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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:時を越えた究極コンボ、ラクドス・ブリーチ(タイムレス)

岩SHOW

 クール、クールってなんだ。クールを知る金曜日、今週もはじまるよ。マジックにはクールなものが溢れている。クールという概念を3.5インチ×2.5インチ(8.8cm×6.3cm)の紙に印刷したものがマジックだといった方が正しいかもしれない。マジックをプレイする上で皆が感じているクールさを追求してデッキを紹介する当コーナー。今回は……

luigimont3 - 「ラクドス・ブリーチ」
MTGアリーナ ランク戦 ミシックランク帯 / タイムレス (2024年1月13日)[MO] [ARENA]
4《血染めのぬかるみ
4《汚染された三角州
2《樹木茂る山麓
2《血の墓所
3《黒割れの崖
1《ファイレクシアの塔
3《
1《
-土地(20)-

4《ドラゴンの怒りの媒介者
4《縫い師への供給者
3《敏捷なこそ泥、ラガバン
4《オークの弓使い
-クリーチャー(15)-
4《ミシュラのガラクタ
4《暗黒の儀式
2《致命的な一押し
2《稲妻
4《思考囲い
1《悪魔の教示者
3《悪魔の意図
1《苦悶の触手
4《死の国からの脱出
-呪文(25)-
1《夢の巣のルールス》(相棒)
3《死儀礼のシャーマン
1《溶鉄の崩壊
1《致命的な一押し
2《削剥
3《大群への給餌
1《ぶどう弾
1《真髄の針
1《トーモッドの墓所
1《未認可霊柩車
-サイドボード(15)-
X より引用)

 

 タイムレスのデッキといこうじゃないか!時代を越えてカードが集結、永遠の戦いを繰り広げることを示すフォーマット名がもう最高にクールだ。MTGアリーナ内に存在するすべてのカードが使用可能・禁止カードなし・ごく一部制限カードありというさながらアリーナ版ヴィンテージというところ。レガシーでさえ禁止されている《夢の巣のルールス》を相棒にして思う存分そのカードパワーを堪能できるという、その中途半端ではない振り切れ具合がいっそのことステキに思える、クールな構築フォーマットである。当たり前の話だが、やっぱり所持しているカードは単にコレクションに賑やかしにせずに実際に使いたいもの。そんな思いを叶えてくれるタイムレス。このフォーマットで現在最強格と呼べるような、凄まじい強さを誇っているのが上記の「ラクドス(黒赤)ブリーチ」である。

 タイムレスで2大巨塔とされる黒と赤。何故ならこの2色には1~2マナ域に、クリーチャーもそれ以外も、超強力なカードが目白押し。この2つを合わせたラクドスが強いのは当然至極なわけだが、中でもルールスを相棒としたこのブリーチデッキは、他のフォーマットでは現在中々拝めない勝ち方をするアーキタイプであるため強く印象に残る。

 ブリーチとは《死の国からの脱出》のこと。このカード……軽い呪文がたっぷりある環境だとマジでぶっ壊れ。クールすぎて凍てつくレベルだ、バナナで釘が打てるぞ。この脱出を戦場に出したそのターンの間、墓地から呪文が唱えられるようになる。通常のマナに加えて脱出コストとして墓地の他のカード3枚の追放が必要となる。墓地から呪文を唱えたいのにそれを自ら減らす、というのは矛盾しているように見えるが……墓地をたっぷりのカードで満たしておけば問題なし。というかこの脱出で唱えたカードがまた墓地に落ちたら、それを再び唱えたり他の呪文のコストに充てるという荒業を敢行できるのがこのエンチャントの優れすぎているポイント。《ミシュラのガラクタ》を何度もおかわりして、次のアップキープに手札を一気に増やすというような使い方も可能というわけだ。そしてこの脱出から何度も繰り返し唱えてヤバい1枚こそ、《暗黒の儀式》だ。これを使いまわしてマナを増やし、他の呪文もどんどんと脱出させて唱えていく。それがブリーチで勝つためのクールな道筋だ。

 マジック史上最強のサーチ呪文の呼び声も名高い《悪魔の教示者》。このカードもタイムレスだと使用可能で、これで《死の国からの脱出》を持ってくるのがシンプルで最も効率が良い。あるいはクリーチャーを生け贄に捧げての《悪魔の意図》でも良い、クリーチャーを再利用したりあるいは脱出コストに充てたりするので、生け贄のコストは喜んで払えるものだ。これらのサーチも脱出で使いまわして、最終的にはデッキ1枚のみ潜ませてある《苦悶の触手》に繋げる。同一ターンに唱えた呪文の数だけコピーされるストーム呪文の中でも、最も使用されたクールな1枚。タイムレスでも《暗黒の儀式》とのゴールデンコンビで、対戦相手のライフを吸い尽くして勝利する。この一連のムーブ、手札が1枚もない状況からでも……ルールスで墓地の《死の国からの脱出》を唱えればそこからスタートさせることができる。長期戦どんとこい、泥仕合を制するのは相棒を絡めたコンボだ。

 他フォーマットにおける《苦悶の触手》で勝利するストーム系のデッキでは、メインデッキにクリーチャーが採用されることはあまりない。タイムレスのこのアーキタイプは比較的多くのクリーチャーを採用し、それらで攻撃してライフを減らすことも狙っている。ライフを減らしておけばストームの回数は少なくて済むし、何よりクリーチャーの質が高いのでこれらをルールスで使いまわすだけでも勝ってしまえる。

 そんなクリーチャーの中でも《ドラゴンの怒りの媒介者》はエース格。条件を満たしての3/3飛行というスペックも素晴らしいが、何より諜報能力で墓地をモリモリと肥やせるのが素晴らしい。その墓地耕しの方向に特化した1枚が《縫い師への供給者》。切削により墓地が3枚増えるのは、脱出1回分のカードを得るということと同義である。相手のクリーチャーを受け止めても、あるいは除去を使わせても切削で墓地が増えるので、対戦相手からすると嫌がらせポイントが非常に高い。そしてこの供給者を《悪魔の意図》で生け贄に捧げるという動きが最もスマートかつクールで、対戦相手がこの動きをしてきたら「クライマックスだな……」と背筋に汗が伝う。

 その他のクリーチャーも《敏捷なこそ泥、ラガバン》に《オークの弓使い》と、デンジャラスな連中の共演が見られる。これら軽量クリーチャーでの攻めに対して対戦相手のカードを消費させ、形勢を立て直す前にコンボで勝つ……そんなシナリオが理想的だ。コンボとアグロが高い次元で融合した、アーキタイプの壁を取っ払ったクールな存在「ラクドス・ブリーチ」。タイムレスという特異な空間で生まれたクールなデッキ、一度体験してみてはいかがかな。

 それでは今週はここまで。Stay cool!! Breach the Dream-Den!!

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