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開発秘話

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新(というわけでもない)世界秩序

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新(というわけでもない)世界秩序

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2015年5月8日


 DailyMTGの『モダンマスターズ』特集へようこそ。今回の記事で私は、そのリミテッド環境について、どのように我々がそれを組み合わせたか、そして我々が成し遂げようとしたものについてお話しします。

新(というわけでもない)世界秩序

 『モダンマスターズ 2015年版』の重要なことの1つは、このセットが新世界秩序――楽しく分かりやすいリミテッド環境を作るために我々が持っているルール、に厳密には従っていないということです。これはコモンのバランス取りをぶん投げたというわけではありませんが、我々はコモンにより強力で複雑な相互作用を与え、そして盤面のトリックや数値にもっと注意を要求する状況を作れるようになりました。

 新世界秩序は、『ローウィン』や『時のらせん』のようなセットがマジックに必要以上の複雑さをもたらした後に制定されました。開発部の人々の多くは『時のらせん』がこれまでの中でもお気に入りのセットだと言うでしょうし、それは驚くべきことではないでしょう。我々の多くは、《サッフィー・エリクスドッター》や、《狙い撃ち》のスペルシェイパーである《背びれクーサイト》がそのアナグラムである(Guided Strike→Ridged Kusite)ことを知っていた、まさしくマジックの大ファンなのです。我々の多くは『時のらせん』や似たようなセットがもたらす類の複雑さが好きですが、全てのセットがそれらのセットのような挙動をしたときにどういう問題が起こるかも理解しています。

 しかしながら『モダンマスターズ 2015年版』は初心者向けのセットではなく、我々のことわざで言う(我々の場合いくつかは他よりも多い)「髪を下ろして」通常のマジックのセットではできないことができるセットです。我々は(常識的な範囲で)より強力なコモンと、とても複雑で「盤面的な」相互作用を入れて、通常のセットの1つでは恐らく通らないであろうタイミングの物事さえも手にすることができます。

 また『モダンマスターズ 2015年版』では今の通常のセットで我々が使うよりも多くのメカニズムを使えます。その量は上記の『時のらせん』レベルではないかもしれず、間違いなく『未来予知』よりも下ですが、全てのカードが再録であることから、このセットには「通常」のセットよりも多くのメカニズムがあり、この製品を買う人の多くは以前にそれらのメカニズムをプレイしたことがあります。我々は人々に初めての物事をたくさん教える心配をしなくてもいいのです。

 これらのことで『モダンマスターズ』が新世界秩序制定後のセットよりもリミテッドの面で本質的に良くなっている、とは私は考えていません――結局今までの中で最高のリミテッド環境の1つである『イニストラード』は、両面カード、陰鬱、フラッシュバックだけでそれを成し遂げてみせたのです。

期待に応える

 我々が第二の『モダンマスターズ』を作ると決めたときに、その製品を最初の『モダンマスターズ』のとても高い期待に適うようにしたいということは分かっており、それはつまり、『モダンマスターズ』からの多くの事柄を取り上げると同時に改善し、ほとんど新しくしたカードでリミテッド環境を作るということでした。『モダンマスターズ』が成し遂げた素晴らしいことの1つは、複数の異なるブロックのメカニズムを重ね合わせたことでした。電結と断片の有色アーティファクト、多相とレベルや巨人、そして烈日と鮮烈土地などを組み合わせたりできたのです。

 我々は『モダンマスターズ 2015年版』を作ることを視野に入れたとき、2年の間に追加された2つのブロック――『ミラディンの傷跡』と『ゼンディカー』――を見て、その中で最も実りあるものだったと考えるメカニズムを『モダンマスターズ』に加えました。その我々のリストの先頭に容易に上がってきたのが、増殖でした。

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 増殖はとても深いメカニズムです。私が増殖を好きなのはジョニー向けだからだけではありません。このメカニズムはあらゆる用途に幅広く使うことができます。これは我々がこれまでに印刷してきた全てのマジックのカードの大部分と上手く機能し、そして私が最も重要だと考えるものは、これが多くのデザイン空間と増殖のあったリミテッド環境では起こらなかった楽しい相互作用を起こす余地を持っていることです。我々が再録したいと希望するメカニズムについて話していて、それらの正しい場所を見つけたとき、増殖はそのリストの上位に位置づけられたのです。

 ある意味では、これは完全に『モダンマスターズ 2015年版』向けにできています。このセットにおける我々の目標の1つは楽しく独特なリミテッド経験を作り出すことです。つまり、人々が好きな昔の面白かったものを再体験するだけでなく、異なるリミテッド環境から来る様々な楽しい部分で新しいものを作ることなのです。

新しい相互作用

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 このセット内で増殖を複数の仕事ができるものにするということは、人々に『ミラディンの傷跡』では起こらなかった様々な異なることをこのメカニズムで行わせるということになります。我々は-1/-1カウンターを使うために萎縮と頑強を『モダンマスターズ 2015年版』に再録しましたが、また人々に他のタイプのカウンター、中でも+1/+1カウンターを使う能力を与える必要がありました。

 移植はいくつかのジョニーなカードを可能とするだけでなく、増殖と組み合わせてカウンターを2倍にするようなクールなことができるので、『モダンマスターズ』で+1/+1カウンターを主に扱うメカニズムとして自然な選択肢でした。例えば《水辺の蜘蛛》のようなカードを使うとき、基本的にはクリーチャー2体を強化するためにカウンターを2個使うか、それらのうち1体だけに到達を与えるかしかできません。増殖を組み合わせた場合は――突然、全ての増殖呪文は移植持ちを大きくするだけでなく、カウンターを移されたクリーチャーも大きくなります。それらを大きくし、拡散させます。

 しかし、これは単にパワーとタフネスを変更する以上のことがあります。例えば《ヴィグの移植術師》はとてもすごい、ある事柄ができます。《血まなこの練習生》はわずかな助けでかなり危険なカードになります。《血まなこの練習生》は《ヴィグの移植術師》からカウンターを移されてから《テゼレットの計略》のような増殖呪文で毎ターンマシンガンを撃てる大きさになるだけでなく、《ヴィグの移植術師》の能力で盤面破壊マシーンへと変貌するのです。ガガガガガ!

 黒の増殖とファイレクシア・マナのカードは狂喜を達成する機会も与えてくれます――元々このメカニズムがあったのは『ギルドパクト』と『基本セット2012』です――そしてこのメカニズムは追加でいくつかのトリックを得ました。取りかかるには依然としてクリーチャーの攻撃を通す必要がありますが、ひとたびカウンターが狂喜クリーチャーに乗ったならば、《不気味な苦悩》はもはや1体のアタッカーやブロッカーに対するコンバット・トリックに留まりません。突然自軍の複数のクリーチャーのサイズを大きくすることができます。

おかしさの落とし穴

 このセットの適正なバランスを得るということは、いくつかのおかしなことを試し、全てがデベロップを通して固定されるわけではないことを知るということです。初期バージョンの『モダンマスターズ 2015年版』のファイルは、最終的なものよりもある意味では深く踏み込んでいて、青白のメカニズムとしてLvアップが存在しました。これは増殖と一緒にプレイして面白い能力でしたが、増殖が「それぞれの」カウンターではなく選んだ1種類だけのカウンターしか増やさないという、とても大きな問題がすぐに発覚しました。我々はこれを『ミラディンの傷跡』ブロックではクリーチャーに-1/-1カウンターしか置かず、蓄積カウンターをクリーチャーでないアーティファクトにしか置かないことで基本的に回避してきました。この事態を『ミラディンの傷跡』リミテッドで起こすことは不可能ではありませんが大変でした。青緑デッキが移植であることを考慮すれば、『モダンマスターズ 2015年版』リミテッドでこの事態が多発することがすぐに分かりました。我々はテキストが全て書かれたステッカーを貼ってプレイテストをしていますが、それは人々がそのカードを読んだり正確に処理するということにはならず、一部の人々が両方のカウンターを増やせると考えてしまう事態につながります。

 例えこのことが整備されたとしても、Lvアップ・クリーチャーに2種類のカウンターが乗っていると、対戦相手がいちいち聞かない限りそのクリーチャーの状態を把握するのは困難です。結局、これらの要素の組み合わせはいくら『モダンマスターズ』と言えどプレイヤーが尋ねることが多すぎると判断しました。我々はドラフト環境に新世界秩序に縛られないクリーチャーを求めましたが、また我々はほとんどの人々がこのフォーマットを何回もプレイしないだろうと想定しているので、ほとんどのことを初回で基本的に正しく機能させられることはかなり重要であると理解したのです。

さらなる探求

 『モダンマスターズ 2015年版』の最も楽しい相互作用のうちいくつかは増殖によって作り出されるものですが、全てがこれによるものではありません。このフォーマットは非常に深く、多くの脇道戦略と前にあったメカニズムを新しい観点から探求する方法が存在します。私は皆さんにリミテッドのゲームを地元のお店や、『モダンマスターズ』ウィークエンドのグランプリ、そして「Magic Online」でプレイする機会を得てほしいと思います。

 来週は一問一答特集で、皆さんからのデベロップに関する質問にお答えします。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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