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『ファイレクシア:完全なる統一』の伝説たち

2023年2月3日

 

 すべてはひとつに! ミラディンが陥落して以来、新ファイレクシアはその機械生命の社会を発展させてきた。この危険極まりない次元に帰還するにあたって、我々は新たなキャラクターたちに出会い、またかつて見た者たちの不運な運命を目撃するだろう……。

再登場の伝説たち

機械の母、エリシュ・ノーン
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 ファイレクシア人がミラディンを侵略した際、彼らはこの次元のマナの太陽からの影響を被った。白の太陽からのマナがエリシュ・ノーンを誕生させた。彼女は征服した社会や信念を適応させ、歪め、自身の派閥である機械正典へと取り込んだ。彼女が説く壮大な統一の未来像においては、あらゆる生物は皮膚や肉のような哀れで必滅の障壁によって他者と隔てられることはない。

 当初、ノーンは自身がカーンの神聖なる代言者であると信じていた。プレインズウォーカーであるそのゴーレムが、ファイレクシア人をミラディンにもたらしたのだ。創造主として、彼は神のように崇拝されていた。だが彼は必滅かつ欠陥品であると判明し、更にはファイレクシアの大義を裏切った。この件からエリシュ・ノーンは自分こそが民の新たな指導者にならなければと確信し、「機械の母」を名乗った。ファイレクシアの栄光ある新時代を導くために、彼女は多元宇宙を統一する計画を指揮している。

大変成家、アンクタス
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 アンクタスはかつて、キリクという名のヴィダルケンであった。著名な研究者かつ評議会の一員として、彼はミラディンの地表から染み出る謎めいた油の調査をしようと決定した。彼の実験は強迫観念へと変化し、やがて彼は自身へとその黒い液体を注入した。それ以降、彼の夢はファイレクシアの幻視に汚染され、彼はその目的を達成すべく働いた。彼は自身を、仲間のヴィダルケンを、人間であるニューロックのライバルたちを完成化させた。彼らの部品を用いて、彼は自らの最高傑作を作り上げた――脳網。これはヴィダルケンとニューロックの脳を用いた生体ネットワークであり、ありとあらゆる知識の貯蔵庫として機能している。

処刑者の族長、ヴラーン
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 ミラディンにおいて、屍気に汚染されたメフィドロスはこの次元の吸血鬼の故郷であった。彼ら吸血鬼の中でも、最も腕が立つ暗殺者のみが「冷たき集い」に座を与えられる。集いの指導者であるヴラーンがファイレクシア化の力を発見すると、彼とその子分たちは大いにそれを歓迎した。完成化を受け入れた後、彼らは暗殺の技をその新たな社会階級に向けた。ヴラーンは幾つもの殺しを用いて七人の鋼の族長に加わった。噂では、彼は形見の墓所に犠牲者の頭部と記憶を集めているという。

契約の族長、ゲス
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 ファイレクシアがミラディンを侵略する以前、ゲスはモリオックの人間であり、ゾンビ化した屍賊の軍勢で自らの領土を支配していた。だが力への渇望から彼は死に至り、頭だけの姿にまで落ちぶれた。力を取り戻そうと決心したゲスはファイレクシアの侵略に助力し、見返りとして力強く新たな身体と、鋼の族長の座を手に入れた。だが暴力的な征服を好む他の族長たちとは異なり、ゲスは意地の悪い魔法的契約を用いて部下を束縛し隷属させている。従って他の族長たちは彼を弱者とみなし、人間としての起源をあざ笑っている。

鉄のゴブリン、スロバッド
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 スロバッドはゴブリンの発明家であり、英雄と言えただろう。彼は新たに得たばかりのプレインズウォーカーの灯を、ミラディンの人々を救うために捧げたのだった。地面へと踏み潰され、彼は死んだと多くの者が考えた。だが彼の壊れた身体はこの次元の核へと沈んで行き――そこでファイレクシアが待っていた。友であるグリッサにまた会えるかもしれないという希望にすがり、スロバッドは自らの身体を作り変えるファイレクシアの油を不承不承受け入れた。ついに治癒を終えた彼は、グリッサもまたファイレクシアに加わる栄誉を得たという理解とともに目覚めた。かつての人生の記憶に今なお影響され、スロバッドはファイレクシア人としての自らの身体を、また別の友であったゴーレムのボッシュを模したように改造した。ファイレクシアが友人たちと再会させてくれた、そう確信してスロバッドは今、多元宇宙の完成化に尽力している。

純潔の監視者、マルカトール
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 ジン=ギタクシアスは、ファイレクシアの侵略において最初に捕獲したロクソドンからマルカトールを作り上げた。その生物はとても強く、とても賢く、完成にとても近かった。幾つかの小さな調整を加え、ジン=ギタクシアスは彼自身の最も強力な研究部門の長となる理想的な候補者を作り上げた。マルカトールの鋭い目は他の部門が生み出したものを監督し、彼らの創造物が純潔の基準を満たしていることを確かめる。そして満たしてないものは、あらゆる必要な手段をもって、完成されるまで作り直される。

死体傀儡、ヴェンセール
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 工匠ヴェンセールが新ファイレクシアを訪れた際、彼はあまりに恐ろしいものを目にした。彼はぎらつく油が多元宇宙に広まることを防ぐため、自らのプレインズウォーカーの灯を捧げた。だが彼の犠牲も空しく、ファイレクシアは今もミラディンを支配している。ヴェンセールの魂は灯とともに消滅したが、ファイレクシア人は良い素材を決して無駄にはしない。この発明家の屍はシェオルドレッドの軍勢に発掘され、エリシュ・ノーンとの戦争においてシェオルドレッドを支える新たなゴライアスの組織へと織り込まれた。

刃砦の災厄、リーア・イヴォール
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 オーリオックのリーア・イヴォールは、ファイレクシア人に最初に遭遇したミラディン人のひとりである。彼女は侵略戦争において前線に立ち、故郷を守るとともに「刃砦の勇士」の称号にふさわしくあろうとした。彼女は力の限りに戦ったが、その英雄的行為がやがて彼女を破滅させた。とある包囲されたレオニンの居住地を救う作戦においてリーアの一隊は不意打ちに遭い、彼女は命を賭して生存者たちを逃がした。そして今、彼女はかつて怖れた敵の一員となった。

グリッサ・サンスレイヤー
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 グリッサは英雄的なエルフであり、メムナークの手による破壊からミラディンを救った。だがその冒険は悲劇で終わり、彼女は地下に逃げ込んだ。グリッサが眠っている間にファイレクシアの油が次元の核へと浸みこみ、埋もれた彼女の身体を感染させた。悪意の大群の法務官ヴォリンクレックスが、完成化した彼女を自らの代言者として目覚めさせた。今や最強にして冷血の戦士として彼女は狩猟迷宮を見回り、強者だけを残して弱者を淘汰させて「偉大なる進化」を導いている。

球層の追跡者、エズーリ
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 エルフの無法者であったエズーリは、ファイレクシアの侵略においてミラディン人レジスタンスの先導者となった。しかしながら彼の野営地が襲撃され、エズーリは発展の動力源の捕虜となった。研究所の奥深くで、彼はそれらの一員へと変えられた。今やエズーリは狡猾で冷酷な狩人として球層を徘徊し、かつての仲間たちに関する知識を活用して彼らを捕らえている。

偉大なる統一者、アトラクサ
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 かつて、ある天使がミラディン人の生存者を守るため勇敢に戦い抜いた。彼女はその不屈さを称えられ、エリシュ・ノーンによってファイレクシア化された。ジン=ギタクシアス、シェオルドレッド、ヴォリンクレックスが賛同し、彼女はアトラクサとして、統一された新ファイレクシアの象徴として蘇った。今や彼女はノーンの最も忠実な将軍として、多元宇宙の教化における自らの役割を見据えている。

耐え忍ぶカー、ケンバ
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 ケンバとその統率力は、ミラディン次元のレオニンがファイレクシアの侵略を生き延びる助けとなった。彼女は生き残ったレオニンの指導者である。尊敬される「カー」の称号をケンバは当初渋ったが、彼女はそれを受け入れて自身のもとに集う民に希望という旗印を与えた。今、彼女はヴァルショクのプレインズウォーカーであるコスの助言者として仕え、また不調和なミラディン人たちの文化をひとつの強いレジスタンスに変えるための欠かせない声となっている。

沈黙を破る者、スラーン
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 ミラディンのトロールは、その歴史と預言を神聖なる伝承の樹、テル=ジラードに収めた。テル=ジラードとそれを取り巻く集落はファイレクシアの侵略において跡形もなく滅ぼされたが、老トロールのスラーンが彼らの知識を確保して逃げ延びた。今や彼はミラディン人レジスタンスの歴史家にして語り部となり、ミラディンの記憶を守って続く世代へ伝えることを誓っている。

最初の黄金守護、ジョー・カディーン
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 ミラディン人の間で、ジョー・カディーンは戦士にして指導者として知られている。彼は聡明で戦略的であり、圧倒的なファイレクシア人の敵軍に対して幾度ものゲリラ戦を展開し、ミラディン人の生存を確かなものとしてきた。彼は呪い金の発明の先駆者である。空壁地の金属板と希少なちらつき蛾の血清から精錬したこの物質は、ファイレクシア化を及ぼす物質への曝露に対する抵抗力を与えてくれる。ジョー・カディーンの精鋭部隊は黄金守護と呼ばれ、彼が顔と身体にまとう呪い金は統率力の証である。

生ける治療、メリーラ
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 人間であるメリーラは、同族のシルヴォクの人々が通常持つ金属部位を欠いて生まれた。当初は「肉の子」として避けられ笑われていたが、その身体がファイレクシアの油に免疫を持つとわかると彼女は治療師として、そして指導者として成長した。今や彼女は自らと他者の身を守ることを学び、ミラディン人レジスタンスとともに熱心に働き、自らの力を尽くして人々を労わっている。

新登場の伝説たち

離反ダニ、スクレルヴ
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 体高わずか一フィート、だが鋭い噛みつきで武装したスクレルヴとその数千もの兄弟姉妹は、ひとつの単純な仕事のために創造された。とはいえ彼は長いことそれを忘れてしまっている。強大な機械正典のあらゆる基準において彼は無価値で不完全、もっと価値あるファイレクシア人の部品としてとうの昔に収穫されてしかるべき存在であった。しかしながら賢さ、運、小さな体格の予期せぬ組み合わせによって、彼は再利用に回されることをどうにか免れている。

ネズミの王、カルモニクス
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 ミラディンはひとつの完璧な金属次元として作られた。だがそのような輝ける次元も害獣からは逃れられない。この世界にもたらされた鼠は数を増やし、ファイレクシアの侵略後には更に増加した。更に増え、また増え、やがてそれらは共食いを始め、ひとつの巨大な姿と化すまで互いを貪った。それらの骨格、肉、甲高い声はひとつのコーラスへと統合され、カルモニクスを自称するようになった。この統合された新たな集団意識は今や新ファイレクシアのあらゆる場所の齧歯類の同類を感知し、操ることができる。

るつぼのゴライアス、ケテク
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 エリシュ・ノーンへの反乱には仲間が必要とウラブラスクは認識しており、冷酷なシェオルドレッドは当然の選択であった。見せかけでも友好を示すために両軍は協力し、統一戦線を率いる新たなファイレクシア人の将軍を作り上げた。ケテクは無慈悲なゴライアスであり、身体に組み込まれた火炎放射器を用いて敵を金屑へと融かしてしまう。そして鎚のような何本もの腕でそれらを砲弾に変え、ウラブラスクとシェオルドレッドのために用いる。

迷宮壊し、ミグロズ
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 ファイレクシア人がミラディンの地表を変化させた際、彼らもまた変化しつつある自分自身に気付いた。ミグロズは新ファイレクシアの建造に従事し、次元の地表に穴を開けるよう命じられた。だが自身の球層を完成化させる際、彼は自らの内に馴染みない野心が芽吹くのを感じた。そのため彼は最善を尽くした――トンネルを掘った。彼は生誕地である溶鉱炉階層の地面に穴をあけ、狩猟迷宮に出た。新たな、ねじれて酸化した銅の風景に興奮し、彼はその地に適応して新たな我が家とした。彼は巨大な腕を用いて構造物から構造物へと飛び移りながら、今や両方の球層を放浪している。

栄光のドミヌス、モンドラク
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 ファイレクシアがミラディンの地表を作り変えた際、大地そのものの一部が知性を持った。山全体が動きだし、神のごときファイレクシアの生物、ドミヌスとなった。モンドラクは美麗聖堂の尖塔から生まれた。彼女の身体には何十という口が開いており、その鋭いうめき声は生けるものへとファイレクシアへの同化を強いる。その様相は畏敬の念を呼び起こすが、極めて理解不能である。

尋問のドミヌス、テクータル
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 ファイレクシアがミラディンの地表を作り変えた際、大地そのものの一部が知性を持った。山全体が動きだし、神のごときファイレクシアの生物、ドミヌスとなった。テクータルは外科区画の海から出現し、耐えがたい侮辱を振りまきながら宙を滑空している。彼は言葉を発することはないが、身体の形状を変化させることで劣った存在である相手を卑下し、侮蔑を伝える。

修羅のドミヌス、ドリヴノッド
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 ファイレクシアがミラディンの地表を作り変えた際、大地そのものの一部が知性を持った。山全体が動きだし、神のごときファイレクシアの生物、ドミヌスとなった。ドリヴノッドはドロス窟の、屍気まみれの骨格のような建築物から成長した。彼はにやけた笑いを浮かべる棘だらけの巨人であり、下等な生命体を拷問することに喜びを見出す。彼は犠牲者を自らの杖に突き刺し、彼らを指揮して苦悶の叫びの交響曲を奏でる。

擾乱のドミヌス、ソルフィム
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 ファイレクシアがミラディンの地表を作り変えた際、大地そのものの一部が知性を持った。山全体が動きだし、神のごときファイレクシアの生物、ドミヌスとなった。ソルフィムは自立焼炉にて鋳造された。彼女は槍のガウンをまとう地獄の巨人であり、融けるほど熱い付属肢で金属の風景へと狂える命令を刻む。それらは常に切迫しており、直前の命令とは常に矛盾している。

飢餓のドミヌス、ゾパンドレル
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 ファイレクシアがミラディンの地表を作り変えた際、大地そのものの一部が知性を持った。山全体が動きだし、神のごときファイレクシアの生物、ドミヌスとなった。ゾパンドレルは狩猟迷宮の出身である。彼女は角を生やし、鎌のような肢をもつ堂々とした姿で、頂点捕食者の無慈悲な残忍さをもって巡回する。彼女は行く所すべてでファイレクシア化を引き起こす胞子を放ち、獲物は食らう前に首を切る。

謎のゴライアス、オヴィカ
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 ファイレクシアの球層の建造物から発生したドミヌスとは異なり、オヴィカはファイレクシアの軍勢に建材を奪われて荒廃したミラディンの残骸から生まれた。彼は回収したもので巨大な身体を作り上げ、この魅力的な次元を監視し調査するための必要な目と肢を搭載している。

止められぬ巨大戦車、グラーツ
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 ミラディンの地ならし屋は巨大で無慈悲な生物であり、メムナークによって作られ、彼の命令によってこの次元全体に恐怖をもたらしていた。メムナークが倒されるとそれらは指導者を失って途方に暮れ、大地をさまようままに残された。多くの地ならし屋が新ファイレクシアに捕らえられて吸収されたが、グラーツは今もそのままにミレックスの表面をさまよい続け、メムナークがいた頃と同じ獰猛さで目の前にあるものすべてを引き裂いている。

統率者の新たな伝説たち

アトラクサの後継、イクセル
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 エリシュ・ノーンはアトラクサを創造し、神聖なる義務を彼女に任せた。ノーンが征服の目を多元宇宙へと向けている間、アトラクサは新ファイレクシアの他の球層を取り込むという栄誉を任されることになる。そうなれば、自分自身の副官が必要だろうとアトラクサは考えた。エリシュ・ノーンから発想を得て、アトラクサは自らに似せてイクセルを創造し、他の法務官たちを鎮圧する任務へと送り出した。

 球層が陥落するごとに、イクセルは知性を増していった。自身の創造主を称えようと決意し、彼女は自身の敵であったファイレクシア人の屍を集め、祖にあやかって自身の非生を作り上げた。イクセルは様々な派閥のファイレクシア人の屍から有毒のヴィシュグラズを組み上げたが、その肢や骨はヴィシュグラズ自身の身体の内で相争っているように思えた。イクセルの美しき子は、彼女たち両方を育てた機械正典によって忌まわしきものの烙印を押されてしまった。

 この件はイクセルの核を苦悩させた。だが自分自身が円熟するとともにファイレクシアへの理解も円熟したために、彼女は自分を育てた教義に疑問を投げかけ始めたのかもしれない。

破滅の巣、ヴィシュグラズ
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 ヴィシュグラズは美麗聖堂の白くまばゆい空の下で生を得た。イクセルが傍に立っており、意見を異にするファイレクシアの派閥をその致死的な毒で破壊せよと命じた。機械の母からの偉大なる系統に連なることを熱望し、ヴィシュグラズは素直に従った。

 しかしながら侵略を開始すると、ヴィシュグラズは自分の肢が命令に従わないことに気付いた。その身体の部位は他のファイレクシア人から奪われたものであり、今なお以前の持ち主の記憶を保持していたのだ。ヴィシュグラズの毒が内から自らを食らい、理性のない破壊へと駆り立てた。その蹂躙の様子を目的したアトラクサはヴィシュグラズを、生みの親である機械正典に対する異端の裏切り者であるという烙印を押した。

太陽の先兵、ネヤリ
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 ファイレクシアの侵略以前、ネヤリはオキシダ山脈にて兜族の一員として生きていた。彼女はヴァルショクの部族間の伝言役とするため、その地の鳥を訓練していた。ある日、彼女は親に捨てられたと思しき赤熱した卵をひとつ発見し、それを育てようと保護した。だがその時、ファイレクシア人たちが彼女の村を襲撃した!

 その虐殺を生き延びたのはネヤリと卵だけだった。生命の痕跡を探し求め、彼女はミレックスの廃墟を何週間もさまよった。立ち止まってはいけない、この卵を守る、これが残された故郷のすべてなのだから――そう自らに言い聞かせながら。危険を逃れたと思ったその時、彼女はファイレクシアの百長に包囲されていると気付いた。だが倒れる直前、彼女の献身は報われた。卵が割れ、抵抗の炎で燃え上がる一羽のフェニックスが孵化したのだった。

 そのフェニックス、オターリはファイレクシア人の侵略者を灰へと焼き尽くしてネヤリを救い、彼女をミラディン人レジスタンスの野営地であるスラグモーへと導いた。反乱軍たちは呪い金を用いてネヤリへと特別な鷹匠の手袋を仕立て、彼女とその鳥が共通の敵を打ち砕くための力を与えた。以来、彼女の群れは大幅に拡大し、フェニックスたちはミラディンを取り戻す希望の象徴となっている。

太陽の栄光、オターリ
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 オキシダ山脈にて、ネヤリはとある謎めいた卵を拾った。そのヴァルショクの村がファイレクシア人に破壊されると、彼女は卵を持って逃げた。燃え立つフェニックスのオターリはその逃亡の中で孵化し、彼は自らを保護してくれたネヤリを命を賭けて守ると誓った。彼は後に自分たちの新たな家となるミラディン人レジスタンスの野営地、スラグモーへの道中に遭遇したファイレクシア人をひとり残らず焼き尽くした。

 そのミラディン人たちはオターリを大いに歓迎した。彼は反乱軍がより強力な武器を鋳造できるよう、その魔法の炎を提供した。ネヤリが両手にまとう魔力を帯びた力強い鷹匠の手袋もそうして作られた。オターリの決意と力は、あらゆるミラディン人にとって希望を奮い起こす象徴となっている。

溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア
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 チス=ゴリアは元のミラディンから残る数少ないドラゴンの一体である。彼はあまりに強く、近づこうと試みたあらゆる相手を単純に滅ぼすことでファイレクシア化を逃れてきた。ミラディン人は彼の剥がれた鱗で鎧や武器を作り上げている。その姿を目にすることは、次の戦いに勝利できる良い兆しとみなされている。

メムナークの残滓、ウルテト
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 元々ウルテトは一体のマイアであり、ミラディンの最初の支配者であるメムナークの下僕として金属を集めていた。メムナークが消えた今も、ウルテトは自らの役割を続けると決めており、価値あるものを求めて休むことなくミレックスを漁っている。彼はいつも道具の一揃えを持った姿で目撃され、しばしばその足跡に有用な物品を残していく。これら貴重で小さな宝物により、彼はミラディン人の生存者にとって意図しない、だが重要な同盟者となった。

「ジャンプスタート」の新たな伝説たち

冷たき集いのキンズー
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 族長ヴラーンの「冷たき集い」を構成する吸血鬼の暗殺者たちは静かで危険な殺し屋であり、牙と爪を用いて犠牲者をずたずたに引き裂く。だがキンズーの野望は常に、自身のふたつの手で殺せるものよりも大きかった。標的をひとりずつ殺すだけでは決して満足できず、彼女はファイレクシア病を自らの長所として役立たせる手段を見つけた。キンズーは犠牲者の心と身体をぎらつく油に感染させて彼女のために殺す殺人人形へと変え、自らの邪な目的を永続させている。

呪い金の警衛、ルク
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 ルクは呪い金の鍛冶に熟達したゴブリンの武具師であり、ミラディン人レジスタンスが振るってきた最高の武器の多くは彼の手によるものである。ファイレクシア病を防ぐその素材の希少性を心している彼は、レジスタンスの重要な戦略的利点をファイレクシアの手に渡しはしないと決心している。どれほど危険であろうとも、彼は完全武装で敵陣へと飛び込み、奪われた装備品があれば何であろうとすべて取り戻す。

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