READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!アゾリウスのマナリーク、そしてクレンコらゴブリンの考察(スタンダード)

岩SHOW

スタンダードに新風が吹くって!

 『カルロフ邸殺人事件』プレビューが開幕!ラヴニカを舞台にしたサスペンス色の強いセットはスタンダードに何をもたらすのか?この毎日カードが公開されるのを追いかけて、さあどんなデッキを組もうかなと妄想を膨らます……この時間こそがスタンダードの醍醐味。スタンダードというマジックの定番構築フォーマットに興味を持っている皆の気持ちを高めて、スタンダードの益々の発展を願い日々研鑽を積む当コーナー「とことん!スタンダー道!」。今週も新カードを交えて考察しながら、とことんスタンダードのデッキと向き合おうぜ!

打ち消しの超定番、復活!

 「打ち消し呪文」の定番中の定番……世代によって、或いはプレイしているフォーマットによって返ってくる答えは異なることかと思う。現行スタンダードでプレイしている皆にとっては《かき消し》となるだろうか。マジックを黎明期から追っているプレイヤーはやっぱり《対抗呪文》かな。キャリアの長いプレイヤーは、こう答えるかもしれない。「マナリーク」と。

 マナリークこと《マナ漏出》。2マナのインスタントで、{3}の追加コストを要求する打ち消しだ。確定で呪文を打ち消せない性能ではあるが、青マナ1つのみのシングルシンボルという扱いやすさがセールスポイント。それに最序盤であれば3マナ追加で払うというのは実質不可能なので、《対抗呪文》と同等として運用できる。マナが有り余る長期戦になると頼りなくもなるが、そういった段階に至るまでに使い切って後は他の呪文に託せば問題はない。

 この使いやすい打ち消し、初出は古くなんと26年前の『ストロングホールド』。当時はもちろんのこと、以降各種基本セットに再録される機会が多く、スタンダード環境の打ち消しと言えばマナリークというのが本当にド定番だった。確定ではない打ち消しというのが絶妙なんだよな。各自思い入れがあるかもしれないマナリークが、スタンダードに戻ってくる!

 ……とは言っても、まんま再録されるわけではない。白青2色の《喝破》という新カードが登場。2マナで3マナを要求する打ち消し、実質マナリーク!色拘束は厳しくはなったが、それでも2マナで対象を選ばないマナリークは頼もしい。しかも2色になったことで打ち消したカードを追放もしてくれるので、《しつこい負け犬》のようなカードにも積極的に投げつけていける気配り設計!こりゃスタンのアゾリウス(白青)系、活気づきまっせ!

Justin Tripoli - 「アゾリウス・テンポ」
RCQ @ Chuck’s Field of Dreams(40人規模) トップ4 / スタンダード (2024年1月15日)[MO] [ARENA]
4《アダーカー荒原
4《金属海の沿岸
4《さびれた浜
4《不穏な投錨地
1《皇国の地、永岩城
1《天上都市、大田原
4《ミレックス
2《平地
2《
-土地(26)-

4《遠眼鏡のセイレーン
3《敬虔な新米、デニック
2《フェアリーの黒幕
3《ティシャーナの潮縛り
1《最深の紀元、オヘル・パクパテク
-クリーチャー(13)-
2《邪悪を打ち砕く
2《失せろ
4《かき消し
3《地底のスクーナー船
4《婚礼の発表
4《忠義の徳目
2《放浪皇
-呪文(21)-
4《痛烈な一撃
2《太陽降下
1《放浪皇
1《ティシャーナの潮縛り
2《軽蔑的な一撃
2《否認
1《第三の道のロラン
2《記憶の氾濫
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 スタンダードの「アゾリウス・テンポ」。全体的に3マナ以下の軽いカードが中心、インスタントや瞬速を持ったカードを構えつつ対戦相手のターンに展開して戦うタイプのデッキをテンポデッキと分類する。パーマネント除去は《邪悪を打ち砕く》に《失せろ》、打ち消しは《かき消し》と軽く扱いやすい呪文で対戦相手をけん制し、隙あれば《フェアリーの黒幕》《放浪皇》といった戦力を展開する。これがこのデッキの基本であり、そして最大の武器と呼べる1枚は《忠義の徳目》。これの出来事で兵士を生成し、これで対戦相手の攻撃クリーチャーをブロックして除去しても良いし、そのまま攻め手に使うのも良し。対戦相手を妨害して優位な状況を作れば、徳目本体を設置して+1/+1カウンターをばら撒いてサイズで押し切る……勝利までの道を完走した時には「マジック、プレイしたなぁ」という充実感を得られるはずだ。

 さて、当コラム作成時点ではまだプレビューが始まったばかりなのだが……《喝破》以外にもこのようなデッキで活躍し得るカードをピックアップ。まずは《ウォジェクの調査員》。3マナでタフネス4と硬い飛行持ち、警戒も持っていて攻撃もしやすい。この調査員は対戦相手の手札が自分よりも多いと、毎ターン手掛かりを一つ生成してくれる。アゾリウスカラーのテンポデッキは比較的軽めのカードで構成されているので、青いデッキの割には手札切れを起こしやすい。《フェアリーの黒幕》を上手く運用できたら良いのだが、それも簡単ではない。なので、このような戦闘もできるカードで手札を補充出来れば完璧だ。

 また同じ天使には《オレリアの立証者》というものも。パワー4で飛行・絆魂と対戦相手とのライフ差を拡げていくゲームを終わらせられるスペック持ち。タフネスは2と低いが、護法{2}でそれをカバーしている。そしてこの天使は変装持ちだ。裏向きの2/2護法{2}として唱えられる能力であり、コストを支払えばいつでも表向きに。そして立証者は表になった時に戦場や墓地のクリーチャーを追放する。立証者が戦場を離れるとこれらのクリーチャー・カードは手札に戻るという、一時的な追放除去能力を持っている。

 対戦相手がコントロールしているクリーチャーを追放したら、この立証者を除去されるとそのクリーチャーを取り返されるが……戦場ではなく手札というのがポイント。すぐに戦場を元に戻すことはできず、再び唱えてきたところに《喝破》などで打ち消してやれば気持ちが良い。トークンを追放すれば手札に戻ることさえない確定除去なので安心だ。そして墓地のカードを対象にする場合……これは自身の墓地のクリーチャーを追放するのがメインになる。立証者に対処されてしまってもそれで展開が終わらないように、墓地からクリーチャーを追放しておいてそれをまとめて回収。立証者が2枚以上あれば、どれだけ破壊されても延々とお互いを回収しあうエンドレスな攻めで長期戦を粘り勝てる!能力の起動はインスタント・タイミングでOKなので、打ち消しや瞬速を構えるデッキの性質とも合致。新たな天使2種、どちらもやり手な予感……ッッ!

今週もとことん!ドレイク考察!

 前回のスタンダー道ではファーストルック時点に公開された《煌めく機械ドレイク》からアーティファクトを中心とした青赤デッキを作りたいということで、現スタンダードのアーティファクト・シナジー(相互作用)を振り返った。いざプレビューが始まってみると……まさしくドレイクと一緒に使えと言わんばかりのカード達がワラワラと!嬉しいじゃないか。構築やってやるって!

 まずは新レアの中でも捜査メモ風のショーケースにもなっていて注目の《ブリキ通りの男爵、クレンコ》!アーティファクトを生け贄に捧げる能力を持っているのでドレイクを恒常的に強化する手段となる。生け贄に捧げるとゴブリンらに+1/+1カウンターを乗せることができる。そしてアーティファクトが墓地に置かれる度に赤マナを払えばゴブリンが1体生成される。アーティファクトをゴリゴリと砕いてゴブリンを増やしてそのまま強化、地上はゴブリン・空はドレイクと二段構えの攻め!これはなんとも強そうじゃないか。

 ゴブリンといえば昔からアーティファクトと相性の良い部族だ。《霜剣山の製錬者》も生け贄を行ってドレイクやクレンコの能力を誘発させ、そして3/1のトークンを生成してアーティファクトの数は減らず。《熱心なメカ乗り》は色も完璧にフィットし、アーティファクトのコスト軽減で《ミシュラの研究机》などを連打する動きをサポート。さらにクレンコとともに現れた新ゴブリンには《犯罪小説家》の姿が!自身がサイズアップした上に赤マナを加えるという誘発型能力!生け贄でマナを加える、これはありそうでなかった新感覚ゴブリンだ。研究机やクレンコのコストがこれでチャラになるので、1ターンの間に想像よりもずっと多くのアクションを重ねられそうな予感……よし、この方向でアーティファクトを中心としたゴブリン×ドレイクデッキを目指すこととしよう!来週掲載分を作成する時にはもっとカードが公開されているだろうから、実際にリストを作成することに挑戦してみようじゃないか。

 気を付け!本日の練習は以上!礼ッ!いや~、カルロフ邸、もう目の前なんだけどもその少しの時間がもどかしいな。スタンダード新環境が始まるその日を夢見つつ……毎日少しずつ鍛錬を積んでいきたいところだな。押忍ッ!じゃあもう一汗かくとするかぁ。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索