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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

硬化した鱗アグロ:5枚目の「ウルザの物語」?(モダン)

岩SHOW

 英雄譚であり土地でもある《ウルザの物語》。モダン環境を代表する正真正銘のパワーカードの一つだ。単純に土地として見た場合、無色マナしか加えられず、しかも戦場に出した2ターン後には墓地に行ってしまう。これだけでは弱いものに感じてしまうが、英雄譚としての2つの能力が凄まじい。

 Ⅱ章では構築物・トークンを生成する能力を得る。これは得たターンは勿論のこと、次のターンでもⅢ章を解決する前に起動するチャンスがあり、土地1枚から2体のクリーチャーが得られるので数字の面でも得をしている。構築物はアーティファクトの数だけのパワー/タフネスを持ち、アッという間に5/5以上の重量級マシンが戦場を制圧してしまう。そしてⅢ章ではコストが{0}か{1}のアーティファクトをサーチして戦場に出す。マナ総量ではなくコストの指定なので色付きのものやXのものは持ってこられないが、それでも《トーモッドの墓所》や《真髄の針》、《影槍》など様々な場面で輝くアーティファクトを引っ張ってこられるのでめちゃ強なのだ。賞味期限付きの土地でありながら、これを活かせる「アミュレット・タイタン」や「トロン」などのデッキでは他のカードにはできない仕事っぷりを見せつけてくれる。

 今回はこんな導入なので、もちろん《ウルザの物語》を備えたモダンのデッキを紹介する。そしてそのリストには「5枚目の《ウルザの物語》」が採用されている。同一カードは4枚しか採用出来ない構築フォーマットにおいて、5枚目のカードとは一体……?

Robert Kirschbaum - 「硬化した鱗アグロ」
RCQ @ Game Haven トップ4 / モダン (2023年12月10日)[MO] [ARENA]
1 《宝石の洞窟
4 《岩山被りの小道
1 《燃え柳の木立ち
1 《カープルーザンの森
2 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《ペンデルヘイヴン
4 《ウルザの物語
4 《墨蛾の生息地
1 《残響する深淵
3 《
-土地(22)-

4 《微光蜂、ザーバス
1 《機能不全ダニ
4 《電結の荒廃者
4 《継ぎ接ぎ自動機械
4 《搭載歩行機械
4 《歩行バリスタ
-クリーチャー(21)-
3 《古きものの活性
4 《硬化した鱗
2 《オゾリス
1 《打ち砕かれた尖塔、オゾリス
2 《アガサの魂の大釜
1 《溶接の壺
1 《真髄の針
1 《影槍
1 《バネ葉の太鼓
1 《タリアンの魂断ち
-呪文(17)-
2 《虚空の杯
2 《虚空の鏡
2 《減衰球
2 《四肢切断
2 《活性の力
1 《墓掘りの檻
1 《エレヒの石
2 《タミヨウの保管
1 《宝石の洞窟
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 モダンでも根強い人気の《硬化した鱗》を搭載したアグレッシブに攻めるデッキ。ほぼ緑単に赤を足した構成だ。鱗はクリーチャーに+1/+1カウンターが置かれる際にそれの個数を1個増やすというボーナスを提供する。1マナと軽くて扱いやすく、重ね引いてもその効果は重複するので4枚搭載したデッキが組みやすい。《微光蜂、ザーバス》や《電結の荒廃者》など接合能力を持ったクリーチャーは、それ自身に置かれるカウンターも、死亡後に他のクリーチャーに乗せるカウンターも増やしてくれるため相性が◎。他にも《歩行バリスタ》に《搭載歩行機械》とカウンターの数が単に戦闘面以外にも意味を持つクリーチャー、そして自力で育つ《継ぎ接ぎ自動機械》などを戦場に展開。序盤から積極果敢に攻めていく前のめりなデッキだ。

 このデッキにおける《ウルザの物語》は……アーティファクト・クリーチャーを展開するので構築物が簡単にマッチョに。そしてカウンターの友である《オゾリス》をサーチする手段として大変に頼もしい。《電結の荒廃者》でアーティファクトをバリバリ食べてカウンターを得る、そのカウンターの数は鱗で増える。そして食われたクリーチャーに乗っていたカウンターはオゾリスに貯蔵される。戦闘開始時にオゾリスから引き出したカウンターもまた鱗で増える、といった具合にこの伝説のアーティファクトと鱗が合わさると、無からカウンターが増えていく。

 さらにオゾリスと同じく荒廃者の新たなお供として期待の高まる《タリアンの魂断ち》!これも荒廃者やその他クリーチャーに装備させておいて、荒廃者にガンガン餌を与えればみるみるうちにカウンターの個数が増えていく。20点のライフを狙うのは勿論、《墨蛾の生息地》をこれらのシナジー(相互作用)で育てて10点毒殺パンチをかますのも最高だ。強烈な打点に繋げるエンジンであり、地上を固めてロングゲームも見据えられる《ウルザの物語》はこの鱗デッキを大きく強化する要因となっている。

 さて、話はその《ウルザの物語》に戻って……5枚目ってどういうことだ?という答え合わせといこう。上記のリストにはもちろん4枚しか物語は採用されていない。しかしそこには5枚目のそれが眠っているのだ。その名は……

 《残響する深淵》!これは墓地の土地のコピーになれるという、ニッチな能力を持った洞窟だ。墓地の土地をコピー……そう、自らの能力で墓地に落ちる《ウルザの物語》をこれでコピーすること!これこそ5枚目の《ウルザの物語》の正体である。何度でも使いまわしたかった物語、その夢を土地という妨害されにくい手段で行えるのは画期的なことだ。これで構築物をガンガン大量生産し、アーティファクトをサーチして……極端な話、全く呪文を唱えずに勝つということが現実味を増したわけである。

 《残響する深淵》、他にもコピーするとすごいことを起こす土地がないか?カードリストを今一度眺め、今後追加される新たな土地に対してアンテナを張り巡らせた方が良さそうだ。オンリーワン系の能力を持ったカードは、ある日突然化けるぞ!と、種を明かしたところで今回はこれまで。強いカードを増やして5枚目、6枚目を手に入れる。貪欲な戦術、君のデッキにも取り入れてみよう!

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