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Making Magic -マジック開発秘話-
あの世界への回帰 その3
Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru
2012年9月17日
ラヴニカへの回帰・プレビュー第3週にようこそ。前々回は大大小でギルドは5/5/10というブロック全体の計画がどうやってできたか、そしてどのギルドがどのセットに入るかをどう決めたかについて語った。前回は、各ギルドのキーワードをどうやってデザインしたかについて語った。今回は、まだ語り尽くせていないことについて語ろう。カードごとのコラムは来週やるので個別の話はそちらに譲るとして、今週はより広い視点での話をすることになる。それでは早速始めるとしよう。
ギルドの魔除け
《アゾリウスの魔除け》《イゼットの魔除け》《ラクドスの魔除け》《ゴルガリの魔除け》《セレズニアの魔除け》 |
昔々、マジックが作られた。マジックを作るために、リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldは様々なゲーム・サークルで出会った友人達をプレイテスターとして使った。そのサークルの一つに、地元のブリッジ・クラブがあった。そこで、リチャードは後にミラージュ(デザイン名はMenagerie)というセットのデザインをするグループの中核となる人々と出会った。そのチームには、ビル・ローズ/Bill Rose(現開発担当副社長)、チャーリー・カティノ/Charlie Catino(デュエル・マスターズやそのアメリカ版Kaijudoの現責任者)、ジョエル・ミック/Joel Mick(前マジック・ブランド・マネージャー、元首席デザイナー/デベロッパー)がいた。
そのセットには、たくさんの面白いデザインが詰め込まれていた。今日取り上げるのは、その中の5枚のカードである。
《象牙の魔除け》《サファイアの魔除け》《黒檀の魔除け》《混沌の魔除け》《若木の魔除け》 |
これらは、史上初の『魔除け』だった。この元になった考えは単純なものだ。他の呪文のように大きな効果を1つ持たせるのではなく、魔除けには小さな効果を3つ持たせたのだ。それぞれの効果は非常に小さく、それだけで1枚のカードにはできないものだ。しかし、3つをまとめればその柔軟性のおかげでカードにできるのだ。
この同じデザイン・チームは、ブロック内の次のセット、ビジョンズでも魔除けの新しいサイクルを作った。
《希望の魔除け》《幻視の魔除け》《葬送の魔除け》《かまどの魔除け》《エメラルドの魔除け》 |
魔除けは非常に好評だったので、それ以来何度も作られることになった。プレーンシフトでは3色の魔除けが導入された。これでは、各効果がマナ・コストに含まれる各色それぞれの小さな効果だった。(まだ混成マナが存在していなかったので)マナ・コストは最低値の3マナであり、従って効果はそれ以前の魔除けよりも多少強力なものになっていた。
《ドロマーの魔除け》《クローシスの魔除け》《デアリガズの魔除け》《リースの魔除け》《トリーヴァの魔除け》 |
オンスロートでは再び単色の魔除けに戻った。ここでの特徴は、各魔除けの効果の1つは部族に関連する(セットで焦点が当てられていたクリーチャー・タイプ1つに関する)ものだったということだ。
《篤信の魔除け》《計略の魔除け》《苦難の魔除け》《熱病の魔除け》《活力の魔除け》 |
次元の混乱では、もう1つの現在(過去が時のらせんで、未来が未来予知で、その間だ)におけるカラー・パイがどう違うものなのかを示すために魔除けがもちいられた。次元の混乱の魔除けの能力の1つはその色の核能力(その色がつねにやること)、1つはマントル能力(その色がいつでもできること)、1つは地殻能力(その色のカラー・パイの一部ではないが、その色の基本的な理念から言うとやっても意味が通じること――次元の混乱がもう1つのカラー・パイで弄ったのはまさにこの部分だった)であった。核、マントル、地殻についてより詳しく知りたければ、こちらのコラムを読んでくれたまえ。
《暁の魔除け》《海賊の魔除け》《深夜の魔除け》《憤怒の魔除け》《進化の魔除け》 |
アラーラの断片は友好色3色の断片をテーマとしていた。プレーンシフトでこの空間にもう踏み込んでいたが、時間は経っていたし、アラーラの断片のデザイン・チームは可能な限り断片のデザイン空間を掘り広げたいと心から思っていたのだ。
《バントの魔除け》《エスパーの魔除け》《グリクシスの魔除け》《ジャンドの魔除け》《ナヤの魔除け》 |
そして話はギルド門侵犯のデザインに――何、このコラムはラヴニカへの回帰のデザインの話だろうって? ああ、そうだとも。しかしこの話が始まったのは間違いなくギルド門侵犯のデザインのときなのだ。通常、冬セットのデザインが始まるのは秋セットのデザインが完了してからになるのだが、ギルド門侵犯は大型セットなので2つのセットのデザイン期間は6ヶ月ほど重なったのだ。
なんにせよ、私がギルド門侵犯のデザインにおいてリーダーを務めていたとき、新しいサイクルを考えようとしていた。ラヴニカは様々な面白いサイクルが存在し、その中のいくつかを再訪することは決まっていたが、ラヴニカへの回帰・ブロックにはラヴニカ・ブロックにないサイクルを入れたいと思っていたのだ。何か別の空間を探求したかったのだ。
ここで強調しておくべきことは、私は10枚からなるサイクルを作ることにこだわってはいなかった。ラヴニカへの回帰のデザインは調子よく進んでいたのだ。私は、自分のセットで使えるものを探していただけであった。ここで、ラヴニカへの回帰のサイクルの中には10枚サイクルとなってギルド門侵犯で完結するものもあれば、ラヴニカへの回帰だけのためにデザインされ、その5つのギルドにだけ存在するものもあることを指摘しておこう。
なぜどうしてかは判らないが、ある日ふと思いついたのだ。2色の魔除けはまだ存在していない! 脳内でこれまでのことが思い出され(諸君はここまでの内容を読み返してくれればいい)、多くの単色の魔除け、2セットでの3色の魔除けは存在しても、2色のものは存在しない。これは見落としと言っていいことだ。
魔除けを使うには、2つの問題があった。1つめに、2色なのに3つの効果が必要なことをどうするか(これは、おそらくこれまで2色の魔除けが存在しなかったことの理由だろう)? 2つめに、ラヴニカへの回帰に入れずにギルド門侵犯に魔除けを入れるにはどうするか? サイクルによっては完全でないことも受け入れられるだろうが、魔除けのように象徴的なものに関しては無理だ。
1つめの問題は、簡単に解決の糸口が見つかった。2色の魔除けには、1色めにできることをする能力1つ、2色めにできることをする能力1つ、両方の色にできることをする能力1つを持たせればいい。3つめの能力は、その2色の混成カードがするような効果を持つことになる。
2つめの問題は、私の側としては少しだけ大胆だった。状況はこんな感じだ(会話は創作である)。
私:ああ、伝えておくよ。ギルド門侵犯にギルドの魔除けを入れたから。
ケン:そんなこと知りませんよ。ギルドの魔除けは本当に必要なんですか?
私:好きにしてくれ。ギルド門侵犯には必要なんだ。伝えるだけ伝えたから。
(間)
ケン:わかりました。こっちも入れますよ。
そして、ギルドには魔除けが存在するようになったのだった。
次の話に入る前に、ちょっとしたクイズをしよう。
マジックに存在する魔除けの中で(カード名を見てはっきりとCharmであるとわかる中で、ということ)、魔除けでないもの(唱えるときに3つの選択肢をもたらす呪文でないもの)は何か?
ギルド魔道士
《新プラーフのギルド魔道士》《ニヴィックスのギルド魔道士》《コロズダのギルド魔道士》《リックス・マーディのギルド魔道士》《ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士》 |
ミラージュのデザイン・チームが思いついたイカしたものは、魔除けだけではなくこれもある。
《護民官ギルドの魔道士》《祭影師ギルドの魔道士》《祭影師ギルドの魔道士》《武具師ギルドの魔道士》《農芸師ギルドの魔道士》 |
ギルド魔道士は完全にサイクルだった。全てが1/1の人間・ウィザードで、2つの起動型能力を持つ。それらの起動型能力はそれぞれ異なる友好色の色つきマナ1点の起動コストを持っていた。これらは、多色のプレイを推進するためにデザインされていた。
ラヴニカ・ブロックのときにも、再びギルド魔道士を使うことにした。
《アゾリウスのギルド魔道士》《ディミーアのギルド魔道士》《ラクドスのギルド魔道士》《グルールのギルド魔道士》《セレズニアのギルド魔道士》《オルゾフのギルド魔道士》《イゼットのギルド魔道士》《ゴルガリのギルド魔道士》《ボロスのギルド魔道士》《シミックのギルド魔道士》 |
我々は2つの起動型能力を持つ小型クリーチャーを気に入っていたが、それにいくつかの大きな変更を加えられていた。
- それらのクリーチャーは新しい混成マナを使うようになった。これによって、そのどちらかの色を使うデッキに入れることができるようになる。それぞれの起動型能力は単色なので、どちらかの色しか使えない場合にも価値は保たれる。混成マナと2つめの起動型能力の関係から、両方の色を使っているデッキではギルド魔道士はより強力になる。
- 1マナ1/1ではなく、ラヴニカのギルド魔道士はより強くなった。混成マナはそれだけで色マナ全てをマナ・コストに入れることができるようになっていたので、HH(同じ組み合わせの混成マナ2点)で2/2のクリーチャーにした。
- 起動型能力にタップがいらなくなったので、1ターンに複数回起動できるようになった。
- 2つの起動型能力を同じコストには保ったが、1マナでなければならないという制約は取り払った。また同時に、全てのギルド魔道士が同じ起動コストを持たなければならないという制約も取り払った。
ギルド魔道士の価値がプレイヤーにわかるにはしばらく時間がかかったが、理解されてしまえば大絶賛だった。ラヴニカに帰ってきたのだから、何らかの形でラヴニカ・ブロックのもっとも象徴的なサイクルであるギルド魔道士を使わなければならない。
温故と知新のせめぎ合いはここにある。ギルド魔道士と呼ぶにふさわしい程度にギルド魔道士らしいカードで、昔のギルド魔道士の焼き直しと思われない程度に新しいカードを作りたいのだ。
まず、我々は混成カードのギルド魔道士を新しくする方法を考えた。別のサイズや、別の起動コストなどを試してみた。しかし、それでは充分な変化は出来なかったのだ。そこで浮かんできたのが、混成カードでは泣く金枠カードにするというものだった。ギルドの片方の色だけでよかったものが、両方が必要になる。
この決定を下した後、次に、我々は起動型能力を大小の2つにしてみた。色によって区別するのではなく、どちらの起動型能力も両方の色が必要だとしてはどうだろう? マナ・コストによって、すでに両方の色が必要になっているのだから、両方の色を必要とする小さな効果を序盤用に、両色の大きな効果を中盤から終盤用にすることができる。
デベロップはさまざまなサイズを試してみたが、最終的にはCD(Cはギルドの1色目、Dは2色目)2/2に落ち着いた。デベロップはまた、大小それぞれの起動型能力の効果を調整するのにも多大な時間をかけた。
最終的に、私はこのギルド魔道士でありながら全く違うプレイ・パターンを見せてくれるものに非常に満足している。
ここで特別プレビュー
ラヴニカ・ブロックの象徴的なものを取り上げ、それをラヴニカへの回帰・ブロックに呼び戻す――といえば、今日の私のプレビュー・カードをお見せしよう。ギルド魔道士はラヴニカ・ブロックで有名な2マナだが、他にも有名な2マナ・カードがある。それは、これだ。
そして、私の今日のプレビュー・カードは、ラヴニカへの回帰版の《番狼》だ。
ラヴニカへの回帰のセレズニアに詳しい諸君は、このカードを見てぴんと来るかも知れない。気付かなかった諸君のために、先週のプレビュー・カードをもう一度お見せしよう。
セレズニアのギルド・メカニズムは居住である。これは、あなたがコントロールするクリーチャー・トークンをコピーする、というものだ。(先週の記事の中で詳しく語った通り)居住を作っていたときに、セット内に充分な数のトークン生成呪文を作ることも必要となった。つまり、可能性を探していたのだ。
このカードが最初に作られた時、混乱を招くのではないかという懸念があった。ここで、「デザイン・チームによる《議事会の招集》作り」と銘打った掌編演劇をお目にかけよう。
あっち:ただのクリーチャーではいかんのか?
こっち:居住。
あっち:プレイヤーはそんなこと関係ない。
こっち:このカードは単体でも判る。確かにトークンを出すのは奇妙だが、無意味じゃない。それにプレイヤーは、無意味に見えることには裏があると知っていて、裏を見付けようとする。これはバグじゃなく機能なのだ――。
終幕
こうして、居住の最大の友の1つが生まれたのだ。
さて、それではもう一度今日の本題に戻るとしよう。
ギルド門
《アゾリウスのギルド門》《イゼットのギルド門》《ゴルガリのギルド門》《ラクドスのギルド門》《セレズニアのギルド門》 |
開発部でよく使われる表現に、「完全上位互換」というものがある。開発部内では、2枚のカードを比べてどちらかのカードが一般的にあり得るあらゆる条件において勝っている場合(ここで「一般的にあり得る」と言ったのは、他方のカードが勝る状況をでっちあげることは可能だからである。定義は実際的に有用でなければ、用語として役に立たないことになる)、それを「完全上位互換」と呼ぶ。
マジックには多くの完全上位互換が存在する。マジックの風潮によって、さまざまな面から見たパワー・レベルは上昇したり下降したりする。しばしば、セット内に完全上位互換が存在したこともあった。例えば、この2枚のカードは同じアルファ版に存在していた。
しかし、完全上位互換が存在しているとは言っても、それを本気で嫌うプレイヤーもいたので、我々はそれの扱いに慎重だった。特に同一のセットにおいては。そこで我々は、セットに完全上位互換を入れるときはいつでも意識するようにした。そして、コモンの2色土地サイクルが生まれたのだ。
コモンの2色土地について語る前に、レアの2色土地について軽く触れよう。入れることについての議論は、こんなものだった。
開発部全員:ショックランドをラヴニカへの回帰・ブロックに入れるべきだ。
開発部全員:そうだとも。当然だ。
《神聖なる泉》《蒸気孔》《草むした墓》《血の墓所》《寺院の庭》 |
ショックランドは旧ラヴニカ・ブロックの大きな部分であった。そして、モダンをより流行らせるため、モダンのキーカードはいずれ再録しようと思っていると約束していた。つまり、最初の日から誰もが判っていたことで、大した議論は存在しなかった。コモンの2色土地は、そうではなかった。
ショックランドを戻すことが決まっていたが、それらはレアだ。我々はコモンの2色土地を出すことで、リミテッドの環境を整えたかったのだ。それにも増して、我々は「お帰りランド」以外の土地を作りたいと思っていた。お帰りランドというのは、こういう土地のことだ。
《ラクドスの肉儀場》《ボロスの駐屯地》《ディミーアの水路》《ゴルガリの腐敗農場》《セレズニアの聖域》 |
これを変えたいと思ったのには3つの理由がある。1つめに、リミテッドに必要とされているよりも少しばかり強すぎる(ここはデベロップの領域だ)。2つめに、これらのカードは、戻すコストと2マナ、2色の生成という点において、コモンに入れるには少しばかり複雑すぎる。3つめに、ショックランドを戻して温故を満たしているので、コモンの2色土地は新しいものにして知新を満たしたい。
そこに問題があった。コモンの2色土地を単純にしたい。もっとも単純なのはタップ状態で戦場に出る、タップすると2色のうちどちらかが出る2色土地だ。この種の土地はインベイジョン時代に作っていた。
《沿岸の塔》《塩の湿地》《アーボーグの火山》《シヴのオアシス》《エルフェイムの宮殿》 |
これらの土地に新しい名前を与えれば、必要なコモンの土地そのものだった。問題は、これらの土地はショックランドの「完全下位互換」となるということだ。ショックランドには2点のライフを支払ってアンタップ状態で出るという選択肢があるが、この選択肢はインベイジョンの2色土地には存在しない。また、ショックランドは基本土地タイプを持ち、これもこれまでの歴史上大きなアドバンテージとなっていた。
セット内に完全上位互換を作ってはならないとは言わないが、それがプレイヤーにとって不満の種になるのなら避けたい。そして、これはそういうざわめきを起こすような類の完全上位互換だと思われた。そこで、他のコモンの2色土地を作る必要に迫られたのだ。
デザイン・チームは次々と新しいコモンの2色土地をデザインした。デベロップもまた、新しいコモンの2色土地を作った。開発部の他のメンバーもだ。しかし、どれも巧く行かなかった。最終的に、ある日のカード製作ミーティング(デザイナーとデベロッパーが集まり、基本根本の問題に関して議論する週例ミーティング)で、名案がないことに嘆いていたらザック・ヒル/Zac Hillが「インベイジョンの土地に印を付けるのはどうだろう」と言ったのだ。
「それだ」と満場一致だった。
「それらの土地に、ギルドにとって何か特別な意味があって、サブタイプを持つんだ。そうすれば、そのサブタイプに注目したカードを何枚か入れることができ、完全下位互換ではなくなる」
そのアイデアに誰もがとびついた。ダグ/Dougはギルド門をギルドの領域の入り口だとした。クリエイティブ・チームはギルド門の設定を作り上げ、ストーリーの中核に位置づけた。
デザイン・チームはギルド門を前提に、それを参照するカードを作り始めた。多くのカードを作ったが、最終的に入ったのはほんの数枚で、ブロック全体に広げられるようにした。見ての通り、ギルド門はセットに投入したときに少しばかりふくれあがったのだ。
そして、これがギルド門の由来である。
ギルドの指導者
ラヴニカ・ブロックでは、各ギルドに2種類の伝説のクリーチャーがいた。ギルドの指導者と、ギルドの勇者である。ギルドの勇者のコストは各ギルドの色それぞれ1マナずつ(と、いくばくの無色マナ)で、名を冠しているギルドの各色から取ったメカニズムを持っていた。ギルドの指導者は各色2マナ(と、やっぱりいくばくの無色マナ)だが、勇者とメカニズム的な繋がりはなかった。
ラヴニカに戻るにあたって、ギルドの指導者について確認することが重要だと判っていた。旧ラヴニカ・ブロックと同様、各ギルドの指導者は各色2マナずつ(と、場合によっては無色マナ)のコストを必要とする。ではギルドの勇者は? ラヴニカへの回帰やギルド門侵犯には勇者を入れないことにした、と言ってしまうのだが、その前に少し。
ギルドの指導者を戻したいとなって、我々はクリエイティブ・チームに各ギルドの現在の指導者が誰なのかを決めてもらうことにした。イゼット、ラクドスなど4つのギルドは元の指導者がそのまま残っている(他の2つはオルゾフとグルール)。イゼットの指導者はドラゴンのニヴ=ミゼットで、ラクドスは悪魔ラクドス。これらのギルドの名前はこの指導者の名前から取られている。
アゾリウスとゴルガリは、旧ラヴニカ・ブロックにいた存在がギルドの指導者に成り上がった。
アゾリウスの《至高の審判者、イスペリア》はディセンションにいた《不可解なるイスペリア》である。
ゴルガリには《ゴルガリの死者の王、ジャラド》がいる。これはラヴニカの小説に出てきたが、当時はまだゾンビではなかった。
最後のギルドの指導者はクリエイティブ・チームが作り上げた新しい登場人物、《セレズニアの声、トロスターニ》だ。彼女はドライアドで、1体のクリーチャーではあるが、3体のドライアドからできあがっているという特異な存在だ。(イラストを見ればお互いに根の部分でつながっているのがわかるだろう)。私は「トライアド・ドライアド」なんて呼んでいる。
《セレズニアの声、トロスターニ》 アート:Chippy |
デザイン・チーム(と、後にはデベロップ・チームも)は各ギルドの指導者が魅力的になるように全力を尽くした。次回、カード個別の記事では、その中の何枚かのデザインについて語ることになる。
「ギルドを選ぶなら......」
さて、今日はこれで終わりだ。3週間にわたって垣間見てもらったラヴニカへの回帰のデザイン工程を諸君が楽しんでくれたなら幸いである。来週、個別カードについてより深く掘り下げ、デザインの物語を伝えるときにお会いしよう。
その日まで、あなたに語りかけるギルドがあなたとともにありますように。
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