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Making Magic -マジック開発秘話-
ボーラス・シリーズ その1
2019年10月28日
私がマジックのデザインについて語る場合、ほとんどはセット1つを作るという観点からである。今日の記事ではカメラを少し引いて、セット1つではなくより大きな観点で、今回の場合はボーラス・シリーズ(直近のニコル・ボーラスに焦点を当てた一連の物語を描いた3年間のセット群、つまり『カラデシュ』から『灯争大戦』までのこと)をどのように作ったかという話をしよう。
ボーラス・シリーズを選んだのにはいくつかの理由がある。1つ目に、舞台となる次元やセットを一度に選んだので、セット同士がどのように相互作用するかをどう考えたかを段階的に検証できるということ。2つ目に、『灯争大戦』が今年発売されたので、要素がすべて公開されたことによりすべてを語ることができるようになったということ。3つ目に、工程の途中で興味深い変更をいくつも通過してきており、クールな話ができるということだ。
企画の日々
この話の起点となるのは、何年も前に開発部員で開催した外部会議だった。3年間の物語シリーズで、6つの次元を扱うという企画が決まった。当時は2-2モデル、つまり毎年大型セット1つと小型セット1つからなるブロックが2つ作られていたということを思い出してもらいたい。この会議までに、ゼンディカーでのゲートウォッチの結成、そしてイニストラードでの冒険につながる2年間の物語シリーズになる構想(『マジック・オリジン』『戦乱のゼンディカー』『ゲートウォッチの誓い』『イニストラードを覆う影』『異界月』)ができあがっていた。大小小基本というモデルから大小大小のモデルに移行したとき、この物語は1年少々だけのものに圧縮されたのだ。
ダグ・ベイヤー/Doug Beyerは、ゲートウォッチの仇敵としてのニコル・ボーラスを描いた、もう少し冒険的な次の物語シリーズのためにいくらかの時間をかけていた。ダグはその物語シリーズのコードネームを(20世紀初頭のパルプ映画で悪役がよく蓄えていたカイゼルひげを意識して)「Handlebar(自転車のハンドル)」としていた。その性質とセットの順番から物語の詳細がかなり決まるので、ダグは物語の盛り上がり部分をまとめただけのゆるい大枠だけを作っていた。私の記憶の限りでは、ボーラスが何かを企んでいるとゲートウォッチが知り、それを止めるべく動き、相手を過小評価していたために敗れるというものだった。そうして、最終章として、ゲートウォッチはボーラスを倒すために既知のプレインズウォーカーのほとんどと協力してプレインズウォーカーの大戦争に挑むのだ。
ダグの発想は、これまで長い間(『ウェザーライト』以来)してこなかったような大型の物語シリーズを作るというものだった。そうすることで、ニコル・ボーラスを仇敵として再評価し、これまでよく使われてきたような事後に明らかになる舞台裏の黒幕としてではなく、彼の差し迫る危険性を描くことができるようになるのだ。ダグはまた、壮大だと感じられるような巨大な出来事で終わらせたいと考えていた。しかし、詳細は何も決まってはおらず、使う次元やセットに合わせられるようになっていた。
会議を主導していたのは、アーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheだった。彼は、6つのブロックのうち3つを再訪に、残りの半分を新規の世界にしたいと言った。また、それらの世界はそれぞれが単独で心躍るものでなければならないと考えていた。もちろん大きな物語の流れに沿ったものである必要はあるが、最も重要なのは、プレイヤーが愛してくれると思えるものでなければならないということだったのだ。各世界それぞれについて、アーロンはクリエイティブ的な独創性とメカニズム的独創性を求めた。その後者が、主に私に委ねられたのだ。
アーロンの考えた会議の進行はこうだった。まず再訪について話し合い、可能な選択肢すべてを列挙する。それに順位付けをする。次に、新しい世界について話し合い、そこでの可能性すべてを列挙し、順位付けをする。両方の順位付けをしたリストができたら、どうそれらを組み合わせていくかを検討する。
この会議の目標は、信頼できる6つのブロックを選ぶことだった。その後で、それぞれについて(クリエイティブ的、メカニズム的の両方で)作業を行ない、最後に上層部に提案して計画全体について公式な承認を得るのだ。
再訪
まず、比較的簡単な方の半分である再訪から始めた。初登場順に選択肢をすべて挙げると以下の通り。
ドミナリア
10年以上にも渡って、ドミナリアを再訪していなかった。熱心なプレイヤー諸君から、マジックの初期ほとんどの舞台となっていたドミナリアにいつ再訪するのかと頻繁に尋ねられているという話をした。クリエイティブ・チームは、ドミナリアを再訪するにあたって主な課題となるのは、ドミナリアはあまりにも多くの方法で描かれてきているということだと言った。氷の世界、ジャングルの世界、変身の世界、ポストアポカリプスの世界。
現代マジックの次元は、単一の特徴を持っている。ドミナリアを現代マジックの次元の特徴に合うようにしながら、その特徴を再現するのは非常に難しいだろう。メカニズム的な私の懸念は、10年という期間はあるものの全てが初期マジックであり、いいものはすでに繰り返した後であって残りはそれほど素晴らしいものとは言えないということだった。プレイヤーはドミナリアを単一のものだと考えていないので、クリエイティブ・チーム同様、ドミナリアらしさをメカニズム的に再現するのは難しい。しかし、我々は皆、再訪すれば熱心なコミュニティから大反響があることはわかっていたので、方法を考え出す価値はあったのだ。
ラバイア
これはリチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldが作ったトップダウンのアラビア/ペルシャ風次元である。ただし、もととなった素材をそのまま使っていたものが多かったので、世界構築は存在していなかった。いつか、この素材をもとにしたトップダウンの世界を作るかもしれないし、それをラバイアと名付けるかもしれないが、基盤とすべきクリエイティブ的、メカニズム的なものがそれほど存在せず、いろいろと作らなければならないので、再訪というよりも新次元のほうが近いものになるだろう。
ウルグローサ
これは、『ホームランド』の舞台となった次元である。ごく少数の、頑固一徹の古いプレイヤーを除いて、この世界への再訪を求められたことはあまりない。クリエイティブ的には『アルファ版』からの、プレイヤーが気に入っていた要素、《セラの天使》や《センギアの吸血鬼》や《ハールーン・ミノタウルス》などを元にしたごった煮だった。また、私の見解だが、マジック史上最もデザインの出来が悪いセットでもあった。再訪すべきものはほとんどなかった。
ラース
これは、『テンペスト』からの次元である。ウェザーライト・サーガで、ファイレクシアの侵略の間にこの次元はドミナリアに重なった。つまり、ラースから求められるものはすべてドミナリアのセットで扱うことができるのだ。
メルカディア
これは、『メルカディアン・マスクス』からの次元である。ウィザーズが作ってきたすべての次元の中で(ラバイアは別として)、最も最悪について尋ねられた次元である。これは、都市要素のある商人次元であった。どの要素も特に目立つところはなく、クリエイティブ的にもメカニズム的にも基柱になるものがあったかどうかわからない。
ミラディン
『ミラディンの傷跡』ブロックですでに再訪していて、この会議の時点ではそれはそれほど遠い昔のことではなかった。また、ミラディンはファイレクシア軍に濃く結びついた新ファイレクシアになっていたので、ボーラス・シリーズの一部に入れたいとは思わなかった。
神河
これは、日本神話風の次元である。これも、熱心なプレイヤーから質問される次元ではあるが、『神河物語』ブロックの売上はひどいもので、市場調査を初めて以来で最悪の評価を受けた次元である。ここへの再訪は、上層部に売り込むのが非常に難しいだろう。
ラヴニカ
これはマジックの中で最も人気のある次元の1つである。2色の陣営の次元で、10個のギルドが存在している。『ラヴニカへの回帰』ブロックで再訪しており、まだそう遠い過去の話ではない。再訪するとしたら、物語の後期にする必要がある。この後触れるとおり、ダグの物語はラヴニカを最後の舞台として計画していた。
ローウィン/シャドウムーア
ケルト神話を元にした次元で、その世界の光の姿と闇の姿を繰り返している。神河同様、熱心なファンが少数だけいる。このブロックはうまく行かず、市場調査におけるプレイヤーの世界に対する評価は神河の次に悪かった。ここへの再訪も、上層部に売り込むのが難しいだろう。
アラーラ
5つの断片からなる世界で、各断片はカラー・ホイールの連続した3色からなっている。3色テーマの陣営セットである。クリエイティブ的には、過去の次元でしばしば行ってきた、中心的前提をブロックの後半で吹き飛ばすという行為を行っている。5つの断片が融合し始めたのだ。次元をクールな部分に戻すにはクリエイティブの仕事が必要になるが、それは不可能ではないと考えていた。メカニズム的には、この5つの断片にはそれぞれ明確な特徴がある。課題となるのは、『アラーラの断片』ブロックでうまく行っていなかった、重複する色がシナジー的に噛み合うようにする方法を見つけることである。メカニズム的観点からは、3色のセットにはいくらかの課題があるが、『タルキール覇王譚』ブロックを終えたばかりなので取り組むべき課題を理解していた。
ゼンディカー
前年の『戦乱のゼンディカー』ブロックで再訪したばかりだった。
イニストラード
こちらも、前年の『イニストラードを覆う影』ブロックで再訪したばかりだった。
テーロス
これは、ギリシャ神話風の次元である。この会議の時点では、つい最近のものだった。
タルキール
これは、アジアのさまざまな部分に影響された軍閥の次元である。『タルキール覇王譚』ブロックもこの会議の時点ではつい最近のもので、再訪するのは時期尚早だった。
次はこれの順位付けだ。まず、この3年間の間に再訪するのは早すぎると感じたセットを除外することにした。これで、ゼンディカー、イニストラード、テーロス、タルキールが除外された。また、ファイレクシア軍と関わりが深すぎてこの物語にふさわしくない新ファイレクシアを除外した。ドミナリアの一部となっているラースを、独立した次元としては除外した。それ以外を順位付けしたものが(たしか)これである。
- ラヴニカ(ただし3年目のみ)
- ドミナリア
- アラーラ
――
- ローウィン/シャドウムーア
- 神河
――
- ウルグローサ
- メルカディア
- ラバイア
ラヴニカは、物語上の必要性から最上位に置かれた。後で触れるが、我々はフィナーレにラヴニカが必要な理由に気づいていたのだ。ドミナリアが次だったのは、実装上の難しさを完全に把握していながらも、再訪するという発想に我々が興奮していたからである。アラーラが3番目なのは、再訪によってプレイヤーが興奮するだろうと予想していたが、クリエイティブ的、メカニズム的に、前回舞台にしたときの後始末をしなければならないということがわかっていたからである。
ローウィン/シャドウムーアや神河はその次に来ているが、どちらも上位3つと比べるといくらかの差があった。これらの次元の愛好者は、声は大きくて非常に熱心だが、その数は少ないのだ。それぞれのクールな部分を、最初に登場したときに台無しにした失敗を繰り返さずに進めるのは、承認を受けるのが困難だった。ウルグローサやメルカディア、ラバイアは。誰の支持も受けられなかった。
新しい次元
この会議のこの部分では、我々はさまざまな新次元のための発想を検討していった。まず、クリエイティブ・チームが思いついた発想を提案した。この会議が予定されてから、クリエイティブ・チームはそのメンバー全員に新しい次元のアイデアを1つ以上作るように言った。クリエイティブ・チームはそれらのアイデアについて話し合い、その中で優秀なものをこの会議に持ち込んだのだ。次に、私が、プレイヤーがずっと求めていた各種の次元について提案した。私はソーシャルメディアでよくフォロアーに質問を投げかけていて、その中の1つが、どんな新次元を見たいかというものだった。私はそのデータを集め、そして、何年ものプレイヤーとの会話から集めた事例データとともにこの会議で提示したのだ。最後に、私が、次元に関して持っていたメカニズム的アイデアについて少し提案した。そのアイデアの一部は既存の提案に関連するものだったが、使い場所のないメカニズムもあった。
この節は、今回採用されなかったアイデアの中には諸君が将来目にするであろうものも含まれているので、語るのが難しい。例えば、私が提案した数多くの場所の1つが、誰にも評価されなかったおとぎ話の世界であった。ここでは、リストの最上位に落ち着いた3つの設定について語ろう。これから一連の採用された次元について語る中で、どれが会議からどうなったのかについても触れていく。
カラデシュ
『マジック・オリジン』で、最初のゲートウォッチのメンバー6人それぞれの出身次元を訪れることにした。当時既知だったのは、ニッサの出身次元であるゼンディカーだけだった。クリエイティブ・チームはかなりの時間をかけ、残りの4つを決めた。リリアナはドミナリア出身、ギデオンはテーロス出身と決まった。(後者を決めたのは、『ニクスへの旅』の《捨て身の抵抗》にイースター・エッグを仕込めるぎりぎりの時期だった。)ジェイスの出身次元には、『Planechase』の次元カードでほのめかされただけの世界ヴリンが選ばれた。一方、チャンドラには完全に新しい次元が必要だった。
チャンドラの、調圧器を含んだ服装には、技術の雰囲気がある。スチームパンクのアイデアを元にしたセットは、何年もの間決まらずに存在していた。チャンドラの名前にはインドの影響があった(チャンドラを混血にするというアイデアは、何年も話し合ってきたものだった)ので、それらすべてをもとに生まれたのが、発明に関連した、完全に新しいマジックの次元だった。『マジック・オリジン』のクリエイティブ・チームは、カード上で見せるのに必要なだけのカラデシュを作るための手がかりを作る必要があった。彼らがそれを手掛けるほどに、その成果物を気に入っていったのだ。セットの途中で、スタンダードのセットで使える次元へ前フリにできると考えたので、それにさらなるリソースを注ぐことが決まった。
これが、この会議に到る前にほぼ確定していた唯一の新規次元だったのだ。『マジック・オリジン』で設定のために作ったものを無駄にしてしまうので、これを作るのにさらに3年待ちたくはなかった。これが3年のうちどこに位置づけられるかはわからなかったが、これを使うことには全員が同意したのだった。
イクサラン
ほぼ3年ごとに、開発部の全員が1日がかりの外部会議を開き、マジックの将来について話し合うことにしている。通例としてしていることの1つが、朝に行われる極小会議である。極小会議とは、開発部の誰でも、どんな話題でも取り上げることができる5分間の提案発表のことだ。ジェンナ/Jennaが初めてイクサランという次元のアイデアを発表したのは、この極小会議の間だった。メソアメリカ風の舞台で、侵略者は吸血鬼の征服者なのだ。侵略者と原住民の2陣営の対立が想定されていた。
参加者はその提案を気に入り、そしてジェンナにいくらかの注文を出した。クリエイティブ・チームに次元を提案する段になって、ジェンナはより洗練されたこのセットを提案した。そして、提案する次元の1つとしてこの会議で選定されたのだ。ジェンナは他のチーム・メンバーの助けを受けて、その世界がどのようなものかを示すために多くの素材を集めた。クリエイティブ・チームがこれに乗り気で、我々もそれがビジュアル的に魅力的になりうると感じたことか選定されたのだった。この時点では、何もメカニズム的特徴は存在しなかった。
アモンケット
私が、ユーザーが求めている新次元について語ったとき、リストの一番上にあったのはエジプト神話風のセットだった。それは、開発部が長い間話し合っていたものでもあった。例えば、『神河物語』ブロックをトップダウンのデザインにすると決めたときも候補のリストを見ていたが、そこで採用された日本風世界と競ったのはエジプト風世界だった。しばしば話題に登る次元だったが、これまで一度も採用されたことはなかったのだ。私が、それをプレイヤーからの第一候補だと紹介したとき、室内には、ついにやる時が来た、ということは明らかだった。
解決しなければならない疑問がいくつかあった。1つ目に、ユーザーの間で、エジプト神話はギリシャ神話よりも知名度が低いということ。扱えるようなトップダウンのものが十分あるだろうか。2つ目に、それをどうマジックの次元にするのかということ。確かにエジプト風設定と聞いてユーザーが想像するあらゆるものはあるだろうが、それをどうすればマジック独自のものにできるだろうか。3つ目に、ジェレミー・ジャーヴィス/Jeremy Jarvisが指摘したのは、エジプトには文明の影響下の明るく生き生きとした面と、死後長い時を経て墓を通して文明を知るという暗くくすんだ面があるということ。どちらかを選ばなければならず、そうなると素材の一部はセットに採用できなくなるということになる。
これらを踏まえて、新しい世界の順位付けを行なった。この3つの中での順位は、たしか、こうだった。
- カラデシュ
- イクサラン
- アモンケット
とはいえ、室内では、アモンケットのほうがイクサランよりもずっと簡単に上層部に売り込めるということはわかっていた。
ブロック/世界の選択
工程の次の段階で、我々はホワイトボードにこう書き出した。
ブロック#1:
ブロック#2:
ブロック#3:
ブロック#4:
ブロック#5:
ブロック#6:
それから、順位付けしたリストを確認して、どれがどこに入るのかを決めていったのだ。最初は、ダグが持ち出した。ブロック#6には、物語上で必要な条件がある。ボーラスと、ゲートウォッチや仲間たちとの大戦争が必要だ。ダグは、この戦争は既知で人気のある世界を舞台にする必要があると強く感じていた。この戦争をさらに壮大なものに感じさせるために、プレイヤーたちの愛する次元の命運がかかっているようにするというアイデアがあった。新ファイレクシアは物語上の理由から外れていたので、あとの候補はラヴニカ、イニストラード、ゼンディカー、そしてドミナリアだった。ラヴニカが最高の選択肢だと思われた。それが3年目なら、前回ラヴニカが舞台になってから7年経つことになる。短い期間だが、ラヴニカには充分だと思われたのだ。他の選択肢についても軽く話し合ったが、ラヴニカが正解だと思われた。
このことから、別の問題が起こった。最後のブロックはボーラスとの戦争を描いたものになる。ラヴニカに再訪して、ギルドを中心としたセットにしなかったとしたらプレイヤーはどう感じるだろうか。おそらく、不満を覚えるだろう。第5ブロックで再訪して、ギルドのセットを提供して、それからラヴニカを舞台にしたまま第6ブロックで戦争に入るというのはどうだろうか。我々はそのアイデアが気に入ったが、丸々1年を同じ次元で過ごすことを防ぐために2-2モデルに移行したことを考えると、社内で賛否両論になるだろうことが明らかだった。そこで、イベント・ブロックという概念を導入して、次元にそれほど焦点を当てずにそこで起こる大きな出来事に焦点を当てるものとして売り込むというアイデアが生まれた。(これについては来週、その2で語ろう。)
こうして、最初にホワイトボードに書き込まれたのはこうだった。
ブロック#1:
ブロック#2:
ブロック#3:
ブロック#4:
ブロック#5:ラヴニカ(ギルド・ブロック)
ブロック#6:プレインズウォーカーの戦争(ラヴニカで)
次に持ち上がったのは、ブロック#4はマジックの25周年記念の夏に発売されるということだった。我々はマジック20周年を完全に軽視していたので、25周年はうまくやりたいと考えていた。マジックの生まれた次元を再訪することは、アニバーサリーの思い出を扱う最適な機会だと感じられた。そうなると新世界のブロック3つの後に再訪のブロック3つが続くということになるが、『戦乱のゼンディカー』と『イニストラードを覆う影』で丸1年ずっと再訪を扱ったところだったので、3連続の新世界も問題ないとなった。
ブロック#1:
ブロック#2:
ブロック#3:
ブロック#4:ドミナリアへの再訪
ブロック#5:ラヴニカ(ギルド・ブロック)
ブロック#6:プレインズウォーカーの戦争(ラヴニカで)
新次元には上位3つを採用することに決めたので、あとの問題はその順番だけだった。メカニズム的特徴がはっきり決まってはいなかったので、それは会議の後半に回すことにした。順番はこうなった。
ブロック#1:カラデシュかイクサランかアモンケット
ブロック#2:カラデシュかイクサランかアモンケット
ブロック#3:カラデシュかイクサランかアモンケット
ブロック#4:ドミナリアへの再訪
ブロック#5:ラヴニカ(ギルド・ブロック)
ブロック#6:プレインズウォーカーの戦争(ラヴニカで)
ともあれ、大まかなリストが完成した。次の工程は、ろくろを回してこれらの選択が社内全体に売り込めるような優れた全体構造になるようにすることだった。つまり、クリエイティブ・チームは各次元に世界の基柱となるようなものがあるようにしなければならず、私は各世界にそれぞれ全体のメカニズム的特徴があるようにしなければならないということである。ブロック#5? 問題ない。ブロック#3? 検討が必要だ。
今日はもう時間がないので、この話の続きは来週、その2で扱うことにしよう。この工程の違う部分をどの程度楽しんでもらえているかは気になっている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、その2でお会いしよう。
その日まで、あなたがあなた自身の将来計画を立てていますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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