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コラム

金子と塚本の「勝てる!マジック」

金子と塚本の「勝てる!マジック」 第16回:リミテッドでのクリーチャー以外の呪文の質

金子と塚本の「勝てる!マジック」 第16回:リミテッドでのクリーチャー以外の呪文の質

by 金子 真実 & 塚本 樹詩

登場人物:

金子 真実

ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの人。塚本に押しかけられ突然弟子をとることになった。
よく話すひとりごと:仕事中の独り言が多すぎて、近くの席の同僚が話しかけられたと勘違いすることも。今日もディスプレイと会話しています。

塚本 樹詩

マジック初心者。マジックの大きな舞台での活躍を夢見て、 金子に弟子入りした。とにかく元気。
よく話すひとりごと:ゲームをしている時に「痛てっ」みたい言葉はいくつになっても言ってしまいますね!

前回の勝てマジ!

デッキに入るクリーチャーの強さの基準がわからなかった塚本に、金子はわかりやすく3つのポイントに分けて説明をした。何とか理解したかのようにみえた塚本に、次はクリーチャー以外の呪文の基準について教えることになるのだが、塚本は果たして事前に勉強をしてきたのか?


01.jpg

縛り付けられている塚本「ゆ......許してください神様、金子様」

金子「前回、縛り付けていいって言ったのは塚本さんですよ?」

~数時間前~

金子「塚本さん、勉強してきましたか?」

塚本「は......はい。まぁ、それなりに。」

金子「では前回言ったとおり『クリーチャー以外の呪文』で、デッキに入る基準となるのは、どのようなカードなのでしょうか?」

塚本「目を薄ーく開けるとですね、カードの周りにわずかなオーラが見えるんですね。そのオーラの色によって判別していますね。」

02.jpg

金子「オーラ......。参考までに何色だとデッキに入るのですか......?」

塚本「日によって違うんですよね......。」

金子「塚本さん、ちょっとこっちに来てください。」

塚本「金子さん? 笑顔ですけど、目が笑ってませんよ? え。あ、ちょっと!!」

~回想終わり~

金子「ということで、みっちり教えてあげるので、理解できたらほどいてあげます。」

塚本「鬼ー!悪魔ー!金子ー!!」

金子「では、今回は大きく4つのポイントに分けて教えますね。この4点、そしてその元になっている考えを理解してください!」

1.除去は偉い!

金子「クリーチャーを並べあうのが主体の『リミテッド』の試合では、より強いクリーチャーを出した方が勝ち!になるのは自然な流れです。そこで相手のクリーチャーを排除できる、いわゆる『除去』があれば場をイーブン以上に戻せるので、そういう役割を持った呪文は重宝しますね。

塚本「確かに、自分の切り札を持っていても、『相手が切り札を破壊するような呪文を持っているかも?』って思っていたら出すか出さないか考えちゃいますね。
 逆の立場だと、相手の切り札を何とかできたら嬉しいので、デッキにそういうカードがほしいですよね!」

金子また、除去は各色に用意されていることが多いのですが、色ごとに特徴があります。この色の特徴も覚えておくと良いですよ。ざっくりお話しすると、以下のような感じですね。」

:パーマネントを無効化する効果を持ったエンチャントや、「攻撃やブロックしているクリーチャー」「タップ状態のクリーチャー」のような条件付き除去が多い


:手札に戻したり、タップ状態にして無効化する除去が多い


:クリーチャーを破壊する除去や、パワー/タフネスを下げる除去が多い


:クリーチャーにダメージを与える除去が多い


:「格闘」を行う除去や、「飛行」を持つクリーチャーにのみ効果がある除去が多い


塚本「それぞれの色で全然違いますね!!」

金子「そうなのです。色ごとに特徴が違うので、相手の色を見て、どんな除去呪文を使われる可能性があるのか想像してゲームを進めるのは、リミテッドの基本テクですよ。例えば『白相手に不用意な攻撃やブロックをするのは危険だな』とか、『赤が相手だから、タフネスが高いクリーチャーは除去されにくい』とか。さらにもう一歩進むと、『赤が相手だから、このダメージを軽減する呪文を持っていれば安全だ』とかですね。もちろん、そのリミテッド環境に存在する除去呪文をきっちり覚えていることが望ましいです。」

塚本「な、なるほど。前回も『クリーチャーサイズを覚えろ』、というお話でしたが、今回も『除去呪文を覚えろ』ということですね。で、いろいろありますけど、実際どの除去が強いんですかね?」

金子「そうですね......。除去というのはそれだけで貴重なので基本的には全て強いのですが、条件が厳しかったりリスクが高いカードは結局自分の首を絞めることになるので、シンプルに『破壊する』だけ書いてあったりすると良いですね。もちろん自分が得することが書いてあればもっと最高ですね!」

塚本「対象のクリーチャーを破壊し、その後このゲームに勝利する!とかですか?」

金子「それ......別にクリーチャー破壊しなくてもいいのでは......。」

2.コンバット・トリックとは何だ!?

金子「『リミテッド』ではクリーチャー同士の戦闘が一番重要なファクターだとは、『リミテッド』編を通して言っていることなので塚本さんもわかっているとは思います。ですので、そのクリーチャーの戦闘を有利にする呪文ももちろん強力です!

塚本「自分のクリーチャーを強くしたり、相手のクリーチャーを弱くしたりして、戦闘がクリーチャーのパワーとタフネスを比べるだけのやり取りにならないのが、マジックの楽しさの1つですもんね!」

金子「そうです!こういったインスタントタイミングで戦闘に影響を与える呪文のことを『コンバット・トリック』と呼びます。広い意味で言えば、インスタントの除去呪文も『コンバット・トリック』ですね。除去呪文と同じく、『リミテッド』の試合をする際には対戦相手のデッキの色から、どんな『コンバット・トリック』が入っているのかを想像しながら試合をすると、上達につながりますよ! このためにも、環境に存在する『コンバット・トリック』を覚えるのがオススメです!」

塚本「『コンバット・トリック』!!手品とかで物理的に相手のクリーチャーとかを減らしてもいいのですか!?」

金子「ダメ・絶対!!」

3.エンチャント、アーティファクトに頼れ!

金子エンチャントやアーティファクトのように恒久的に戦況に影響を与えることができて、かつ、破壊されにくいカードはそれだけでデッキに入る基準になりますね。特に『装備品』のような、何度も使えるような便利なパーマネントはわかりやすく強いです。」

塚本「どうしてエンチャントやアーティファクトは破壊されにくいのですか? カードからオーラが出てるんですか!?」

金子「出ていません! 『リミテッド』では環境にもよりますが、エンチャントやアーティファクトがデッキに入ることが少なく、入ってもわずかな枚数であることがほとんどです。そのためにデッキにエンチャント・アーティファクト対策カードを入れるリスクが大きく、そういったカードはあくまでサイドボードとして活用することがほとんどだからです。

対象があれば強力だが......。

金子「もちろん、環境に『装備品』や『オーラ』のようなカードが多ければ、メインデッキに対策カードが入ってきたりもするので、環境をよく理解するのも大事ですね!」

塚本「むむっ!『オーラ』!やっぱりそうなんですね!?」

金子「えっと、塚本さんの思っているオーラではないですよ?」

4.カード・アドバンテージを稼げ!

金子「『アドバンテージ』とは優位性、つまり相対的有利のお話になりますが、ここではまず『カード・アドバンテージ』、1枚で2枚以上の働きをするカードは強いということを覚えてもらえれば大丈夫です!」

塚本「1枚で2枚以上......? カードをたくさん引ける呪文とかですか?」

金子「はい、一番わかりやすいのがカードを引く呪文です。1枚のカードで2枚以上のカードを引けるカードは良いカードですね。」

金子「他には、カード2枚分以上の働きをする呪文ですね。例えば《残酷な蘇生》は条件付きですが、相手のクリーチャーを除去しつつ墓地から自分のクリーチャー・カードを手札に戻せるので、これも『カード・アドバンテージ』を稼いでいますね! 1枚のカードで複数のカードに対処できる呪文も強力です!」

塚本「たしかにカードの枚数を増やしたり減らすことは、試合中の選択肢の増減に関わるので、これは重要ですね!」


金子「さて、ここまで『クリーチャー以外の呪文』の基準をお話ししてきましたが、共通する元の考えはなんだと思いますか?」

塚本「うーん、なんだろう。あ、でもなんだか1~3は、全部クリーチャーに関係していますね!」

金子「そうです!そうなんです! ここでまた、前回前々回と同じところに戻るのです。今回も何度か言っていますが、『リミテッドは、クリーチャーが主役』なのです!ですからそれに対処できる除去呪文は強いし、戦闘を有利にするコンバットトリックは強いし、継続的強化が期待できるエンチャント・アーティファクトは強いし、クリーチャーやそれ以外の呪文を相手よりも多く引けたりできるアドバンテージを取れる呪文は強いのです! すべての中心はクリーチャーなのです!」

塚本「なるほどわかりやすいですね! でも、今回教えてもらった『クリーチャー以外の呪文』と、前回教わった『クリーチャー』、どっちをどのくらいデッキに入れればいいんですか? あと、強いカードだったらなんでも入れていいんですか?」

金子「お、鋭いところに気づきましたね。前回、今回とお話ししたのは、あくまでカードの強さのお話です。ですが、塚本さんが作らなきゃいけないのは『デッキ』ですよね。となると、単純なカードの強さでは比較しきれないところが出てきます。それが『バランス』『デッキの種類』『マナ・カーブ』あたりの要素です。」

塚本「レ ア り テ ィ の 高 い か ー ド が 必 ズ し も 強 い ト は 限 ラ な イ 。」

金子「塚本さんがバグッた!? 脳の容量がオーバーフローしたのかな? というか......塚本さん、2週にまたがってボケるの好きですね......。」

塚本「このフレーズ気に入ったのですよ。」

金子「塚本さん何かにハマると、ずっと同じことしてますもんね! そんなわけで、次回はクリーチャーとクリーチャー以外の呪文の比率、やっていきましょう!」

塚本「はい!!」

続く。

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