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iPadでデュエルズを
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iPadでデュエルズを
Max McCall / Tr. Tetsuya Yabuki / TSV Yusuke Yoshikawa
2012年6月18日
こんにちは! マジック開発部、デジタル・チーム・デザイナーのマックス・マッコール/ Max McCallです。先週私はデュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2013が、どのようにして私がウィザーズで初めて手がけたプロジェクトとなったのか、ということについて、そしてそれが今週発売(編訳注:原文掲載時点)されることがどれだけ私を興奮させたか、ということについて書きました。今日は、iPad版『デュエルズ』の開発に焦点を当てたいと思います。私たちは『デュエルズ』をタブレットに移植する、ということならではの難題に当たったのです。
デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズは外出先で遊ぶのにぴったりなプレイ形式を提供します。『デュエルズ』は長く長く遊べるゲームですが、それぞれのゲームはすべて10分単位で終わるものとなっています。つまり、ちょっと暇なときにデュエル1回やエンカウンターを気楽にプレイできる、ということです。
PS3版デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2013 スクリーンショット |
私たちにはiPadやその他のタブレットではなく、コントローラーを持ったゲーム機やPCに向けた『デュエルズ』の展開を優先する理由がありました。テレビやPCのより大きな画面ではマジックのアートがよく見え、それは最大の長所です。また、XBox LIVEやPlayStation Network、Steamといったプラットフォームを使うことで、友達とのマルチプレイを簡単にすることに私たちはワクワクしていたのです。私たちが『デュエルズ2012』を作っているとき、iPadはまだデビューしたばかりで、iPadで『デュエルズ』を買ってもらうことはそれほど魅力的でなく、『デュエルズ』をiPadでプレイしようとする人はいないと思われたのです。
幸先の良いことに、タブレットでのゲームはここ数年で着実に伸びているので、私たちは『デュエルズ』の面白さとiPadのようなタブレットの持つ便利さを結びつけようと大いに奮い立ちました。
しかしながら、『デュエルズ』をタブレットに移植するのはコードの並びをいくつか変えるだけの1日作業で終わるほど、簡単なお仕事ではありませんでした。『デュエルズ』をiPadに移植する経緯はとても興味深く、私はみなさんにいくつかの発見をお伝えすることで、少しだけ内幕をお見せしたいと思います。
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ゲームとプレイヤーの接点はゲーム・デザインでもっとも難しくもっとも繊細な面のひとつです。それが適切に成されれば、ユーザー・インターフェイス(以下UI)のデザイナーがいるなんて誰も気がつかないことでしょう。UIの出来が悪ければ、ゲームはプレイに堪えられないものになるでしょう。そう、プレイヤーが、「そのゲームをプレイできること」こそが、本当に重要なのです。つまり、反応良く操作できることと、プレイヤーの思う通りに動作するコマンドがあることが。
Xbox360版デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2013 スクリーンショット |
ゲーム機版やPC版の『デュエルズ』では、UIはシンプルでさっぱりしたものです。カードをプレイするボタンとズームするボタン、優先権をパスするもの、そしてゲームを一時停止するボタンがあるからです。ゲーム外でも、回転式のメニューをスクロールするのは素早く簡単にできます。私たちは、みなさんが選択肢を選んだときに予期しないことが起きるようにはしたくないのです。
iPadには、ボタンはひとつしかありません。画面全体がボタンなのです。
それはもう、扱いにくいものです。
私たちはひとまず全体の新しいデザインと、iPad向けに『デュエルズ』のまったく新しい実装を考えましたが、最終的にそれはやめることにしました。私たちにとって大切なことは、みなさんがどのプラットフォームでも等しく素晴らしい『デュエルズ』の体験をしてもらうことで、iPad版『デュエルズ』が『デュエルズ』経験者に異質のものだと感じられたくはないのです。
こうして、私たちは開発に飛び込みました。そこで、タッチスクリーンにはPCユーザーがマウスを使うのと似たUI体験を得られる方法がたくさんある、とわかりました。タッチスクリーンは多くの正確な操作を可能にし、画面をマウスで行ったり来たりする必要もありません。それは極めて良いことです。しかしながら、マウスを使えば非常に小さなスペースでもひと際正確なクリックを可能にします。一方で、タッチスクリーンは指をうまく使えないとフラストレーションが溜まるものになりかねません。
PC版デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2013 スクリーンショット |
私も指をうまく使えないので、この問題は特に気になりました。対戦相手に対応したい場合、『デュエルズ』では「タイマー停止」ボタンがとても大切ですが、私はiPadの開発初期版では時間内に押すのに苦労しました。私たちは最終的に、みなさんがボタンをクリックするためにタッチする「当たり範囲」を広げ、間違った場所をタッチしないよう少しだけ余白を広げることによってこの問題を修正しました。とりわけ、タイマー停止ボタンの当たり範囲は特別に大きくしています。バンザイ!
全てのボタンがひとつになっていることはまた、他にも問題の種を抱えています。エスケープ・キーがない場合、ゲーム中どうやってメイン・メニューを呼び出せばいいのでしょう? 私たちは二本指タップ・システムを採用していました。それは機能的ですが、ときに意図していない一時停止の原因となりました。しかし、それ以上に重大なのは、それは直観的でないということです。iPadを手にとって遊び始めた人が、一時停止ボタンがどのように機能するかどうかを知っているわけがありません。
そう、ゲーム・デザインにおける決まりごとに、良いゲーム・デザインは直観的である、というものがあります。プレイヤーが期待していないことで彼らを驚かせようとしてはいけません。実のところ、その決まりごとはインターフェイスのデザインでこそ、より重要なのです――みなさんがメイン・メニューにアクセスできなければ、ヘルプを見つけることも必要な情報があるオプション画面を見つけることもできないでしょう!
これが、私たちが最終的にゲーム機版のスタイルから少しだけ離れたひとつの例で、ゲーム中の画面に邪魔にならないメニュー・オプションをいくつか追加しました。私たちは同様に伝統的なタブレットでのUIも、いくらか参考にしました。たとえば、ダブル・タップはできる限り避けました。タブレットではワンタッチでの選択が基本だからです。iPad版『デュエルズ』をSteam版やXbox版『デュエルズ』に合わせることが重要であるように、iPadの基本的なUIに則り、iPad版『デュエルズ』を他のiPad向けアプリに合わせることも重要なのです。
私を見て
『デュエルズ』のレイアウトは、クリーチャーたちが大乱闘をするレッド・ゾーンに加えて戦場の全てのパーマネントのためにも十分な余裕がありながらも、開放的なものです。しかしながら、iPadの画面は対角10インチ以下しかありません。
そのため、初期開発版では少しばかり窮屈なものでした。私たちは画面に合わせるためあらゆるものをスケールダウンしましたが、それは新たな問題を呼び込みました。カードが小さすぎるのです! 問題を長く注視すれば、いとも簡単に木を見て森を見逃すことになります。望む戦場を保とうと熱中する中で、私たちはカードそのものを少しばかり小さくしすぎてしまったのです。
iPad版デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2013 スクリーンショット |
解決策はシンプルでした。ただカードを大きくするだけです。しかし、大きさの問題は私たちを新たな疑問に気づかせました。どのようにズームの処理をするべきか? 私たちはカードをズームするのに画面を「ピンチ」するシステムを採用していましたが、一時停止と同じように、それがプレイヤーたちにとってどれくらい直観的かわかりませんでした。そこで私たちはさらにダブル・タップの機能も追加しました。
ズーム機能は私たちにとって特に重要なものでした。ストレステストでいくつか問題が起きたからです。第1世代のiPadでは、4人戦で戦場が大量のパーマネントで埋まった際に動作上の問題が見られました。私たちはそういった問題を緩和することはできましたが、その解決法は戦場に出たカードのテキストを描画しない、というものでした。テキストを描画しないことは、ゲーム・プレイに影響を与えません――テキストを読むには小さすぎるし、私たちはもっと『デュエルズ』に紙のマジックの感じを含めたかったのです――が、テキストがないならズームをすることとカードの閲覧をできる限り簡単にすることが大切でした。
私たちはズーム機能を確かめ探ることや、カードをプレイすることに多くの努力を費やしました。カードが自動的に画面中を移動するのをできる限りスムーズにする、ということが大切だからです。呪文をプレイする方法がわかったところで気力が衰えることはありません――マジックは複雑なものなのです。私たちはカードがどのように選択され、プレイされるべきか、ということに多くの良い調整を施しました。その結果には大満足です。
すべてをひとつに
以上の通りです! このような調節と調整の繰り返しを経てiPadに『デュエルズ』をリリースでき、本当に嬉しいです。このプラットフォームは私自身が『デュエルズ2013』をプレイした時間のほとんどの費やした――退屈なミーテイングもいくつか過ごしたのですがそれはそれ――ものです。私が楽しんだのと同じくらいに、みなさんが楽しんでいただけたら、と思います。
Max (ツイッターアカウント:@M_McCall)
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