READING

コラム

金子と塚本の「勝てる!マジック」

金子と塚本の「勝てる!マジック」 第27回:プレイング編 不利な戦闘

金子と塚本の「勝てる!マジック」 第27回:プレイング編 不利な戦闘

by 金子 真実 & 塚本 樹詩

登場人物:

金子 真実

ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの人。塚本に押しかけられ突然弟子をとることになった。
Q. 最近見たとんでもない夢はありますか?
A. ゴ○ラに襲われて死んだと思ったら、なんか魔法が使えるようになって○ジラをコテンパンにしてました。でも、「ゴジ○を倒せるような魔法使いはクビだ!」って仕事をクビになっちゃって......世界を救ったのに理不尽ですよね!

塚本 樹詩

マジック初心者。マジックの大きな舞台での活躍を夢見て、金子に弟子入りした。とにかく元気。
Q. 最近見たとんでもない夢はありますか?
A. 何故かバスケット部の体験入部を楽しんで、卓球部に入るという夢を見ました。
バスケット部の件があまりに長すぎたのか、いざ卓球部に入ってすぐ目が覚めました。
体験入部の時にずっと「でぃ~ふぇんす、でぃ~ふぇんす」って連呼していた自分が、一番印象的でした。

前回の勝てマジ!

戦闘中にインスタント呪文を唱える時の注意点について学んだ塚本。
結局、膠着している場面では下手に動かない方が良く、様子見が安定行動だと教わったのだが...

金子は塚本に膠着状態だからこそ、あえて攻撃してみるのも面白いのでは?と囁きかけたのであった。


塚本「2/2で攻撃したらいかにもブロックされて無駄死にしそうですが、ほ、ほ、ほ、本当に攻撃するのですか金子さん?」

金子「膠着状態なら動き出して現状打破してこそ男でしょ!とりあえず塚本さんだけでも攻撃してみましょう!」

塚本「そ、そんなぁー!」

 

今回のケース

case01.jpg

金子「さて、というわけで今回の盤面です。まず原則として、こういったシーンでは攻撃しないほうが良いというのは前回お話しした通り。いくら手札に《剛力化》があるといっても、相手は手札、マナともに潤沢。除去の得意な赤黒でもありますし、ぜったい攻撃したくないですね。」

塚本「じゃあとっととターンを終えましょう!手札の2/2を出してターン終了!」

金子「......塚本さん、単体で攻撃。」

塚本「えっ、そんな、うわぁぁぁぁあ!!ってブロックされませんでしたね......。どうしてなんでしょう?」

case02.jpg

なんで攻撃が通ったの?

金子「何度でも言います。原則として、こういったシーンでは攻撃しないほうが良いです。理由は前回説明した通りですね。でも、あえてそこで勇気を持って攻撃してみたら、なぜか攻撃が通りました。」

塚本「どうしてなんですか? 前回解説いただいたとおり、自分から動くのは損ですし、相手に対応されたらそれはもう酷いことになりますよね。」

金子「そうですね。でも、だからこそ相手はブロックしなかったんですよ。相手からしてみれば、どう見ても不利な攻撃。『ぜったい何かあるぞ?』と思わせるには十分な攻撃です。」

塚本「なるほど、対戦相手からこちらの手札の中身は見えないですしね!」

金子「もちろん3/3の重要度や、手札の内容にもよるのですが、ここで相手は『通しても2点のダメージを受けるだけ』と考え、リスクを許容せずにダメージを受けることを選択したみたいですね。」

塚本「なるほど、最悪のパターンを想定しちゃうと、ブロックするのも危険に思えてしまいますね。」

金子「さて、ここでこの攻撃が通ったことで、少しだけですが、相手の手札を予想することができます。

塚本「えっ!?相手の手札を予想!?」

金子「そうです。相手はこのターン、クリーチャーに対処するような呪文を2回唱えることはできない、と考えられます。

塚本「ええっ!? なんでそうなるんですか?」

金子「いま、こちらの手札は2枚で、かつこちらから動かなくてはいけない攻撃をしましたよね? つまり、こちらのアクションは最大で2回。なのに、相手はブロックしなかった。相手の立場になって考えてみてください。もし、2回除去呪文を唱えられるなら、ブロックしたほうが得になりませんか?

塚本「なるほど! 公開情報である2枚の手札を恐れたということは、それ以上の行動ができないということですもんね!」

金子「そうなのです! まあ、実際は手札に除去はあるけど価値的に2/2に打ちたくなかったとか、そもそもこれが本当のゲームだったら攻撃するかは怪しいとか、いろいろあるのですが......ともあれ、ここでは攻撃が通って、相手の手札の予測が少しだけ立ちました。素直に追加の2/2を戦場に出して、ターンを終えましょう。これで3/3と2/2が2体という盤面を作れたうえに、攻撃が通せましたね。」

塚本「やったー! さすが金子さんや!」

逆の立場でも実践してみよう!

case03.jpg

塚本「って金子さん......ターンを渡したら、相手の3/3も攻撃してきましたよ......。」

金子「そうですね。3/3が2体の2/2に向かって攻撃する......どうですか?」

塚本「これは確か、ブロックしたらお得なんですよね!」

金子「そうですね。ブロックしたら、3/3と2/2が相打ちになってお得......かもしれません。で、どうですか?これはブロックできそうですか?」

塚本「......できないです。」

金子「それはどうしてですか?」

塚本「だって、手札が4枚もあって、しかも相手から不利なはずの攻撃をしてきてるんですよ!ブロックできるわけないじゃないですか!

金子そう、それです!さっきのターン、相手も同じように考えたんですよ! だからこそ攻撃は通った。そして、このターンこちらが同じように考えざるを得ない。さらにこちらはマナもありません。こんな攻撃、ブロックできるわけないですね。」

塚本「ぐぬぬ、ダメージを受けてしまった......さらに追加が!?」

case04.jpg

金子「やはり相手も3/3を追加してきましたね。これでブロッカーが出てこなかったら、こちらは6点で攻撃できちゃいますからね。相手は後続を出せるんだろうなとは思っていました。

塚本「せっかく2/2を追加したのに、相手の3/3が2体に増えて、またもや戦況がイーブンに......。」

金子「いや、イーブンではないですよ!」

塚本「え? これって膠着状態ですよね?」

金子「でも、この一連の流れで我々は3点、相手は2点のダメージを受けましたよね? その分だけ状況が変わっています。結果的にこちらのライフのが相手より少なくなったので、ピンチに近づきましたよ!やったね!」

塚本「え......? あんなに頑張ったのに、頑張り損?」

金子「結果的にはそうなりましたが、状況によっては均衡状態からゲームを進められる選択肢を取れることがわかりましたよね? 相手がクリーチャーを追加しなければこちらが有利になっていましたしね! なので、前回の前提条件をしっかりと把握していれば、さらに高度な駆け引きができるというわけです!」

今回のまとめ

金子「さて、今回は何か得るものがありましたか?」

塚本「自分の盤面の最悪なパターンを想定するだけでなく、同じように相手が何をされた嫌なのか考えると、一見膠着している場面でもやりようが出てくるということですかね?」

金子「そうなんですよ! マジックの戦闘がいかに奥深いかわかるような回でしたね。それでは、今回のまとめです。次回以降も忘れないようにしてくださいね!」

  • 一見不利に見える行動には、その理由がある!
  • 優位なプレイヤーの行動に逆らうのは大変!
  • 上記2点をふまえ、相手の行動から手札を予想しよう!

塚本「はい先生!どう考えるかが重要なのですね! 今日はいつもと違って、高度なやり取りをしたので、盤面的にはイーブンですが、この先もっと厳しくなるのでしょうね......!」

金子「でも、先ほどのやり取りで塚本さんのほうがライフ減ったので、厳しくなるのは塚本さん自身ですね!」

塚本「金子さんのせいじゃないですか!!」

金子「弟子に厳しい試練を与えるのも、師の役目!」

塚本「忘れられがちな設定をきっちり使いこなす師の鑑!!」

金子「ということで、次回も厳しい状況が塚本に迫る!」

塚本「酷い!!続く!!」

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索