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翻訳記事その他
名前がなんだって?
2019年5月30日
こんにちは、私の名前はアダム・プロサック/Adam Prosak、『モダンホライゾン』のセット・デザイン・リードだ。私はこのセットを全世界に紹介するのをずうっっっと長い間待っていた。さあ始めよう!
『モダンホライゾン』は3つの主な原則に基いて作られていて、そのそれぞれがお互いに繋がり、このセットがどうあるべきかについての方向性を定める助けになっている。
経験豊富なプレイヤー向け
ウィザーズで我々はセットの複雑さをどれぐらいにするべきかという問題と戦っている。セットを過剰に複雑するとマジックは覚えるのが難しすぎるものになってしまう。その一方で、我々はマジックのゲームを深くて、魅力があり、無限に繰り返せる経験にしたいと思っている。これらの物事を含めることはほぼいつもある程度の複雑さを増加させ、そして適正なバランスを見つけ出そうとすることは主な課題の1つである。
我々は幅広い製品と経験を作り出す中で、その一部にはとても具体的な客層に向けて提供されるべきものがある。『モダンホライゾン』は豊富なゲームプレイに焦点を当て、すごくハマっているプレイヤー向けに提供するというアイデアから始まった。その結果、我々は『モダンホライゾン』が他のセットよりも複雑になることを許容した。
『モダンホライゾン』はメカニズム的に寛大だ。このセットには大量の再録メカニズムがある。デザイン過程の多くの時点で、どうすれば「もっと多く」メカニズムをこのセットに入れられるか自問していた。
『モダンホライゾン』はすべてを見てきたマジックプレイヤーを喜ばせるための我々の努力の成果だ。
『時のらせん』のオマージュ
私の好きなマジックの側面の1つは長い歴史があるところだ。その歴史を振り返ることは私に(そして願わくば君にも!)大きな喜びをもたらしてくれる。マジックを20年以上プレイしているプレイヤーと話をするとき、その多くは『時のらせん』がお気に入りのセットまたはブロックだと言うだろう。 そこには数多くのクールなキャラクターと古いカードへの愉快な言及があり、それらは愉快だ……分かるならば。『時のらせん』は新しいプレイヤーを迎えるには素晴らしいものではないが、経験豊富なプレイヤーにとっては素晴らしいものだ。これが経験豊富なプレイヤー向けのセットの完璧な出発点となった。我々は何時間も『時のらせん』の雰囲気の掴みかたを議論した。本当に大事なことは以下の通りだという結論に達した。
- 多くの古いカードやキャラクターを元ネタにしたが、有名なカードだけにした。我々は《セラの天使》、ウルザ、《意志の力》を元ネタにしたいと考えた。《Electric Eel》と《雲の精霊》はボツになり(ありがとう《嵐雲のジン》!)、《狙い撃ち》のアナグラムをカード名に入れたいと思わなかった(ありがとう《背びれクーサイト》!)
- カラーシフト(特定カードの色違い版を作ること)は依然としてクールだが、カラー・パイに忠実であり続ける。ウィザーズの中でカラー・パイの理念について話をするとき、『時のらせん』ブロック(特に『次元の混乱』)は前例と認められない。
- 新メカニズムはないが、既存のメカニズムをふんだんに使う。
モダンへの新コンテンツ
モダンは最も人気のあるフォーマットの1つであり、供給するための新しいものを特に作っていないフォーマットでは圧倒的に最も人気がある。
このセットの再録カードはこれを踏まえて選ばれた。我々は『時のらせん』の「ボーナス・シート」のオマージュとして少数の再録(40枚と冠雪の土地)をすることを面白いと思ったが、その再録がこのセットのなんたるかを支配しすぎることは望まなかった。我々は『モダンホライゾン』をマスターズとは異なるものにしたくて、主に再録へと傾くことはそれをいくらか損なってしまう。
『モダンホライゾン』に取り組む中で最も困難な部分の1つは、ポジティブな方法でモダンに影響を与えるカードを作る方法を見つけることだった。モダンのカードプールは常に広がり続け、15年以上後のカードでさえもスタンダードのセットは依然としてモダンに影響を与えている。モダンで使用可能だがスタンダードでは使用不可能なセットに取り組むことは、大変だがやりがいのあることだった。
モダンが我々の主な焦点だが、このセットのすべてのカードがモダンのプレイヤーに向けて調整されたものではない。統率者戦で大人気になると我々が思っているカードがたくさんあり、そして我々は愛されるリミテッド環境を作るために頑張って取り組んだ。我々はこのセットをモダンのプレイヤーだけでなく、すべての経験豊富なプレイヤーに向けたものにしたいと考えた。
『モダンホライゾン』デザイン・チーム
マイケル・メジャース/Michael Majors
マイケルはライブラリー破壊デッキで一度グランプリを優勝したことがある。本当だ。彼はその後、ウィザーズのプレイ・デザイン・チームにその素晴らしい才能をもたらした――彼はマジックの環境を分析し、何がそれらを機能させているか解明するという信じられない能力を持っている。彼はモダンFFL(フューチャー・フューチャー・リーグ、我々の構築フォーマットプレイテスト・チームの名前)をリードする驚くべき選ばれし者で、彼のスキル構成はどんな種類のカードを作るべきかを見つけるのに完璧な構成をしていた。
マイケルと私がアイデアの山をふるいにかけて、どのアイデアを楽しいモダンのカードにできるかを導き出そうとしたことがよくあった。
マーク・グローバス/Mark Globus
マークはマジックの仕事の経験が非常に豊富て、最初のグレート・デザイナー・サーチのファイナリストの1人だ。マークはほとんどの時間をマジックのすべての製品が素晴らしいものになるよう努める製品設計者の仕事をしている。しかし、マークは素晴らしいゲーム・デザイナーでもあり、このセットで私は彼と一緒に仕事をしてそれを体験することができた。
毎週マークとマイケルと私は、マークの仕事場に座って週ごとに我々が何をするべきかを考えた。この会議は潤滑なカード制作工程のために不可欠なものだった。向かいうる方向はたくさんあり、マークの経験は我々が最も成果を得られる方向性を選ぶための大きな助けとなった。
マークの最大の才能の1つは、このセットに新しいメカニズムを加えるための、すごくて新鮮で独特な方法を見つけることだった。私の一番好きなマーク・グローバスに感動したカードは《精神の掻き寄せ》だ。私は彼が超過を呪文の欠点として提案したときに二度見したのをはっきりと覚えている。私がマークのデザインを読みながら文字通り「大声で笑う」瞬間が何度もあって、これはその1つだった。
ダン・マッサー/Dan Musserとトム・ロス/Tom Ross
新しくモダンに加わるカードでマジックのセットを作ることが決まった後、我々はそのセットを作る方法を考えなければならなかった。我々は追加でいくらか専門知識が必要だと決断し、ダンとトムを名指しで連れてきた。ダンとトムの両名はモダンの素晴らしいプレイヤーであり、マイケル・メジャースとともにモダンのテストチームの中核をなしていた。彼らのトーナメント・モダンの専門知識はこのセットにおける我々の目標達成に必要不可欠なものだった。
ダンとトムの貢献は凄まじく、何時間も費やしてカードをプレイテストし大量のデッキを体系化して、どのカードが強すぎてどれが十分な強さがないかの意見を供給してくれた。ダンのチームがどのようにモダン向けのカードをテストしたかについて書いてある彼の記事を読んでみてくれ。
他にも私と緊密に働いてくれたウィザーズの人たちの多大なる貢献について書くこともできるが、文字数制限を軽く突破してしまう。なのでスペシャルサンクスを書こうと思う。
- ケリー・ディグス/Kelly Digges – クリエイティブ・テキストとカードのコンセプト決定
- アリソン・ルース/Alison Luhrs – クリエイティブ・テキストとカードのコンセプト決定
- シンシア・シェパード/Cynthia Shepherd –アート・ディレクター
- ジュールス・ロビンス/Jules Robins – セット・デザイナー
- サム・ストッダード/Sam Stoddard – セット・デザイナー
- マイク・チュリアン/Mike Turian – セット・デザイナー
- ナット・モース/Nat Moes – リード・エディター
- イーサン・フライシャー/Ethan Fleischer – 展望デザイン・リード
- マーク・ヘゲン/Mark Heggen – 製品設計者
この皆と一緒に仕事ができたことは喜びであり、『モダンホライゾン』は彼らの努力と助言がなければ今のようなセットになれなかっただろう。
名前が何だ?
それでは、いくつかのカードのプレイテスト名を紹介したい。それらは基本的に(私のような!)カード・デザイナーがそのカードで伝えたいものがつけられている。『モダンホライゾン』では、私はプレイテスト名を使ってそのカードが別のカードが元ネタであることを伝えていた。
展望デザインのときに、そのチームが取り組んだことの1つが効果の範囲を変えて過去のカードを参照する方法を見つけることだった。小さいクリーチャーを倒すのに優れた黒い除去を探すとき、我々は全体除去から発想を引き出したが効果範囲をクリーチャー1体だけに縮小した。
我々がカラー・パイに忠実であることは大事だが、そこへ至る方法は数多くある。《本質の吸収》のような黒単色のカードが魂を盗むフレーバーを伝えているので、ダメージを与えてライフを得るカードを表現している。赤と白によくあるカードのテーマの1つは、この2色の強みを組み合わせることで、つまりダメージを与えることとライフを得ることだ。両方のカードのコンセプトを同じカードに叩き込んで、そして打つ!
このアイデアは元々複数の異なる混成マナ・シンボルが入り組んだ、信じられないほど複雑なマナ・コストを持つソーサリーとして提案された。ジュールス・ロビンスがフラッシュバックを持ったバージョンを提案すると、私はこれが適正なカードであることを知った。これはモダンで効率の良いフラッシュバック・コストを持ったカードで、黒単色と赤白が同じことができることをうまく伝えている。
氷雪マナはずっと『モダンホライゾン』にあったわけではない。氷雪マナにはサポートがする基礎が要求される――氷雪マナを生み出す手段が十分な量必要だ。展望デザインは少しだけこれをやろうとして諦めたが、展望デザインのリード(イーサン・フライシャー)はセット・デザインの時にこれがどのようにこのセットの構造的な穴の一部を埋めることができるかを伝えて提案してきた。氷雪が加えられるより前、色ごとに分配されたセットのテーマはアンバランスで、私は青緑のペアが多色のプレイに増えていくことに興味を持っていた。氷雪は最終的にとてもうまく収まり、我々は美麗なフルアートの氷雪基本土地を作ることもできた。《フロストワラ》においては、氷雪マナ・カードは起動コストを持つパーマネントを必要としていて、《ルートワラ》の能力は氷雪マナにとって完璧に納得の行くものた。
私はこのカードの2つのことが大好きだ。1つ目は、このアートは《常在精神》の素晴らしいオマージュでありこのセット中で私のお気に入りのアートだということだ。
2つ目は、インスタンかソーサリーへの連繋というアイデアが素晴らしいことだ! そして恐ろしい! 連繋のテキストをどんなインスタントやソーサリーにも連携できるようになった場合、大量のおかしなことが起こる。私の個人的なお気に入りはこれをストームを持つ呪文に連繋することだ。
私はこの秘匿メカニズムが大好きだ。これは私が常にひねりを加えて再録したいと思っているメカニズムの1つだ。『モダンホライゾン』は新しくて違った秘匿カードを作るための完璧な機会だった。マナを払わずに唱えたい呪文を探すのではなく、カードを選別する手段として秘匿を使うことに私は興奮した。私は秘匿を土地以外のものにつけることにも興奮した。青白のリミテッドでのアーキタイプはクリーチャーを明滅させることで、これは戦場に出たときの能力を再利用するのがエキサイティングなクリーチャーの1つだ。これがタップ状態で戦場に出てくることだけは忘れるな!
『モダンホライゾン』を作っていて、それがどれだけ楽しかったかを文章にするのは私には難しいことだ。私は素晴らしい人たちと一緒に仕事をした。私は世界最高のゲームのためにカードを作るという仕事ができた。私は皆が『モダンホライゾン』を体験して、私がこのセットを作った時に感じた喜びをどんな量でもいいから共有できることだけを願っている。
(Tr. MASUYAMA, Takuya / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)
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