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なかしゅー世界一周2012・第9回:チェコ・ピルゼンにて?旅の物価とプレリリース

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2012.05.10

なかしゅー世界一周2012・第9回:チェコ・ピルゼンにて~旅の物価とプレリリース

By 中村 修平


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 今週の滞在地は、チェコ・ピルゼン。
 チェコの通貨単位はコルナ。EU圏内なのですが、イギリスと同じく現地通貨を現在も保持しています。
 何度かチェコには来たことがあるはずなのですが、どうやら主に滞在していたプラハでは少なからず観光地プレミアムを払っていたのか、本当の物価を理解していなかったようです。


旅する金銭感覚

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イギリス国内の両替所にて

 物の相場というのは、どこの国に行ってもわりかし変わりはありません。
 例えばペットボトル飲料がこの価格なら、食べ物はだいたいこれくらい、という相対比較は今までのところ世界共通、だいたい誤差の範囲内。
 何処に行ったとしても、日本国内とだいたい同じ感覚を流用できます。

 ですがそれがイコールで物の値段というわけではありません。
 そこに加えて為替、物価の違いというやつが加味されます。旅行の醍醐味とも言える部分ですね。
 例えばアメリカでは日本にいる時から全てが20%オフだったり、イギリスでは20%アップ。フランスあたりは日本と変わらないので通常営業。
 東南アジアでは大特価、60%オフが当たり前だったりするのです。

 そこに国独自の補正が加わったりするのも面白いです。
 例えば先進国内で最も為替レート的に高いイギリスなんかは、円高が著しい日本よりも更に割高、だいたいのものが高いと感じてしまいますが、一方で文化施設の入館料は原則タダだったりします。

 同時に、よく参考にするのが某アメリカの黄色いMを筆頭とする多国籍チェーン店での価格。
 多少の誤差や地域補正を入れますが、基本的に世界各地で同じ程度の価格に設定されているようです。それを参考にしながら、近くの別の店の同価格のサービスと比較することで、その国の実際の物価がなんとなくつかめたりするのです。
 簡単に言うと、ハンバーガーが安いと思ってしまう国は、おしなべて物価が高い国。
 前述のイギリスなんかの場合はファストフードチェーンの方が圧倒的に安かったですね。
 ん、日本ですか? ご想像にお任せします。

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 しかし、いちいち日本円に換算して安い高いというのは、小旅行ならいいものの、ある程度まとまって生活するにはやや面倒になってきます。

 今週の予算は日本円でこのくらいだから、あれが○○円で、これが○○円、どこそこへ移動するのに○○円・・・
 1米ドルのように100円の感覚がそのまま通用するような所であれば現地通貨→日本円で再換算し続けてもなんとかなりますが、単位が全く違う現地通貨、そこにさらに別の係数、観光地プレミアムなんかがかかってしまうと大混乱。
 しかもそういうところでは、外国為替といえば真っ先に米ドルが来てしまうのです。
 さすがは腐っても基軸通貨。ついでにお願いだからもうちょっとだけドル高になってください。
 つまり状況によって、

 現地通貨+観光地プレミアム→いったん米ドルに換算→日本円に再換算

 はっきり言って面倒です。

 ということで、ある程度安さ高さを楽しんだら、経済観念を逆転させてその国の通貨を基本単位にして手持ち通貨を使い切る方針に切り替えます。
 物価が高かった場合、節約したところでやはりお金は必要ですし、安ければそれはそれで問題ないのです。
 そして両替にかかるコストというのはかなり馬鹿になりません。
 だいたいの感覚で円から現地通貨、現地通貨から円のやりとりで4分の3になってしまうのです。

 そこで重要になってくるのが日本で言う『100円』を探すこと。
 日本に居ることが少なくなってから、意識して日本を見てみれば、『100円』が基準となっていることが多いです。そのまま「100円○○」という広告であったり、ワンコイン=500円や980円というのもその類型ですね。
 いかに100円を基準として経済が回っているものかと痛感するのですが、それを日本国外にも適用させて、だいたいの基準点となる単位を見つけ出し、それを基準にして判断するのです。


1コルナはどれくらい?

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 ピルゼン滞在は、まさにその作業から始まりました。

 2~3日滞在、そして現地民のジュザから聞くところから算出して、12コルナ近辺がこちらでの100円といったところで把握していました。
 ペットボトル飲料は1.5リットルのもので25~30コルナ。
 タクシーは市内から市外までで150コルナ。
 レストランでちゃんとした食事をとるなら200コルナ強といった所でした。
 ちなみにピルゼン、というよりチェコの現地スペシャルであるビールは、店で頼めば中ジョッキ20コルナ弱。スーパーにまで足を伸ばせば瓶1本が10コルナ程度で売っています。冗談抜きに水よりも安いです。

 で、肝心の実際の通貨価値はというと、
 25コルナ=100円。

 つまり何もかもが相当安いのです。
 元共産圏の国万歳。コミュニズム万歳。
 ついでにチェコでは昼からビールを飲むのは当たり前、むしろ頼まない方が少数というお国柄。

 ということで、真っ昼間から、

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 ビールを片手にシュニッツェルだったり、

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 グラーシュだったり、

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 ハンバーガーだったり、

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 ジュザのお母さん、ガールフレンドと一緒に寿司だったりしていました。


アヴァシンの帰還・プレリリース in ピルゼン

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 そんな感じで瞬く間に流れた1週間ですが、週末はいよいよアヴァシンの帰還のお目見え。私にとっては休暇の終わりと仕事始めにあたります。

 町中では英語にほとんど出くわさず、通訳のジュザがいなければほとんど誰とも喋れない状態でいたピルゼンですが、マジックプレイヤーともなると、半数くらいは英語を解する程度には、つまり私と同じくらい程度の軽い英語が喋れるのでコミュニケーションがとれます。
 と言うよりお互い心許ないので、非常にゆっくりでセンテンスも短い。
 それでも言葉に詰まって、お互いに仲間を呼ぶor辞書を引き出すという、なんとも微笑ましいやりとりをしつつのプレリリースです。

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 テーブル番号すらチェコ語のなので、何がなんだかわからなくて困ったという顔をしていたら、改めて、英語で教えてくれるだなんてことも。
 たぶん、外国人から見た日本の光景というのはこんなものなんでしょうね。

 ちなみに参加費は600コルナ。
 日本円的感覚でいうと普通ですが、この国の感覚でいうとちょっと高めですね。
 そのせいもあってか年齢層は日本より若干高め、学生がほとんどいない印象を受けました。まあプレリリースが、普通のバーを貸しきって開催されているくらいですから。

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 開封したパックは、白緑に優良クリーチャー、呪文あわせて軽く25枚はあるという、強そうなデッキ予備軍。これは簡単なマジックになりそうです。

 ところが国が変われば、流儀も変わります。
 日本ではない「プレリリースでもデッキチェックシートに記入する」という過程から、ちょっと不安を覚えていたのですが、予想は的中し、回収されていく強カードプール。
 そして帰ってきたのはなんとも微妙な代物。
 デッキリストへの記入は無いみたいで、リストは新たなパックが行き渡ると同時に回収されていきます。
 どうやら持ち込み対策で、リストの記入だけはしてもらう、という形式のようです。
 デッキを組むのに全力で、リストを書き込む余裕なんて全くなかったので助かりました。

デッキA[MO] [ARENA]
9 《平地
8 《

-土地(17)-

1 《スレイベンの勇者
1 《近野の巡礼者
1 《グールの解体人
1 《墓所を歩くもの
1 《敬虔な司祭
1 《魂獄の悪鬼
1 《照明灯の霊
1 《月明かりの霊
1 《暁の熾天使
1 《死体の運び屋
1 《聖なる司法高官
2 《州民の声
1 《黄金夜の救い手
1 《希望の天使アヴァシン

-クリーチャー(15)-
1 《雲隠れ
1 《人間の脆さ
1 《盲信の一撃
1 《牙抜き
1 《屍噛み
1 《精神的苦悶
1 《死の超克
1 《死の風

-呪文(8)-
デッキB[MO] [ARENA]
6 《
6 《
5 《

-土地(17)-

2 《翼作り
1 《森林地の先達
1 《ファルケンラスの駆除屋
1 《錬金術師の弟子
1 《ケッシグの不満分子
1 《電位式錬金術師
1 《霧の海の船長
1 《イラクサ豚
1 《狂気の預言者
1 《厳格な導師
1 《霧鴉
1 《霊の罠師
1 《士気溢れる徴集兵
1 《グリフの先兵

-クリーチャー(15)-
1 《豊かな成長
1 《火柱
1 《いかづち
2 《蜘蛛による摂食
1 《稲妻の勇気
1 《虚空への突入
1 《悪鬼の血脈、ティボルト

-呪文(8)-


 決め手となったのは、デッキAにすると6マナ圏以降が多すぎること。
 6マナ圏3枚にプラスして《希望の天使アヴァシン》はいくらなんでも重すぎるはず。
 それよりは軽いところでギミックの多い青と赤を中心にした構成を目指したほうが・・・いや、そうするとカードが全然足りないので3色目がどうしても必要、特にクリーチャー不足は深刻なので、やむなく緑のシングルマナを添加しなくてはデッキにならない・・・。
 迷いながら、色配分に目を覆いたくなりつつ、理論上回れば強いはずの青赤緑の方を使うことにしました。

 参加人数は30人でしたが、チェコ式マジックの大会はプレイオフあり。
 5回戦後、上位8人のシングルエリミネーション。賞品は1ボックスを上位8人に分配するという形です。
 アヴァシンの帰還ドラフトの練習用になんとかパックを持ち帰りたいところですが・・・

 と思ったら予想以上にデッキが上手く回り、勝ち、勝ち、勝ち、引き分け、引き分けの3-0-2でプレイオフへ。

 《ファルケンラスの駆除屋》と《稲妻の勇気》、何よりも《士気溢れる徴集兵》がただひたすらに強く、ほとんどのゲームを砲台システムを完成させて勝つか、ダメージレースで徴集兵で一気にまくるというものでした。

 《狂気の預言者》もこれらの勝ち筋を拾ってきてくれる、あるいは即攻撃に向かわせられるという点で常に活躍しましたね。

 一方で使う前から何となく予想はしていた《悪鬼の血脈、ティボルト》はやはり失敗でした。
 そもそも{R}{R}が厳しい上に、出せたところでランダムディスカードで次のターンに置きたい《》や《》を失うリスクが高すぎて、キャストしないという選択をしたことすらも、
 概ね《狂気の預言者》で捨てられていくという悲しい役どころになっていましたね。

 ところが決勝ラウンドでは、これまで馬鹿にしていたティボルトが、お互い手札が尽きたところから舞い降りてきて活躍したような気がします。
 せっかく引いてきた1枚目の追加戦力が即墓地に行ってしまってなんだかなとは思いつつも、後続を掘り進めてくれたのは間違いないです。
 案外強い、かもしれません。

 これまで一度も決まっていなかったもうひとつの勝ち筋、《厳格な導師》によるライブラリーアウトで2本取ったりで、なんとか決勝戦まで。
 順当に勝ち上がってきたジュザとスプリットして11パック確保できました。
 デッキの内容を考えれば本当に上出来。
 5日後に発売するまで貴重なドラフト用のパックを確保できて一安心でした。


バルセロナへ

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 今はそれから4日ほど経過した5月2日の水曜日。
 バルセロナ行き飛行機の搭乗を前に、写真を見つつ、細かな部分を思い出しながらキーボードを打っているところです。
 前日まで国境近くのカジノでポーカーを打っていて徹夜明けだったベン・スタークと、レストランでリミテッド討論をしたり。

 そういえば、日曜日のプレリリースは今度はジュザが一晩中飲んでいて、二日酔いでダウン。ベンと2人で慄きながら会場に向かったりしました。
 それとせっかく確保したパックですが、ピルゼンでは平日にあまり人が集まらず、思ったようにはドラフトができませんでした。


 プロツアーまであと9日。
 これからチャネル・ファイアーボール勢と合流してブロック構築、そしてドラフトの練習が始まります。
 今シーズンの最終戦であると同時に、目標にしているプレイヤー選手権への参加権を懸けての戦いが始まります。
 ということで、少し『今週の』という趣旨からは外れてしまいますが、今回はここまでにしたいと思います。
 それではまた次回、できれば良い報告があればいいのですが・・・

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