスが良くなるので、デッキこそ選びますが、非常に優秀なクリーチャーです。

《死の重み/Dead Weight(SOI)》:除去としての性能は平凡ですが、エンチャントなので昂揚達成のサポートをしやすいのが良いですね。

赤・アンコモン

《稲妻の斧/Lightning Axe(SOI)》:赤マナ1つから繰り出されるインスタント5点火力は相手の計算を狂わせること間違いなし。マッドネス補助としてもピカイチの性能です。

《狂気の預言者/Mad Prophet(SOI)》:マッドネスや昂揚の達成と抜群に相性の良い「ルーター」はひたすらに強力な能力です。

《手に負えない若輩/Incorrigible Youths(SOI)》:マッドネスクリーチャーとして、破格のスペックです。

赤・コモン

《癇しゃく/Fiery Temper(SOI)》:3マナインスタント3点の時点で及第点の除去なのですが、マッドネスでプレイすると《稲妻/Lightning Bolt》になる、優秀な除去です。

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《ガツタフの放火魔/Gatstaf Arsonists(SOI)》:第1面は5/4バニラと平凡なサイズですが、変身すれば6/5威迫と途端に脅威となる、第2面が非常に強力なクリーチャーです。

《火の猟犬/Pyre Hound(SOI)》:1枚でもインスタントかソーサリーでバックアップしてあげれば、それだけで強力なクリーチャーへと早変わり。《放たれた怒り/Uncaged Fury(SOI)》とのコンボはいとも容易く相手のライフを削りきることでしょう。

緑・アンコモン
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《ラムホルトの平和主義者/Lambholt Pacifist(SOI)》:どこが平和やねん!ってつっこみたくなるほど凶悪なサイズを持ったクリーチャー。第2面の4/4というサイズは、2マナ域としてさすがに大丈夫か心配になるほど優秀なスペックです。

《群れの守護獣/Pack Guardian(SOI)》:緑が4マナオープンでターンを返してきたら、《群れの守護獣/Pack Guardian(SOI)》を警戒しましょう。安易に2/2以下のサイズで攻撃すると瞬速で飛び出てくる《群れの守護獣/Pack Guardian(SOI)》の前に無残に散ることになります。

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《薄暮見の徴募兵/Duskwatch Recruiter(SOI)》:3マナでクリーチャーを供給する優秀なシステムだけでなく、第2面は手札のクリーチャーを軽くする能力も持っていて、サイズも申し分が無い、非の打ちどころの無い優秀なクリーチャーです。

緑・コモン
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《孤独な狩人/Solitary Hunter(SOI)》:この環境の全コモンクリーチャーの中でダントツに優秀なマナレシオを持つバニラクリーチャーです。

《狂気の一咬み/Rabid Bite(SOI)》:格闘ではなく一方的にダメージを与える、使い勝手の良い除去です。

《裏道の急使/Byway Courier(SOI)》:3マナ3/2となにかしらのクリーチャーと相討ちしやすく、さらに死亡時に手掛かり・トークンを出す、デッキの潤滑油として優秀なクリーチャーです。


 以上、各色のトップ3でした。

 さて次は、『イニストラードを覆う影』参入後の注目アーキタイプをチェックしていきましょう!

4.『イニストラードを覆う影』の注目のアーキタイプ

注目のアーキタイプその1:赤黒マッドネス

 《傲慢な新生子/Insolent Neonate(SOI)》や《苦しめる声/Tormenting Voice(SOI)》で手札を捨てつつ、《癇しゃく/Fiery Temper(SOI)》や《殺人衝動/Murderous Compulsion(SOI)》のようなマッドネスカードをプレイし、手札を消費せずにカードをプレイしていくアーキタイプです。

 《貪欲な求血者/Ravenous Bloodseeker(SOI)》や《ファルケンラスの後継者/Heir of Falkenrath(SOI)》など、手札を捨てる優秀な手段はアンコモン以上に存在するため、コモンではなくアンコモン以上のカードから参入していきましょう。

注目のアーキタイプその2:赤緑狼男

 赤緑の優秀な狼男や狼・クリーチャーでサイズ押しし、それらとシナジーのある《吠え群れの復活/Howlpack Resurgence(SOI)》や《月夜の狩り/Moonlight Hunt(SOI)》でバックアップするアーキタイプです。

 《吠え群れの復活/Howlpack Resurgence(SOI)》も《月夜の狩り/Moonlight Hunt(SOI)》もどちらもアンコモンなのでピックできるかは怪しいカードですが、取れなくとも赤緑の狼男は優秀なクリーチャーが多く、サイズ押しの戦略だけでも十分強そうです。

注目のアーキタイプその3:黒緑昂揚

 昂揚を達成すると強力なクリーチャーになる《黴墓のゴミあさり/Moldgraf Scavenger(SOI)》と《灰口の雄馬/Stallion of Ashmouth(SOI)》などの昂揚クリーチャーを集めるアーキタイプです。

 昂揚は《闇告げカラス/Crow of Dark Tidings(SOI)》や《発生の器/Vessel of Nascency(SOI)》などで、黒緑だと意外と簡単に達成できます。

 アンコモン以上の《偏執的な皮剥ぎ人/Obsessive Skinner(SOI)》や《親切な余所者/Kindly Stranger(SOI)》も昂揚さえ達成できれば非常に強力なクリーチャーとなるので、このあたりのクリーチャーから参入していきたいですね。


 注目のアーキタイプは以上です。アンコモン依存のアーキタイプが多いですが、コモンにシナジーカードが少ないため、どのアーキタイプもアンコモンから参入するのを意識してしてみてください。

6.最後に

 さて、これで今回の記事は終わりです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。

 プロツアー『イニストラードを覆う影』後には再度環境の振り返り、答え合わせ編をやりますので、そちらもよろしくお願いします。

 皆さんまた次回の連載の記事でお会いしましょう。それでは!

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