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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ

帰ってきたスタンダード・アナライズ 新たなデッキの潮流

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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ

2013.11.07

帰ってきたスタンダード・アナライズ 新たなデッキの潮流

 こんにちは。前回の記事でお伝えした通り、今週はグランプリ・ルイビル(10月19~20日開催、リンク先は英語カバレージ)のトップ8デッキに加え、翌週に行われた「StarCityGames Invitational」と「StarCityGames Open Tournament・インディアナポリス」(ともに10月26~27日開催)の結果を振り返りながら、現在のメタゲームと注目のデッキをチェックしていきたいと思います。

 「青単信心」と「黒単信心」の二強状態に割って入ってくるデッキはあったのか。また、それらふたつのデッキが環境に及ぼした影響はいかなるものだったのか。今回の記事ではその辺りを重点的に見ていきたいと思います。

 まずはプロツアー「テーロス」の翌週に行われたグランプリ・ルイビルのトップ8デッキをご覧ください。

~グランプリ・ルイビルトップ8デッキ~

優勝 「{B}黒単信心」
準優勝「赤緑ビートダウン」
3位 「{U}青単信心」
4位 「エスパー(青白黒)・コントロール」
5位 「{U}青単信心」
6位 「{B}黒単信心」
7位 「{B}黒単信心」
8位 「エスパー(青白黒)・コントロール」

 プロツアー「テーロス」で最も大きな注目を集めたデッキは間違いなく「青単信心」でしたが、この週の主役はチームStarCityGamesの面々が使用した「黒単信心」でした。2010年度の年間最優秀選手であるBrad Nelsonを筆頭に、長きにわたってStarCityGamesで連載を続けているTodd AndersonとBrian Braun-Duin(BBD)の3名が、ほとんど同じリストの「黒単信心」でトップ8を占領したのです。また、同じくStarCityGamesの一員としてSam BlackとWilliam Jensenもトップ8入賞を果たしており、チーム全体の好調っぷりを見せつけています。Sam Blackは得意の「青単信心」を用いてプロツアー「テーロス」に続いてのトップ8入賞ということで、同デッキと現環境に対する理解度の高さが伺えます。

 それでは、そんな圧巻のパフォーマンスを披露してくれたチームStarCityGamesのデッキをご覧いただきましょう。

「黒単信心」

Brian Braun-Duin
グランプリ・ルイビル2013 優勝[MO] [ARENA]
19 《
4 《変わり谷
2 《欺瞞の神殿

-土地(25)-

2 《群れネズミ
4 《夜帷の死霊
4 《冒涜の悪魔
1 《死者の神、エレボス
4 《アスフォデルの灰色商人

-クリーチャー(15)-
4 《思考囲い
2 《肉貪り
2 《破滅の刃
2 《究極の価格
4 《英雄の破滅
4 《地下世界の人脈
2 《エレボスの鞭

-呪文(20)-
2 《群れネズミ
3 《生命散らしのゾンビ
1 《死者の神、エレボス
3 《強迫
1 《闇の裏切り
1 《真髄の針
2 《肉貪り
2 《破滅の刃

-サイドボード(15)-

 グランプリ・ルイビルを制したデッキは、前回紹介したやまけん(山本 賢太郎)さんのリストのアップデート版と呼べる「黒単信心」でした。プロツアー「テーロス」以降、「黒単信心」はMagic Online(以下MO)上で爆発的な人気を博し、メタゲームに大きな影響を与えました。このリストもミラーマッチをかなり意識した構成になっており、それは《生命散らしのゾンビ》の代わりに搭載された《夜帷の死霊》だったり、《破滅の刃》の減少に顕著に表れています。

 《夜帷の死霊》はミラーマッチで抜群の存在感を誇る1枚で、「青単信心」やコントロールデッキに対しても非常に効果的です。それらの対決においては、《地下世界の人脈》と同等かそれ以上の活躍が期待できるので、逆にそれらのマッチアップで効果の薄い《生命散らしのゾンビ》と入れ替わったことは、グランプリ・ルイビル前後のメタゲームの移り変わりを体現していると言えるでしょう。

 なお、現在は「青単信心」を筆頭に青いデッキの方が白いデッキよりも数が多いので、《夜帷の死霊》を使う際には追放された呪文を唱えやすいよう、「神殿」シリーズは《欺瞞の神殿》に統一しておくといいでしょう。

 また、クリーチャーの取捨選択と同様に、除去の選択にもメタゲームの変化が見受けられます。それまでは2マナの除去で最高のカードと評されていた《破滅の刃》ですが、ミラーマッチの増加に伴い数を減らすしかない状況に追いやられてしまいました。サイドボードに《闇の裏切り》が採用されるのが当たり前の時代になってきたので、これもまた当然の変化と言えますね。

 この「黒単信心」はグランプリ・ルイビルを経て、「青単信心」に並ぶデッキという地位を確固たるものにしました。最早このデッキは追われる立場であり、ここ数週間で《ヴィズコーパの血男爵》や《軍勢の集結》のような「黒単信心」に劇的な効果を発揮するカードを見かける機会が大幅に増えています。

 このようなカードの入ったデッキと対峙する際にはサイドボーディングやプレイングに注意が必要で、前者であれば《生命散らしのゾンビ》や《肉貪り》で、後者であれば手札破壊を使うタイミングに気を配る必要があります。後述の《軍勢の集結》の入った「ナヤ・コントロール」デッキに対しては、手札破壊を序盤にキャストする必要性がないので、そのようなデッキと対峙する際には3~4ターン目まで待ってから手札破壊を使うようにしましょう。

「青単信心」

Sam Black
グランプリ・ルイビル2013 5位[MO] [ARENA]
20 《
4 《変わり谷
1 《ニクスの祭殿、ニクソス

-土地(25)-

4 《雲ヒレの猛禽
4 《審判官の使い魔
4 《凍結燃焼の奇魔
4 《潮縛りの魔道士
4 《夜帷の死霊
4 《海の神、タッサ
4 《波使い

-クリーチャー(28)-
1 《急速混成
2 《サイクロンの裂け目
2 《タッサの二叉槍
2 《思考を築く者、ジェイス

-呪文(7)-
1 《霊異種
2 《急速混成
4 《反論
1 《サイクロンの裂け目
1 《否認
1 《解消
1 《タッサの二叉槍
1 《家畜化
2 《思考を築く者、ジェイス
1 《ニクスの祭殿、ニクソス

-サイドボード(15)-

 プロツアー「テーロス」に引き続いてのトップ8入賞を果たしたのは、StarCityGamesの看板ライターであるSam Blackでした。昔は日本人と他のボードゲームを一緒に遊んだりする、ゲームが大好きなお兄さんという印象が強かったプレイヤーですが、今ではアメリカを代表するトッププレイヤーへと成長しました。このページをご覧になっているみなさまにとっては周知の事実かと思われますが、前環境の「The Aristocrats」を生み出したプレイヤーであり、レガシー環境でも《恐血鬼》や《未練ある魂》と《ゴブリンの砲撃》を組み合わせた摩訶不思議なデッキで結果を残していたりと、そのデッキ構築の才能を遺憾なく発揮しています。

 そんなSamが現環境で愛用しているのが、環境最高のデッキと評される「青単信心」です。彼自身がプロツアー「テーロス」で使用したリストから大きな変化はありませんが、これはそれほどまでに彼らのプロツアーの事前練習の精度が高かったことを示唆しています。

 前回の記事を書き終えてから、ようやくカードも揃ったのでこのデッキを使ってみたのですが、改めて驚いたのはこのデッキの長期戦での強さでした。それこそ「エスパー・コントロール」のようなデッキには鬼神のごとき強さで、逆に思いのほか負けることが多かったのは「赤単」系のデッキです。

「赤単」系のデッキも《波使い》が環境に多いことは把握しているので、《ミジウムの迫撃砲》の「超過」や《軍勢の忠節者》で強引に突破してきたり、地上戦を放棄して《嵐の息吹のドラゴン》で押し込んできたりと様々な手法を駆使してきます。また、タッチ白をして《岩への繋ぎ止め》を使う戦略も現在では一般的なものになってきているので、あまり《波使い》に頼りすぎることなく、序盤からしっかりとダメージレースをしていくようにしましょう。

 また「ナヤ・コントロール」の項で後述しますが、最近では《岩への繋ぎ止め》や《セレズニアの魔除け》のように、《海の神、タッサ》を除去できるカードの使用率が高まっています。それらのカードに対応して《急速混成》で自身のクリーチャー、要するに「信心」を減らしてしまえば《海の神、タッサ》を守ることができるので、もしも《海の神、タッサ》を守りたい状況であればそのようなプレイも視野に入れて動くといいでしょう。

 続いては残るStarCityGamesの一員であるWilliam Jensenの駆る「エスパー・コントロール」といきたいところなんですが、「StarCityGames Open Tournament・インディアナポリス」優勝者のリストが秀逸だったので、グランプリ・ルイビルの特集はここで切り上げて、ここからはその他のイベントの注目デッキを見ていきたいと思います。

「エスパー(青白黒)・コントロール」

Harry Corvese
StarCityGames.com Standard Open・インディアナポリス 優勝[MO] [ARENA]
4 《
3 《平地
4 《神聖なる泉
4 《湿った墓
4 《欺瞞の神殿
4 《神無き祭殿
4 《静寂の神殿

-土地(27)-

1 《霊異種

-クリーチャー(1)-
2 《思考囲い
4 《アゾリウスの魔除け
4 《拘留の宝球
3 《解消
3 《英雄の破滅
4 《至高の評決
1 《無慈悲な追い立て
1 《中略
4 《スフィンクスの啓示
4 《思考を築く者、ジェイス
2 《太陽の勇者、エルズペス

-呪文(32)-
2 《ヴィズコーパの血男爵
1 《霊異種
3 《真髄の針
1 《思考囲い
4 《破滅の刃
2 《否認
1 《反論
1 《交易所

-サイドボード(15)-
StarCityGames.comより引用)

 この大会で見事に1・2フィニッシュを飾った「エスパー・コントロール」。前回お伝えしたように、「青単信心」と「黒単信心」がこのデッキにとって致命的な《燃え立つ大地》を環境から減らしてくれたこと、それに加えメタゲームが定まってきたことにより仮想敵がはっきりとしたことで、徐々にですが確実に数を増やしてきています。

 このリストのどこが秀逸かと言いますと、2マナの黒除去を採用していない点です。少なくとも《破滅の刃》はほぼ確実に採用すべきだと思われていたはずですが、現状は「黒単信心」の隆盛により《破滅の刃》ですら信用のおけない状況になっています。他の候補である《究極の価格》と《肉貪り》も一長一短で、相手のデッキや展開次第で手札で使えないまま負けてしまうことがありますし、そのようなムラはコントロールデッキにおいて致命的になりかねません。

 そこでHarryさんのリストは《思考囲い》、《アゾリウスの魔除け》、《拘留の宝球》、《英雄の破滅》と、どんな相手にも有能なカードばかりで構成されています。

 他にも《スフィンクスの啓示》を4枚採用している点、そして《無慈悲な追い立て》を採用している点など、「エスパー・コントロール」の指針となるようなリストだと思います。Wafo-Tapaのリストもそうであったように、《スフィンクスの啓示》は3枚のリストが多かったですが、どんな相手と当たっても決して減らそうと思ったことがないので、4枚投入して問題ないと思います。

 また、《無慈悲な追い立て》はほとんど使われていないカードですが、重いだけあって非常に万能です。《至高の評決》のような使い方はもちろん、《死者の神、エレボス》と《地下世界の人脈》や、《海の神、タッサ》と《タッサの二叉槍》をまとめて対処できたりと、6マナでもお釣りのくるような展開は意外なほど多いです。

 このデッキにおける6マナの競争相手は《霊異種》と《太陽の勇者、エルズペス》と強豪揃いなので2枚目の検討は難しいでしょうが、「エスパー・コントロール」をお使いのみなさまはぜひ一度お試しください。

「ナヤ(赤緑白)・コントロール」

Brad Nelson
StarCityGames.com Invitational 優勝[MO] [ARENA]
4 《
1 《
1 《平地
4 《踏み鳴らされる地
4 《奔放の神殿
4 《聖なる鋳造所
3 《凱旋の神殿
4 《寺院の庭
1 《セレズニアのギルド門

-土地(26)-

4 《ロクソドンの強打者
3 《嵐の息吹のドラゴン

-クリーチャー(7)-
2 《セレズニアの魔鍵
4 《岩への繋ぎ止め
4 《ミジウムの迫撃砲
4 《セレズニアの魔除け
4 《神々の憤怒
2 《ワームの到来
2 《軍勢の集結
3 《歓楽者ゼナゴス
2 《太陽の勇者、エルズペス

-呪文(27)-
2 《サンホームのギルド魔道士
2 《自由なる者ルーリク・サー
4 《霧裂きのハイドラ
2 《摩耗 // 損耗
1 《真髄の針
2 《今わの際
2 《軍勢の集結

-サイドボード(15)-
StarCityGames.comより引用)

 グランプリ・ルイビルで「黒単信心」を使用してベスト8に残ったBrad Nelsonですが、その翌週に行われた「StarCityGames Invitational」では独自の「ナヤ・コントロール」を用いてスタンダードラウンドを8戦全勝で駆け抜けました。このデッキは「青単信心」と「黒単信心」を強く意識しており、さながらメタゲームの産物と呼べるデッキに仕上がっています。

 《歓楽者ゼナゴス》と《軍勢の集結》は対「黒単信心」で劇的に作用しますし、《ミジウムの迫撃砲》と《神々の憤怒》は「青単信心」の戦線を壊滅させることができます。また、おそらくNelsonがこのデッキを選んだ動機として、このカラーリングの除去がメタゲームにマッチしていることが挙げられます。

 《岩への繋ぎ止め》と《セレズニアの魔除け》は、どちらも《海の神、タッサ》や《死者の神、エレボス》のような各種「神」をも対処可能で、なおかつ《世界を喰らう者、ポルクラノス》、《冒涜の悪魔》といった環境を代表する主力クリーチャーたちも効率よく対処することができます。

 前回の記事から幾度となくお伝えしているように、「神」に触れるカードは非常に貴重かつ重要なので、これら2種類の優良除去をメインボードから無理なく使えることは、このデッキの大きな魅力と言えるでしょう。

 そしてこのデッキが全勝を記録した最大の理由として、このデッキがローグ・デッキだったことも大きいでしょう。初めてこのデッキと対峙した際に常に最適解を導きだすのは不可能に近く、それこそここ最近めっきり影を潜めていた《ワームの到来》が飛んでくるなんて予想できるはずもありません。これはローグ・デッキの持つ強みそのもので、この結果は多くのプレイヤーに夢と希望をもたらしたのではないかと思います。

 ちょうどこの記事を執筆中に開催されていたグランプリ・サンティアゴ(11月2~3日開催、リンク先は英語カバレージ)もローグと呼べるデッキが優勝を収めていたので、そちらもご覧いただきましょう。

「ラクドス(黒赤)・ビートダウン」

Luis Navas
グランプリ・サンティアゴ2013 優勝[MO] [ARENA]
10 《
8 《
4 《血の墓所

-土地(22)-

4 《ラクドスの哄笑者
4 《苛まれし英雄
4 《ラクドスの切り刻み教徒
4 《とげの道化
1 《快楽殺人の暗殺者
4 《モーギスの匪賊
3 《ザスリッドの屍術師
4 《ラクドスの血魔女、イクサヴァ

-クリーチャー(28)-
4 《稲妻の一撃
4 《向こう見ずな技術
2 《破滅の刃

-呪文(10)-
2 《死者の神、エレボス
4 《思考囲い
2 《戦慄掘り
2 《ミジウムの迫撃砲
2 《燃え立つ大地
2 《エレボスの鞭
1 《ラクドスのギルド門

-サイドボード(15)-

 《ファルケンラスの貴種》が在りし頃には一世を風靡した「ラクドス」デッキが、装いを新たに戻ってきました。各種「信心」デッキのようなダイナミックな動きはできないものの、昔ながらの堅実なビートダウンを存分に味わうことができます。もともとMagic Online(以下MO)上で「黒単」バージョンは存在していましたが、Luisさんはそこに《とげの道化》や《ラクドスの血魔女、イクサヴァ》などの赤い要素を追加して、その攻撃性に磨きをかけています。

 デッキの動きは出して殴るだけの単純なものですが、このデッキの良いアクセントになっているのが《モーギスの匪賊》と《向こう見ずな技術》です。

 《モーギスの匪賊》はとんでもない角度から勝ててしまう1枚で、実際に僕は《霊異種》と《太陽の勇者、エルズペス》のトークンが6体いる状況から負けたことがあります。

 同じく《向こう見ずな技術》も奇襲性は抜群で、《世界を喰らう者、ポルクラノス》や《冒涜の悪魔》といった大振りなアクションの返しに付ければ大ダメージが期待できます。単純に2ターン目に付けるだけでも相当なダメージを稼いでくれるでしょうし、《破滅の刃》の効かないこれらのクリーチャーに呪文で対処するのはなかなかに難しいことも好印象です。

 このデッキにおける《ザスリッドの屍術師》も非常にデッキの構成と噛み合ったカードで、見た目とは裏腹に《ラクドスの切り刻み教徒》や《モーギスの匪賊》、はたまた《ラクドスの血魔女、イクサヴァ》までもが「人間」クリーチャーなので、攻防一体のカードとして活躍が期待できます。「速攻」持ちのクリーチャーが多い性質上、もとより《至高の評決》には強い構成になっていますが、《ザスリッドの屍術師》はそれをさらに後押ししてくれます。

 サイドボードにも《思考囲い》を筆頭に《死者の神、エレボス》、《燃え立つ大地》と対コントロール要素が豊富なので、コントロールデッキにとっては天敵と呼べそうなデッキですね。

 手数の多さ、という面でこの「ラクドス・ビートダウン」に並ぶデッキが結果を残していたので、そのデッキをご覧いただいてお別れしたいと思います。

「白単タッチ赤ビートダウン」

Ben Lundquist
StarCityGames.com Standard Open ロサンジェルス 優勝[MO] [ARENA]
10 《平地
4 《聖なる鋳造所
4 《凱旋の神殿
4 《変わり谷

-土地(22)-

4 《ボロスの精鋭
4 《ドライアドの闘士
4 《万神殿の兵士
4 《果敢なスカイジェク
4 《管区の隊長
2 《アゾリウスの拘引者
4 《前線の衛生兵

-クリーチャー(26)-
4 《精霊への挑戦
4 《ボロスの魔除け
1 《ヘリオッドの槍
3 《群れの統率者アジャニ

-呪文(12)-
4 《鬼斬の聖騎士
3 《放逐する僧侶
1 《摩耗 // 損耗
2 《異端の輝き
1 《ミジウムの迫撃砲
1 《平和な心
2 《燃え立つ大地
1 《戦導者のらせん

-サイドボード(15)-
StarCityGames.comより引用)

 一見《果敢なスカイジェク》や《アゾリウスの拘引者》などのリミテッドオールスターに騙されてしまいがちですが、見た目以上の強さを発揮するのがこのデッキ。このデッキの最大の武器は、前述の通りその圧倒的なまでの手数の多さです。実際に「黒単信心」などで対戦してみると分かりますが、これほどまでに軽いクリーチャーを連打されると単体除去で追いつくことは非常に困難です。

 脇を固めるカードも、クリーチャーを並べるこの手のデッキにうってつけの《ヘリオッドの槍》、自軍のクリーチャーを守ることにも最後の一押しにも使える《精霊への挑戦》、《ボロスの魔除け》と粒揃い。このデッキは「ラクドス・ビートダウン」とは違い《至高の評決》に全くと言っていいほど耐性がないので、《ボロスの魔除け》の存在は心強い限りです。

 このリストに変更を加えるとすれば、《アゾリウスの拘引者》を似たような役割を担う《威圧する君主》に替えてみてもいいかもしれません。

 《威圧する君主》はクリーチャーを並べるデッキにとって絶望的な効果で、上手く機能すればダメージレースなど起こる間もなくゲームが終了します。また、《ヘリオッドの槍》は相当に強いカードなので、《群れの統率者アジャニ》と2枚ずつにしてもいいと思います。

 先月から再び記事を書かせていただくようになってからというもの、白系のデッキは少し元気がなかったかなという印象を受けていましたが、最近ではこのアーキタイプを筆頭に、MOの「News and Updates」(旧「What's Happening?」)では白を主色としたデッキをいくつか見つけることができました。

 膨大な数のデッキが掲載されているこのページならば、あなたの好みのデッキが見つかると思うので、お時間のある際にぜひご覧になってみてください。


 今週は以上になります。依然として「青単信心」と「黒単信心」が少し多く、そこに「赤単」や「エスパー・コントロール」が続いている状況です。
 しかしながら、今週紹介させていただいたNelsonの「ナヤ・コントロール」や「ラクドス」、「白単タッチ赤」ビートダウンデッキが示すように、現在のスタンダードでは多くのデッキにチャンスがあると思います。現環境にはまだまだ未開のテクニックがたくさんあると思うので、我こそは!と思う方はぜひ新しいデッキ作りにも挑戦してみてください。

 それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

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