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グランプリ・横浜を5倍楽しむ!『ギルド門侵犯』シールド入門(前編)
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2013.02.21
グランプリ・横浜を5倍楽しむ!『ギルド門侵犯』シールド入門(前編)
by グランプリ・横浜2013 日本語イベントカバレージチーム
もう来週に迫ったグランプリ・横浜。日本国内では昨年の神戸以来の、リミテッドのグランプリです。ここを見ている方の多くも、参加する予定を立てているのではないでしょうか?
そして、せっかくのグランプリなのに「シールドって、やったことないし......。」「リミテッドって苦手なんだよなぁ」と悩んでいたりするそこのあなた!
そんな方のために、この記事があるのです。
このたび、グランプリ・横浜カバレージチームでは、グランプリに向けてシールドの基本と、『ギルド門侵犯』という環境に特有の戦略について、解説をお送りすることになりました。前・後編の2本に分けて、シールド・デッキ(以下シールド)の基本と『ギルド門侵犯』という環境についてお話ししていきます。
まずは前編、シールドの基本です。基本的なシールドのデッキ構築などのお話ですが、もちろん、『ギルド門侵犯』における話もしていきますのでそこはご安心を!
■シールド・デッキとは?
ブースターパック6パックを開封し、封入されていたカードから必要なカードを選び、好きな数の基本土地を加えて40枚以上のデッキを構築する。
大まかに言ってこんなルールのシールド。カードが配られるということは、グランプリに向けてデッキを用意したりしなくても良いということ! それこそ、ふらっと行っても参加できるのです。
リミテッドのフォーマットのうちの一つであるシールドは普段の構築戦とは違い、配られたカードで勝負しなくてはなりません。「そんなの運ゲーじゃん!」という人もいらっしゃるかとは思いますが、実際はそんなことはありません。もちろん、いわゆる「ゴッドレア」に負けた......というような展開もあり得ますが、それでも抑えておくべきシールドの基本と、環境に対する理解が重要になってくるフォーマットなのです。
まずは、「もらったカードプールで一番強いデッキを作る」ということ。これこそがシールドにおけるデッキ構築の目標です。
(開封してあなたが使うことができるカードの一群を、以下では「カードプール」と呼びます)
それでは、シールドにおけるデッキ構築の基本を見ていきましょう。
■デッキ構築の基礎
デッキの枚数
40枚のデッキと100枚のデッキ、特定の強いカードがデッキに1枚入っているとして、より引きやすいのは?
とても単純な理屈ですが、デッキは制限の最小枚数で組んだほうが良いです。強いカードがたくさんあっても全部使いきろうとせず、40枚のデッキを組むことを心がけてください。ごくまれにバランス調整の結果41枚デッキなどになることはあるかもしれませんが、原則40枚ということを頭に入れておきましょう。
土地の枚数
リミテッドにおける40枚デッキでの土地のバランスは、一般的に16~18枚となります。この『ギルド門侵犯』環境も同じく、土地の枚数は主に17枚と考えて良いでしょう。その中でデッキが軽めなら16枚、重めなら18枚というのが基本的な考えとなります。
環境の特色として、キーワード能力である「強請」がマナ喰い虫なため、強請を持ったカードが多く存在するデッキであれば土地が18枚にしても良いでしょう。土地を多少多く引いてもその分のマナを強請に使用できるからです。逆にシールドではどうしてもデッキが重くなりやすく、土地が16になることは滅多にないですね。
「魔鍵」シリーズや《新緑の安息所》《予言のプリズム》なども完全に土地1枚とは数えないまでも、土地0.3~0.5枚程度には換算しても良いでしょう。
土地の枚数やバランスは、基本的なところながらミスをすると一番戦績に響きやすいため注意しましょう。
マナカーブ
一般的にリミテッドのマナカーブは、クリーチャーのマナ域を見て、2マナ域が4~5枚、3マナ域が5~6枚、4マナ域が3~4枚、5・6マナが3枚程度というような感じで用意できれば理想と言われています。
そして詳しくは後編でお話しますが、この『ギルド門侵犯』という環境はかなりの高速環境。普段以上にデッキ内のマナカーブについて意識していきましょう。
どれだけ強いカードを詰め込んだデッキであっても、2マナ域のクリーチャーがゼロでは相手のスピードについていけず負けるゲームが増えてしまいます。それこそ2マナ域があるから、マナカーブが整っているからという理由で色を選択しても良いでしょう。
実際には理想的なマナカーブとはいかないまでも、特に2マナ域の枚数には気を使っていきたいですね。
■カードの強さ
当たり前ですが、弱いカードより強いカードを使ったほうが勝ちやすいです。配られたカードの中から強いデッキを組むのが目的である以上、わざわざ弱いカードを好んで使う理由はありません。強力なカードがあれば、それを使えるようにデッキを組むのは自然な選択です。
では、シールドにおいてはどのようなカードが強いのでしょうか?
ただひたすら強いカードは使いたい!
いわゆる「ゴッドレア」「爆弾レア」と呼ばれるようなカードがプールにあれば、ぜひ使いたいところです。レアやアンコモンには、コモンのカードパワーでは太刀打ちできないようなカードがあります。
この環境でいえば《戦導者オレリア》《幽霊議員オブゼダート》といった強力なクリーチャーや、《オレリアの憤怒》《一族の誇示》のようなゲームを決めうる呪文はぜひ使いたいですね。
とくに後者2枚の呪文のように特定の色マナを1つしか必要としない強力なカードは、そのために別の基本土地を少し入れる(「タッチ」する)ようなことをしてでも、使用する価値があると言えるでしょう。
除去は強し!
リミテッドにおいては、いわゆるクリーチャー除去カードも強力なカードです。特に上に挙げたような強力なレアクリーチャーにも対処可能な除去カードは、それだけで貴重です。
ただ、この環境は除去があまり強くなく、特に条件に関係無く除去可能である、いわゆる「確定除去」は、コモンでは《忌まわしい光景》《天使の布告》しかありません。
《オルゾフの魔除け》や《殺意の凝視》、《地上の突撃》《千叩き》といった強力な除去カードはアンコモンに多く存在しており、これらの除去カードが引けたならばぜひ使用したいですね。
シールドだからこそ、強いカードも。
リミテッドの中でもシールドは、カードを選択してピックしていくドラフトとは違い、「限定的で選べないカードプールからデッキを作らないといけない」ことからゲームスピードが遅くなりがちです。
ゲームスピードが遅くなりがちということは、ドラフトではそれほど強力ではない「始源体」シリーズのような、「重くて強いカード」も十分にプレイが可能ということです。
また、ドラフトではプレイする暇もないことが多い《心理的打撃》といった打ち消し呪文、《不敬の粛清》のような手札破壊呪文は、ゲームスピードのダウンに伴い(ドラフトより少しではありますが)強くなっています。
単純なカードの強さだけでなく、シールドだからこそ強いカードに関しても意識していきましょう。
■色の強さ
カードの強さについて話したところで話を翻すようですが、カードの強さだけにはつられてはいけません。
例えば《幽霊議員オブゼダート》を引いたとしても、白と黒の他のカードが全く役に立たない弱いカードたちばかりだったら、使わないという決断も重要です。強力なレアはその色を選択する理由にはなりますが、それは脇を固めるカードがしっかりあってのことです。
どれほど強力なカードだとしても、それだけで考えず、そのカードプールにおいて強い色はどれなのか、それをしっかり見極めるようにしていきましょう。
『ギルド門侵犯』は混成カードも多く、色の強さを判断するのが難しくなっています。
例えば、《闘技》は赤か緑どちらかの色が合っていればデッキに入れられます。色の強さの判断をするときに忘れないようにしましょう。《オルゾヴァの贈り物》なども、どちらの色で使っても強力ですね。
そういったカードを見逃さないためのオススメの手順をお知らせしましょう。
まずはパックからプレイに値するカードを選り分け、その上で、「白のカード→オルゾフのカード(白黒2色の金枠カード、混成カード)→黒のカード→ディミーアのカード→青のカード・・・」というように並べるのです。
円を描く形で並べて見ると各色やギルドの強さがわかりやすく、またデッキ構築時に採用するカードも抜けたりしません。
もらったプールでどの色が強いのか。それを見極めるのがシールドのコツです。
■色の数
一般的にシールド環境においては、2色でデッキが組めるのが理想とされています。もちろん、2色でデッキパワーが十分なのであれば素晴らしいカードプールです。そんなパックをもらえれば、あなたは安定した強力なデッキでスイスラウンドを戦うことができるでしょう。
......ですが、現実はそう上手くいきません。特にこの『ギルド門侵犯』環境は、使用に値するカードが少なく、2色ではかなり弱いカードがデッキに入ってしまうことが多いのです。
ではどうするのか?
もちろん、弱いカードが入っていることを承知で安定を取るという手もあります。これはひとつの選択でしょう。しかし上で書いた通りこの使用に値するカードが少ない環境では、2色で無理矢理組むと本当に弱いカードが入ってしまうことも多くあります。ごく普通にカードパワーで負けてしまう、そんなデッキでは勝っていくのは難しいでしょう。単にカードを並べ合ってパワーで負けてしまうのでは、そもそも遊んでいて面白くありません。
そうなると俄然輝いてくる選択肢が、色を増やすということです。
特に各種「ギルド門」シリーズや「魔鍵」シリーズ、レアではありますが《聖なる鋳造所》といったいわゆるショックランドのある『ギルド門侵犯』環境においては、色を増やすということが環境上推奨されていると言ってよいでしょう。
例えばボロスを組んでいて、《グルールのギルド門》と《一族の誇示》を引いたならば、タッチするのは素晴らしい選択です。そこまでのカードでなくても、強力なクリーチャーや除去は十分にタッチする価値があると言えます。
さらに、この環境のカードは純粋なダブルシンボルのカードは非常に少なく、そういった点でも色のタッチがしやすい環境になっています。1色しか合ってない混成カードはダブルシンボル扱いになってしまうことはありますが、相応に強力なカードのみを使用することになります。
普段のシールドであれば色事故リスクを回避するためにできるだけ2色で組むべき、と言えます。しかしこと『ギルド門侵犯』という環境は、カードの後押しと使用に値するカードの少なさから、3色になることが非常に多いということは覚えておいてください。
■デッキの強さ
さて、カードと色について触れてきましたが、ここで元の目標に立ち返ってみましょう。
「もらったプールで一番強いデッキを作る」
そう、作るのはあくまで「デッキ」です。カードの強さも色の強さもそれぞれ大切な要素ですが、それがイコールデッキの強さかというと、これが意外とそうでもありません。
例えば《強打》は非常に強力なクリーチャー除去カードですが、《ボロスの精鋭》《ウォジェクの矛槍兵》といった1マナ、2マナのクリーチャーが十分に入った攻撃的なボロスに《強打》が複数入っていても、ほとんどの場合はプレイされることなく終わるでしょう。もしくはプレイしている時点でもう負けているとも言えます。こういったデッキに入れる場合には1枚程度にとどめておくか、思い切って入れないといった選択もあります。
同じように、《はた迷惑なゴブリン》と《聖堂の護衛》が共存するようなボロスは動きがチグハグになってしまうことがあります。このように、単体では強力でもデッキ方針に合わないカードには気をつけましょう。
上記は一例ですが、カードの強さや色の強さだけでなく、デッキとしてトータルで見た強さを見極める力はリミテッドにおいて重要な技術です。色を足すか足さないかなどの判断なども含め、ここまで話してきたことはあくまで「もらったカードプールで一番強いデッキを作る」という目標に対する手段のひとつなのです。
限られたカードプールの中から一番強いデッキを見つけ出す。それこそがシールドの醍醐味です。
......とはいえ、ここまでくるとそう簡単ではありません。
でも安心してください。プロプレイヤーたちでも常に最善のデッキ構築ができるわけではないのです。自分で組んでみて不安ならば、休憩時間に友人に相談してみたりしても良いでしょう。気づかなかった視点を教えてもらえたりするかもしれませんし、明らかに強い方針があるのならば、サイドボード後にはデッキを入れ替えることも可能です。
「強いレア引いた!」「パック弱いんだけど......。」などの雑談とともに、デッキ構築について相談してみてはいかがでしょうか?
■さあ、シールドをしてみましょう!
ひと通りシールドの基本とをお話していきましたが、参考になったでしょうか?
シールドは初めてという方もこれでバッチリ!......とまでは言えませんが、少なくともシールドにおけるデッキ構築の基本はご理解いただけたかと思います。
「リミテッドは敷居が高い」、そう思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、やってみればリミテッドは本当に面白いレギュレーションです。
あとは何より、時間が許すなら練習してみるのがオススメです。実際にカードを使って対戦するのが難しいという方には、Magic Onlineというツールもあります。
ぜひ一度実際にやってみて、その面白さを味わってみてください!
というわけで、前編はいかがだったでしょうか?
明日の後編では、『ギルド門侵犯』環境について各キーワード能力から切り込んでお話ししていきます。
この環境はどんな環境なのか? 何に注意しなくてはいけないのか? ご期待ください!
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