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コラム

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あなたの街のティーチングマイスター 第15回:TCGショップMAG(長野県) 山田鷹介さん

原田 武


 「ティーチングマイスター」とは、初心者にマジックを教える認定資格を持つ人のこと。「あなたの街のティーチングマイスター」では、『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』がリリースとなるこのタイミングに、全国各地にいる彼らの紹介インタビューをシリーズで掲載していきます。

 今回は、長野県内唯一のマイスターであり、プレイヤーとしてもマジックを楽しみながらショップの店長も務めるこの方です。

 

縁とゆかりと白単と

──本日はよろしくお願いします。はじめにこれまでのマジック歴について聞かせてください。

山田:中学校の頃にカードゲームで遊ぶようになり、ホビー雑誌を通じてマジックを知りました。その後高校に入ったころ、友人がマジックを持ってきまして。大人っぽいなということで友人4人で遊び始めましたね。

 とはいえまだティーチングもなければTCG専門店もない時代で、当てたカードで遊ぶリミテッドのような遊び方しか知りませんでした。しばらくするとマジックからは一度離れてしまって、本格的に面白さに気づくのは2011年くらいのことになります。

 実は地元がちょうどこの店のある辺りで、大学進学や就職でしばらく名古屋に住んだ後、いろいろあって帰ってきたんです。そうしたら、先程話した高校の友人たちがまだマジックをやっていたんですよ。

──なんと。始めたきっかけも復帰したきっかけも同じ方々、ということですね。

山田:彼らに誘われて『ミラディン包囲戦』のプレリリースに出て、そこからマジックに打ち込んでいくことになりました。今でもお店に来てくれていますから、思えば20年以上の付き合いになるわけで……改めて考えるとちょっと感動しますね(笑)。

 そこからは店舗のイベントや友人たちが主催していた大会に出場するようになったんですが、そういう場で勝つことが楽しくなってきまして。長野県全体規模の大きな大会で優勝したころから、「これはしっかりやりたいな」と遠征をはじめるようになりました。

 この地域からですと東京と愛知が車で行ける距離なので、毎週末のようにどちらかに行ってプロツアー予選などに顔を出していましたね。『ラヴニカへの回帰』の頃からだったかな。今でも基本土地はこの時期のものを使っているんですよ。落ち着くというか、故郷の次元というか……。

──故郷の次元、実に胸躍る表現です。そうして競技としてのマジックにも親しまれていくということですが、特に印象的だった大会はありますか?

山田: プロツアー『カラデシュ』やその権利戦も思い出深いのですが……一番はグランプリ・静岡2014ですね。

 白単人間に青をタッチしたデッキを使って勝ち進んだのですが、最後に二連敗してベスト16だったんですよ。当時は熱が出るくらい悔しかったですし、今でもたまにプレイを思い出します。その後も白単のアグロデッキや人間デッキは好きでよく使っているので、そういう意味でも印象に残っていますね。

 マジックを始めたばかりのころも白単でデッキを組んでいた覚えがあるので、この辺りの好みは変わっていないのかもしれません。《輝かしい聖戦士、エーデリン》とか《スレイベンの守護者、サリア》、《変わり谷》にはずっとお世話になってます(笑)。

 

10年の歩みとティーチング

──では、お店についてもお話を聞かせてください。開店当初から携わっていらっしゃるとお伺いしました。

山田:今年でちょうど開店から10年目になります。よくフライデー・ナイト・マジックに出ていたり、カードを買ったりしていたお店のカード担当の方と親しくなったのをきっかけに「今度お店を開くんですけど、どんなお店がいいと思います?」というお話を頂いたのがきっかけです。

 それ以前にショップで働いていた経験もあったので、一緒にやらせていただくことになりました。お話を持ってきてくださったのが現在のこのお店のオーナーで、僕は当時からずっと店長を務めています。

──10年間、二人三脚で続けられてきたのですね。

山田:はじめはここから少し離れた場所に店舗を構えていたのですが、だんだんと手狭になったので今年の1月に今の店舗に引っ越しました。大会のことなども考えるとデュエルスペースの席数を増やしておきたかったんです。

 それから駐車場の台数も確保したかったというのも理由の一つです。この辺りでは電車が1時間に1本しか来ないという場合もあり、車で来店されるお客様が多いですからね。

──ではその後、ティーチングマイスターを取得されるまでにどのような経緯があったのでしょうか?

 

山田:マイスター制度が設立される以前から、マジックのコミュニケーション面での魅力を強く感じていました。僕が没頭したきっかけも昔からの友人達でしたし、大会や遠征を通じて知り合って仲良くなった友人も大勢います。

 それを再確認したのがプロツアー『カラデシュ』です。海を渡って言葉も違う中で、見知らぬ人と同じゲームで競い合って笑い合えるというのは、ただのゲームではなかなか体験できることではないなと。「このゲーム、一生やるんだろうな」と確信しました。

 それならいろんな人に知ってもらいたいし一緒に遊びたいな、と考えたわけです。それからはお店に来てくれた初心者の方にデッキを貸して、軽いティーチングをするようになりました。マジック仲間が増えるのは僕も嬉しいですから(笑)。

──一生遊ぶなら遊び相手は多いに越したことはなさそうです。その後ティーチングマイスター制度が設立され、取得に動かれたわけですね。

山田:そうなりますね。一度こちらの店でティーチングキャラバンをやらせて頂いたことがあったのですが、その時に結構な数のお客さんにがいらっしゃったんです。かつおぶし石川さんに来ていただいたというのも大きかったとは思うのですが、これだけの需要があるならいつでも教えられるようにしたいなと。

対戦相手が必要なゲームなので、みんなで楽しくできるのが一番いいですからね。来店されるお客様のニーズも様々で、「生放送で見かけたから始めてみたい!」という方もいれば、最初から「イゼット・フェニックスが気になる!」なんて方もいたりするのが面白いところです。

──いきなりイゼット・フェニックス!?初心者の方の背景も様々なのですね。そういった多様なお客様がいらっしゃる中で、ティーチングにおいて気を付けている点などはあるのでしょうか。

山田:まずは何も知らないことを前提としてティーチングしていくのですが、他のカードゲームで遊んだことのある方にはそれぞれ似ているところから話すようにしています。その方が取っつきやすいところもあるかなと。

 

 僕もそうだったんですが、マジックって一度ルールを覚えてしまえば、いつか遊びたくなる時期がやって来るものだと思うんですね。なのでティーチングは、とにかく一度マジックに触れていただく機会なんだと思ってやっています。種を撒いて花開くのを待つような感覚といいますか(笑)。

──いつかのための伏線を張られている。では、そうしてティーチングをする中で、印象的だったエピソードはありますか?

山田:中学校の同級生が子供を連れてお店に来てくれたことがあったんです。その時もティーチングをして、一緒に遊ぶようになりました。同級生からの呼び名が「山ちゃん」だったのでその子供からもそう呼ばれていたのですが、ある日彼が自分の手に「山ちゃんに勝つ!」って書いてきてくれたんです。

──なんてかわいらしい。

山田:当時は小学生だったんですが、今は専門学校に通いながらたまに顔を出してくれています。昔は親に連れてきてもらっていたのに、今では自分で車を運転して来るようになっていて(笑)。年取るわけだなあというか、10年目のちょっと嬉しいところでしたね。

 最近も似たようなことがありましたね。仲良くなった小学生の男の子に「どんなゲームやってるの?」って聞かれて、「マジックやってるよ」って答えたらやってみたいという事だったのでティーチングをしたんです。そうしたらすっかりハマってくれまして。

 「師匠と一緒に遊ぶ!」なんて言って、凄く慕ってくれるんです。僕が子供好きなのもあるのですが、やっぱり一緒に遊べると楽しいですね。

──期待の新星ですね。年齢差をも越えていく、マジックのコミュニケーション力を感じます。

山田:若い人のほうが物怖じしないというか、新しいものにどんどんチャレンジしていく柔軟さがありますよね。今は統率者でよく遊ぶんですが、いつか一緒に大会に出られたら嬉しいです。「早く大人になって師匠とマジックやりたい!」なんて言ってくれていますしね(笑)。

ひとりでも、みんなとでも

──いよいよ6月6日にWPN店舗にて先行販売開始となる『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』。マジック・アカデミーもFF仕様となり、これからマジックを始めてみよう!という方も多くなるはず。意気込みや想いを聞かせてください。

 

山田:多くの方に馴染みあるゲームとのコラボということで、色んな方にマジックを触って頂ける機会なんじゃないかと楽しみにしています。マジックは知らないけどFFファンの方、コラボ実施を知って久々にマジックで遊びたくなった方、両方大歓迎です。出来る限りのサポートをしたいと思っています。

 マジックは子供から大人まで、それこそ小学生から50代くらいの方まで幅広い方に楽しまれているゲームです。マジックを通して新しい友達の輪が広がっていくかもしれませんよ。意外とルールもシンプルですから、カードゲームの経験がない方でも安心していただければと。

 興味はあるけど始めづらいな、タイミングが難しいな、というお客さんにもマジック・アカデミーはおすすめです。是非マイスターを頼ってみてください!まずはお気軽にお店を覗きに来てもらえると嬉しいです。

──ありがとうございます。ちなみに、『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』で注目の一枚を挙げるならどれでしょう。

 

山田:モダンでハンマー・タイムを愛用していましたので、《石鍛冶の神秘家》を彷彿とさせる《ミッドガルの傭兵、クラウド》が気になっています。特定のカードではないですが種族・人間が大量に増えるのも嬉しいですね。人間デッキを強く使いたいと常々思っているので、そこも注目しています!

──更なる強化に期待したいですね。最後までありがとうございました。


 

TCGショップMAG
住所:〒395-0001 長野県飯田市座光寺3901-1
電話番号:0265-48-5306
公式SNS:https://x.com/tcg_mag

「TCGショップMAG」は長野県飯田市、かの善光寺と縁深い元善光寺の近くに位置するカードショップです。移転したての店内には大きくマジック関連商品のスペースが取られています。一階部分が駐車場になっているため、車でお越しの場合でも安心です。


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