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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

メカニズム的カラー・パイ 2021年版

Mark Rosewater
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2021年10月18日

 

 2017年、私は、各色にどんな効果があるかを詳細に列記した「メカニズム的カラー・パイ 2017年版」という記事を書いた。そして、ときおりその記事を更新すると約束したのだ。今日はその約束を果たす。もう1本の記事の方で、変更点と解説を書いている。

 カラー・パイの改訂記事に入る前に、いくつかの注意事項がある。

  1. このメカニズム的カラー・パイは、今日、2021年10月18日現在のカラー・パイについて書いている。この瞬間のスナップショットである。これまでそうだったように、カラー・パイは成長し変化し続けていくだろう。つまり、この記事のほどんどの部分は将来に渡って正しいが、すべてが正しいままということではない。しかし、充分な量の変化が起こった時には、またこの記事を更新していくことを約束しよう。
  2. 私は未来(2年以上先)の仕事をしているので、現在のカラー・パイの話をしようとはしているが、未来の話が漏れている可能性はある。
  3. 私がここで書いていることは通常の中心だが、カラー・パイはセットごとの必要性に応じて、そのセットの必要性を増強する形で曲がり、多少変化するものである。
  4. 我々は常に実験を重ねており、ここで語っているものの中にも確定していないものが含まれるかもしれない。
  5. 前回と違い、今回は色の協議会がいるので、前回のバージョンよりも今回のほうが完全なものになっていると思うが、我々も人間であり、忘れているものはあることだろう。
 

 それではいよいよ、カラー・パイの掘り下げを始めよう。

MM20161114_Wheel.png

 まず最初に、いくつかの用語を説明しておこう。

WUBRG_A.png
  • 1種色 ― その能力が最もよく見かけられる色のこと。その種の効果が使われることが、量的に最も多い色であり、レアリティはもっとも低いことが多い。我々がすべてのセットで使うような能力であれば、1種色は、どのセットでもその能力を持つことになるだろう。また、我々がパワー・レベル的に強める効果であれば、その強める幅も一番大きいことが多い。さまざまな種類の効果がさまざまなレベルに存在するので、1種色という言葉の意味するものは広い。飛行について2種色であるカードは、追加のターンを得ることについて1種色であるカードよりもずっと多く見受けられる。これは、追加のターンを得るカードよりも飛行を持つカードのほうがずっと多いからである。
WUBRG_B.png
  • 2種色 ― ある程度日常的にその能力が存在するが、1種色ほどではなく、1種色ほど低いレアリティに常にあるわけではない色のこと。我々がよく使うような効果であれば、ほとんどのセットで2種色にその能力が存在する。2種色には、制限がある場合がある。例えば、赤は飛行の2種色だが、飛行を持つのはドラゴンとフェニックスだけである。
WUBRG_C.png
  • 3種色 ― その能力を時折持つことがある色のこと。すべてのセットというわけではない。能力の中には、その能力の3種色に何年も見かけられないものがありうる。3種色は何らかの条件がつけられることが多く、そのメカニズムを使う非常に狭い一部だということを意味する。黒は先制攻撃の3種色で、主に騎士が持つが、ほとんどの場合にはそれと対になる白の騎士がいる。

 

 1種色は必ず存在するが、2種色や3種色は存在しないこともある。また、1種色、2種色、3種色がそれぞれ複数あることもある。能力を他者に与えるカードは通常その能力の1種色だが、2種色であることもある。3種色であることはまずない。多色カードは、その色の雰囲気を再現しようとしている場合、1種色や2種色である能力を用いるが、3種色は(めったに)用いない。例えば、白は到達の3種色である。我々は、白黒のカード(黒は到達を持たない)の白の部分として到達を「持たせる」ということはしない。

 もう一度強調しておきたいのは、1種色、2種色、3種色というのはその効果がどの程度使われるかによる相対的なものだということである。ある色を2種色とするものが、その色を1種色とする、頻度が低いものよりもずっと多いことはありうる。

  • ― "N"は、(1以上の)自然数を意味する。+N/+0は、クリーチャーをいくらか強化するということを意味する。数を持つ能力を定義するとき、我々は全体を表すためNを使うことが多い。Nが1つのメカニズム内で複数回出てくる場合(+N/+Nなど)、Nは違う値を取る場合もある。
  • 呪文 ― 今日の話の中では、「呪文」という場合、インスタントやソーサリーのことを指す。

 これから各色を1種色、2種色、3種色として持つメカニズム的カラー・パイを列記していく。その後、すべての能力をアルファベット順に並べ、なぜその能力がその色にあり、どのような制約があるのかについて解説する。アルファベット順の全リストや解説にはこのリンクから飛ぶことができる

メカニズム的カラー・パイの一覧

 見やすいように、各リストを節ごとのドロップダウンに分けてある。見出しをクリックするとメカニズムについて読むことができる。

白 ― 1種色

白 ― 2種色

白 ― 3種色

 

青 ― 1種色

青 ― 2種色

青 ― 3種色

 

黒 ― 1種色

黒 ― 2種色

黒 ― 3種色

 

赤 ― 1種色

赤 ― 2種色

赤 ― 3種色

 

緑 ― 1種色

緑 ― 2種色

緑 ― 3種色

 

 

解説付き全能力一覧

 以下では、各能力の制限およびどの色に存在しているのかについて詳しく記載し、色がどのように能力を分けているのかがわかるようになっている。

A~E

F~L

M~R

S~Z

 

ふう!

 私がもとのメカニズム的カラー・パイの記事を書いた時、これがそれほど大きな企画になるとは思わなかった。更新するのはもっとずっと単純だろうと思っていた。その予想は外れた。このヘラクレスのような仕事に協力してくれた、色の協議会の諸君に大感謝だ。メカニズム的カラー・パイの記事に関してプレイヤーの観点から多くの肯定的感想をもらっているので、更新できたことを嬉しく思っている。

 前回言ったとおり、なにか欠けているものや間違っていると思われるものがあれば、訂正できるように(あるいは反論できるように)教えてもらいたい。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrInstagramTikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 変更について詳しく語っている今日のもう1本の記事もご確認あれ。

 その日まで、私と同様、あなたがカラー・パイの掘り下げを楽しんでくれますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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