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Latest Developments -デベロップ最先端-
変化する情勢
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変化する情勢
Dave Humpherys / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2012年8月31日
ザックが先週お伝えしたとおり、彼は転職のため我々の許を去って行きました。私達は彼の幸運を祈ると共に、彼がいなくなってとてもさびしく思います! マジック2013を好きな貴方、これが彼のリード・デベロッパーとしての最後の仕事ではありませんよ。また、彼の記事を楽しんだ方、私はあなた達がまだ彼のマジックについての最後の文章を見ていないと確信しています、それがこのサイトであれ、他のどこかであれ。
しかし、「Latest Developments」の読者であるあなたにとってどういう意味があるのでしょう? 私達は新しく、執筆者の持ち回り制を試す予定です。ライターは私達開発部のデベロッパーの中から選ばれる予定です。これによって私達がチームとしてどのように機能しているかのより良い評価を得られるようになるでしょうし、彼もしくは彼女の役割がここで成熟するにつれ、各個人の視点がどのようにチームと相互に作用するのかを見れるようになるでしょう。もしあなたが木曜の夜(訳注:日本語訳は月曜掲載です)におなじみの顔を見るためにクリックする習慣を身につけていて、文体と論調から大体のことを読み取るようにしているのなら、この方法には慣れがいるかも知れません。この方法でコラムをやっていくことは一種の実験のようなものですが、多くの有望な利点を持っています。どうか試し続けて、あなたが思うことを私達に聞かせてください。
最後の仕上げ
この執筆者の持ち回り制がもたらしてくれると期待するもののうちいくつかは、リード・デベロッパーが各セットで持ち回り制になっていることによる利点と共通しています。毎週記事を書くことは大変な仕事です。一つには、開発部に入る人の多くにはゲームについて思うことを文字にして伝えたい傾向がありますが、私達各自がそれぞれ新しいお題を毎週見つけるのは難しいことです。その点について、マーク・ローズウォーターはミュータントだと思います。マーク以外の我々は、もっとゆっくりとしたペースでお題を考えて、我々の最新の仕事とそれに関する皆さんの意見を反映させ、よりよいその後の各人の記事を準備するべきです。同様に、セットのデベロップのリーダーを持ち回りにしている理由は、各リーダーがリフレッシュされて、次にリーダーに割り振られた時に全てを注げる準備をできるようにするためです。しかし、私達が持ち回りをする利点はそれ以外にもいくらでもあります。
我々はデベロップのいくつかの柱をチームとして共有していますが、理想的な構造を作るそれ以外の様々な要素は一般的に固定されていません。そしてそれらは毎週ここで議論し、さらに議論しています。各リード・デベロッパーは、物事をある程度まで自分で指示します。私達の自由裁量により、楽しく、やりやすく、そして芳醇であると判断できる範囲内でリーダーが働くのはとても大事なことです。また、デザインによって想定された、そのセットの目標に向かって働きます。しかしそれ以上に、我々は境界が押されることを促します。デベロップのリーダーは多くの人からデザインを集め、そしてデベロッパーのチームからの意見を信頼します。このチームを募集するという点では、私達は多くの場合私達自身を模倣する人ではなく、私達の考えに挑戦する人を探します。リード・デベロッパーは多種多様な意見を取り入れることを職務としますが、各リーダーの下す意思決定はそれぞれ非常に独特なものになります。
例えば、ザックが《ジェイムデー秘本》をアンコモンに封入しようとしたことに対して他のデベロッパーはとても懐疑的でした。私達は、様々なデッキでプレイできるこのカードアドバンテージ・エンジンによって多くのゲームの勝敗が決まってしまうかもしれないと心配しました。ザックはリミテッドのプレイテストを繰り返し続け、その中で他のリーダーでは見られなかった特別なドラフトのプレイテストを行いました。結果は一目瞭然でした。彼はとりわけ、リミテッドは《ジェイムデー秘本》のようなカードを扱うのに十分に早いと主張しました。しかし、物事は別のデベロッパーの手によって違った方向に行くかも知れませんでした。これからの数ヶ月に渡りこのコラムに寄稿する予定のデベロッパーの何人かに、このスロットに入れる「議論の多い」アンコモンのアーティファクトとして何を選ぶか、アンケートを取りました。その結果は以下の通りです。
デイブ・ガスキン/Dave Guskin―《石臼》
トム・ラピル/Tom LaPille―《万力鎖》
エリック・ラウアー/Erik Lauer―《万力鎖》
ビリー・モレノ/Billy Moreno―《順応する自動機械》
サム・スタッダード/Sam Stoddard―《破裂の王笏》
デザインからやってきたときからの自然な流れによってセットの風景自身は変化していきますが、究極的に、デベロップのリーダーとそのチームは、後にプレイヤーがその利点について議論することになるようなカードを実験し、作るという権限を持っています。いかなるデベロッパーがいかなるセットを引き継いだとしても、そのセットの最終形は他の人の手によるものとは全く違って見えるでしょう。そして一方、例えば、我々の中で今最も経験豊かなデベロッパーであるエリック・ラウアーは平均して最もよいセットを生み出すでしょう、彼はまた、最近の他のリーダーが好評を得たのとはまた別のプレイヤー群にさらなる好評を得る形へとマジックの全体像を変え続けることが全体としてベストであるということに同意します。
デイブ・ハンフリーとは何者か?
デイブ・ハンフリー |
あなたが私を見かけたことはザックよりもはるかに少ないでしょうが、私が何者であるかをあなたにもっと理解してもらいたいと思います。というのも、私はあなたに開発部のメンバーそれぞれが異なる見解を持つということ、そして私達全てが愛するこのゲームにそれが全体としてどんな役割を果たすかの意義を印象付けたいと思います。
私はこの会社に入って、マジック2012のデベロップ・チームのミーティングに途中から飛び込み、そしてそれからマジック2013を除く一般に発表された――ギルド門侵犯までの――全てのデベロップ・チームに参加しました。私はデベロップ・チームのメンバーを管理しています。もうザックに威張り散らせないかと思うととても寂しいです。
私はマジック・プロツアー殿堂の一員です。私は生物学の博士号を持っています。これは私が強いシミック連合の傾向をもっていることを意味しています。驚いたことに、私の論文のテーマは生殖型クローニングについてでした。ギルド門侵犯が発売されるまで、私が最も楽しんでプレイするのはアゾリウスのカードになるでしょう。
私が始めてリーダーになったのはアヴァシンの帰還で、そしてそれは明らかに両極端な選択との遭遇でした。全体としてこのセットを誇りにしてはいますが、私はこのセットのリミテッドに関してあなた達の多くがより気に入るようにするためにできた違ったやり方を色々と学びました。例えば、私達はセット内の除去呪文の質をどうすべきだったのか、そしてそれらの質の平均と取りうる範囲の指標についてグループで議論しました。私達はリミテッド中心の構造の性質について、そしてどのような性質がプレイヤーが何か特別なことをしたくなることに共通するか、長い間議論しました。さらに加えて、私達は全てのセットで色のバランスを取ろうと熱心に努めていますが、各色の強さの評価のための新しい基準を作り、そして今後はそれをデベロップの中で優先することになります。
アヴァシンの帰還の目標のいくつかは、発言力を持つリミテッド・プレイヤーの多くが好むものと少なくとも部分的には対立していましたが、私達は彼らともっと多くの共通点を思いついてもらうことができました。私は望むことはそれ以外のあなた達の多くがアヴァシンの帰還を楽しんでくれたことと、そして楽しめなかった人のために、あなたがマジック全体について学ぶのに十分な深い調査ができたことです。残りのイニストラード・ブロックと同様、このセットに関する私達のさらなる思考は、今週の始めに(訳注:日本語訳掲載は先週木曜でした)このサイトにアップされたマーク・ローズウォーターの記事「デザイン演説2012」をご覧になることをお勧めします。
プレイヤーとしての私は?
どんなデッキをプレイするのが好きか、という視点から私をより理解してもらうために、長年にわたる最高の結果を出した中のいくつか――構築プロツアー32位以内、世界選手権トップ8、マスターズ決勝、アメリカ選手権トップ8、そしてグランプリ優勝――をリストにしてまとめ、私が一貫して何をプレイしたか思い出せるようにどこでの結果であるかとキーカードおよびデッキタイプを列記しました。
プロツアー・ニューヨーク(1996年2月17-18日):青緑タッチ赤、《シンドバッド》、《支配魔法》、《稲妻》、《アーナム・ジン》(中速)
プロツアー・コロンバス(1996年7月6-7日):青白タッチ赤《Ivory Gargoyle》《ジョークルホープス》(コントロール)
プロツアー・パリ(1997年3月11-13日)青タッチ白ドローゴー、《虹のイフリート》(コントロール)
プロツアー・ローマ(1998年11月13-15日)青黒《繰り返す悪夢》、《巨大鯨》(コンボ)
プロツアー・ニューヨーク(1999年5月30日-6月2日)赤青《修繕》《ゴブリンの溶接工》(コンボ)
1999年アメリカ選手権(1999年7月2-4日)青白《補充》(コンボ)
プロツアー・ニューオーリンズ(2001年11月2-4日)黒単リアニメート(コンボ)
グランプリ・ミネアポリス(2001年9月29-30日)青白黒《荒廃の天使》(コントロール)
マスターズ・サンディエゴ(2002年1月9-13日)青黒《サイカトグ》(コントロール)
世界選手権(オーストラリア・シドニー 2002年8月14-17日)青黒《サイカトグ》(コントロール)、青緑スレッショルド(アグロ)
世界選手権(ドイツ・ベルリン 2003年8月6-10日)青緑マッドネス(アグロ・コントロール)、黒単リアニメート(コンボ)
2004年アメリカ選手権(2004年6月18-20日)赤タッチ緑ゴブリン(アグロ)
プロツアー・コロンバス(2004年10月29-31日)黒単リアニメート(コンボ)
このリストをご覧の通り、私は個人的にはコントロールとコンボをとても楽しんでプレイしていて、アグロを試し始めたのは競技プレイヤーとしては後年になってからでした。さらに、まれな例外を除いては、私が青いカードを好んでプレイすることに気づくでしょう。楽しんでプレイすることを越えて、明らかにこれらの選択の多くは最良のデッキであるという考えに確かに基づいたものでした。全般的に見て、まだ私は平均的なプロよりもジョニー寄りでしたが、年を経て多少平均寄りに変動しています。
最近のリミテッドでは、ドラフトにおいて私は開発部のメンバーの中で2色デッキをプレイする可能性が最も低く、単色デッキもしくは多色デッキをプレイすると評判です。
デベロッパーとしての好みは?
多くの場合、私はデッキを構築することがそれをプレイするのと同じぐらいに好きです。これは、一般的には検討されないカードを検討すること、もしくはパズルのピースを組み合わせるように私に促すようなカードが特に好きであるということです。私は他にも同じような人達がたくさんいると考えています。そして私達がこのような挑戦を提供する作ることができたら、私は常に幸せです。《機知の戦い》はそれ自身が素晴らしいパズルです。さらに最近のカードではもう1枚《原初のうねり》があなたに全体的な方向性を提供してくれますが、これはとても自由なカードです。私達は《原初のうねり》のマナ・コストを軽くするべきだという議論に多くの時間を費やしましたが、上手くいきませんでした。《秘密を掘り下げる者》や《瞬唱の魔道士》もすばらしいカードだと思っています。青の長所を活かして、他のデッキではそんな使い方ができないようなカードを劇的な使い方をさせられる青のクリーチャーだ、という意味です。これの提供する微妙なキャスティング・コストのバランスとクリーチャーの数への挑戦や、クリーチャーの「戦場に出たとき」、そして「死亡したとき」もしくは「戦場を離れたとき」の効果について掘り下げることを促すという理由から、《出産の殻》もこのようなカードの素晴らしい例です。
対照的に、《出産の殻》はさらに私がデベロッパーとして嫌ういくつかのよい例も提供しています。私が嫌うものを説明することで、私が好きかもしれないほかの物事をお伝えします。《出産の殻》は対戦相手と観客に多くの何もできない時間を作り出します。(そうです、私達には毎週末彼らの家からイベントを観戦している多くの観客がいます)。私がこのカードを嫌うのはゲームの最も魅力的な部分から私達を引き抜くからです。経験を積んだプレイヤーにとってこのカードで何を得るかは分かりきった結論であっても、シャッフルすることで多くの時間を食いつぶすことになります。アヴァシンの帰還には何枚ライブラリーをシャッフルするカードがありますか? 1枚です。(《国境地帯のレインジャー》)これは単なる偶然ではないことを断言しておきましょう。単純に《熟慮》のようなカードは時間がかかるという理由で、恐らく私は他のデベロッパーよりも強力な単純にドローするだけのカードを多く受け入れています。むしろ、私は《嘘か真か》のようなカードを好みますが、これは呪文の解決中に両プレイヤーが何か行動するからです。
《出産の殻》はやはり筋書き通りのゲームを生み出します。一旦それを中心にデッキを作って、動き出せばゲームを繰り返しても、どんなデッキタイプに対しても大体はそこから同じことをするでしょう。代わりに、私は引いたカードが影響を及ぼさない環境ではなく、1枚1枚のカードが重要である環境を最大化したいと思います。とは言え、最初に《出産の殻》を得た時、もしくはそれを分解して再び確立させる時には多くのドラマが起こり得ます。
《出産の殻》は「呪文的クリーチャー」の使用を促します――つまり、戦場に出た時に呪文を唱えたかのような効果をもつクリーチャーのことです。一般的に言って、私達はクリーチャーはそれらに付けられた違ったカード・タイプのインスタントやソーサリーの模倣よりも、むしろ戦闘の軸に沿ったり、または起動型能力を使ったクールかつ面白いことが見たいものです。私は《荘厳な大天使》のような、それ自身と周りの他のクリーチャー両方の働きでMVPとなるクリーチャーが好きです。注意することは重要ですが、しかしそのデベロッパーは彼らの個別の好みに対して、それらを引いてセットのテーマを受け入れることが要求されます。私達はこのように適応することが必要です。例えば、セット内の明滅テーマを輝かせるために、アヴァシンの帰還は多くの数の呪文的クリーチャーから利益を得ました。従って、私のチームはセットが受け入れようとしているデザインの目標の働きと共に、こんな調子でフレーバーに満ちた、楽しいカードを作りました――《修復の天使》のようなさらに多くの有望な呪文的クリーチャー達です。
私の《出産の殻》に対する愛憎関係は脇に置いて、私がマジックに奨励したい他の事柄を簡単に見てみましょう。
私はテンポに基づいた戦略が有効なフォーマットが好きです。私は優秀な中速クリーチャーが好きです。私達が、いらつかせるような戦略が使える簡単な方法を与える限り、私はいらつかせるような戦略を罰する手段を提供するのを楽しみとしています。例えば、私は《スレイベンの守護者、サリア》の大ファンです。対照的に、私は余り色対策カードは好きではありません。その後者は大体もっと苛立たしいものですし、より狭い答えを必要とするものです。私はプレイヤーが理にかなった答えを見つけられるような難問を突きつけることが好きです。
最後に、私は金色のカードや他の方法で唱えることに挑戦しているカードの大ファンです、けれども、私は特にアーティファクトのファンではありません。私は成し遂げるのは簡単ではないが、しかしそうした時に報酬のあるカードが好きです。というわけで、あなたの予想通り私はラヴニカへの回帰にとても興奮しています。
ギルドを選べ!
お別れの前に、私達はラヴニカへの回帰の発売を楽しみにしています。そして私は仲間達にラヴニカへの回帰のギルドの中でどれが自分に一番合っているかを尋ねてみました。あなたはギルド門侵犯に関しての答えを待つ必要があるでしょう。私に返ってきた結果は以下の通りです。
デイブ・ガスキン―アゾリウス
トム・ラピル―セレズニア
エリック・ラウアー―イゼット
ビリー・モレノ―プレイヤーとしてはラクドス、人としてはゴルガリ
サム・スタッダード―イゼット
来るべき数週間か数ヶ月後に、あなたはきっとこれらの立派な同志達から、そして彼らについて学ぶことでしょう。
私に関しては、3週間したらラヴニカへの回帰でのプレビューで皆さんにお会いすることになるでしょう。さらに、あなたがマジック・プレイヤー選手権のカバレッジをまだご覧になっていなければ、それをフォローすることをお勧めします。ラヴニカへの回帰のプレビューを楽しまれること、そしてマジックを楽しまれるようお祈りします!
最後まで読んでくださってありがとうございました。
デイブ・ハンフリー
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