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基本セット2012のアート・21の美味しい記事、それと植物!
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基本セット2012のアート・21の美味しい記事、それと植物!
Brady Dommermuth / Translated by Mayuko Wakatsuki
2011年7月6日
ダグ・ベイアーは現在休暇中につき、私が今週のゲストライターだ。アートディレクターのJeremy Jarvisと私は、M12アートへのちょっとしたツアーに君達を誘おうと決めた。きっと楽しんでもらえるだろう。何せとりわけ好きなアートを披露することができるし、君達が気づいていないであろう箇所を指摘して、一つ二つの逸話も語ることができるから。
だけどまずは一番重要なことから。私達のプレインズウォーカー・ウェブコミックの第二巻、Path of the Planeswalker II (英語のみ)は只今発売中だ! もっと詳しくはこちらへ(リンク先は英語)。この本は前の巻の最後に収録されていた「Awakening」編の一部も再掲載していて、気まぐれにこの本を開いた読者でもすっかりわけがわからなくなるのを防いでいる。そして最新の6編も同じように掲載されている。もしかしたら君達はウェブサイトで無料のものを既に読んでいるかもしれないが、このコミックはとてもいい出来なので、私達は皆がこれを手に入れてくれることを願ってやまない。もしくは君の周りにいるコミック好きな、それでいてマジック: ザ・ギャザリングをまだ知らない誰かへの贈り物としてもいいかもしれない。
ともかく、美味しい一口を持ってきてくれ!
神盾の天使
トップダウンのデザイン。コンセプトから始まってそれに合うようカードをデザインし、そして名前、アート、フレーバーテキストを作る。それは時折、偉大なる作品をもたらしてくれる。だが別の方向に作業をした場合もそうだ。《神盾の天使》の場合、私達は次のアートの描写を与えてアーティストを放った。「貴方が呼び出すことのできる最高の天使をお願いします」。対応するカードはなく、そのアートは投機的に依頼された。だけどAleksi Briclotのような職人と一緒に働いている時は、暗闇の中で何枚かの写真を撮る余裕がある。結果は予想通りに素晴らしいものだった。
ますます私達はイラストレーションのこのような投機的依頼をするようになった。それらはすぐに居場所を見つけるだろうと知っていたからだ。ゴブリン、エルフ、人間の兵士、魔術師、天使、ドラゴン・・・長く続く人気者達。なぜなら彼らは「前後関係なし」で依頼され、基本セットに入るよう運命づけられた者達だからだ。
チャンドラのフェニックス
Aleksi、胸くその悪いほど才能のあるフランス人は2010年8月のグランプリ・ヨーテボリにて《チャンドラのフェニックス》を描いた。見てみよう(リンク先は英語)。
カードとしては、私はこの機会に君達に聞いてみようと思う。私達は「プレインズウォーカーの署名付き」呪文とクリーチャー、《ガラクの仲間》や《ジェイスの消去》といったものを作ってきた。これらのカードについてどう思うだろうか? 愛している? もっと欲しい? それとも今の量で丁度いい? それとも高すぎる? この記事のための掲示板(原文記事のみ)で聞かせて欲しい。
憤怒生まれのヘルカイト
私はマジックの比較的新顔アーティスト、Brad Rigneyの作品を売り込むのを躊躇ったと言ってもいいだろう。他の業者のアートディレクターに見つかって欲しくないから。だがちくしょう、彼の作品は素晴らしい。この作品で、彼はドラゴンが火山から飛び出す瞬間を見せてくれる、何ともメタルな雰囲気で。このカードの他にも、君達は彼が描いたM12プレインズウォーカー達が並ぶ絵を見ていると思う。『デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ 2012』のメインイメージだ(バナーの絵がそれだ)。だがその絵に含まれているプレインズウォーカーの三倍の人数がいるバージョンを見るまで待つんだ。大作だ。私のデスクトップの壁紙にもなっている。
火山のドラゴン
ドラゴンという主題から、私はこの溶けた強面を挙げよう。マジックの歴史におけるドラゴンのイラストレーションでもたやすくトップ20に入る。Chris Rahnは多才で腕がいいのは勿論だし、彼と一緒に仕事ができる私達は幸運だ。珍しいことにこの絵の場合、アートの説明に記されていなかったアイデアをChrisが持っていた。このどえらいドラゴンを溶岩に似せることを望んだ。背中は冷えて岩に似ており、見どころは最前部にある。赤いボラのようだ。彼が半溶解した頭のドラゴンを描いてもいいかと尋ねてきた時は少々懐疑的であった。彼がこれだけ美しく仕上げなかったら、私は呪われていただろう。
平地
島、沼、山
森
これら基本土地の共通点は何だろう、とても綺麗なことを除いて。答えは『デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ』と基本セットを統合させる流れの一部分を表現しているということだ。それゆえに、(1)ほとんどのマジックの素材がその時に「一つの方向を向いている」感じを与え、(2)できる限り多くの見知ったポイントがあることによって、新規プレイヤーは『デュエルズ~』から現実のカードへと容易に移行することができる。何故と思うならなら直面しよう、マジックは始めようとした者を最初ひるませる。この場合、『デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ 2012』という素晴らしいものをプレイしてきたなら、異なった前後関係の中で基本土地の風景を認識するだろう。それらは『デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ 2012』において背景に流れる3D画像の基礎として使用されている。
堂々たる撤廃者
全てのカードが、容易に解決できる視覚的挑戦として与えられるわけではない。可能な時はいつでも、私達は成功のためにイラストレーター達へと詳細な設定を提供しようとする。だが時々気難しいカードが、危険を冒すか何か他を試すかを要求してくる。失敗するかイラストレーターの仕事を厳しいものにするか。このように。
彼の鎧は戦闘用であり儀礼用でもある。おそらく精巧な金属板と鎖でできた鎧に、まばゆい白色の布か外套がその美を上から引き立てている。彼の武器は剣か鎚矛か、何か印象的かつ華麗なものであろう。もしかしたら彼の周囲、背景一面に一種の「ガソリン」的なゆらぎを見るかもしれない、もしくは私達はゆらぎの波が彼から立ち上るのを見る、まるで抑圧的な音波現象のように。おそらく彼の瞳は莫大な力の兆候として白か金に輝いている。その力を楽々と振るえる彼の。
とにかく、Eric Deschampsは最終的にこの作品を仕上げてくれた。難しいコンセプトが子供の遊びに見えてしまうようだ。
個人的聖域
《個人的聖域》のためのアート説明の一部はこうだ。「敬虔な女聖騎士。彼女は野営地の周りに魔法的な防護地帯を立ち上げている、荒れ野の中。魔法の白い光の筋が一つに合わさって『光の波』のようなものを作り出している、その魔法は織み上げられて野営地を囲む円形の防護壁となる。光の輪の中、聖騎士の野営地は明るく健康でそこに入りたいと思うような雰囲気。その外側は陰鬱で危険を伴うように見える。彼女は防護円の中でとてもくつろいでおり、武器と板金鎧はテントか木に立てかけられている。他の持ち物と同様に」 上等じゃないか、そうだろう? イラストレーターのHoward Lyonはそのコンセプトに小さな楽しみを加えることを決めた。君はそこが安全であることをどうやって表現するかな? 彼女は本を読み、軽食を摂っている。
濃霧
描くのが難しいものは何だろう? 空気だ。《大気の精霊》とともに、私達は数年間にわたって《濃霧》にスイングをしてきて、結果は様々だった。私はJohn Avonの《濃霧》が大好きだが、その絵はうかつにも第一次大戦の塹壕戦におけるマスタードガスの雰囲気を醸し出していた。私達は《濃霧》を描く任務を横柄なJaime Jonesの手に委ねた。彼は《大祖始》のような不明瞭なものを描くことに優れていると証明されている。あえて言おう、正しい選択であったと。
ジェイスの文書管理人
小説『Agents of Artifice』(未訳)から始まって今の進行中であるジェイスの物語によると、彼はテゼレットが率いる「無限連合」という名で知られるいかがわしい犯罪組織で働いていた。後にテゼレットに反抗し彼を打ち負かすと、ジェイスは連合ラヴニカ支部の実質的リーダーとなり、権力をスムーズに移行するために人員を迅速に配置した。ジェイス配下の職員の一人がラヴニカで熱心に働く姿をここに示す。彼は何を調べているのだろう? その神秘的な図案は《チャンドラ・ナラー》がケファライ次元の星の聖域から盗み出した巻物に記されていた。ジェイスはそれを取り戻すべく雇われ、後に二人のプレインズウォーカーを運命的にゼンディカー次元の《ウギンの目》へと導いた。その巻物が最初に登場したのはウェブコミック「炎に注ぐ油」(リンク先は英語)の最後のページだ。
ゴブリンの手投げ弾
私はこの作品が大好きで、どのように面白おかしく描かれたかについて語る機会が得られればと思っていた。Kevは素晴らしい仕事をしてくれた。面白おかしい物事を真面目に描いてくれた。こういったものは例えば、アングルードの《Knight of the Hokey Pokey》に見ることができる。「面白おかしく描く」(通常はカートゥーン的に)ことは本質的に間違っているとかそういうわけではないが、マジック:ザ・ギャザリングにはそぐわない。何故私達はより頻繁にそういった面白おかしいものを作らないか? 試していないってわけじゃない。面白おかしくするのは本当に難しく、そうしようとして失敗したなら、それは全く何も試さないよりもさらに悪い結果となるからだ。
困窮
アートディレクターのJeremy Jarvisは時折、彼の縁なし帽でミツバチを捕まえ、イラストレーター達へと彼が思いついたいくつかのクレイジーな視覚的処置をさせる。通常は抽象的で、シュールで、不穏なものだ。このカードがそういったものだとわかるだろうか? Jeremyは「ザ・シンプソンズ」とその作者Lenny Leonardによるこのコミックのスタイリングを格別に愛している。そしてこのカードのアート説明は「ぎゃあ、俺の目が! そこから小さい俺が這い出てくるってどういうことだよ!」なおイラストレーターの名誉のために。マジックのもう一人の比較的新顔は、この作品を気分が悪くなるのではなく気力を奪ってくれるように仕上げてくれた。
幻影のドラゴン
君達はビデオゲームをいくつかプレイしたことがあるだろう。もしそうなら君は見ているはずだ、半透明でぼんやりと光り、浮かぶルーン文字や渦巻き、そしてあらゆる「光る魔法」を。だから君達はもちろんそれらを絵に描くことは可能だと想像できる、そうだろう? ああもちろん、最善を尽くしたならだが。透明で光を発する物体を伝統的な画材(例えば油絵、アクリル絵具、水彩画など)で表現するのは、信じられないほどに難しい。そしてデジタル画で表現するのはより簡単だ。とはいってもたやすい仕事ではないが。しかしながらWayne Reynolds作のワル、《幻影のドラゴン》はそれができることを証明している。冷たく、生気のない、骨ばったイギリス人の手から生み出された筆遣いと筆致を手に取ることができるだろう。
ダングローブの古老
一つ自白しなければいけない、私はツリーフォークが好きではない。私が憎んでいるのは生きて動く木というアイデアではない。彼らの固まったイメージ、カードの小さなアートボックスにはめ込まれた彼らを見た時に起こること、だ。アンリミテッド版の《鉄の根の樹人族》をあまりに沢山引きすぎた。退屈な樹木野郎、まるで「やあ、僕は木だよ」とでも言っているような顔。ああ、『指輪物語』の映画でのエント達は実にクールだったが、それは彼らが動き、きしみ、喋るのを見ることができるからだ。そして正直に言うが、彼らはおそらくのろまで少々間抜けだろう。うん、そう言いつつも私達はまだツリーフォークを作り出している。私達は彼らの姿形とデザインを変えるためにかなりの努力をした、「やあ、僕は木だよ」問題を防ぐために。Matt Stewartは《ダングローブの古老》のために本当に偉大な仕事をしてくれた、そのいつもの罠に陥らないように。よく仕上げられたスマートなデザインだ。
おぉ、植物の話が続くよ!
今週のお便り
Charlotteが聞いてきたよ。
《復讐蔦》デッキについて考えている間、私は実感しました。《復讐蔦》はエレメンタルであって植物ではないと、それはとても明らかに、様々な植物的要素で構成された存在にもかかわらず。ですので、私は他の植物クリーチャーと緑のエレメンタル達を観察しようと決めました、いくつかの植物っぽいクリーチャーは植物で、他がエレメンタルであるという明白な根拠や理由はあるのかと。ですが私は明白な理由を見つけることができませんでした。私達の光合成をする友人達について、開発においてクリーチャー・タイプを選択する際の何らかの指針を教えて頂けますでしょうか?
Charlotte、私は保証しよう。マジックの歴史の間ずっと、全てのクリーチャー・タイプの決定は注意深く、隙がないように考えられていると。また私は指摘しておこう、ずっとイースタシアと戦争をしてきたということを(訳注:ジョージ・オーウェル作の小説「1984年」の一文)。《ゴブリン岩ぞり隊》が印刷された時のクリーチャー・タイプは? 「岩ぞり隊」。そう、ゴブリンではない。《Floral Spuzzem》は? 「Spuzzem(スパズム)」だ。
スパズム。
(これらは共に変更されている。《ゴブリン岩ぞり隊》は現在ゴブリンであり、《Floral Spuzzem》はエレメンタルだ)
つまり私が言いたいのは、私は苦しい、とても苦しい試行錯誤から、ファンタジーと分類学は友人関係にないことを学んできたということだ。分類のしすぎはカードの持つ何か、マジックの正しさを奪う(それが、クジラやイヌ、節足動物といったタイプが存在しない理由だ)。分類不足はカードの持つ意味を理解できなくしてしまうだけでなく、風変わりな部族デッキをプレイできなくしてしまう。それは注意深くじれったいバランスだ。そして、ああいいとも、私は認めるが、我々は常に正しいバランスをとってきたわけじゃない。
事態をより悪くしているのは、かつて私達が間違ってしまったいくつかの物事だ。その失敗がどれほどの悲惨なものならばプレイヤーに修正させる価値があるのか、査定する必要がある。これから挙げるのは、部分的にだが、植物とファンガス、苗木、Splinter(裂片)、エレメンタル、そしてツリーフォークと。おお、そして《ブラッシュワグ》のきわめて明瞭な、そしてぼやけた境界だ。
だけど私は失敗についてのたわごとをもういくつか並べる前に、これらクリーチャー・タイプの主観的な、不合理なガイドラインを記そう。植物クリーチャー・タイプは知能や知恵を持たない、動く植物。それはクリーチャー・タイプとして使用されながら、しかしながら、他のクリーチャー・タイプを修飾するためにも使われている。《モストドン》や《軋み森のグール》のように。何故《木の壁》は植物ではないのか? 何故なら木はもはや植物ではないからだ。それは木だ。
- ファンガスのクリーチャー・タイプは植物クリーチャー・タイプの中でも菌類に等しいものと、機能的な意味との二つの同じやり方で付けられている。《苔男》は何を意味する? 苔は菌類と植物の間に位置する共生的存在だ。正しい!
- 苗木はトークンのみのクリーチャー・タイプで、「菌類の幼生」を意味する。何故彼らは全てファンガスではないのか? 主に彼らには既得権があって、全てを変更してしまうのはあまりに骨が折れるからだ。苗木を生み出すカードは58枚もある! (「苗木/Saproling」の「Sapro-」は「腐った」「衰退した」を意味する。つまり苗木は腐敗から生まれるものだ)
- Splinter(裂片)はただ一枚のトークンタイプだ。奇怪な《Splintering Wind》の他には何も適合しない。
- ツリーフォークは動く樹木だ。時折彼らの姿形はとても異様なものとなり、エレメンタルと区別することは困難になる。だが私は保証する、彼らは樹木だ。覚えていてくれ。
- エレメンタルは実体、考え、哲学、感情、もしくは何かの生きた具現だ。動く植物や樹木は珍しく、だがそれでいて生物的であるのに反して、エレメンタルは魔法による創造物だ。時折、自然のエレメンタルはツリーフォークのような姿をとる。だが誤解しないように。彼らは大いなる存在であり、樹木ではない!
《ブラッシュワグ》はブラッシュワグだ。問題が解決したことを願っているよ、シャーロット。
皆がマジック2012を楽しんでくれますように。私達はとても懸命に働いてマジック2012を造り上げた。我々のデザインチームの作品の一つでしかないとしても、より美味しいものに仕上がっているよ!
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