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Savor the Flavor
クリーチャーの戦い
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Savor the Flavor
クリーチャーの戦い
Doug Beyer / Translated by Mayuko Wakatsuki / Translation-supervised by Yohei Mori
2012年2月8日
第一級のプレインズウォーカーが他のプレインズウォーカーと戦う時は十中八九、新たなマジックプレイヤーがよく行っているそれと同じやり方で始める。
《山》とともにマナの繋がりを確立する。その《山》からマナを引き出す。君の顔面に《稲妻》。#勝利。
単純かつ的を射ている。だが一人のプレインズウォーカーが、その敵を傷つけるという汚れ仕事のためのクリーチャーを初めて召喚する時、新たな時代が生まれた。パワー、能率、そして都会的な信頼性、単純に稲妻を直接顔面に叩きつけるよりも遥かに重大な、プレインズウォーカーVSプレインズウォーカーの君の戦いへと君が向かわせることになるクリーチャー達。クリーチャーの戦闘がプレインズウォーカー間の戦闘の標準となるまでに長い時間はかからない。そして私が今日探検するのは、クリーチャー戦闘のフレイバーだ。
戦闘フェイズを一歩一歩取り上げていこう。
戦闘開始ステップ
プレインズウォーカー達は常に致死的な魔法を互いに浴びせ合おうとするわけではない。ただとても頻繁なだけだ。きっと、プレインズウォーカー達が協力してぶらんこか何かを設置するようなゲームがあると私は推測する。だが我々はそれをプレインズウォーカー達のカメラの外での活動と呼ぶかもしれない。それはスクリーンには映らない。ではスクリーンに映るのは? 戦闘の凄まじいスリルだ。僅かなマナから、即席の軍隊が召喚される。前方へと突撃する使い魔、仲間、そしてかろうじて支配した怪物達。鉄や骨、皮、鱗の砕ける音。マジックのゲームの文脈の中では、呪文や能力で何かを死に至らしめることに焦点が当てられている。ぶらんこの共同製作は待つといい。
《エルゴードの審問官》 アート:Slawomir Maniak |
戦闘ステップの開始は、攻撃が発生しようとする、アドレナリンを打ちこむ瞬間を意味する。魔術師達は互いに戦場で活動するクリーチャー達と魔法を見渡しながら、彼らのうち一人だけが主導権を持つことを両者とも知っている。それは一人のプレインズウォーカーが彼の下僕達を破滅の使いへと送り込む前の筋肉のうずきであり、彼らそれぞれにとっても軍勢が解き放たれる前に迅速な魔法を唱える、もしくはトリックを使う最後の瞬間である。
これは一人のプレインズウォーカーが彼の敵の最良クリーチャーを束縛する、もしくは他の者が《フォモーリのルーハン》の気まぐれを見つける時となりうる。だがほとんどの場合、これはただ侮辱を浴びせ、アクションスターの名台詞を唱える、もしくは単純に君の対戦相手へと、お前は顔面一杯の鉤爪、剣、歯、炎の受取人になろうとしていると告げるのに良い時だ。
攻撃クリーチャー指定ステップ
肉のうずきや侮辱のパレードの直後、戦闘開始が合図され、優先権を持つ魔術師が彼の軍勢へと攻撃に向かうよう命令する。これはフレイバー的に考えて、何通りものやり方で達成しうる。プレインズウォーカーは間違いなく口頭で命令を発することができる。私の意見では、もし彼が望むなら「ドラゴンよ! 我が敵を殲滅せよ!」と叫ぶことは決して悪いやり方ではない。だがそれは厳密に言えば必要なものではない。クリーチャー召喚士の中には身ぶりやボディーランゲージで命令を伝えようとする者もいる。召喚されたクリーチャー達は頭で頷き、拳を握りしめ、もしくはただその敵へと芝居がかって目を細めることで返答するかもしれない。だがほとんどの場合において、それは必須でさえない。プレインズウォーカーはそれらのクリーチャーを彼の意思で支配している。最も能率的な方法、そして防御側の視点から元も気力を奪う方法は、そして傍観者の視点から率直に言って最もクールな方法は、単純にそれらのクリーチャー達へと、攻撃するよう意思で命令することだ。君はただそれを考え、彼らは打ち壊しに向かう。時々、彼の下僕へと送り込む敵愾心がどれほど視覚的に明らかかによって、熟練者と新参者を区別できる事がある。
《ゾンビの黙示録》 アート:Peter Mohrbacher |
勢いよく進むアタッカーの波は、戦略的で広範囲を見渡す魔術師にとっての「君の顔面に稲妻」だ。召喚されたクリーチャー達は何度も繰り返しぶつかって行き、その者の敵を圧倒することのできるダメージと勢いで優位性を蓄積することができる。賢いプレインズウォーカー達は攻撃を行う下僕を注意深く選択し、来たる戦闘の段階でのありうる結果を熟考し、彼ら自身が生き残り続けるために十分なリソースを背後に残しながらダメージを押し込む。抽象的な視点からは、クリーチャーの戦闘は優美なダンス、ターンを繰り返すバレエ、暴力が行き来する儀礼だ。
いくつかの場合、このステップは直接、対立するプレインズウォーカーのプライドと物理的肉体を実際に傷つけることになる。だがしばしば、心地よい危機が先にある。
ブロック・クリーチャー指定ステップ
ミサイルが向かってきている。ターゲットがロックされている。警報がクラクションを甲高く鳴らしている。お客さんだ、どう反応するかを決める時だ。
《硫黄の流弾》 アート:Eytan Zana |
これはプレインズウォーカー達が受け流す、戦闘の中の刹那だ。彼らが召喚した仲間は鎧や盾、迫り来る損害の波に対する防波堤となる。攻撃クリーチャー達の数は既に測られている。この混沌のダンスの様式によれば、これ以上の攻撃クリーチャーが今現在の攻勢に加わることはない。だからほとんどの、全てではないがほとんどの要因は既知のものだ。これはプレインズウォーカーが彼女の下僕の中から英雄と、不幸にも他の犠牲者を運命づける時だ。これはまたどれほどの傷を彼女自身で耐えることができるかを推し量り、そして前の召喚行動の重要性と、彼女がやがて手にする他のリソースとを天秤にかける時だ。時々彼女は、敵の巨大なスカーブによろめき進ませ、その最悪を行わせることが最良であると判決を下す。もし彼女自身の僧侶や戦士達がそれを受け止める準備ができていないと知っているならば。時々彼女は、アタッカーの持つ飛行や威嚇能力が彼女の防御を通り抜ける助けとなることを認識する。もしくは、彼女はそれがやって来る前に全てのダメージを軽減する魔法的な手段を持っているかもしれない。
だが良好なブロックの選択ほど満足できるものはない。
《信仰の盾》 アート:Svetlin Velinov |
プレインズウォーカーの優先順位が明白となるのがこのステップの間だ。クリーチャーか、ライフか? 個人的な健康状態の保証か、戦闘のスリルか? 安全に遊ぶか、大胆にも危険を負うか? あるプレインズウォーカーはその攻撃を暗号化された脚本のように読み、合図を解読し結果を推し量る。その攻撃は少々バランスを欠き、彼女の敵が実際に掌握しているであろう以上の強さを示すよう意図されている? それは困らせるような臆病な攻撃で、過剰反応を刺激するよう意図されている? 彼女の敵は戦場を読み違え、先のコンバット・トリックの罠にはまろうとしている? 何にせよ、これはプレインズウォーカーにとって、このターンの結果に影響を及ぼすことができる最後の機会だ。これは防御側の受け流しが完了して鉛筆を置く瞬間、そして両方のプレインズウォーカーにとって、呪文や特別な能力を戦闘の大釜へと放る最後の機会だ。衝撃の前の最後の瞬間だ。
戦闘ダメージ・ステップ
歯を食いしばれ、プレインズウォーカー。これは痛いぞ。
争いの中にブロッカーの密集隊を投げ入れようと、彼ら全員に脇に立っているよう命令して勇敢にも君の顔面で受けようと、これは痛い時間だ。これは戦闘に関わるあらゆるクリーチャーが、そのパワー全てをもって目の前にあるものは何でも傷つける、最大限の力で切り裂き噛みつく時だ。そしてその皮で受け止めることのできるダメージは何であろうと耐える時だ。これは先制攻撃と二段攻撃が素早いジャブを繰り出し、時折、敵にやり返される前に彼らに割り当てられた戦闘要員の生命を突き刺す時だ。これは毒の噛みつきや接死の致命的な視線がその破滅を運ぶ仕事を行う時であり、絆魂持ちとプレインズウォーカーとの生命的な繋がりが支払われる時だ。これはトランプル持ちの運動量がブロッカー達を越えてプレインズウォーカー達へと持ちこされ、炎のブレスの追加ダメージや再生による回復が蹴り入れられる時だ。そして、勿論、これは生きているものが死ぬ時でもある。
《暁天》 アート:Karl Kopinski |
ルールの表現ではダメージが危険域を交差する所を、フレイバーの表現では戦場は血で汚れる。致命的に傷ついたものは倒れ、墓地で死者の位に加わる。弱い幽霊は強い狼男に敗れ、装備品を振るう吸血鬼は巨大なデーモンに屈する。そして互角の力を持つ英雄達は相討ちとなる。クリーチャーごとに、引き算の問題ごとに、二人の敵同士のプレインズウォーカーの選択によって死者は生者と別たれて、状況が変化し戻すことのできない戦場が残される。
だがその変化はクリーチャー達にとってだけではない。ダメージを割り振る成り行きの中、プレインズウォーカー達は自身の傷に耐える。時折そのダメージはあまりに大きく、彼らの一人はもう沢山だと認めて降伏するか、それとも死ぬまで戦い、打ちひしがれた抜け殻となるまで押し進むよう彼女の敵へと強制するかという分岐点となる。
戦闘終了ステップ
土埃が収まる直前、戦闘が終了する前に最後の一瞬が存在する。僅かにくすぶっていた最後の効果が終わる。《濃霧の精霊》の存在はパッと消える。機械仕掛けのクリーチャー達は時を刻む。《聖トラフトの霊》の天使は消滅する。《翡翠像》は生命のない塊へと戻る。プレインズウォーカーの戦闘要員にとっては、最悪は終わり、息をつくことのできる最初の瞬間だ。だがクリーチャー達の衝突のあらゆる効果が明白となる、最初の時でもある。
《ホロウヘンジの霊魂》 アート:Lars Grant-West |
プレインズウォーカーであることは荒々しく、しばしば血なまぐさいものだ。多くの世界をあくせく歩き回る魔術師二人が即興の魔法的軍隊とともに対峙した時、その結果は暴力的なものとなりうる。そしてそれは戦闘の1ラウンドでしかない。更なる呪文詠唱の僅かに後、別の攻撃の時間がやって来る。
もしくは、彼らは古典的な方法に立ち戻るかもしれない。君の顔面に《稲妻》。
「治癒」
私はクリーチャー戦闘のフレイバーについて、もう一つコメントしたい。とはいえそれは戦闘フェイズ外で起こるルールの一面を含んでいる。プレイヤー達は、一つのゲーム全般に渡って彼らが維持してきた、ダメージを反映して流動するライフトータルを持つ。同様に、プレインズウォーカー・カードにはターン毎に上下する忠誠度のトータルが存在する。だがマジックにおいて、クリーチャー達はこのようには働かない。ターン終了時にダメージはクリーチャー達から消去される。1ターンの期間中にあるクリーチャーを殺さなかったダメージはどんな量であっても、究極的には致死性のものではない。一体の《聖所の猫》は《グール樹》を毎ターン「削り取る」ことはできない、複数の猫たちがチームを組んで一度に多数でブロックしない限りは。
ゲームプレイの表現において、ターン終了時のこの「治癒」は、戦場のあらゆる体に派生した数字の追跡ではなく、マジックが単純な「死か否か」の比較であることの助けとなっている。しかしフレイバーの表現においては、それはマジックを小さな攻撃による段階的な縮小ではなく、巨大モンスター達の激突であることの助けとなっている。《月の帳のドラゴン》に与えられた致死的でない、だが重大な4点のダメージが、それがどれほどの仕事をするかは関係なく、ターン終了時に単純に消え去るというのは奇妙かもしれない。だが事実《月の帳のドラゴン》は一日中、弱くも無駄なパワー4のブロッカーを繰り返し粉砕することができる。つまりそいつはいかした奴で、そこに居ついているということだ。その事は、プレインズウォーカー達は燃え立つような効果を強大なクリーチャーへと気まぐれに放ってじわじわと破滅に向かわせるよりも、それを一度に放つために備蓄を集める傾向があることを意味する。そしてそれは、マジックのクリーチャー達は召喚された目的......戦い、また繰り返し戦うことに長けているという印象を作り出す。戦場で傷を負ったクリーチャーに何が起こるのかという物語の中では、それは魔法的に塞がれる傷というよりも、たちまち回復する溌剌なモンスター達が振り回す、どんな連続攻撃も仕事をするには十分ではないのだと私は考える。君がタフネス4の《墓耕しのワーム》を雇う時、それはパワー3以下のどんなギャングとも乱闘することができ、そして生き残って話を伝えると君はしっかり理解している。そしてもし君が物事を賢く推し量り、タフネス8の《墓耕しのワーム》を召喚したなら、それを殺すためにはただ倍の労力を必要とするだけではなく、たぶん敵の現存する全戦力をもってしても殺しきれないかもしれないということを君は知っている。
《墓耕しのワーム》 アート:Slawomir Maniak |
君達が今日の、ヴォーソス的危険域への遠足を楽しんでくれたことを願うよ! 一週間後にまた会おう、私が地図についてのポピュラーな質問に答えたすぐ後に。
今週のお便り
親愛なるダグ・ベイアーへ
貴方の記事「闇の隆盛 受信メールボックスの日」を読ませて頂きました。
はい、質問が二つあります。ウィザーズにはイニストラードの地図があるのでしょうか? そして、私達とそれを共有してくれますでしょうか?
――アンダース・Aより
実のところ、我々は地図を持っていない。霧のネファリアは沿岸部、森深いケッシグは大陸内部の多くを満たしている、ステンシアの曲がりくねった山脈はガヴォニーの平野の一部を切り取る等々、我々クリエイティブ・チームはイニストラードの様々な場所の相対的な位置についていくらか考えた。我々は地図を製作する所までは行かなかった。我々の世界構築術は、カードと物語が描き出すことのできる偉大で際限のない素材を確保できるように、膨大なページに及ぶ豊かな詳細設定を生み出した。一方、地図はその連続性を固定してしまう。ほとんどの場合において、固定しておかないよう求められるものを。言うが、もし我々がそれを決定づけることのできる権威のある書類を持っていなたら、スレイベンのアヴァシン大聖堂とホロウヘンジの取り憑かれた街との間の絶対的な距離は、フレイバーテキストの全断片、物語、Savor the Flavorの何気ないコメント(へっ)がその事実に矛盾する危険を負うかもしれない。言うが、もしイニストラードの一つのフレイバー表現で、ジェンナ・ヘランドの短編のうちの一つでステンシア州の片側からもう片側へと四輪馬車に乗る描写をしようとしたなら、イニストラードの別のフレイバーの表現、例えばライアン・ミラーの代替現実ゲーム(リンク先は英語)、その書簡の物語は、確かに信頼できる時に郵送されたという表現が求められる。そうなれば信頼のおける地図はそれが防ぐよりも多くの矛盾を生成し、良い仕事をするよりも多くの不都合を生み出すかもしれない。概して言うと、我々は細部に至るまで浸透した設定が、距離計算や移動料金について気をもんで生き死にするのではなく、物語を偉大なものにすることを求めている。これは我々に、多彩なクリエイター達にこれらの世界に合うと思ったものを自由に心に描かせてくれながらも、マジックの舞台にいっぱいの内容を詰め込ませてくれる。
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