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渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
第32回:THE DRAFTM@STER?プロツアー・フィラデルフィア M12ドラフト実践編 その1
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渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
2011.09.07
第32回:THE DRAFTM@STER~プロツアー・フィラデルフィア編 その1
こんにちは、渡辺です。
現在アメリカ滞在2週間目に入りました。
そろそろ日本が恋しくなってきますね。
日本というより日本食が、と言った方が正しいかもしれません。
アメリカの食事は豪快でカロリーの高いものが多いので、体重の増加が目下最大の悩みです。
そもそもなんでアメリカに滞在しているかというと、やはりマジックのイベントのため。
ここ1カ月の間にアメリカで3回イベントが行われるので、どうせなら全部行こうということで、ナックさんと一緒にアメリカ1ヶ月ツアー真っ最中なのです。
現在約半分の2週間が経過。イベントも3回中2回を消化しました。
グランプリ・ピッツバーグとプロツアー・フィラデルフィアですね。
既に大半の方がご存知かとは思いますが、ツアー最初のイベントであるグランプリ・ピッツバーグは優勝することができました。
グランプリ・上海からの2週連続でのグランプリ優勝で、自分でも正直びっくりの結果です。
スタンダードはあまり練習出来ていなかったのですが、前日の一夜漬けで組んだ構成が上手くメタに嵌ってくれました。いやーついてるついてる。
そして先週末行われたプロツアー・フィラデルフィア。
優勝はイタリアのサミュエル・エストラティでしたが、日本勢からは中島主税さんが4位入賞という結果を残してくれました。
なかちかさんにはいつもお世話になっているので、プロツアーという大舞台で結果を残されたのは本当に嬉しく思います。
TOP8の発表の時なんか、8位のアナウンスを聞いた時に一緒に叫んでしまったくらいです。
準決勝で優勝者であるサミュエルに負けてしまいましたが、それでも4位入賞は大健闘でしょう。
なかちかさん、本当におめでとうございます。
ちなみに僕自身の結果は28位とそこそこ。
先週のグランプリ・ピッツバーグと合わせて、今期のプロポイント的にも大収穫の2週間でした。
さて、近況報告はこのくらいにして、そろそろ本題に入りましょう。
今回はプロツアー・フィラデルフィアの実践編として、プロツアーでの僕のドラフトをレポートをしていく感じでお送りしたいと思います。
1stドラフト
初日のモダン構築を4勝1敗で折り返した後の1stドラフト。
二日目に進出するためには1勝という比較的楽なハードルですが、ここは世界最高峰の舞台であるプロツアー。何が起こるか分かりません。
気を引き締めて自分のドラフトポッドへ向かいました。
1パック目
開封パックは本当に弱いパックで、ピック候補が《薄暮狩りのコウモリ》《地割れのドレイク》《憤怒生まれのヘルカイト》といったラインナップ。
まず最初に《憤怒生まれのヘルカイト》が重すぎるという理由で却下され、《薄暮狩りのコウモリ》と《地割れのドレイク》の2択に。
ここで僕が選択したのは《薄暮狩りのコウモリ》。
カードの単体性能なら《地割れのドレイク》に分がありますが、それは2マナと5マナのカードなら当然のこと。
むしろここで《薄暮狩りのコウモリ》を取って、有力なアーキタイプである赤黒の狂喜系へ向かう算段です。
ただ単体のカードパワーだけ見れば《地割れのドレイク》に軍配が上がるので、これは人によって意見の変わるところ。
実際にピック後に多くの人に質問してみましたが、《地割れのドレイク》派の人も多くいました。
アーキタイプを狙うかカードパワーを優先するか。あなたなら実際にどうするか考えてみてください。
2手目は他に候補もなく、《組み直しの骸骨》で黒路線。
続く3手目で《縞瑪瑙の魔道士》と《魂の消耗》というパックが回ってきました。
両方とも黒の有力カードですが、僕がここから選んだのは《縞瑪瑙の魔道士》。
《魂の消耗》は黒単に近づくほど効果を増すカードですが、まだドラフト序盤でここから色が変更されることは容易に想像できるので、ここは大人しく《縞瑪瑙の魔道士》を取って現状維持です。
4手目で《棍棒のトロール》。
上家からのシグナルであるこれをしっかりとキャッチ。
5手目で2枚目の《組み直しの骸骨》を確保。
《組み直しの骸骨》は多くのカードとのコンボがあるので、黒のシナジー系のデッキを狙っていきたいところです。
既に《組み直しの骸骨》が2枚あるので、普段なら使いにくい《小悪疫》も十分ピック候補に入ります。
時間いっぱい悩んでピックしたのは《肉体のねじ切り》。
《小悪疫》のシナジーも魅力でしたが、ここでは単体での使いやすさを優先しました。
下家に《肉体のねじ切り》を流してシグナルだと思われるのも嫌でしたからね。
7手目は黒のないパックから《オーラ術師》。
8手目で《血の求道者》と《精神腐敗》の2択から後者を選択。
現状コントロール寄りのドラフトになりそうだったので、相手のリソースに関与できるカードを優先しました。
9手目で帰ってきた自分のパックから《魔性の教示者》を取って、これから先のボムに備えをしておきます。
その後はほぼ流し。
遅く取れた《予言》で一応青も候補に入れておきつつ1パック目は終了。
- 《薄暮狩りのコウモリ》
- 《組み直しの骸骨》
- 《縞瑪瑙の魔道士》
- 《棍棒のトロール》
- 《組み直しの骸骨》
- 《肉体のねじ切り》
- 《オーラ術師》
- 《精神腐敗》
- 《魔性の教示者》
- 《縫合グール》
- 《予言》
- 《墓暴き》
- 《血の味》
- 《闇の好意》
1パック目終了時点では黒はほぼ確定。
2色目はまだどれにでも行ける感じですが、上から赤いカードだけはほとんど流れてこなかったので、上で赤が混んでいると予想。
なので、できれば赤以外の3色の中から2色目を探しに行く感じです。
では続いて2パック目へ。
2パック目
2パック目の開封パックのピック候補は《小悪疫》《火葬》《地割れのドレイク》《流浪のグリフィン》といったラインナップ。
カードの強さだけ見るならダントツで《火葬》なのですが、1パック目終了時点で書いたように上では赤が混んでいるという予想なので、ここで赤に手を出すのは得策ではないと考えました。
ここで僕がピックしたのは《小悪疫》。
パックに黒いカードがこれだけだったので、上家に対して黒を主張しつつ《火葬》を流して協調する目論見です。
自分自身は2枚の《組み直しの骸骨》があるので《小悪疫》は上手く使えますからね。
《小悪疫》は後手の時に強いカードなので、1パック目の《精神腐敗》と合わせて、ここから後手仕様のデッキを意識してドラフトしていきます。
除去カードである《ソリンの渇き》か、《組み直しの骸骨》とのシナジーを考えて《貪る大群》か。
僕が選択したのは除去カードである《ソリンの渇き》。後手仕様のデッキならば軽量除去は多いに越したことはないと考えたからです。
ただ、ここは《貪る大群》を優先するべきでした。
1パック目で取れているクリーチャーの線が細すぎるので、自分から殴りに行けるカードがまったく取れていなかったのです。
いくら除去があっても、弱いクリーチャーに打たされては意味がありません。
なのでここは《組み直しの骸骨》と合わせて戦線を構築できる《貪る大群》を優先するべきでした。
ここのピックは後から考えて、今回のドラフトで一番後悔したピックでしたね。
3手目は《破滅の刃》。
黒をやるなら是非欲しい優秀除去をここで。
4手目は《漂う影》。
黒がメインのデッキのエースクリーチャーです。
5手目で先程取り逃した《貪る大群》を確保。
1パック目で下家に対して黒を主張した分、流れが良いですね。
6手目は《血の求道者》。
7手目で《天界の粛清》をカット、8手目も《焼却》。
サイド後のプランを増やしておきます。
そして1周してきた自分のパックから《災難の瀬戸際》を取って、その後も黒のカードをつまみつつ遅く流れてきた《ゴブリンの投火師》をカットしたりして2パック目終了。
- 《小悪疫》
- 《ソリンの渇き》
- 《破滅の刃》
- 《漂う影》
- 《貪る大群》
- 《血の求道者》
- 《天界の粛清》
- 《焼却》
- 《災難の瀬戸際》
- 《精神腐敗》
- 《ゴブリンの投火師》
- 《地盤の裂け目》
- 《精神腐敗》
- 《忌まわしい容貌》
2パック目終了時点でも2色目は決まらず。
このまま黒単路線でもいいくらいです。
ただ現状クリーチャーの線がかなり細いので、3パック目でそれを補強したいところ。現状ちょっと厳しい感じです。
3パック目
開封パックからは《正義の執政官》さんがこんにちは。あんた出てくるのちょっと遅いよ。
他の候補が《平和な心》《夜の子》といったカードだったので、大人しくレアをピック。
ここから白が取れれば2色目を白にしたいですね。
2手目は《ソリンの渇き》。
他に候補もなく。ただ今は除去じゃなくクリーチャーが欲しいです。
3手目は《グレイブディガー》。
懸念されていたクリーチャー不足を解消していきたいところ。
4手目は《吸血鬼ののけ者》!
黒のエースクリーチャーをこの巡目で確保できました。
クリーチャー陣の細さが絶望的だったので、これはかなり嬉しいですね。
ここから勢いに乗りたいところですが、続く5手目は《ガラクの仲間》をカット。自分の欲しい黒のクリーチャーもなく、仕方ないといった感じのピックです。
6手目は《肉体のねじ切り》。
確かに嬉しいのですが今一番欲しいのはクリーチャーなんです。
7手目は《ゾンビの大巨人》。
とりあえずクリーチャーの補強を。
8手目で2枚目の《縫合グール》を。
デッキのクリーチャーが弱いので、使えるか正直怪しいです。
9手目で1周してきた《地割れのドレイク》を確保して2色目として青も検討できるようにしつつ、その後は適当にパックの中の一番強いカードを取り続けてドラフト終了。
- 《正義の執政官》
- 《ソリンの渇き》
- 《グレイブディガー》
- 《吸血鬼ののけ者》
- 《ガラクの仲間》
- 《肉体のねじ切り》
- 《ゾンビの大巨人》
- 《縫合グール》
- 《地割れのドレイク》
- 《神聖なる好意》
- 《マーフォークの催眠術師》
- 《ジェイスの消去》
- 《墓暴き》
- 《速足のブーツ》
3パック目でクリーチャーの補強をしたかったのですがそれも叶わず。
多少は補強できましたが、それでも水準ラインに達せませんでした。
除去だけは沢山取れたので、そこで何とかするしかなさそうです。
そんなこんなでできたデッキはこちら。
13 《沼》 4 《島》 -土地(17)- 1 《縞瑪瑙の魔道士》 1 《薄暮狩りのコウモリ》 1 《血の求道者》 2 《組み直しの骸骨》 1 《貪る大群》 1 《グレイブディガー》 1 《漂う影》 1 《吸血鬼ののけ者》 1 《ゾンビの大巨人》 1 《地割れのドレイク》 1 《縫合グール》 -クリーチャー(12)- |
2 《肉体のねじ切り》 2 《ソリンの渇き》 1 《破滅の刃》 1 《小悪疫》 3 《精神腐敗》 1 《予言》 1 《災難の瀬戸際》 -呪文(11)- |
|
青黒のコントロールデッキ。
呪文枠は除去もハンデスも揃っているのですが、問題は脆弱なクリーチャー陣。
相手の《ルーン爪の熊》と相打ちできるようなクリーチャーもいないので、盤面を支えるのが非常に困難になってしまいました。
そうなってしまうと除去を相手の弱いクリーチャーに打つ展開も多く、相手のボムに対処できない、というような展開も容易に想像できてしまいます。
正直に言ってしまうと、かなり弱いデッキをドラフトしてしまいました。
実はデッキ構築ミスもしていて、とにかく序盤に{B}{B}を用意したいという色マナ的な面を考慮して2色目を青にしたのですが、デッキが弱い時にそんなことを言ってる場合ではありません。
まだ単体で勝てる目のある《正義の執政官》を使わないのは間違いでした。
なのでサイド後は2色目を青から白に変更し、以下のように組みかえてました。
12 《沼》 5 《平地》 -土地(17)- 1 《縞瑪瑙の魔道士》 1 《薄暮狩りのコウモリ》 2 《組み直しの骸骨》 1 《貪る大群》 1 《オーラ術師》 1 《グレイブディガー》 1 《漂う影》 1 《吸血鬼ののけ者》 1 《ゾンビの大巨人》 1 《正義の執政官》 -クリーチャー(11)- |
2 《肉体のねじ切り》 2 《ソリンの渇き》 1 《破滅の刃》 1 《小悪疫》 3 《精神腐敗》 1 《魔性の教示者》 1 《神聖なる好意》 1 《墓暴き》 -呪文(12)- |
|
まぁデッキが弱いのには変わりないですが、こっちの方がまだワンチャンスありますね。
正直ドラフト終了時には3連敗も覚悟していましたが、結果は何とか1勝2敗。
1戦目の相手からは《ソリン・マルコフ》、2戦目の相手からは《炎破のドラゴン》といった面々を出され手も足も出ずに負け。
初日抜けを賭けた最終戦でも《記憶の熟達者、ジェイス》《アラクナスの紡ぎ手》と出されましたが、相手もそこまで2連敗しているだけあって脇を固めるカードが弱く、何とか勝つことができました。
これで構築の成績と合わせて5勝3敗で何とか初日抜け。何とか二日目に進出することができました。
ピックミス有り構築ミス有りと散々なドラフトでしたが、この失敗を糧に二日目のドラフトで同じ失敗をしないようにしたいですね。
このまま二日目のドラフトに移りたいところですが、紙面の都合もあるのでそれはまた来週ということで。
では今回はこの辺で。
また来週お会いしましょう。
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